マンション管理組合の帳簿保管|業者の第75条と組合側の規約・実務

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マンション管理適正化法第75条は、マンション管理業者が、管理組合から委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより帳簿を作成し、これを保存しなければならない、と定めます。これは業者の義務です。管理組合の保管年数を、確認できないまま「10年」や「永久」と法律が定めている、という書き方はしません。

  • 業者。第75条の帳簿、第76条の分別管理、第77条の定期の事務報告です。
  • 組合。規約(法第33条)、総会議事録(法第42条)、会計帳簿等(標準管理規約第64条)、契約書、名簿、設計図書です。
  • 議事録。規約第49条は議長と指名した出席組合員2人の署名です。法律第42条は紙なら議長と出席した区分所有者2人です。
  • デジタル。電磁的記録は認められます。閲覧は内容を表示して見せる体制です。紙を破棄してデータだけにするかは、規約と総会の方針です。
目次

帳簿保管|業者の帳簿と組合が残す書類は別

この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

区分所有法と標準管理規約の保管

区分所有法第33条は、規約の保管と閲覧です。管理者が保管し、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除き閲覧を拒めません。保管場所は建物内の見やすい場所に掲示します。ここに「永久」の年数はありません。

  • 第42条。集会の議事録です。保管・閲覧は第33条を準用します。年数の明文はありません。
  • 第64条。理事長が会計帳簿、什器備品台帳その他の帳票類を作成して保管し、組合員または利害関係人の請求で閲覧させます。第2項で長期修繕計画書、設計図書、修繕履歴も保管します。
  • 会計。管理費と積立金は規約第28条第4項で区分経理します。令和5年度調査で区分経理は90.1%です。通帳と印鑑を同じ人が持たないことが原則です。
  • 名簿。非法人は規約第31条の2です。法人の財産目録等は法第48条の2です。第31条の3は国内管理人の届出の規約で、法律としては引きません。

個人情報取扱事業者に該当する管理組合は、名簿の取扱いをそのルールで見ます。該当するかどうかを、この記事では断定しません。管理会社へ名簿を渡すときは、利用目的を書面に残します。監事は規約第41条で業務と財産を監査し総会に報告します。保管場所の一覧を監査の対象に含めます。

組合は議事録と決算と契約を残す 適正化法第75条は業者の帳簿

第72条・第73条の書面も契約ファイルへ

新しい管理受託契約の説明は第72条、成立後の書面は第73条です。受け取った書面は、組合の契約ファイルへ入れ、保管場所を一覧に書きます。

分別管理と定期報告の受領を残す
  • 第72条。新規は説明会、1週間前までの書面、主任者証、主任者の記名です。押印はこの条の文言にありません。同一条件の更新は書面交付で足りることがあります。
  • 第73条。成立後の書面は管理者等へ渡します。業者が管理者、または管理者がいないときは区分所有者全員へです。
  • 第74条。基幹事務の一括再委託を禁じます。清掃、消防、エレベーター点検は基幹事務そのものではありません。
  • 第76条。財産の分別管理です。保証には上限があります。口座は、収納後に組合保管へ移す型、積立金は組合へ直接の型、組合名義の一口座の型、のどれかです。

管理費の全国平均17,103円(駐車場等を含む)は、保管義務の罰則額ではありません。委託費の相場でもありません。標準管理規約第48条第17号の委託契約の締結は総会です。普通決議は第47条です。別段が無ければ区分所有法第39条です。法第47条は管理組合法人の設立であり、混同しません。

デジタル化と招集の記録

規約や議事録の電磁的記録は認められます。区分所有法は、電磁的記録のとき法務省令の方法で内容を表示して閲覧させる枠です。メール送付だけで足りるかは、個別の承諾と条文の要件です。

デジタル化でも方針を総会で決める
  • 掲示。第33条第3項の保管場所の掲示と、クラウドのフォルダ名は両方を一覧に書きます。
  • 招集。第34条は管理者が少なくとも毎年1回集会を招集します。規約第43条は総会通知を2週間前とします。第37条は通知した事項のみ決議できます。
  • 役員。規約第35条で理事・監事を総会で選任します。理事長は第38条第2項で区分所有法の管理者です。
  • 保険。第18条第6項は共用部分の損害保険契約を管理とみなします。規約第24条の2は請求と受領を理事長が代理します。証券も契約ファイルへ入れます。

区分所有法第3条の団体は、帳簿の所在が分からなくても当然に存在します。第36条の全員同意で手続を省略するときは、同意の書面を残します。国内管理人は法第6条の2です。所在等不明者を決議から除く第38条の2の裁判は、保管の空白を埋める自動の除外ではありません。

長期修繕計画は30年以上で大規模修繕2回以上を含む、がガイドラインの型です。見直しは5年程度です。計画書の保管場所を、竣工図書と同じ一覧に書きます。作成費用の国の単価はありません。鉄部塗装の記載例は5〜7年、外壁や屋上防水などの大規模修繕は12〜15年です。義務ではありません。

引継ぎと、保管場所の一覧

管理会社を変えるとき、業者側の第75条の帳簿のどこまでを渡すかは契約書です。組合が受け取った報告書・議事録・規約は、組合側の一覧で残します。同じ仕様で2〜3社の見積もりは、四業務の行で出します。一式は空欄です。現地確認の回数は、各社の見積条件で確認します。会社変更や帳簿保管への全国共通の補助金はありません。

保管場所の一覧を毎年更新
  • 引継ぎ一覧。規約、議事録、名簿、未収、点検報告、鍵、保険、進行中の工事、長期修繕計画、設計図書です。
  • 解約。標準管理委託契約書のモデルは少なくとも三月前の書面です。条番号は手元の契約書で確認します。結んでいる契約が先です。
  • 法人税法。原則7年・欠損金10年を、管理組合の法律上の保管義務だとは扱いません。規約と契約で確認します。収益事業がある組合は税の案内を別に見ます。
  • 過料。法第91条は、規約・議事録の保管をしなかったときなどに20万円以下の過料があり得ます。日常の「何年で捨てたか」の目安表ではありません。

東京の管理状況届出は、昭和58年12月31日以前新築で居住用独立部分6以上の管理組合です。届出の控えも保管します。管理計画認定は5年ごとに更新します。条番号は手元の契約書で確認します。認定の写しを会社の順位表としては使いません。融資の年0.2%引下げは共用部分リフォーム融資の話です。

保管場所の一覧は、毎年1回の通常総会の前に更新します。次の理事が開いたときに、空欄の項目が一目で分かる表にします。パスワードだけが口頭で渡り、フォルダの場所が空欄、という状態を避けます。廃棄するときは、対象と年限を細則または総会で決め、監事の確認日を残します。

自主管理でも、議事録と会計は規約に沿って残します。第75条は業者の義務です。自主管理の組合が業者ではないとき、第75条の帳簿義務をそのまま書き写しません。委託を再開するときは第72条です。一部委託でも、管理受託に当たれば説明が要ります。規約第33条は全部または一部の委託を置けます。

説明会や総会の会場費、資料のコピーを管理費のどの号から出すかは、規約第27条の使途を見て総会資料に行を分けます。第28条の積立金の取崩し事由に、保管箱の購入を載せるかは議案で明示します。建替えの第62条の5分の4を、文書管理の議案には使いません。

戸数規模別の管理費(駐車場等を含む)は、20戸以下22,131円、21〜30戸19,538円、31〜50戸17,147円です。保管義務の根拠には使いません。段階増額の目安は、初期額が均等額の0.6倍以上、最終額が1.1倍以内です。円毎平方メートルのベンチマークは使いません。

長寿命化税制は令和5年4月1日から令和9年3月31日完了分で、翌年度の建物固定資産税のみです。帳簿の穴埋めではありません。都市計画税は減額なし、100平方メートル上限、完了後3か月以内の申告です。地震保険の割引は最も高い一つだけです。参考純率の全国平均プラス13.0%は保険料そのものではありません。

理事会のファイルには、招集通知、出席簿、議事録、通帳の写し、印鑑の保管者、鍵の本数、委託契約、第72条の書面、点検報告を一冊に綴じます。フロントの予定者と営業の担当が違うときは、両方の氏名を議事録に残します。担当物件数の公式上限はありません。

第43条第8項は、緊急のとき1週間を下回らない範囲で通知期間を短縮できます。1週間を割る短縮はこの項の外です。再生等の2か月前は、保管方針の一般議案には使いません。第44条の5分の1の請求で臨時総会を開くときは、2週間以内に、請求から4週間以内の日を会日とする通知です。保管場所が不明であることを、この期限を延ばす理由にはしません。

第26条の特定承継人への請求は管理費等です。部屋が売れたとき、次の区分所有者へ次の総会の通知を出します。第6条第2項の使用請求は、書類庫への立入りとは別です。実力で入る権利ではありません。標準管理規約第23条の立入り請求と分けて見ます。

コメント第64条関係は、領収書、請求書、管理委託契約書、修繕工事請負契約書、駐車場使用契約書、保険証券なども帳票類の例とします。年数はコメントにも固定していません。自組合の文書管理細則で、種類ごとの年限の表を作り、総会または理事会の決議で採択します。細則が規約の変更に当たるときは、区分所有法第31条の定数です。

管理計画認定も管理適正評価も、会社の順位表ではありません。認定申請に議事録や計画書が要ることはあっても、保管年数の法律ではありません。新宿区の認定手続支援は名前だけ出し、金額は見積書で確認します。年度の要綱が先です。東京都のマンション改良工事助成も工事の例であり、申請者は管理組合です。帳簿の段ボール代への全国共通の補助ではありません。

標準管理規約第32条の業務に、長期修繕計画書の管理、設計図書の管理、修繕履歴の整理があります。第64条第2項と対応します。第27条の管理費の使途に、保管箱やスキャナの購入を載せるかは、総会の資料に行を分けます。当たない飲食は出しません。

よくある質問

Q. 組合は法律で何年保管ですか。
A. 第75条は業者の帳簿です。組合の保管年数を、未確認のまま「10年・永久」とは扱いません。規約で確認します。法第33条・第42条、規約第64条に年数の明文はありません。規約と総会の方針を見ます。

Q. データだけにできますか。
A. 電磁的記録は認められます。閲覧は表示して見せる体制です。署名のある紙を破棄するかは、方針を総会で確認します。

Q. 自主管理でも第75条ですか。
A. 第75条はマンション管理業者の義務です。自主管理の組合は、議事録と会計を規約に沿って残します。

Q. 帳簿の補助金はありますか。
A. 全国共通の額はありません。

Q. 管理会社を変えると帳簿は消えますか。
A. 業者の帳簿は業者の義務です。組合が受け取った報告書と議事録は、組合側の一覧で残します。引継ぎの対象にします。

保管場所の一覧の右上に更新日を書き、次の理事長へ口頭だけでは渡しません。クラウドの共有リンクだけが残って、建物内の掲示が空欄、という食い違いも毎年の総会前に直します。利害関係人から閲覧請求があったときの受付簿(請求日、氏名、対象書類、閲覧日)も、同じ一覧の隣に置きます。

まとめ

  • 第75条はマンション管理業者の帳簿です。年数の数字は、規約と根拠法令で確認してから使います。
  • 組合は法第33条・第42条、規約第64条で規約・議事録・帳票を残します。年数の明文はありません。
  • 第76条の分別と第77条の報告の受領を分けて保管します。
  • 未確認の「10年・永久」を法律義務としては扱いません。
  • デジタル化は閲覧の表示体制と掲示を残し、保管場所の一覧を毎年更新します。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。保管の年数と範囲は、その管理規約、細則、契約書、関係法令で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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