マンション管理会社変更の手順|相見積もりは2〜3社と総会の普通決議

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管理会社を変える議案は、規約に別段の定めがなければ普通決議です。特別決議や建替えの定数は使いません。先に見るのは、いまの管理委託契約書の解約の予告期間と、管理規約の総会の条項です。

  • 議案。単棟型標準管理規約(令和7年10月17日改正)第48条第17号は、組合管理部分に関する管理委託契約の締結を総会の決議事項としています。第33条は、管理組合の業務の全部または一部をマンション管理業者等の第三者に委託できると定めています。
  • 定数。区分所有法第39条第1項は、法律または規約に別段の定めがなければ、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)及びその議決権の各過半数です。標準管理規約第47条では、第1項で議決権総数の過半数の出席、第2項で出席組合員の議決権の過半数です。書面・代理は出席扱いです(第7項)。
  • 解約。標準管理委託契約書(令和5年9月11日改定)のモデルは、少なくとも三月前の書面による申入れです。結んでいる契約書が優先です。短い通知は争いになり得ます。
  • 見積もり。同じ仕様で2〜3社です。5〜6社へ同時に出すと、20〜40戸程度では辞退が増えます。これは実務上の傾向であり、公的な統計ではありません。

この記事は2026年9月時点の説明です。使う規約と、いま結んでいる管理委託契約書が先です。標準管理規約第60条は管理費等の請求の条であり、委託契約の条ではありません。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

変更は普通決議・見積は2〜3社のアイコン図

目次

管理会社変更|管理委託費と管理費は別の科目

見直しの対象は、組合が管理会社へ払う管理委託費です。区分所有者が組合へ払う管理費と、将来の工事のための修繕積立金は、別の科目です。

  • 管理費。区分所有者が管理組合へ払う日常の費用です。標準管理規約第25条第2項は、共有持分で負担すると定めています。第27条の使途には、共用部分の光熱費、損害保険料、管理委託費などが入ります。自治会費は含みません。
  • 管理委託費。事務管理、管理員、清掃、建物設備管理の四つの業務の対価です。令和5年度マンション総合調査の管理費(駐車場使用料等を含む1戸月額17,103円)は、委託費の相場ではありません。
  • 修繕積立金。標準管理規約第28条第1項は、計画修繕、不測の修繕、改良・変更、再生等の調査、積立金の管理運用、その他特別に必要な管理に限り取り崩せます。第4項で管理費と区分経理します。通常の管理委託費には使いません。

口座は三つの型があります。収納後に組合保管口座へ移す、積立金は組合口座へ直接入れ管理費は収納口座、組合名義の一口座です。管理会社が通帳と印鑑を両方持たない形にします。保証には上限があります。変更のときに口座の型を変えるなら、見積もりの比較表と、総会資料の説明に同じ型を書きます。型が違う見積もりを、合計だけで並べません。

管理委託費と管理費を分けた図

管理会社変更|理事会から総会までの手順

管理会社変更の理事会から総会まで

理事会が仕様を整え、総会が契約を決めます。理事会の推薦だけでは、契約は成立しません。

  • 整理。対応の遅れ、報告の欠落、委託費の内訳が読めない、といった不満を、仕様の行に直します。担当者の印象だけでは、見積もりの比較表になりません。
  • 仕様。いまの契約書と業務報告書から、四つの業務の回数、時間、再委託先を書き出します。任意の提案は合計の外です。
  • 見積もり。同じ仕様で2〜3社へ依頼します。現地の確認が要る業務は、各社に同じ範囲を見せます。回数の目安は、この記事では置きません。
  • 比較。金額、管理員の時間、清掃の回数、点検の頻度、口座の型、解約の予告期間を同じ表に置きます。安さだけで1社に決めません。
  • 推薦。理事会が1社を総会議案にします。候補を複数残すときも、議案の主文は1社です。
  • 決議。総会で管理委託契約の締結を決めます。定数は前に書いた普通決議です。規約に別段の定めがあるときは、その定めです。
  • 通知と引継ぎ。総会決議のあと、いまの会社へ解約を書面で申し入れます。管理規約、区分所有者名簿、総会議事録、会計帳簿、鍵、口座の届出を、理事会の立ち会いで確認します。
  • 開始。新しい会社の業務開始は、解約の効力発生と、第72条の説明、第73条の書面がそろってからです。

標準管理規約第43条は、総会の通知を2週間前としています。区分所有法第35条は少なくとも1週間前で、規約で伸長できます。短縮の定めはありません。第37条は、通知した事項のみ決議できます。法律が特別の定数を定める事項は、規約で別段を置けません。管理委託契約の締結は、法律が特別の定数を置く事項ではありません。規約で普通決議より高い定数を置いている組合は、その規約です。

引継ぎで手元に残すものは、いまの会社が預かっている書類と、組合が原本を持っている書類を分けて一覧にします。管理規約と使用細則、総会議事録、理事会議事録、会計帳簿、通帳と印鑑の所在、鍵の本数、設備の点検記録、長期修繕計画、保険証券です。標準管理規約第49条の議事録は、紙なら議長と、議長が指名した出席組合員2人が署名します。区分所有法第42条は、紙のときは議長と出席した区分所有者2人です。使う規約の署名欄を、引継ぎのチェック表に写します。

区分所有者名簿は、非法人の組合では標準管理規約第31条の2です。居住者名簿とは別です。新しい会社へ渡す範囲と、渡さない連絡先を理事会で決めます。国内に住所のない区分所有者の国内管理人は、区分所有法第6条の2です。標準管理規約第31条の3はその届出の規約条文です。第31条の3を法律の条としては引きません。

相見積もりは同じ仕様で2〜3社

相見積もりで揃える仕様の要点

見積もりは、金額の行ではなく、仕様の行から読みます。四つの業務がそろっていなければ、合計の差は比べられません。

  • 事務管理。会計、出納、修繕の企画または実施の調整(適正化法の基幹事務)、理事会・総会の支援、督促の補助です。基幹事務の一括再委託は第74条で禁止です。清掃、消防設備点検、エレベーター点検は基幹事務そのものではありません。
  • 管理員。受付、鍵の保管、工事や点検の立会い、巡回です。通勤か住込みか、勤務日と時間で費用が動きます。
  • 清掃。日常の掃き拭きと、床洗浄などの定期清掃です。回数と範囲を仕様に書きます。
  • 建物設備管理。エレベーター、消防用設備、給排水設備などの点検です。法定点検の頻度は法令、それ以外は仕様です。

「管理委託費一式」の行は空欄のまま根拠を聞きます。0円と書き換えません。任意提案(コールセンター、駐車場の運営支援など)は合計の外です。管理員の継続勤務は、本人の合意と新しい会社の雇用契約です。組合の希望だけでは決まりません。

比較表には、金額のほかに次の行を置きます。管理員の勤務日と時間、日常清掃と定期清掃の回数、エレベーターと消防設備の点検頻度、会計報告の周期、未収金の督促の範囲、夜間や休日の窓口です。仕様を削って金額だけ下げた見積もりは、同じ表の「減った行」に印を付けます。減った行を把握しないまま最安値を総会議案にすると、総会後に業務が細ります。

20〜40戸程度では、依頼先を5社、6社へ広げるより、仕様を揃えた2〜3社のほうが返答が集まりやすい、という実務上の傾向があります。統計ではありません。大規模な棟で候補を増やすときも、一次の書面照会と、二次の現地確認を分け、同時に全社へ現地を依頼しないほうが、各社の負担は小さくなります。

新しい契約には第72条と第73条

新規管理委託の第72条と第73条

新しい業者との管理受託契約には、マンション管理適正化法の説明と書面が付きます。いまの会社との同一条件の更新とは、手続が違います。

  • 第72条第1項。説明会を開き、管理業務主任者が重要事項を説明します。説明会の日の1週間前までに、重要事項と日時場所を書いた書面を、区分所有者等と管理者等の全員へ交付します。
  • 主任者。説明のとき主任者証を提示します(第4項)。交付する書面には主任者が記名します(第5項)。押印の定めではありません。
  • 第72条第2項・第3項。従前と同一条件の更新は、区分所有者等全員への書面交付で足ります。管理者がいれば、管理者へ主任者が書面を交付して説明します。
  • 第73条。契約成立後、遅滞なく管理者等へ契約内容の書面を交付します。業者自身が管理者のとき、または管理者がいないときは、区分所有者全員へ交付します。書面には主任者が記名します。

第76条は、修繕積立金などの財産を、自己の財産や他の組合の財産と分別して管理します。第77条は、管理者がいるとき、定期に管理業務主任者が管理事務を報告します。引継ぎのあと、最初の定期報告の時期を契約書で確認します。

管理計画認定の申請は、標準管理規約第48条第16号の総会決議事項です。認定は、適正化推進計画を持つ都道府県等の長への申請で、5年ごとに更新します。管理適正評価(マンション管理業協会)とは別の仕組みです。どちらも、管理会社の順位表ではありません。認定を取っていることと、委託費が安いことは、同じ指標ではありません。

変更のあとに会計の科目が途切れていないかは、第76条の分別管理と、第28条第4項の区分経理で見ます。管理費の残高、修繕積立金の残高、未収金の明細、未払金の明細を、旧会社の最終報告と新会社の開始残高で突き合わせます。差があれば、引継ぎの会議で行を残します。差額を口頭だけで閉じません。

よくある質問

Q. 変更そのものにいくらかかりますか。
A. 印刷や会場など、総会の実費は組合の負担です。変更手数料という全国共通の円はありません。見積もりの作成料を求める会社があるかは、依頼の前に各社へ確認します。

Q. 解約の通知は総会の前でも出せますか。
A. 契約の締結は総会の決議事項です(標準管理規約第48条第17号)。解約の申入れを総会の前に出すかは、いまの契約書と規約です。先に総会で方針を決めてから申し入れる組合が多い、という実務は、条文の省略にはしません。

Q. 管理員は交代しますか。
A. 雇用契約の相手は管理会社です。新しい会社での再雇用は、本人の合意と新しい会社の判断です。組合の希望を仕様に書くことはできます。

Q. 建替えと同じ定数が要りますか。
A. 要りません。建替え決議は区分所有法第62条で、全区分所有者(議決権を有しない者を除く)及び議決権の各5分の4です。管理委託契約の締結には使いません。

Q. 理事会だけで契約できますか。
A. 標準管理規約第48条第17号は、管理委託契約の締結を総会の決議事項としています。理事会の推薦は議案の準備です。規約で理事会へ委任している範囲があるときは、その条文を先に読みます。

Q. 管理費の全国平均より高ければ変えるべきですか。
A. 令和5年度マンション総合調査の17,103円は、駐車場使用料等を含む管理費の1戸月額です。管理委託費ではありません。戸数規模別でも、20戸以下は22,131円、31〜50戸は17,147円と、管理費そのものが動きます。委託費の適否は、四つの業務の仕様で見ます。

まとめ

  • 管理委託契約の締結は、標準管理規約第48条第17号の総会決議事項です。定数は普通決議です。
  • 見直しの対象は管理委託費です。管理費の全国平均を、委託費の相場としては使いません。
  • 修繕積立金は第28条の特別の管理に限り取り崩し、管理費と区分経理します。
  • 見積もりは同じ仕様で2〜3社、四つの業務に分け、「一式」は空欄のまま聞きます。
  • 解約は、いまの契約書の予告期間が優先です。モデルは少なくとも三月前の書面です。
  • 新しい契約には第72条の説明会と、第73条の成立後書面が付きます。
  • 引継ぎでは、規約、議事録、帳簿、鍵、口座、保険証券を一覧にし、開始残高を旧会社の最終報告と突合します。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。手続、定数、解約の予告期間、見積もりの内訳はその管理規約、契約書、見積もりで確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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