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2026年9月19日現在、マンション管理業界では人件費や物価の高騰を背景に、管理会社側から契約更新を断られたり、新規の見積もりを辞退されたりする「管理選別」が加速しています。特に20〜40戸程度の小規模物件では、その傾向が顕著です。
本記事では、宅地建物取引士・管理業務主任者の視点から、マンション管理会社に断られる根本的な理由と、管理組合が「管理難民」にならないための具体的な法的・実務的ステップを解説します。
マンション管理会社に断られた…管理組合が知るべき5つの理由
管理会社が契約を敬遠する背景には、経営上の採算性や、現場の労働環境保護といった切実な理由があります。これらは個々の管理会社の実務経験や業界報道に基づく現状分析です。
理由1:採算性の悪化(人件費・物価高騰)
管理員の人件費や清掃コスト、各種点検費用の高騰により、従来の「管理委託費」(組合から会社へ支払う事務・管理の対価)では赤字になるケースが増えています。
理由2:小規模マンション(20〜40戸)の収益性課題
戸数が少ない物件は委託費総額が低くなる一方、理事会支援や会計報告などの基本業務量は大規模物件と大差ありません。そのため、人件費に対して利益率が低くなりやすく、敬遠される要因となります。
理由3:建物の老朽化と資金不足
築古物件で漏水等のトラブルが頻発し、かつ修繕積立金が不足している場合、管理会社は将来的な維持管理の継続が困難と判断し、リスク回避のために契約更新を断ることがあります。
理由4:過度な要求(カスタマーハラスメント)
契約範囲を超えた要求や担当者への威圧的な言動は、従業員の安全確保の観点から契約解除の正当な理由になり得ます。
理由5:【意外な盲点】5社以上の多すぎる相見積もり
見積もり作成には、3〜4回の現地調査や、清掃・設備等の外注先との調整など膨大な手間がかかります。5〜6社も競合させる場合、小規模物件では「労力に見合わない」と判断され、見積もり自体を辞退されるリスクが高まります。
「管理難民」にならないための3つのステップ
もし断られたら、冷静に現行の契約内容と法的要件を確認しながら次へ進みましょう。
ステップ1:現行契約と理由の分析
まず、現行の管理委託契約書を確認してください。解約や更新拒否の手続きについては、契約書内の解約予告条項(第18条等)が最優先されます。その上で、管理委託費が適正か、業務内容が過剰でないかを自己分析します。
ステップ2:見積もり依頼は「2〜3社」に絞る
管理会社の積極的な提案を引き出すには、本気で検討したい2〜3社に厳選して依頼するのが実務上の鉄則です。この程度の社数であれば、会社側も受注精度が高いと判断し、真摯な提案を行いやすくなります。
ステップ3:総会決議の準備と規約確認
管理会社の変更や委託内容の改定は、区分所有法第39条に基づき、集会(総会)での決議が必要です。ただし、個別のマンション管理規約に別段の定めがある場合は規約が優先されるため、必ず自物件の規約を確認してください。
新しい管理会社選びとコスト評価の鉄則
鉄則:標準管理委託契約書の「内訳明示」を求める
見積もりが「管理委託費 一式」となっている場合、内容の妥当性が判断できません。必ず、国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」に準拠した細目別の見積もりを求めてください。
同契約書は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)第73条に規定する「契約成立時の書面」の指針であり、透明性の確保を目的に作成されています。具体的には以下の費用内訳が示されているかを確認します。
・事務管理業務費 ・管理員業務費 ・清掃業務費 ・建物・設備管理業務費 (※表形式が閲覧できない場合:上記4項目等の細目明示が必要です)
【Q&A】管理コストと制度に関するよくある質問
Q. 使える補助金・助成金はありますか?
A. はい。例えば東京都新宿区の「マンション管理計画認定手続支援サービス手数料補助事業(2025年度時点)」など、自治体ごとに認定制度に関連した支援策があります。ただし、補助金は年度や地域ごとに要件が頻繁に変更されるため、必ず自治体の最新要綱を確認してください。また、利用には通常、総会決議が必要となります。
Q. 築古マンションで配管工事の費用を抑える方法は?
A. 既存の配管を活かす「SRCT工法(更生工事)」などの選択肢があります。事例によっては、配管をすべて交換する更新工事よりも大幅に費用を抑えられるケースがあります。ただし、具体的な削減率は建物の状況により異なるため、複数工法の比較検討が不可欠です。
【管理会社向け】円滑な事業承継の支援(※MIJ提供サービス紹介)
※本パートは株式会社MIJの提供するサービス紹介を含みます。 人手不足等の理由でマンション管理事業からの撤退を検討されている企業様向けに、MIJでは「円滑な事業承継支援」を行っています。一般的な株式譲渡に加え、以下の独自サポートが特徴です。
- トラブル回避: 管理組合への丁寧な説明代行を行い、円満な管理承継を支援します。
- 経済的負担の軽減: 承継後の一定期間の人件費を補助するなど、撤退時のコスト面をサポートします。
- 雇用の継続: 既存スタッフの雇用維持にも柔軟に対応可能です。
まとめ
管理会社に断られることは、管理体制を適正化する好機でもあります。賃貸物件の経営管理(PM/BM)とは異なり、分譲マンション管理は「管理組合の意思決定」が基盤です。公的な統計データが存在しない「業界の慣習」や「断られる傾向」に惑わされすぎず、まずは標準管理委託契約書や最新の法令、自治体の管理計画認定制度等の公的情報を確認し、信頼できるパートナーを選びましょう。
免責事項・参考資料
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案への法的助言ではありません。個別の契約や決議については弁護士等の専門家にご相談ください。最新の情報は、国土交通省の「マンション管理に関する情報提供サービス」等の窓口や公式サイト、各自治体要綱をご確認ください。
- 国土交通省「マンション標準管理委託契約書」(令和6年更新版対応)
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律
- 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

