管理会社の乗り換えで止まりやすい点|決議・見積もり・引継ぎ

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管理会社を変えるとき、委託費が下がることと、総会が通ることは別です。止まりやすいのは、決議の種類、通知の期間、見積もりの仕様、終了の予告、説明会です。

  • 決議。委託契約の締結は、規約に別段の定めがなければ普通決議です。規約の文言を変えるときは、別の決議です。
  • 通知。法律は少なくとも一週間、標準管理規約は少なくとも二週間です。
  • 見積もり。同じ仕様で2〜3社です。管理費の平均を、委託費の安さとしては使いません。
  • 終了。ひな形の目安は、少なくとも三月前の書面です。条番号は、いまの契約です。

この記事は2026年9月時点の説明です。個別の契約無効を、この一般論では断定しません。短い通知は手続の瑕疵として争われることがあります。短いだけで、決議や契約が当然に無効になる、とは言いません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

目次

管理会社乗り換え|委託の締結と規約変更を分ける

標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)第48条第17号は、管理委託契約の締結を総会の決議事項にしています。変更や解除という語は、この号の見出しにはありません。いまの契約の終了は、その契約の条項と、規約の定めです。

  • 標準管理規約を使う組合。第47条第1項は、議決権総数の過半数の出席です。第2項は、出席組合員の議決権の過半数です。これは普通決議の数え方です。特別決議にはなりません。
  • この規約の第47条は、区分所有法第47条(管理組合法人の設立)とは別です。会社を変えても、組合は法人になりません。法人でなくても、委託先は変えられます。
  • 別段の定めがないとき。区分所有法第39条です。出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)およびその議決権の各過半数です。
  • 規約の文言を変えるとき。第31条の規約変更です。標準管理規約第47条第3項第1号は、出席組合員およびその議決権の各4分の3です。一部の組合員の権利に特別の影響があるときは、その承諾が要ります。
  • 会社を管理者にするとき。外部管理者方式です。委託契約だけでは足りず、標準管理規約の別添に沿った規約の整備が要ります。標準管理規約第38条第2項のままなら、管理者は理事長です。

委託締結と規約変更の決議を分けたアイコン図

通知が短いと、当日の会社名は足せない

管理会社変更の招集通知で足りない点

区分所有法第37条第1項は、あらかじめ通知した事項についてのみ決議できる、としています。第2項は、法律が特別の定数を定める事項を除き、規約で別段の定めができます。委託契約の締結は、建替えのような特別定数の事項ではありません。規約が許していない限り、当日に委託先の名前を足しません。

  • 第35条。通知は少なくとも一週間前です。会議の目的と議案の要領を示します。この期間は、規約で長くできます。短くはできません。
  • 標準管理規約第43条。少なくとも二週間前です。再生等の二か月とは別の、通常の総会の期間です。
  • 宛先。第35条第3項は、届出の場所、届出がなければ専有部分の所在する場所です。標準管理規約第43条第2項は、届け出た宛先、なければ専有部分の所在地、規約第31条の3の国内管理人の届出があるときはその人です。法律上の国内管理人は第6条の2で、招集の通知を受領する権限を持ちます。
  • 掲示。第43条第3項では、対象物件内に住む組合員と、届出のない組合員には、所定の掲示で通知に代えることができます。

見積もりは、同じ仕様で2〜3社

乗り換え見積もりと解約予告の要点

安さだけで選ぶと、清掃の回数や点検の範囲が落ちていることがあります。依頼書の時点で、清掃、管理員の勤務、点検の対象を各社で同じにします。

  • 同じ依頼を2〜3社に出します。5社、6社へ同時に出すと、20戸から40戸程度では辞退が増えます。これは実務上の傾向であり、公的な統計ではありません。
  • 現地を何回見るかは、各社の条件です。回数をこちらで決めて、満たない社を不合格にはしません。
  • 費用は、事務管理、管理員、清掃、建物・設備管理に分かれます。ひな形の改定日は令和5年9月11日です。「一式」の行は空欄です。ゼロ円としても扱いません。任意の提案は本体の合計に入れません。
  • 令和5年度調査の管理費の全国平均、駐車場充当を含む17,103円は、委託費ではありません。充当を除く全国は11,503円です。修繕積立金の月額平均(除く13,054円、含む13,378円)も、委託費ではありません。これらの平均との差を、削減額としては使いません。
  • 担当する棟数は、各社への質問です。何棟から過剰かについて、公的な線はありません。棟数の回答だけで不合格にはしません。
  • 基幹事務。適正化法第74条により一括して再委託できません。会計の収入と支出の調定と出納、および専有部分を除く維持または修繕の企画または実施の調整です。清掃、消防、エレベーターは基幹事務ではありません。

終了の予告と、引継ぎの範囲

標準のひな形では、解約は少なくとも三月前の書面による申入れです。条番号は版で違います。第何条かで探さず、締結している契約の終了の条項を開きます。ひな形より、いまの契約が優先します。

  • 予告期間中の委託費は、違約金ではありません。契約上の対価です。
  • 新しい契約の開始を、古い契約の終了より前にすると、その月は両方の委託費が出ます。開始は終了の翌日を原則にし、前に倒す月だけを議案に書きます。
  • 引継ぎの手数料が独立した欄としてひな形にある、とは言いません。終了の条項に手数料の定めがあるかを見ます。
  • 引継ぐ範囲は、会計、図面、鍵、未収の一覧です。範囲が空欄の見積もりは、後から別料金になりやすいです。未収の一覧がないと、口座振替が止まった月の請求先が残りません。

通帳と印鑑の両方を、管理会社が持たないようにします。適正化法第76条の分別管理の方法は、施行規則第87条です。保証には上限があり、混ぜた金を満額で戻すものではありません。

説明会は、総会の通知とは別の書面

第72条説明会と総会通知の違い

会社を変える新規の委託は、適正化法第72条の重要事項説明です。

  • 新規。説明会を開きます。書面は少なくとも一週間前に、区分所有者等と管理者等へ知らせます。管理業務主任者が主任者証を提示します。書面は記名です。記名押印ではありません。
  • 第72条第2項。説明会なしの書面交付で足りるのは、同一条件の更新です。会社を変える新規には使いません。
  • 第73条。成立時の書面は管理者等へ渡します。その会社自身が管理者であるとき、または管理者がいないときは、区分所有者の全員へ渡します。理事長が管理者なら、渡し先は理事長です。
  • 総会の一週間または二週間と、説明の一週間は、別の書面です。説明会を総会の当日だけにして、一週間前の書面を出さない進め方は、新規には合いません。

乗り換えの費用そのものに、全国共通の助成はありません。東京都のマンション改良工事助成は、工事の助成の例です。対象と金額は当該年度の要領で、申請の主体は管理組合です。管理会社の変更費用を、工事の助成から引きません。

引継ぎの日までに残すもの

管理会社引継ぎで残す確認項目

終了日の前日までに、次が新しい会社と理事会の両方に渡っているかを見ます。渡っていない項目は、終了の条項の引継ぎ義務と照らします。

  • 管理費会計と修繕積立金会計を分けた収支、通帳の名義、印鑑の所在
  • 未収の一覧と、口座振替の停止日
  • 総会と理事会の議事録、管理規約、長期修繕計画
  • 図面、鍵、共用部分の保険の証券
  • 点検と清掃の、いまの仕様。一式の口頭では残しません

お金の置き方は、契約に書く三つです。順位はありません。いったん集めて残額を組合の保管口座へ移す、積立金は組合の口座へ直接入れて管理費は収納口座を経由する、組合名義の口座を一つにする、です。どの置き方でも、通帳と印鑑の両方は会社が持ちません。

監事は、業務の執行と財産の状況を監査します。新しい管理会社の人を監事にすると、監査の相手と監査する人が同じ側になります。標準管理規約は、監事を組合員から選ぶのが原則で、その要件を外すのは規約の変更です。会社を変える普通決議で、監事の資格までは変わりません。

東京都の管理状況届出を出すのは、対象マンションでは管理組合です。新しい会社が届出の名義人になるわけではありません。昭和58年12月31日以前の新築で、居住の用の独立部分が6以上なら、条例の対象かを確認します。届出と、管理計画認定の申請は、別の手続です。

管理会社乗り換えを進める順番

  • いまの契約の終了条項を開き、予告の長さと、引継ぎの範囲を書き出す
  • 清掃、管理員、点検を同じにした依頼を、2〜3社へ出す
  • 四つの費目で比べ、一式の行は空欄のままにする
  • 終了日の翌日を、新しい契約の開始にする。前に倒す月だけ、両方の委託費として議案に書く
  • 総会の通知を出す。標準規約の組合は少なくとも二週間前、別段の定めがなければ少なくとも一週間前
  • 新規なら、説明会の少なくとも一週間前に、第72条の書面を出す。総会の通知とは別葉にする
  • 総会のあと、第73条の成立時の書面の渡し先を確認する

書面や代理人で議決権を行使した人は、第39条第2項により、出席した人数と議決権に入ります。標準管理規約第47条第7項も、書面または代理人を出席に算入します。議決権を有しない者を除く全員の同意があれば、第36条により招集の手続を経ないで開けます。一人でも反対なら、この省略は使えません。

議事録は、区分所有法第42条では、議長と、出席した区分所有者の二人が署名します。標準管理規約第49条では、議長と、議長が指名する出席組合員の二人が署名します。使っている規約の署名欄を、法律の署名欄と取り違えないでください。議事録に残すのは、終了日、開始日、委託先の名前、四つの費目の合計、引継ぎの範囲です。

この記事の規約の条は、単棟型の令和7年10月17日改正です。団地型には、令和7年12月10日の一部修正があります。団地の組合は、団地型の規約を開きます。

建替えの各5分の4を、委託の解約には使いません。保険の更新も、委託の議案とは分けます。管理会社が保険の代理店を兼ねていても、保険の補償を変える話は、委託の普通決議の中には入りません。規約が両方を理事会に任せていない限り、議案は別です。

契約の終了を打診されたときに先に見る条項

管理会社から終了を打診されたときは、建替えや法人の解散とは別に、次を開きます。

  • いまの管理委託契約書にある、解約の予告期間と、引継ぎの範囲
  • 総会で委託契約を決議するときの、管理規約の条項。標準管理規約なら第48条第17号と、第47条の数え方
  • 通帳と印鑑の所在。終了日までに、両方を会社が持ったままにしない
  • 未収の一覧を、終了の通知より先に出させる。一覧の前に口座振替を止めると、請求先が残りません

打診された月を、終了月とは決めません。終了日は、契約の予告を満たした日です。予告より短い日で終わる合意をするときは、その合意を書面に残します。口頭の「来月で終わり」は、契約の条項の代わりにはなりません。

よくある質問

Q. 普通決議だけで、会社を管理者にできますか。
A. 委託先を変えることと、管理者を会社にすることは別です。標準管理規約第38条第2項のままなら、管理者は理事長です。会社を管理者にするには、規約の変更が要ります。

Q. 解約は何条ですか。
A. ひな形の条番号は版で違います。いまの契約の終了の条項を見ます。標準の目安は、少なくとも三月前の書面による申入れです。

Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. いまの管理委託契約の終了条項と費用の内訳、管理規約の決議の条項、清掃と点検の仕様、通帳と印鑑の所持です。

まとめ

  • 委託契約の締結は、標準管理規約第48条第17号の総会事項です。規約の第47条は普通決議の数え方であり、法人設立の第47条ではありません。
  • 通知は、法律が一週間、標準規約が二週間です。通知していない委託先は、規約が許さない限り当日には足せません。
  • 見積もりは同じ仕様で2〜3社です。一式の行は空欄です。17,103円は管理費の全国平均であり、委託費ではありません。
  • 終了はいまの契約の条項です。ひな形の目安は少なくとも三月前の書面で、予告中の委託費は違約金ではありません。
  • 新規は第72条の説明会です。乗り換え費用の全国共通の助成はありません。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明です。決議の数え方、解約の期間、重要事項の説明は、管理規約、いまの契約、マンション管理適正化法で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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