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共用部分の損害保険は、管理組合が任意で入る私的なサービスではありません。区分所有法第18条第6項は、共用部分について損害保険契約をすることを、共用部分の管理に関する事項とみなしています。
- 第18条第1項。共用部分の管理は、前条(変更)の場合を除き、集会の決議で決めます。保存行為は、各共有者ができます。保険契約は、この保存行為そのものとしては書かれていません。
- 第18条第2項。規約で別段の定めができます。理事会に任せると書いてある組合は、その定めです。書いていなければ、総会です。
- 数え方。別段の定めがなければ、第39条の普通決議です。出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)およびその議決権の各過半数です。
- 標準管理規約。第47条第1項は議決権総数の過半数の出席、第2項は出席組合員の議決権の過半数です。これは普通決議の数え方であり、区分所有法第47条の管理組合法人の設立ではありません。
契約者の名義は、証券で確認します。管理組合でも契約できます。管理組合法人の設立は、保険の条件ではありません。管理会社が代理店として手続を手伝っても、補償の相手は会社の格付けではありません。
共用部分の形状または効用の著しい変更は、第17条の特別決議です。保険を更新すること、免責を変えること、水災を外すことは、その変更そのものではありません。規約が保険を4分の3と書いていない限り、数え方は普通決議です。4分の3を、保険の更新に使いません。
参考純率は、築年数でも分かれます。築が古いから共用部の更新が必ず13%を超えて上がる、とは言えません。上がる幅は、その商品の見積もりです。水災の5区分は、市区町村のリスクの区分であり、築年数の区分ではありません。
共用部分の保険|加入・更新は管理の決議で決める
敷地や、共用部分以外の附属施設が区分所有者の共有であるときは、第21条により第18条が準用されます。附属施設の保険も、同じ「管理とみなす」の側です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。特定の保険商品の勧誘ではありません。
保険料は管理費。相場の円は置かない
標準管理規約第27条第五号は、共用部分等の火災保険料、地震保険料その他の損害保険料を、管理費に充当する経費としています。修繕積立金の第28条の取り崩し事由ではありません。
- 令和5年度調査の管理費の全国平均(駐車場充当を含む17,103円、除く11,503円)は、保険料の1戸あたりではありません。
- 修繕積立金の月額平均(除く13,054円、含む13,378円)も、保険料ではありません。
- 事故のあとの修理を積立金から出すかは、第28条第二号の不測の修繕に当たるかです。毎年の保険料とは別の支出です。
戸数別の年間保険料は、見積書と証券で確認します。更新の見積もりが、その組合の金額です。免責、水災、地震の有無が違う見積もりを、高い安いで並べません。

13.0%は、住宅総合保険の参考純率の平均

損害保険料率算出機構は、2023年6月21日に火災保険の参考純率の変更を届け出て、同年6月28日に適合の通知を受けています。対象は住宅総合保険です。全国平均で13.0%の引上げです。
- 13.0%は、都道府県、構造、築年数、補償内容をならした平均です。すべての契約が13%上がる数字ではありません。下がる条件もあります。
- 参考純率は、保険料そのものではありません。参考純率を使わない会社は、自社の料率です。各社がいつ改定を反映するかは、その契約です。
- 同じ届出で、水災の料率は全国一律から、地域のリスクに応じた5区分に細分化されています。
- 管理組合の共用部分の契約が、この住宅総合保険と同じ幅で上がるかは、その商品の見積もりで見ます。13.0%を、共用部の更新料にそのまま掛けません。
見直すのは、免責・水災・地震の割引

値上げの通知が来たときに動かす欄は、次の三つです。どれで何円下がるかは、同じ条件の見積もり以外では出ません。
- 免責金額。事故のときに組合が先に負担する額です。免責を上げると、保険会社の支払が減る分、保険料は下がりやすいです。下がる割合の公的な一律はありません。0円を10万円にしたら何%下がる、という表はこの記事には置きません。
- 水災。住宅総合保険では、市区町村のリスクで5区分です。共用部の契約が同じ区分かは、約款と重要事項説明で確認します。水災を外すと、外したあとの水の事故はその契約では出ません。高台だから外す、とは決めません。所在地の水災等地、ハザード、過去の浸水を見て決めます。
- 地震保険の割引。日本損害保険協会の案内では、四つあります。重複しては使えず、割引率の高い一つです。確認資料を出した日以降の期間に適用されます。資料がなければ、性能があっても割引は付きません。
- 免震建築物割引、50%。住宅の品質確保の促進等に関する法律の免震建築物です。住宅性能評価書などが確認資料です。
- 耐震等級割引。構造躯体の倒壊等防止の等級で、等級3は50%、等級2は30%、等級1は10%です。
- 耐震診断割引、10%。地方公共団体などの耐震診断または耐震改修の結果、1981年6月1日施行の改正建築基準法の耐震基準を満たす場合です。
- 建築年割引、10%。1981年6月1日以降に新築された建物です。確認済証や登記で確認します。
共用部分の地震保険に、この四つがそのまま付くかは、その証券と代理店の確認です。個人の住まいの地震保険の割引表を、共用部の見積もりに書き写しません。耐震の助成を受けても、割引の確認資料は別に要ります。保険料そのものに、全国共通の助成はありません。
施設賠償などが、管理会社の保険やエレベーター保守会社の保険と重なっていないかも見ます。重なっているように見えても、支払の相手と限度が違うことがあります。外す前に、証券の目的を並べます。
保険の目的は、規約の別表
窓ガラス、玄関扉、給排水の枝管が共用部分か専有部分かは、その管理組合の規約と別表です。標準管理規約の別表を、自組合の別表の代わりには使いません。証券の「保険の目的」と、別表の境界がずれていると、事故のときにどちらも出ない範囲ができます。
- 共用部分の損害は、組合の契約の目的に入っているか
- 専有部分の室内は、各区分所有者の火災保険の側か
- 個人の地震保険と、組合の地震保険が、同じ箇所を二重に見ているか
見積もりは、同じ補償で2〜3社

保険の見積もりは、免責、水災、地震、保険金額、保険期間を揃えて2〜3社に出します。5社、6社へ同時に出すと、20戸から40戸程度では辞退が増えます。これは実務上の傾向であり、公的な統計ではありません。現地を何回見るかは、各社の条件です。
これは管理委託の見積もりとは別の依頼です。委託費の四つの費目(事務管理、管理員、清掃、建物・設備管理)と、保険料の行を一つの「一式」にしません。保険料の行が空欄の見積もりは、金額をゼロ円としては扱いません。
- 招集は、区分所有法第35条で少なくとも一週間前です。標準管理規約第43条を使う組合は、少なくとも二週間前です。
- 第37条第1項により、通知した事項についてのみ決議できます。保険の更新を、当日の議題には足しません。規約が別段の定めをしていれば、その定めです。
- 規約が理事会に任せているときは、総会の普通決議を重ねては要求しません。任せる範囲が、補償を外すことまで含むかは、その条項を読みます。
保険証券で確認する補償と免責の欄
更新の見積もりを比べる前に、いまの証券から次を書き出します。空欄のまま「一式で安い」とは比べません。
- 契約者。管理組合か、管理者か、管理会社か。会社名だけが契約者になっているときは、補償の相手を確認します。
- 保険の目的。共用部分、附属施設、設備のどこまでか。専有部分の室内が入っていないか。
- 保険金額。再調達の価額で見る契約か、時価で見る契約か。金額の円は、その証券の数字です。
- 免責。事故1件あたりの自己負担。0円か、金額があるか。
- 水災と地震。付いているか、外れているか。地震の割引名と、確認資料の写しがあるか。
- 期間。満期の日。満期の直前に総会を足すと、第35条の一週間、標準規約なら二週間に足りないことがあります。
保険料の負担は、規約に別段の定めがなければ、区分所有法第19条の持分に応じた共用部分の負担です。標準管理規約第25条第2項は、管理費等を共用部分の共有持分に応じて算出する、としています。保険だけを戸数で頭割りにする、とは第19条も第25条も書いていません。
通知の宛先は、第35条第3項では届出の場所、届出がなければ専有部分の所在する場所です。標準管理規約第43条第2項では、届け出た宛先、届出がなければ専有部分の所在地、規約第31条の3の国内管理人の届出があるときはその人です。法律上の国内管理人は第6条の2で、招集の通知を受領する権限を持ちます。第43条第3項では、建物内に住む組合員と届出のない組合員には、掲示で通知に代えることができます。
地震保険の割引資料は、評価書や確認済証の写しです。耐震改修の助成を受けたことと、割引が付くことは同じ手続ではありません。助成の有無と金額は、その自治体の当該年度の要領です。助成の円を、保険料から引きません。
管理委託の重説と、保険の説明は別

適正化法第72条の重要事項説明は、管理委託契約の説明です。共用部保険の説明は、保険募集人が行う重要事項説明です。委託の説明会で保険の割引まで済んだことにはしません。
- 委託を変える決議と、保険を更新する決議は、議案を分けます。規約が両方を理事会に任せていない限り、一つの「お任せ」では通りません。
- 管理会社が保険代理店を兼ねているときは、会社を変えると、更新の窓口が変わることがあります。契約者の名義が組合のままかは、証券で残します。
- 保険の見積もりを、委託費の四つの費目の中に埋め込まず、保険料の行として出させます。
総会の資料には、いまの証券の六つの欄と、同じ条件で取り直した2〜3社の見積もりを付けます。免責だけを変えた案、水災を外した案、地震の割引資料を付けた案は、別の列です。列が違う見積もりを、最安の一つとしては選びません。
よくある質問
Q. 共用部の保険料の相場は何円ですか。
A. この記事では円を置きません。戸数別の古い平均を、2026年の更新料としては使いません。同じ補償条件の見積もりが、その組合の金額です。
Q. 参考純率が13%上がったので、共用部も13%上がりますか。
A. 13.0%は、2023年6月に届け出された住宅総合保険の参考純率の全国平均です。すべての契約の値上げ幅ではなく、共用部の商品にそのまま掛ける数字でもありません。
Q. 地震保険の割引は重ねられますか。
A. 免震、耐震等級、耐震診断、建築年は、重複できません。確認資料を出した日以降の期間に、一つが適用されます。共用部の契約に付くかは、証券で確認します。
まとめ
- 共用部分の損害保険は、第18条第6項により管理とみなされます。別段の定めがなければ集会の決議です。管理組合法人であることは条件ではありません。
- 保険料は、標準管理規約第27条第五号の管理費です。修繕積立金からも、管理費の全国平均からも出しません。
- 13.0%は住宅総合保険の参考純率の全国平均です。水災は5区分です。共用部の更新が同じ幅かは、その見積もりです。
- 免責を上げる、水災の範囲を見る、地震保険の割引資料を出す、が見直しの三つです。下がる円は見積もりで出ます。
- 地震保険の割引は四つで、重複できません。免震と耐震等級3は50%、耐震等級2は30%、耐震等級1・耐震診断・建築年は10%です。
免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、特定の保険の推奨ではありません。補償の有無、割引、保険料は、保険募集人の重要事項説明と、その管理組合の規約で確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

