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分譲マンションの区分所有者は、管理費と修繕積立金を管理組合へ納めます。根拠は、区分所有法第19条です。各共有者は、規約に別段の定めがない限り、持分に応じて共用部分の負担を負い、利益を受けます。滞納は、隣の住戸の話ではなく、共用部分の維持の話です。
- 第19条。負担の出発点は共有持分です。規約で別段があれば、その定めが先です。
- 管理費と積立金。標準管理規約第25条は、管理費と修繕積立金を分け、第2項で共有持分に応じて算出します。
- 使途。管理費は第27条の通常の管理、修繕積立金は第28条第1項の事由で取り崩します。第28条第4項で区分して経理します。
- 債権者。債権者は管理組合です。管理会社は、委託を受けて収納を代行する立場です。
この記事は2024年時点の区分所有法と、当時の標準管理規約に沿った説明です。2026年4月施行の改正規定は、ここでは施行中の条文としては扱いません。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

管理費の支払い義務|規約の徴収と理事長の権限
法律の負担義務を、組合の手続に落とすのが管理規約です。単棟型標準管理規約では、徴収の条と、訴訟の条が分かれています。
- 第60条第1項。管理費等と使用料は、組合員の口座から口座振替で、組合の口座へ受け入れる形がモデルです。当月分は、別に定める徴収日までに一括して徴収します。
- 第60条第2項。期日までに納入しないときは、未払額に遅延損害金と、違約金としての弁護士費用等、督促と徴収の費用を加算して請求できます。利率は規約の空欄です。円も利率も、規約と当該年度の要領で確認します。
- 第60条第3項。管理組合は、納入しない組合員に督促するなど、必要な措置を講じます。
- 第60条第4項。理事長は、未納の請求について、理事会の決議により、管理組合を代表して訴訟その他の法的措置を追行できます。
- 第60条第7項。納入した管理費等と使用料は、返還請求も分割請求もできません。
管理者は、区分所有法第25条で集会の決議により選任・解任します(規約で別段)。標準管理規約第38条第2項では、理事長が区分所有法の管理者です。収納の窓口が管理会社でも、請求の名義は組合です。
標準管理委託契約書では、事務管理の中に収納を置くモデルです。結んでいる契約書が優先します。契約書の条番号は、手元の契約書で確認します。
口座の型は、収納後に組合保管口座へ移す、積立金は組合口座へ直接・管理費は収納口座、組合名義の一口座、の三つがモデルです。管理会社が通帳と印鑑を両方持たない置き方にします。保証には上限があります。上限の円は契約書で確認します。滞納の一覧は、どの口座に入るべきだったかを行に書いておきます。
管理費の額を変える議案は、標準管理規約第48条第6号です。滞納が多い年に、理事会だけで翌月の額を上げる形にはしません。通常総会の議案に、不足の理由と、第25条第2項の負担割合を書きます。

売却しても、滞納は消えない

区分所有者が変わっても、未納の管理費等が自動で消えるわけではありません。請求先を、名簿のいまの名前だけで決めません。
- 区分所有法第8条。第7条第1項の債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます。
- 標準管理規約第26条。管理組合が管理費等について有する債権は、区分所有者の特定承継人に対しても行うことができます。
- 先取特権。区分所有法第7条は、規約または集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権などについて、債務者の区分所有権と、建物に備え付けた動産の上に先取特権を置いています。管理者の職務上の債権も同様です。
- 売買の特約。売主と買主のあいだで「滞納は売主が払う」と書いてあっても、組合の債権は消えません。清算の書面と、組合への入金は別に確認します。
賃借人が住んでいて所有者が別にいるときは、請求の相手は区分所有者です。室内にいる人への連絡と、所有者への請求を、名簿の上で分けます。居住者名簿と区分所有者名簿は、標準管理規約では別です。
管理費の全国平均は、令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)で、駐車場使用料等を含む1戸月額17,103円、含まない11,503円です。修繕積立金は駐車場等を除く13,054円です。これは滞納額の目安ではありません。自組合の規約と、その戸の持分で計算します。
管理費滞納の時効と、先に残す記録

未納を放置すると、請求できる期間の問題が起きます。2024年時点の民法では、債権の消滅時効は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年などと定められています。管理費等については、裁判例で5年と解されることが多い、という整理があります。条番号は手元の契約書で確認します。期間の起算は、個別の請求ごとに確認します。
- 一覧。戸、期、金額、最後に入金があった日、督促した日を表にします。合計だけだと、次の理事会で追えません。
- 書面。口頭の電話だけでは、後の手続の材料になりにくいことがあります。理事長名の書面で送り、届いた日が残る方法を使います。
- 承認。相手が未納を認め、分割の申出を出したときは、その書面を保管します。口頭の「払う」だけでは残りません。
- 理事会。第60条第4項の訴訟その他の措置は、理事会の決議が先です。決議の前に、いくらを、どの期について請求するかを議案に書きます。
内容証明や裁判上の請求は、弁護士などへ相談する段階です。この記事は個別の手続の助言ではありません。建替えの決議の流れを、滞納の回収には使いません。
区分経理をしている組合は、令和5年度マンション総合調査で90.1%です。滞納の充当は、標準管理規約第60条第5項で、理事会が定める順序に従えます。管理費と積立金を一つの行にまとめた請求書は、後の充当で揉めます。行を分けます。
競売の訴えは、滞納の金額だけでは足りない

区分所有法第59条は、義務違反者の区分所有権と敷地利用権の競売を、訴えで請求できる条です。滞納の金額が大きいことだけでは、この条の要件を満たしたことにはなりません。
- 前提。第6条第1項の共同の利益に反する行為があり、共同生活上の障害が著しく、他の方法では障害を除去して共同生活の維持を図ることが困難なときです。
- 決議と訴え。他の区分所有者の全員が、集会の決議に基づき、訴えをもって請求します。2024年時点では、第59条第2項が準用する第58条により、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議です。あらかじめ弁明の機会を与えます。
- 先に試すこと。督促、書面、訴訟による請求、先取特権の実行など、他の方法を経ていない段階で、第59条を総会の見出しにはしません。
- 判決のあと。判決に基づく競売の申立ては、判決確定から6か月を過ぎるとできません。競売を申し立てられた区分所有者は、買受けの申出ができません。
管理費等の額と賦課徴収方法は、標準管理規約第48条第6号の総会決議事項です。滞納が多いからといって、理事会だけで額を変える形にはなりません。不足のときの一時金は、第61条第2項で、第25条第2項の負担割合により求めることができます。
管理会社へ収納を出しているときも、未収金の一覧と督促の記録は組合の書類です。契約の終了を打診されたときは、解約の申入れ期間は結んでいる契約書、決議は管理規約を先に見ます。標準管理委託契約書では「少なくとも三月前の書面による申入れ」がモデルです。
管理費の滞納そのものへの全国共通の補助金はありません。設備の改修の助成は、この記事の主題ではありません。年度の要綱は、工事の話として別に確認します。
自治会費は管理費ではありません。標準管理規約のコメントでも、自治会費を管理費等と一体で徴収しない考え方が示されています。滞納の一覧に自治会費を混ぜると、請求の根拠が分かりにくくなります。行を分けます。
使用料は標準管理規約第29条で、駐車場など敷地と共用部分等の使用料です。管理に要する費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てます。滞納しているのが管理費か、積立金か、使用料かを、請求書の行で分けます。第60条第1項は、この三つをまとめて徴収するモデルです。
総会通知は、標準管理規約第43条では2週間前です。区分所有法第35条は少なくとも1週間前で、規約による伸長だけができます。滞納者への請求の議案を総会に載せるときは、通知した事項だけが決議の対象です。区分所有法第37条です。
よくある質問
Q. 管理会社が請求しているので、債権者は管理会社ですか。
A. 債権者は管理組合です。管理会社は委託の範囲で収納を代行します。領収の名義と、口座の名義を契約書で確認します。
Q. 前の所有者が滞納した分は、新しい所有者へ請求できますか。
A. 特定承継人へも請求できます。区分所有法第8条と、標準管理規約第26条です。売買契約の特約は、組合の債権を消しません。
Q. 管理費の平均額を、滞納の目安にしてよいですか。
A. なりません。17,103円は全国の1戸月額の平均です。請求額は、自組合の規約と持分です。
Q. 滞納が続けば、すぐに競売できますか。
A. 第59条は、共同生活上の障害が著しく他の方法では除去困難なときの訴えです。金額だけでは足りません。理事会の決議による請求が先です。
Q. 納めた管理費を返してもらえますか。
A. 標準管理規約第60条第7項では、返還請求も分割請求もできません。自組合の規約が先です。
Q. 2026年4月の改正で、滞納の請求は変わりますか。
A. この記事は2024年時点の条文で書いています。改正後の新しい手続は、施行後の条文としては扱いません。自組合の規約と、その時点の法律を確認してください。
Q. 管理費と修繕積立金を、一つの口座で管理してよいですか。
A. 第28条第4項は区分して経理すると置いています。口座が一つでも、帳簿の行は分けます。充当の順序は第60条第5項です。
Q. 理事長が一人で訴訟を始められますか。
A. 第60条第4項は、理事会の決議により追行できると置いています。決議の議案に、相手、期、金額を書きます。
監事は、標準管理規約で業務の執行と財産の状況を監査し、総会に報告します。滞納一覧と残高証明を、監事の監査の材料にします。口頭の「だいたい」では、次期の理事長へ渡せません。
長期修繕計画の見直しは、ガイドラインでは5年程度です。滞納で入金が落ちている年は、計画の収入の行を、実際の入金と並べて総会資料に書きます。計画期間は30年以上、大規模修繕を2回以上含むのが記載の考え方です。段階増額の目安は、初期額が均等額の0.6倍以上、最終額が1.1倍以内です。節約額は、証券と見積もりの差額で確認します。
議事録は、標準管理規約第49条で議長と、議長が指名した出席組合員2人が署名します。滞納者への措置を総会で決めたときは、署名のある議事録の写しを、次の請求の添付資料にします。署名のない紙は添付しません。
まとめ
- 管理費等の負担は、区分所有法第19条の持分が出発点です。規約に別段があれば、その定めです。
- 徴収と督促、訴訟の追行は、標準管理規約第60条です。理事長は理事会の決議で組合を代表できます。
- 特定承継人への請求は第8条と第26条、先取特権は第7条です。売買の特約では組合の債権は消えません。
- 時効の期間は民法の定めです。戸、期、金額、書面の日付を先に残します。
- 第59条の競売は、滞納の金額だけでは足りません。本稿の基準日では、2026年4月施行の新規定には依拠しません。確認するのは本稿が示す時点の根拠です。
免責事項本記事は2024年時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。請求の相手、時効、訴訟はその管理規約、契約書、帳簿で確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

