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第三者管理は、会社を比べる前に型を決める
役員のなり手がいないとき、外部の人に管理を担わせる選択肢が第三者管理です。「第三者管理」という見積もりの名前だけでは、誰が区分所有法上の管理者になるのかが決まりません。
- 理事会を残す。外部の専門家を役員にします。規約の組合員要件を外します。
- 外部の管理者。理事会が監視する型と、理事会を設けず総会が監督する型です。別添の規約が要ります。
- 管理会社が管理者。標準管理規約が想定していない方式です。ガイドラインの第3章で見ます。
この三つは、管理組合を法人にすることとは別です。管理組合は区分所有法第3条の団体です。管理組合法人の設立は区分所有法第47条、解散は第55条です。第三者管理の見積もりは、その設立の決議ではありません。
この記事では、型を決めたあとで管理会社を比べるときの五つの確認と、決議の分け方を、2026年9月時点の法令と令和7年10月17日改正の標準管理規約に沿って整理します。報酬の円の単価表はないので、金額は同じ型の見積もりで比べます。
※本記事は株式会社MIJによる情報提供であり、自社サービスの紹介を含みます。導入は自組合の管理規約に従ってください。
理事会方式と、どこが変わるか
標準管理規約の原則は、理事会を中心にした運営です。この原則のまま、管理会社の社員が理事長の地位に就くことはできません。会議の補助を頼む契約と、管理者を交代する決議は別です。
- 第35条第2項。理事と監事は、組合員のうちから総会で選びます。
- 第38条第2項。理事長を、区分所有法上の管理者とします。
標準管理規約のコメントは、外部の専門家の型を三つ示しています。
- 理事会に外部の役員を置く型は、第35条第2項の組合員要件を外す規約変更をすると、この型に移れます。
- 外部管理者を置き理事会が監視する型と、理事会を設けず総会が監督する型は、別添の規約整備が必要です。管理委託契約を一通足しただけでは、この型には移りません。
管理会社が管理者になる方式は、標準管理規約のコメントが「この標準管理規約では想定していない」と書いています。留意点は、「マンションにおける外部管理者方式に関するガイドライン」の第3章です。ガイドラインは令和8年4月1日に改訂されています。見積もりがこの方式なら、第3章と、印鑑を管理会社が持たない形を、比較の条件に入れます。
決議は、選任と規約変更で分ける
区分所有法第25条は、規約に別段の定めがなければ、管理者を集会の決議で選任し、または解任する、と定めています。別段の定めがなければ、この決議は第39条の普通決議です。
- 出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)およびその議決権の各過半数です。
- 標準管理規約第47条第1項の定足数は、議決権総数の過半数の出席です。
- 第47条第2項の普通の議事は、出席組合員の議決権の過半数です。この定めがある組合は、その定めに従います。この第47条は、標準管理規約の普通決議の数え方です。
理事会の廃止、役員の資格を組合員以外に広げること、管理者の権限を規約で変えることは、規約の変更です。変更は区分所有法第31条の特別決議です。
- 議決権を有しない者を除く区分所有者の過半数であって、議決権の過半数を有する者が出席します。
- 出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上で決します。
- 出席の割合は規約で高くできます。各4分の3以上は、規約で下げられません。
- 一部の区分所有者の権利に特別の影響があるときは、その承諾も要ります。
選任が普通決議であることと、規約変更が特別決議であることは、同時に成り立ちます。一つの挙手で両方を可決したことにはしません。規約変更が否決されたときは、外部の管理者の選任は採決しません。理事長を管理者とする規約が残ったまま、外部の管理者の選任だけが可決されると、通帳を動かす地位が二つ残ります。議事録には、変更の可決を選任の条件にしたことを書きます。
会社を比べる五つの確認
型が決まったら、同じ型で2〜3社に見積もりを頼む。5社、6社へ同時に頼むと、20戸から40戸程度では辞退が増えます。
- 型。見積もりの一行目が、補助、外部役員、外部管理者、管理会社が管理者、のどれと一致しているか。
- 監事。管理者の候補と同じ会社に属していないか。同じ会社の別の社員では、報告の相手が組織の中に残ります。
- 印鑑。通帳の印鑑を誰が持つかが行になっているか。管理会社が管理者のときは、印鑑をその会社が持たない形にします。
- 報酬。管理者の報酬と、管理委託費が別の列か。委託費は事務管理、管理員、清掃、建物・設備です。報酬を委託費に混ぜると、委託費だけが上がったように見えます。
- 報告。総会への回数と、発注先、口座名義、印鑑の保管者が、契約の行になっているか。
「第三者管理一式」の一行は、この五つが見えません。空欄はゼロ円と書かず、出し直してもらってから合計を並べます。任意の追加業務は別紙です。
利益相反を、議案の行にする
管理会社が管理者を兼ねると、工事の発注を自分の側に寄せる余地ができます。区分所有法第28条は管理者の権利義務を委任に委ね、民法第644条は受任者に善良な管理者の注意を求めます。注意義務の条文があることと、発注先が自動的に分かれることは別です。
役員が組合と取引するときの開示は、標準管理規約第37条の2が理事会での開示と承認として定めています。これは役員の条項です。管理会社が役員ではなく管理者そのものであるときは、第37条の2だけでは足りません。
- 印鑑。通帳の印鑑を、管理者の会社が持たない形にします。
- 監事。別の会社、または区分所有者から置きます。
- 工事。大規模修繕を、随意でその会社へ発注する条項は外します。外したあとの見積もりで、もう一度合計します。
候補の欠格は、標準管理規約第36条の2を使う組合では、破産者で復権を得ない者、一定の刑、暴力団員等に該当しないことを確認事項にします。確認は口頭ではなく、議案の添付にします。
見積もりと総会の順番
依頼書には、採用したい型、報告の回数、印鑑の保管者、監事を別に置くことを書きます。この紙を2〜3社に同じ文面で渡します。戻った見積もりの型が依頼と違うものは、本提案の列に入れず、別案として返します。
- 区分所有法第35条の通知は、少なくとも一週間前です。規約で短くはできません。
- 標準管理規約第43条を使っている組合は、少なくとも二週間前です。
- 規約でさらに長くしているときは、その期間です。
- 通知には、規約の新旧、選任する人または会社、報酬、解任の手続、比較表を付けます。
- 採決は規約変更が先、選任があとです。
いまの管理委託契約を終えるときは、その契約の解約の予告期間を別に見ます。標準モデルは少なくとも三月前の書面ですが、適用されるのは手元の契約です。委託の終了日と、管理者の任期の終了日は別です。委託が終わっても、管理者の地位は第25条と規約の解任で別に決議します。
助成は、第三者管理の報酬そのものに全国共通のメニューがありません。管理計画認定など、自治体の当該年度の要領があるかは公式サイトで確認します。要領にない事業名で、報酬が補助される前提の比較表は作りません。
契約の終了を打診されたときに先に見る条項
管理会社から契約の終了を打診されたときは、先に次を確認してください。第三者管理へ移る話と、いまの委託を終える話は、議案を分けます。
- いまの管理委託契約書にある、解約の予告期間
- 総会で決議するときの、管理規約の条項
見積もりを頼む前に、組合側で揃えるもの
型が決まっていても、規約の条文と決算が渡らなければ、各社は想像で報酬を置きます。名簿の全件は、この段階では渡しません。
- 管理規約と使用細則
- 直近の決算
- 長期修繕計画
- いまの担い手の一覧。会計を誰がしているか、点検の契約相手は誰か、鍵を誰が持っているか
理事の任期と、欠員の有無も書きます。標準管理規約第36条第3項は、任期の満了または辞任で退任する役員が、後任が就任するまで職務を行う、と定めています。この条項は役員の空白を埋めるもので、外部の管理者を自動的に就任させる条項ではありません。見積もりの開始日を、いまの理事の任期満了の日と重ねるときは、その日までに総会が終わるかを日程表に書きます。
図面がないことは、ない、と依頼書に書きます。ある前提の報酬と、図面の確認から始める報酬は、同じ型でも作業が違います。確認の作業は別行にし、管理者の月額報酬には混ぜません。
採決のあと、契約に残す行
可決した内容を、契約と議事録の両方に写します。片方にしかない行は、次の総会で説明できません。
- 型、選任した人または会社、報酬
- 報告の回数、印鑑の保管者、監事の属しない会社、解任の手続
契約のあと、適正化法第73条の書面を渡します。
- 管理者等が別にいるときは、相手は管理者等です。標準管理規約第38条第2項で理事長が管理者の組合では、相手は理事長です。
- 管理会社自身が管理者であるとき、または管理者等がいないときは、相手は区分所有者等の全員です。
- 相手を取り違えた交付は、交付したことになりません。
委託の四列(事務管理、管理員、清掃、建物・設備)と、管理者報酬の行が、書面の中で分かれているかを見ます。分かれていなければ、開始の前に分けた書面へ差し替えます。差し替えで業務範囲が変わるときは、総会の議案の要領と一致するかを確認し、一致しなければ次回の総会へ回します。
居住者への説明で、混ぜないこと
総会の資料の一行目は、採用する型の名前です。「管理が楽になる」だけでは、理事会が残るのか、理事長が管理者でなくなるのかが伝わりません。外部の管理者を置いても、区分所有者の集会と、管理費の負担は残ります。第3条の団体がなくなるわけではありません。
- 残る仕事として、総会への出席、監事を誰が引き受けるか、大規模修繕の発注を誰が見るかを書きます。
- 報酬の月額は、委託費の値上げとは別の行です。いまの委託費に報酬を足した合計と、足す前の合計を、二段で出します。
- 上がった理由が報酬の新設なら、その旨を表の注記に書きます。
説明会の質疑で出た「印鑑は誰が持つか」は、口頭の回答のままにせず、契約の行に写してから採決します。
- 写せない回答は、採決の前に空欄として資料へ残します。保管者は、開始の前に一人に決めます。
- 決めた保管者が管理者の会社の社員である案は、ガイドラインの分け方と違うので、別の保管者を置いた見積もりを出し直してもらいます。
- 候補の会社から「理事長印を預かります」という追記が来たら、その追記は新しい見積もりとして扱います。
- 追記を入れるなら、比較表を直し、直した要領が第35条の通知期間を満たすかを確認します。満たさなければ、その追記は次回の議案にします。
- 次回に回した追記は、比較表の注記に「未採決」と残します。覚書が業務範囲や印鑑の保管を変えるときは、その覚書自体を総会の議案にします。
よくある質問
Q. 普通決議だけで、第三者管理に移れますか。
A. 管理者の選任は、別段の定めがなければ普通決議です。理事会をなくすことや、役員を組合員以外から選ぶことは、規約の変更であり第31条の特別決議です。
Q. 管理会社に管理者も委託もまとめて頼んでよいか。
A. 頼めます。標準管理規約はこの方式を想定していません。報酬と委託費を分け、印鑑と監事をその会社から分け、ガイドラインの第3章を議案の添付にします。
Q. 第三者管理と、管理組合法人は同じですか。
A. 別です。第三者管理は、管理者を誰にするかの選び方です。管理組合法人は、第3条の団体が区分所有法第47条の決議と登記で法人格を持ったものです。
Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. 管理規約の役員と管理者の条項、いまの管理委託契約書です。規約に別段の定めがあるときは、その定めに従ってください。
まとめ
- 第三者管理は、型を決めてから会社を比べます。管理組合法人の設立とは別の手続です。
- 標準の規約は理事を組合員から選び、理事長を管理者とします。
- 組合員以外の役員や、理事会を置かない運営は規約変更で、第31条の特別決議です。
- 管理者の選任そのものは、別段の定めがなければ普通決議です。
- 比較は同じ型の2〜3社で、監事、印鑑、報酬と委託費の分離、報告の項目を見ます。
- 管理会社が管理者になる方式は、ガイドライン第3章の留意点を外さずに議案へ書きます。
免責事項本記事は2026年9月時点の法令と標準管理規約に基づく一般的な説明であり、個別の規約解釈や報酬の算定ではありません。決議は管理規約、印鑑の保管はガイドラインと施行規則、助成は当該年度の要領で確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

