マンションの玄関ドア鍵交換、費用負担は誰?宅建士が教える令和7年改正規約と手続き

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マンションの玄関ドア鍵交換、費用負担は誰?宅建士が教える規約と手続きの全知識

マンションの玄関ドアの鍵を交換したいとき、「費用は管理組合が出してくれるの?」「勝手に業者を呼んでもいい?」と疑問に思う方は少なくありません。紛失、故障、あるいは防犯性の向上など理由は様々ですが、分譲マンションには明確なルールが存在します。

宅地建物取引士・管理業務主任者の視点から、令和7年(2025年)に改正されたマンション標準管理規約に基づき、正しい費用負担と手続きを解説します。この記事は2026年9月5日時点の情報を反映しています。

目次

【結論】マンション玄関の鍵交換は原則「自己負担」

分譲マンションの玄関ドアの鍵交換で発生する費用は、理由(紛失・故障・盗難等)を問わず、原則としてその部屋の所有者(区分所有者)が負担します。管理組合が積み立てている修繕積立金から支払われることはありません。

根拠は標準管理規約「錠は専有部分」の定め

なぜ自己負担なのか、その法的根拠は国土交通省が示す「マンション標準管理規約(単棟型)」にあります。多くのマンションがこの雛形を採用しています。

(専有部分の範囲)第七条 2 対象物件のうち専有部分以外の部分(以下「共用部分」という。)は、次のとおりとする。 二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。 (出典:国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)」)

また、標準管理規約コメント第7条関係においても、玄関扉のうち錠および内部塗装部分以外の開口部(扉本体、枠等)は共用部分であると解釈されています。さらに修繕については以下の通り定められています。

(専有部分の修繕等)第二十一条専有部分の修繕等は、区分所有者の責任と負担において、これを行うものとする。 (出典:前掲同第21条3項)

つまり「鍵は個人の所有物(専有部分)」であり、「個人の所有物の維持管理は本人が行う」という原則が徹底されています。

玄関ドアの「共用」と「専有」の境界線

玄関ドアは、一枚の扉の中で負担区分が細かく分かれています。以下の表にまとめました。

箇所 区分 費用負担の原則
錠・シリンダー 専有部分 区分所有者(自己負担)
室内側の塗装・仕上げ 専有部分 区分所有者(自己負担)
扉本体・ドア枠 共用部分 管理組合(修繕積立金等)
丁番(蝶番)・ドアクローザー 共用部分※ 管理組合(修繕積立金等)
ドアスコープ・ドアガード 共用部分※ 管理組合(修繕積立金等)
室外側の塗装・仕上げ 共用部分 管理組合(修繕積立金等)

※標準管理規約コメントに基づき、開口部は原則共用部分とされますが、具体的な細分化は各マンションの管理規約・使用細則により異なる場合があります。

ケース別!費用負担と注意点

1. 紛失・盗難・経年劣化による交換

費用負担:自己負担 ご自身の鍵を紛失した場合や、経年劣化による動作不良の場合、交換費用は所有者の負担です。オートロック連動キーの場合、部品代のほかに「ID登録・システム設定費用」が発生することがあります。これらの事務手数料についても、管理組合の使用細則等で負担区分が定められているため、事前の確認が必要です。

2. 管理組合の負担になる例外ケース

「共用部分の雨漏りが原因で錠が腐食・故障した」など、故障の根本原因が明らかに共用部分の瑕疵(かし)にある場合は、管理組合の責任と負担で修繕される可能性があります。

勝手な交換は厳禁!承認手続きのフロー

標準管理規約第21条第1項により、専有部分の修繕(鍵交換等)を行う際は、あらかじめ理事長へ申請し、書面による承認を受ける必要があります。これは、防犯性能や外観の統一性を維持するためです。特に扉本体(共用部分)に穴を開けるなどの加工を伴う工事は認められない可能性が高いので注意しましょう。

マンションの鍵交換に関するQ&A

Q:賃貸マンションですが、自分で業者を呼んでいいですか? A:原則NGです。 賃貸の場合、鍵の所有権は貸主(オーナー)にあります。経年劣化なら貸主負担、紛失なら借主負担が一般的ですが、いずれも勝手に交換せず、管理会社やオーナーへ連絡し、指示を仰ぐ必要があります。

Q:火災保険は鍵交換に使えますか? A:盗難等の場合、補償対象となる可能性があります。 各保険会社の約款や特約(盗難等)の条件によります。単なる紛失や老朽化は免責となることが多いため、加入している保険の約款を必ずご確認ください。

【区分所有者・理事会向け】防犯助成金と管理の最適化

防犯助成金の活用

自治体によっては防犯対策として鍵交換の助成を行っている場合があります。例えば、過去には東京都中央区で「住まいの防犯対策助成」として補助錠等の設置費用の一部を補助する制度が実施されていました。こうした助成制度は、年度や自治体によって実施の有無、対象条件、補助額が大きく変動します。利用を検討する場合は、必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新の要綱を確認してください。 また、多くの管理会社は申請手続が煩雑なため提案を控える傾向にありますが、専門性の高い管理会社であれば、積極的にこれら助成金の申請代行を提案することが可能です。

相見積もりと管理会社選びの重要性

鍵交換の周知や助成金の提案能力は、管理会社の質を測る一つの指標です。管理会社の見直しで相見積もりを取る際、多くの会社(5~6社以上)へ依頼するのは逆効果になる場合があります。管理会社は1棟の見積もり作成のために、数回の現地調査や多岐にわたる外注先(警備・EV・消防等)との調整に多大な労力を割くからです。20~40戸程度の中小規模マンションでは、管理会社の参加意欲を削がないよう、2~3社程度に絞って依頼することが、精度の高い提案を引き出すポイントです。

【管理会社様向け】管理事業からの撤退・承継という選択肢

昨今、管理業界では人件費高騰や後継者不足から事業継続の検討に迫られるケースが見られます。事業からの撤退は、管理組合との契約解除交渉や労務リスクを伴う困難な作業です。

管理業界の事業承継を専門とする支援サービスを活用すれば、以下のメリットを得ながら円滑に事業をクローズできる場合があります。

  1. 管理組合とのトラブル回避: 専門家が仲介し、円満な引継ぎをサポートします。
  2. 既存協力業者の継続: 清掃や点検会社などの既存関係を維持し、管理の質を守ります。
  3. 費用面でのサポート: 撤退に伴う一定期間の人件費補助などの金銭的サポートが受けられます。

免責事項 本記事は2026年9月5日時点の法令および令和7年(2025年)改正のマンション標準管理規約等に基づいた一般的な情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的助言ではありません。最終的な判断は各マンションの管理規約および加入保険の約款、専門家(弁護士・マンション管理士等)の助言に基づき行ってください。

参考資料

  • 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)および同コメント」(令和7年改正)
  • 区分所有法 第7条、第21条、第39条

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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