マンション管理会社の比較は何社が正解?2〜3社に絞るべき理由と失敗しない手順【専門家解説】

並んだ2棟のマンション

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目次

比較は、2〜3社に揃えてから始める

管理会社を何社と比べるかは、多いほど正確、ではありません。20戸から40戸程度のマンションでは、見積もりの作成に現地の確認と、清掃や点検の外注見積もりが要ります。

  • 同時に5社、6社へ頼むと、受注の見込みが薄いと判断され、提案が辞退されます。
  • 辞退したあとに残るのは、比較の材料が少ない状態です。
  • 同じ依頼書で2〜3社に絞るのは、社数の儀式ではなく、提案が返ってくる条件を先に作るためです。

この記事では、社数ごとの違い、依頼書に書く仕様、価格以外に見る項目、総会までの日程を整理します。委託費の円の相場は書きません。相場の代わりに、同じ仕様の内訳を並べます。

※本記事は株式会社MIJによる情報提供であり、自社サービスの紹介を含みます。解約の予告と決議は、手元の契約書と管理規約に従ってください。

1社、2〜3社、5社以上で何が変わるか

社数で変わるのは、提案の通数そのものではなく、同じ仕様で並べられるかどうかです。

見積もりを頼む社数ごとの違い
  • 1社。理事会の手間は最小です。その金額が、同じ仕様の他社と比べて高いか安いかは、資料の中では決まりません。安さの理由が、清掃回数を落としていることかもしれません。1社の見積もりは参考の下書きにして、同じ仕様のもう1社か2社を足します。
  • 2〜3社。各社が依頼書どおりの範囲で提案し、理事会が四つの列を読み比べられる数です。仕様を固定するのが条件です。仕様が各社ばらばらだと、2社でも比較になりません。
  • 5社以上。理論上は提案が増えます。実務では、現地と外注の手間に対して受注の見込みが下がり、辞退が増えます。辞退は表に「不参加」と書き、ゼロ円の見積もりとは扱いません。不参加を埋めるためにさらに社を足すと、残った社の見込みも下がります。先に足すのは社数ではなく、足りない書類です。

依頼書に固定する仕様

公平な比較の単位は、会社の知名度ではなく、依頼書です。標準管理委託契約書(令和5年9月11日改定)の別表は、委託料を四つの業務に分けます。依頼書も、この四列で「何を、どの回数で頼むか」を書きます。

依頼書で固定する四つの仕様
  • 事務管理。会計、収支の報告、総会と理事会の回数、未収金の督促の範囲。
  • 管理員。日勤か巡回か、曜日と時間。変えたい案は、本提案とは別紙です。
  • 清掃。日常と定期の回数、作業する場所。
  • 建物・設備。エレベーター、消防設備など、点検の対象。外注の契約相手が管理組合か管理会社かも書きます。
  • 「一式」の一行は、この四列のどれが抜けているかが見えません。抜けた列は空欄のまま比較表に残します。空欄はゼロ円と書きません。
  • 各社が勧める追加業務は、任意提案として別紙です。任意提案を本提案の合計に足した額で順位を付けません。足したあとの合計は、もう一段にします。

価格の隣に置く、五つの確認

合計が一番低い社を、その場で内定しません。低い理由が、列の抜けであることがあるからです。価格の隣に、次の五つを置きます。

価格以外に確認する五つの項目
  • 範囲。四列が、依頼書と同じ範囲か。勤務日数と清掃回数を落とした案は別行か。
  • 説明者。重要事項を説明する人が、管理業務主任者か。適正化法第72条の説明は、管理業務主任者が行い、主任者証を提示します。
  • 緊急時。連絡が、契約書の行になっているか。口頭の「24時間対応」は、契約の条項になってから比較します。
  • 基幹事務。会計の出納と、修繕の調整を誰が行うか。適正化法第74条は、基幹事務をまとめて他人に委託することを禁じています。基幹事務は、会計の収入と支出の調定と出納、および専有部分を除く維持または修繕の企画や実施の調整です。清掃、消防設備、エレベーターの点検を頼むこと自体は、基幹事務ではありません。
  • 登録。マンション管理業の登録が有効か。登録の有無は、価格の高低とは別の確認です。

フロント担当者の印象は、この五つのあとにメモします。印象だけで、空欄の列を埋めません。面談で聞いた説明が、見積書の行と違うときは、違う行を赤で残し、契約書案のどの条項に書くかを尋ねます。

日程は、予告期間から逆算する

検討から引継ぎまでが半年から一年、と一括で覚える必要はありません。長さは、手元の契約の予告期間で決まります。

解約の予告、説明会、総会の通知期間
  • 標準管理委託契約書のモデルは、少なくとも三月前の書面による解約の申入れです。条番号は改定でずれるので、第何条とは書かずに、手元の契約の見出しを見ます。六月前の契約は、六月です。
  • 終了日の予告が届く日より前に、総会を終えます。
  • 会社を変える契約は、同一条件の更新ではないので、適正化法第72条第1項の説明会が要ります。説明会の一週間前までに、区分所有者等と管理者等へ書面を渡します。
  • 説明会、招集、解約の申入れは、別の日付です。理事会が内定した日に、解約の申入れを出さないでください。総会が否決したときに、予告だけが先に残ります。

総会の通知期間は、次のとおりです。

  • 区分所有法第35条は、少なくとも一週間前です。規約で短くはできません。
  • 標準管理規約第43条を使っている組合は、少なくとも二週間前です。
  • 規約でさらに長くしているときは、その期間です。

決議は、区分所有法第39条が原則です。別段の定めがなければ、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)およびその議決権の各過半数です。

  • 標準管理規約第47条第1項の定足数は、議決権総数の過半数の出席です。
  • 第47条第2項の普通の議事は、出席組合員の議決権の過半数です。この定めがある組合は、その定めに従います。この第47条は、標準管理規約の普通決議の数え方です。
  • 管理委託契約の締結は、標準管理規約第48条第十七号の総会事項です。理事会は候補を比べるまでで、締結は総会です。

比較表の作り方

表の列は社名です。一番下の合計は、二段にします。一段だけだと、範囲が広い社が高く見えます。

比較表の合計を本提案と任意提案で二段にする
  • 本提案。依頼書の四列だけを足した額です。
  • 任意を含む。追加業務を足した額です。この額だけで順位を付けません。
  • 行には、四つの業務列、任意提案、空欄の理由、登録の確認、説明会を誰が行うか、を残します。
  • 辞退した社は列を消さず、「不参加」と日付を残します。
  • 不参加の理由が書類不足なら、書類を足して同じ社へ一度だけ頼み直すかどうかを、理事会のメモに残します。
  • 頼み直した見積もりは、最初の依頼書と条件が同じかを確認してから表に戻します。

助成は、会社の比較そのものには全国共通のメニューがありません。共用部分の工事には、例として東京都のマンション改良工事助成があります。金額と期限は当該年度の要領です。比較表の委託費から、要領を見ていない助成額を引かないでください。

契約の終了を打診されたときに先に見る条項

管理会社から契約の終了を打診されたときは、先に次を確認してください。

  • いまの管理委託契約書にある、解約の予告期間
  • 総会で決議するときの、管理規約の条項
  • 予告の起算日が、書面の到達日か発信日か。その契約の条項で確認します

近い金額のとき、どこで分けるか

二社の本提案の合計が近いときは、円の差で決めません。差が小さいほど、抜けている列の影響が大きくなります。

  • 先に、管理員の勤務日数が同じか、清掃の回数が同じか、点検の対象が同じかを見ます。
  • どれか一つが違えば、その行を揃えた見積もりを出し直してもらってから、もう一度合計します。

揃ったあとに残る差は、事務管理の中身であることが多いです。

  • 総会の回数、理事会議事録の下書き、未収金の督促をどこまで行うか、が行になっていない見積もりは、事務管理の列をさらに分けます。
  • 分けた行が空欄の社は、その業務をしないのか、委託費の中に含まれているのかを、一文で答えさせます。
  • 答えが口頭だけなら、契約書案のどの条項に書くかを指定します。

緊急時の連絡も、金額が近いときの分岐です。

  • 「駆けつけます」と面談で言った社は、到達の目安と、夜間の一次対応が契約の条項にあるかを見ます。
  • 条項がない社の合計が安くても、夜間の対応が別料金なら、別料金を任意提案の列に足してから比べます。
  • 足す前の安さで順位を付けません。

理事会のメモに残すこと

比較の途中経過は、総会の前に理事会のメモへ残します。メモがないと、総会で「なぜこの2社なのか」が担当者の記憶になります。記憶は、次の理事会に引き継げません。

  • 依頼した社名
  • 渡した書類の一覧
  • 辞退の日付と理由
  • 出し直してもらった行

内定は、理事会の比較の結論であって、契約の締結ではありません。メモの最後に、総会へ出す議案が、解約と新規締結の二つであることを書きます。

  • 内定の社名だけが先に居住者へ掲示されると、総会の前に契約が決まったように見えます。
  • 掲示するなら、総会の議案である旨と、比較表を添付する旨まで書きます。

登録の確認は、国土交通省のマンション管理業者の登録の名簿で、商号と登録番号が見積書と一致するかを見ます。

  • 一致しない商号は、グループ会社の見積もりであることがあります。
  • 契約の相手方の商号を、見積書の商号と第73条の書面の商号で揃えます。
  • 揃っていない書面は、総会の添付にしません。

総会に添付する比較の束

総会の添付は、次の束です。見積書の全頁をそのまま綴じると、ページ番号が社ごとに違い、どの行が本提案かが追いにくくなります。全頁は別冊にし、議案の本体は四列の表にします。

  • 依頼書
  • 本提案の四列の表
  • 任意提案の別紙
  • 不参加の社と日付
  • 登録番号の控え
  • 表の注記に、各社へ渡した書類が同じであることを書きます。
  • 図面がなかった社と、あった社が混ざっているときは、なかった社の金額を本提案の列から外し、図面がない条件の別表にします。
  • 条件が違う金額を、同じ順位表に残しません。

決議のあと、議事録に残すのは次です。申入れの書面は、議事録の写しを添付して出します。口頭の内定を、申入れの代わりにしません。

  • 採用した社の商号
  • 本提案の範囲
  • 開始日
  • 解約の申入れを、誰がいつ出すか

新しい契約の第73条の書面が届いたら、議事録の範囲と、書面の管理事務の内容が一致するかを、最初の理事会で照合します。一致しない行は、開始日の前に是正します。

引継ぎで受け取る物は、比較表とは別の一覧にします。

  • 規約の原本、議事録、会計帳簿
  • 設計図書、点検報告書、鍵
  • 通帳と印鑑
  • 一覧にない物が「引継ぎ対応」に含まれているかは、見積もりの行で確認します。含まれていなければ別行で見積もらせ、本提案の合計には、揃ったあとで足します。
  • 前の会社の協力業者が続くかどうかは、その業者との契約の相手が誰かで決まります。続くことを、安い見積もりの前提に書きません。

インターネット上の「3社から5社」という目安は、依頼書の有無を区別していません。

  • 依頼書がなく5社に頼むと、各社が想像した範囲の見積もりが五通届きます。届いた通数は多くても、並べられる列がありません。
  • 2社でも、四列が同じなら比較は成立します。社数の目標を先に置くのではなく、同じ依頼書が2通以上戻ったかを先に数えます。
  • 戻ったのが1通なら、その1通を下書きにして、同じ依頼書をもう1社へ出します。下書きの社へは、もう1社へ出したことを伝え、条件を変えた再見積もりを本提案に混ぜないようにします。

比較表を総会の直前に差し替えるときは、招集通知に書いた議案の要領と、差し替えた表の範囲が同じかを確認します。

  • 範囲が変わる差し替えは、新しい要領の通知が区分所有法第35条の期間を満たすかを見ます。
  • 期間を満たさない差し替えは、次回へ回します。
  • 当日配布だけで範囲を変えた表は、決議の添付にしません。

よくある質問

Q. 3社のうち1社が辞退しました。4社目を足しますか。
A. 先に、辞退の理由が書類か仕様かを見ます。2社の仕様が揃っていれば、2社の比較を続けられます。揃っていなければ、社を足す前に依頼書を直します。

Q. いちばん安い社で決めてよいか。
A. 四列が依頼書と同じ範囲かを先に見ます。回数を落とした案の合計は、回数を維持した案と並べません。

Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. いまの管理委託契約書の解約の条項と、管理規約の決議の条項です。規約に別段の定めがあるときは、その定めに従ってください。

まとめ

比較の社数は、同じ依頼書で2〜3社です。

  • 1社では範囲の妥当性が分からず、5社以上は辞退が増えます。
  • 見積もりは事務管理、管理員、清掃、建物・設備の四列に分け、一式と空欄をゼロ円にしません。
  • 価格の隣に、範囲、管理業務主任者による説明、緊急時の条項、基幹事務の担当、登録を置きます。清掃や点検の外注は、基幹事務そのものではありません。
  • 日程は手元の契約の予告期間から逆算し、申入れは総会の決議のあとです。通知は第35条の一週間、標準管理規約第43条を使う組合は二週間です。

免責事項本記事は2026年9月時点の法令と標準契約のモデルに基づく一般的な説明です。予告期間は個別の契約、決議は管理規約、助成は当該年度の要領で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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