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共用部の管理会社が介在しない、いわゆる「自主管理組合」において、マンションの資産を適切に維持し、組合員の皆様への透明性を確保するためには、会計業務を組合自身で遂行することが不可欠です。
ここでは、自主管理組合が取り組むべき会計業務の具体的な内容を解説します。
経理の基本となる「仕訳」の作成
仕訳（しわけ）は、すべての金銭取引を記録する経理処理の出発点です。組合の財政状況を正確に把握するために、以下の取引を記録します。
資産の増減: 銀行口座への預け入れや引き出し、備品の購入など、資産の動きを記録します。
収入の計上: 組合員からの管理費、修繕積立金、駐車場使用料などの入金を記録します。
支出の計上: 共用部の小修繕費、保守点検費用、光熱費、保険料などの支払いを記録します。
財政状況を示す「会計帳簿」の作成
作成した仕訳に基づいて、以下の重要な会計帳簿を作成し、組合の財政状況を可視化します。
貸借対照表（バランスシート）
特定の時点（通常は会計年度末）における組合の財政状態を示す書類です。
- 資産: 銀行預金残高、未収管理費（債権）など、組合が保有する財産。
- 負債: 未払いの請求書、大規模修繕のための借入金など、組合が将来支払う義務のあるもの。
- 繰越金（正味財産）: 「資産」から「負債」を差し引いた、純粋な組合の財産（純資産）。
収支報告書（損益計算書に相当）
一定期間内（通常1年間）の「収入」と「支出」を明らかにし、活動の結果として資金がどのように動いたかを示す書類です。 （計上される項目は仕訳の項目に準じます。）
会計の根拠となる「証憑書類」の保管
上記の会計書類は、実際に発生した取引の証拠となる書類に基づき作成されます。これらの書類を証憑（しょうひょう）として適切に保管することは、会計の信頼性と透明性を保つ上で非常に重要です。
主な証憑書類: 領収書、請求書、点検報告書、完工報告書、契約書など
組合の健全な運営に不可欠な「入金管理」
管理費や修繕積立金は、マンションの維持管理のための重要な資金源です。
時効対策の重要性: 管理費等の債権には時効があるため、適切に管理・督促を行わないと、回収不能となるリスクがあります。
管理費等未収納リストの作成: 各組合員の入金状況を継続的にチェックし、未納が発生していないかを確認します。
関連記事：「管理費滞納」──現場でできる実効的な対応策マンションの滞納者問題について
よくある質問（FAQ）
Q1. 会計業務は単式簿記でも大丈夫ですか？
管理組合の会計は、長期的なマンションの財産状況（資産や負債）を正確に把握するため、企業会計に近い複式簿記の採用が推奨されます。単式簿記では「収支」のみしか記録できず、貸借対照表（バランスシート）の作成が困難になります。複式簿記を採用することで、管理費の滞納（債権）や、将来の修繕のための積立状況（資産）を明確にできます。
Q2. 会計担当の理事になった場合、簿記の資格は必要ですか？
必須ではありませんが、簿記の基本的な知識があると業務を円滑に進めやすくなります。ただし、簿記の知識がなくても、会計ソフトや専門家のサポートを利用すれば業務遂行は可能です。ご不安な場合は、マンション管理士や会計業務代行サービスを提供している当社など、専門家に相談することを強くおすすめします。
マンション管理のプロフェッショナルにご相談ください
ご紹介した会計業務は、マンション管理の根幹をなす重要業務です。しかし、理事役員の皆様が日々の生活や仕事を持つ中で、これらの複雑で継続的な作業を正確に行い、決算書類まで作成するのは大きな負担となりがちです。
株式会社MIJには、マンション管理士や管理業務主任者など、管理のプロフェッショナルが在籍しています。
自主管理組合における理事役員の負担軽減、成り手不足の解消、あるいは収支状況の改善など、管理に関するあらゆるお悩みは、ぜひ株式会社MIJにご相談ください。
