マンション配管の水漏れ責任は誰?費用負担や調査フローを最新法令で徹底解説

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マンションの配管から水が漏れたとき、修理代と階下の被害は、漏れた管が誰の管理かに沿って分かれます。標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)を使っている組合では、境界の出発点は別表第2です。給水管は、本管から各住戸のメーターを含む部分が共用部分の附属物です。雑排水管と汚水管は、配管継手と立て管が共用部分です。メーターより先の給水管と、立て管へつなぐまでの枝管は、この別表では共用部分に入っていません。

この記事は、2026年9月時点のその境界、漏れた日の手順、費用の置き場所を整理します。標準管理規約は雛形です。自組合の別表がこれと違うときは、その別表です。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の賠償は、規約、賃貸借契約、保険約款と、調査結果によります。

目次

配管の水漏れ責任|別表第2で共用と専有の境界を見る

共用部分の管理は、標準管理規約第21条第1項で、管理組合の責任と負担です。専有部分の枝管は、原則としてその住戸の区分所有者です。住戸の中を通っていても、別表が共用とする立て管や、給水のメーターまでは、管理組合の側です。室内だからすべて専有、パイプスペースだからすべて共用、とは分けません。

第21条第2項は、別の仕組みです。専有部分の設備のうち、共用部分と構造上一体になった部分の保存や、専有部分の性質を変えない範囲の利用・改良を、共用部分の管理と一体で行う必要があるとき、総会の決議を経て、管理組合が行うことができます。この条は、専有の枝管を規約共用部分に変える条項ではありません。工事の主体を組合にできる、という決議です。コメントでは、配管の取替えのうち専有部分に係る費用は、各区分所有者が実費で負担します。清掃のような保守は、第27条第三号の共用設備の保守維持費として管理費から出せます。取替えの実費と、清掃の管理費を、同じ請求にしません。

共用の配管と専有の配管を同時に替えると、別々にやるより費用が下がることがあります。その一体工事を修繕積立金から出すには、長期修繕計画に専有部分の取替えを書き、積立金から拠出することを規約に定める必要があります。規約にその定めが無いのに、専有の枝管の取替えを積立金から払いません。先に工事をした区分所有者への補償をどうするかも、同じ決議の中で書きます。

給水管はメーターまで、排水の立て管は共用部分

漏れた日に残すもの

最初に、元栓を閉め、濡れたコンセントは抜き、被害の写真と動画を撮ります。止水した時刻、水が落ちている位置、上の階の部屋番号を、同じメモに残します。管理会社と理事長へは、そのメモを添えて連絡します。賃貸の住戸なら、貸主とその管理の受託先にも同時に連絡します。組合への連絡と、貸主への連絡は、相手が違います。

漏水の日に残す止水、記録、連絡

原因の調査で、他の住戸へ入ることがあります。標準管理規約第23条は、その前の条の管理に必要な立入りです。コメントが挙げる例が、専有部分の配管からの漏水で、共用部分に被害が出ている場合です。請求された人は、正当な理由がなければ拒否できません。拒否した人は、その結果の損害を賠償します。災害や、放置すれば他の住戸や共用部分に重大な影響が出るおそれがあるときは、理事長が立ち入ることができます。漏水の立入りは、この第23条の請求と、正当な理由のない拒否の効果に従います。入れなかった部屋は、未実施と部屋番号を残します。

調査を誰が手配するかは、漏れた管が共用の可能性があるあいだは、管理組合が窓口になることが多いです。調査費の最終の負担者は、原因の管の帰属と、規約の費用の条項です。共用と分かれば組合、専有の枝管と分かればその区分所有者、という分け方が、別表第2に沿った出発点です。原因が決まる前に、調査費を被害を受けた階の住人へ請求しません。

修理代と、階下の損害は別です

管を直す費用と、階下の内装や家財の損害は、別の請求です。管の修理は、上の境界(共用なら組合、専有の枝管ならその区分所有者、一体工事で規約に定めがあれば積立金)です。階下の損害は、過失や、建物の設置・保存の瑕疵があるときに問題になります。

配管の修理代と階下の損害賠償は別の請求

洗濯機のホースが外れた、栓を閉め忘れた、といった居住者の行為は、民法第709条の不法行為が問題になる類型です。配管の老朽化とは、原因の書き方が違います。写真と、外れた部品を残します。

建物の設置または保存に瑕疵があって他人に損害が出たときは、区分所有法第9条により、その瑕疵は共用部分の設置または保存にあるものと推定されます。推定なので、専有部分の枝管が原因だと調査で示せれば、推定は揺れます。調査を拒否されたことだけで、共用と決まるわけではありません。第23条の立入りを拒んだ結果の損害は、第23条第3項の賠償の問題として別に残します。

民法第717条は、土地の工作物の設置または保存の瑕疵で他人に損害が出たとき、占有者が賠償し、占有者が損害を防ぐ注意をしていれば所有者が賠償する、という構造です。マンションの共用配管について、誰がこの占有者に当たるかは、事案で分かれます。標準管理規約第21条第1項が、共用部分の管理の責任と負担を管理組合に置いていることと、第717条の占有者を、同じ言葉としては使いません。保険の請求と、組合の負担は、約款と規約で別々に見ます。

配管は更生工事か取替えか

管内を研磨して被覆する工事は更生(ライニング)です。管を新しいものに取り替える工事は更新です。管を被覆する更生(ライニング)工法は、更新とは別です。壁や床を開けずに済むかは、管の経路と劣化の程度によります。劣化が進んで更生が使えない管は、更新になります。どちらが安いかは、診断のあとです。金額の差は、診断後の見積もりで確認します。

配管の更生はライニングで、取替えとは別の工事

専有部分の枝管を、共用の立て管の工事に含めるときは、第21条第2項の総会決議と、誰が実費を負担するかの記載が先です。記載が無い見積もりの合計を、組合の工事費として承認しません。見積もりは、共用の立て管、専有の枝管、住戸内の復旧、調査費、の四行に分けます。一式の行は空欄のまま比較し、金額が無い行を0円として合計しません。

保険は約款の行を見る

個人賠償責任保険は、加害側になったときの相手の損害を見る約款が多いです。自室の配管そのものの修理費が対象外、と書いてある約款があります。火災保険の水濡れは、被害を受けた側の家財や内装を見る約款が多いです。経年劣化を免責にしている約款も多いです。どちらも、加入している証券の免責欄が優先します。組合の共用部分の保険は、個人の火災保険とは別契約です。個人の証券だけを見て、立て管の修理が下りると判断しません。

個人の保険と組合の保険は約款が別

請求の前に揃えるのは、被害の写真、止水した時刻、調査報告書の原因の管の名前(給水のメーターより先か、立て管か)、別表第2の写し、第21条第2項の決議の有無、個人と組合の証券、です。原因の管の名前が空欄の報告書では、保険も負担も分けられません。原因の管が空欄のまま、表紙へ「共用部分の推定」とは書き込みません。推定は第9条の効果であって、調査欄の代用ではありません。

漏水調査の報告書に残す4項目

調査を頼む依頼書には、四行を先に書きます。疑っている管の名前、立入りが必要な部屋番号、調査費の仮払いを組合の予算のどの科目から出すか、原因が専有と分かったときの振り替え先、です。仮払いは、最終の負担が決まるまでの立替です。立替のまま決算を閉じると、次の理事が共用の修繕として固定してしまいます。原因が決まった月に、科目を振り替えます。

賃貸の住戸で漏れたときは、区分所有者と賃借人のどちらが修理を手配するかは、賃貸借契約です。管理規約の別表は、組合と区分所有者の境界であって、賃借人との境界ではありません。賃借人の過失(ホースの外れなど)は、賃貸借契約と民法第709条の側です。貸主が直したあと、賃借人へ求償できるかは、その契約と過失の記録によります。組合は、共用と分かった範囲だけを負担します。

再発を、次の計画に残す

同じ立て管で再び漏れたときは、単発の補修で閉じません。位置、管種、工法(更生か更新か)、負担した科目を、長期修繕計画の見直しの材料にします。見直しの目安は、計画のガイドラインがいう5年程度と、再発した年の、早い方です。専有の枝管を次の一体工事に含めるかは、第21条第2項の決議と、実費の記載ができた組合だけです。記載ができないまま、見積もりの合計へ枝管を混ぜません。

総会の議案には、原因の管、負担する科目、一体工事にするなら専有分の実費の取り方、を書きます。修理費の金額は、診断のあとにもらった四行の見積もりだけを使います。

天井の染みだけでは、階を決めません。落ちてくる水は、直上の専有の枝管、その階の立て管、さらに上の系統、のどれでもあり得ます。調査が、給水ならメーターの位置、排水なら継手と立て管の系統を図に書くまで、請求先の部屋番号は確定しません。雑排水と汚水は、別表第2ではどちらも継手と立て管が共用です。系統は別なので、見積もりと報告書の行は分けます。

被害を受けた区分所有者への説明は、二つです。第9条の推定は、反証ができること。調査が終わるまで、修理費の宛名は決めないこと。推定を「組合が全額を払う」と説明すると、原因が専有と分かったあとの振り替えが通りにくくなります。議事録には、仮払いの科目、立入りを求めた部屋、拒否の有無、次の調査日を残します。金額は見積書を添付して示し、議事録本文へ相場の数字は書き込みません。

第9条が推定するのは、他人に損害が出たときの瑕疵の場所です。管そのものを取り替える費用の帰属は、別表第2と第21条です。損害がまだ無い段階の取替えを、第9条だけを根拠に組合の負担とはしません。被害住戸の天井を開けて立て管を確認する調査は、共用部分の調査として組合が手配します。開けた箇所を戻すのは、第23条第5項の原状回復です。原因が専有の枝管と分かったとき、この調査と復旧を誰へ振り替えるかは、依頼書に書いておきます。

共用部分の応急の止水は、緊急時の保存として理事長が行うことがあります。標準管理規約第21条は、災害などの緊急時に、総会や理事会の決議を待たずに必要な保存ができる、と置いています。専有の枝管を本工事へ含めること自体は、金額の大小にかかわらず第21条第2項の総会決議です。応急で開けた天井の写真は、復旧の前に撮って、保険の請求ファイルへ足します。復旧のあとでは、開けた範囲が分かりません。

見積もりを2〜3社へ頼むときは、四行(立て管、枝管、住戸内の復旧、調査)を先に固定します。一方は立て管だけ、他方は枝管の更生も含む、では合計を比べられません。5社、6社へ同時に頼むと、20戸から40戸程度では辞退が増えます。辞退は不参加と日付を残します。

よくある質問

Q. 原因が特定できないときは、組合の負担ですか。
A. 区分所有法第9条は、建物の設置または保存の瑕疵による損害について、瑕疵が共用部分にあると推定します。調査で専有の枝管が原因と分かれば、その推定は使えません。推定を、調査費の請求書の宛名には使いません。

Q. 上の階と連絡が取れません。
A. 理事長は、標準管理規約第23条の要件を満たすときに、専有部分へ立ち入ることができます。緊急の立入りのあと、立ち入った箇所は原状に復します。連絡が取れないことだけで、修理費をその階の住人へ確定しません。

Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. 管理規約の別表第2、第21条と第23条、漏水の写真と調査報告書、個人と組合の保険証券、です。

まとめ

標準管理規約の別表第2では、給水管は本管から各住戸メーターまで、雑排水管と汚水管は継手と立て管が共用部分です。メーターより先と、立て管までの枝管は、この別表では共用に入っていません。専有の配管を組合の工事に含めるときは第21条第2項の総会決議と、実費の負担の記載が要ります。他人への損害は、第9条の共用部分の推定と、民法第709条・第717条を、約款と別に見ます。更生は管内の補修、更新は取替えです。

免責事項本記事は2026年9月時点の区分所有法、民法、標準管理規約(令和7年10月17日改正)に基づく一般的な説明です。個別の責任と保険金は、自組合の規約、契約、約款、調査結果によります。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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