管理委託契約の見直し手順|三月前書面と第72条

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

管理委託契約の見直しは、満了から逆算する

管理委託契約は、期間満了のたびに「そのまま更新」で済ませると、サービス内容が実態に合わなくなったり、内訳の見えない費用を払い続けたりするリスクがあります。見直すなら、いまの契約書の申出期限、総会の招集、マンション管理適正化法の説明会を同じカレンダーに置きます。理想は契約期間満了の4〜6ヶ月前からの着手です。3ヶ月を切ってからでは説明会と総会が重なりやすいです。先に決めるのは業者への声かけではなく、いつ総会を開き、いつ説明会を置き、いまの契約をいつ終わらせるかです。この記事は2026年10月時点の説明です。未確認の補助金円や、現地確認の回数の一般論は使いません。

  • 先に開くもの。いまの管理委託契約書、管理規約、会計年度と通常総会の日程です。見積依頼文より先です。
  • モデル。標準管理委託契約書のモデルは、少なくとも三月前の書面による申入れです。優先するのは結んでいる契約書です。
  • 決議。組合管理部分に関する管理委託契約の締結は、標準管理規約第48条第17号の総会決議事項です。普通決議が原則です。
  • 説明。新規の管理受託契約には適正化法第72条、成立後は第73条が入ります。同一条件の更新でも書面手続は残ります。
管理委託契約の見直しは、満了から逆算する

※本記事は株式会社MIJによる情報提供であり、自社サービスの紹介を含みます。

4〜6ヶ月前からの実務スケジュール

日付は例です。自組合の通常総会月と、契約書の予告期間に合わせてずらします。臨時総会でも法律上は決議できますが、第72条の1週間前交付と招集期間が足りるかが先です。

4〜6ヶ月前からの実務スケジュール
  • 6ヶ月前。理事会で現行の四業務(事務・管理員・清掃・建物設備)の過不足を評価し、継続か変更かの方針を議事に残します。管理員の勤務実態、清掃回数、点検の指摘事項、会計報告の遅れを一行ずつ書きます。
  • 5〜4ヶ月前。仕様書を揃え、同じ条件で2〜3社に見積もりを依頼します。5〜6社へ同時に出すと、20〜40戸程度では辞退が増える傾向があります。これは実務上の傾向であり、公的な統計ではありません。
  • 3ヶ月前前後。契約書の更新・解約の申出期限を確認します。モデルは三月前ですが、六月前と書いてある契約もあります。短い通知は争いになり得るので、条項を先に確認します。条番号は契約書ごとに違うことがあるため、解約・更新の条を開きます。
  • 2〜3ヶ月前。第72条の説明会と1週間前の書面交付、総会の招集通知を逆算します。総会当日に初めて重要事項説明書を配る形は、1週間前交付に合いません。
  • 満了直前。総会決議、契約締結、口座・帳票・点検記録・鍵・保険証券の引継ぎです。空白期間を作りません。

総会の招集通知は、区分所有法第35条では少なくとも1週間前、標準管理規約第43条では2週間前です。規約で伸ばすことはできます。短くはできません。第37条は、あらかじめ通知した事項のみ決議できるのが原則で、法律が特別の定数を定める事項は除きます。管理委託契約の締結は、通知に議案として載せます。解約と新契約を同じ総会に載せるときは、議案を分けて書きます。名簿(標準管理規約第31条の2)と国内管理人の届出(第31条の3)は、第72条の書面の宛先を揃えるためにも先に確認します。

理事会の評価メモには、「何が足りないか」を四業務の行で書きます。金額の高低だけを議題にすると、仕様を削った安い案が残りやすくなります。東京都で管理員の人件費を説明するときは、2026年時点で有効な最低賃金1,226円(2026年9月時点で有効)を下回る前提を置きません。最賃は委託費の相場そのものではありません。

更新でも書面は要る。業者変更は更新ではない

「条件が同じなら説明は不要」「会社を変えるだけなら総会は形式」は、どちらも危険です。継続とリプレイスで、日程の組み方が違います。

更新でも書面は要る。業者変更は更新ではない
  • 第72条(新規)。管理業者が説明会を開きます。説明会の1週間前までに、重要事項と日時場所を書いた書面を、区分所有者等と管理者等の全員へ交付します。管理業務主任者が主任者証を提示して説明し、書面には主任者が記名します。
  • 同一条件の更新。第72条第2項では、従前と同一条件の更新は区分所有者等全員への書面交付で足ります。管理者等が置かれているときは、第3項で管理者等に対して主任者が書面を交付して説明します。業者を変える契約は、更新ではありません。
  • 第73条。契約が成立したあと、管理事務の内容と実施方法(第76条の財産管理の方法を含む)、費用と支払時期、再委託の定め、契約期間、更新と解除の定めなどを書いた書面を、遅滞なく管理者等へ交付します。管理者がいないとき、または業者自身が管理者のときは、区分所有者全員へ交付します。
  • 普通決議。別段がなければ区分所有法第39条(出席した区分所有者及びその議決権の各過半数)、標準管理規約第47条(議決権総数の過半数の出席と、出席組合員の議決権の過半数)です。自組合の規約が特別決議にしているときはその定数です。

管理者の選任・解任は区分所有法第25条で、集会の決議(規約で別段)です。標準管理規約第38条第2項では、理事長が区分所有法の管理者です。管理会社を変えても、理事長が管理者であることは、そのままのことが多いです。管理会社は委託先であり、管理者そのものではありません。第77条の管理事務報告は、引継ぎのあとも続きます。

見積もりは四業務。管理費平均は使わない

委託費の全国相場を円で示す公的統計はありません。令和5年度マンション総合調査の管理費(駐車場使用料等を含む1戸月額17,103円)は、区分所有者が組合に払う額です。管理会社へ払う委託費の相場ではありません。総会で「平均より高い/安い」だけで決める材料にはしません。

  • 四つの業務。事務管理、管理員、清掃、建物設備管理です。見積書もこの四つで金額を分けてもらいます。
  • 同じ仕様。管理員の勤務日と時間、清掃の回数、設備点検の範囲、会計報告の頻度を揃えます。仕様が違う金額は、比べられません。
  • 一式は空欄。内訳の無い行は空欄のまま比べます。0円とは書きません。任意の提案は合計の外に置きます。
  • 人件費の下限。東京都で管理員の賃金を説明するときは、2026年時点で有効な最低賃金1,226円を下回る前提を置きません。
  • 分別管理。第76条の分別管理は、収納後に組合保管口座へ移す型、積立金は組合口座へ直接・管理費は収納口座の型、組合名義の一口座の型があります。管理会社が通帳と印鑑を両方持たない、という点を重要事項説明書で確認します。保証には上限があります。

管理計画認定制度と、マンション管理業協会の管理適正評価は、管理会社の順位表ではありません。認定は5年更新で、見積もりの採点表に認定の有無だけを点数として足す使い方はしません。認定そのものの条番号は書きません。委託の見直しと認定申請を同じ総会に載せるときは、議案番号を分け、資料の主語も分けます。

継続更新と条件変更を混同しない

「更新」という言葉が、同一条件の継続と、金額・人数・清掃回数の変更をまとめて指すことがあります。手続が違うので、理事会の議事ではどちらかを先に一文で決めます。

  • 同一条件の継続。第72条第2項・第3項の書面と説明の枠が中心です。総会でも、現行契約の継続を議案として残すのが運営上の正しい手順です。
  • 条件の実質変更。管理員の勤務時間短縮、清掃回数の減少、設備点検の範囲変更などは、新規に近い説明が必要になることがあります。見積もりの行が変わったら、更新ではなく変更として扱います。
  • 業者変更。解約の予告(モデルは三月前の書面)と、新契約の第72条説明会・第73条書面・第48条第17号の決議を同じカレンダーに置きます。
  • 管理費との混線。区分所有者から集める管理費の改定と、管理会社へ払う委託費の改定は別です。管理費17,103円(駐車場等含む全国平均)を、委託費の「相場」として使いません。

説明会の日程は、総会の招集通知より前に置くと、区分所有者が議案を読む材料が揃います。主任者の記名が無い書面や、1週間前を切った交付は、手続不備の指摘を受けやすいです。

終了打診と引継ぎで先に見る条項

管理会社から契約の終了を打診されたときも、見る順は同じです。感情や口頭の説明より、契約書と規約です。全国共通の管理会社変更補助金はありません。

  • 予告期間。いまの契約書の申入れ期間です。モデルは三月前の書面です。優先するのは結んでいる契約書です。
  • 次の業者。第72条の説明会日程と、総会決議(第48条第17号)を逆算します。説明会を総会より前に置くと、区分所有者が議案を読む材料が揃います。
  • 会計。管理費会計と修繕積立金会計の残高、未納者の一覧、帳票、通帳と印鑑の所在です。標準管理規約第28条第4項の区分経理は、引継ぎのあとも続けます。
  • 契約と点検。エレベーター、消防用設備、清掃などの再委託先との契約、直近の点検記録、鍵と合鍵の本数です。第74条は基幹事務の一括再委託を禁じています。清掃・消防・エレベーター点検は基幹事務そのものではないので、専門業者への再委託はこの禁止の対象ではありません。
  • 保険。区分所有法第18条第6項は、共用部分の損害保険契約を管理とみなします。証券の名義と満期を引継ぎの表に載せます。
  • 総会資料。直近の総会議事録、現年度の予算、長期修繕計画の写しです。議事録の署名は、区分所有法第42条では議長と出席した区分所有者2人、標準管理規約第49条では議長と議長が指名した出席組合員2人です。

引継ぎの空白は、収納・支払・法定点検の記録が途切れる原因になります。解約の申入れ日と新契約の開始日のあいだに、誰がどの鍵と通帳を持つかを表にします。口頭の「後で渡す」は議事に残しません。

よくある質問

  • Q. 同一条件の更新なら総会は不要ですか。
    A. 運営上は総会決議を経るのが正しい手順です。第72条の書面交付等の手続も残ります。
  • Q. 解約は三月前なら必ず足りますか。
    A. モデルはその文言です。契約書が六月前などと書いていれば、その期間です。
  • Q. 管理費の平均を委託費の目安にできますか。
    A. できません。17,103円は組合に払う管理費(駐車場等含む)です。委託費は四業務の見積もりで比べます。
  • Q. 臨時総会でも更新・変更できますか。
    A. できます。招集期間と第72条、いまの契約の予告期間が足りるかで日程を組みます。
  • Q. 理事長が管理者のままで、管理会社だけ変えられますか。
    A. 変えられます。標準管理規約では理事長が管理者です。管理会社は委託先です。
  • Q. 全国共通の変更補助金はありますか。
    A. ありません。自治体支援は要綱が先で、円は書きません。
  • Q. 第73条の書面はいつ届きますか。
    A. 契約成立後、遅滞なく管理者等へ交付されます。届かないときは、契約書の写しとあわせて催促の記録を残します。
  • Q. 一式見積もりのまま総会に出せますか。
    A. 出せますが、比較と監督が難しくなります。四業務の内訳を求めてから議案にするのが安全です。

まとめ

  • 見直しは満了の4〜6ヶ月前から。契約書の申出期限・総会・第72条を逆算します。
  • モデルは三月前の書面。優先は結んでいる契約書です。条番号は契約ごとに違うことがあります。
  • 締結は第48条第17号。新規は第72条・第73条。同一条件更新でも書面手続があります。業者変更は更新ではありません。
  • 見積もりは四業務・同じ仕様・2〜3社。一式は空欄。管理費17,103円は委託費ではありません。
  • 終了打診時も予告期間と引継ぎ一覧が先です。口座・点検・保険・議事録の空白期間を作りません。
  • 管理費の改定と委託費の改定は別議案です。認定の有無だけを見積採点に足しません。

免責事項本記事は2026年10月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。予告期間、決議の定数、説明会の日程、見積条件は、自組合の管理規約・管理委託契約書・見積書で確認してください。法令が更新された場合は最新の一次資料が優先されます。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建物管理に関するお悩みはお気軽にご相談下さい!
大手建物管理会社では対応が難しい自主管理物件や小規模マンションにも、当社は的確なサポートを提供します。
規模に関わらず、管理組合様のニーズに寄り添い、資産価値の維持・向上に貢献する最適な管理プランをご提案。
長期的な安定と快適な居住環境づくりを全力でサポートいたします。

マンション管理のこと、 どんな小さな疑問でも
大丈夫です!

どんな些細なことでも構いません。管理費の最適化や修繕計画、住民トラブルの対応まで、
少しでも気になることはMIJまでお気軽にご相談ください!

相談は無料です!マンション管理のことは
何でもご相談ください!

03-5333-0703 電話で相談する

営業時間:10:00~18:00
平日、土日も営業(年末年始・お盆を除く)