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管理組合は、話合いだけでは解散できない
建物が残り、区分所有の関係が続いているあいだ、区分所有者は全員で、建物とその敷地、附属施設の管理を行う団体を構成します。この団体が、管理組合です。根拠は区分所有法第3条です。
次の理由の集会決議では、この団体をなくすことはできません。
- 管理が面倒
- 自主管理に移りたい
- 管理会社をやめたい
解散が問題になるのは、次の二つです。この記事では、その二つを分け、2026年4月1日に施行された改正後の決議の数え方を整理します。
- 管理組合法人の法人格を終わらせるとき
- 建物そのものを滅失・建替え・一括売却するとき
個別の清算は、弁護士と、主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所の手続で確認してください。
※本記事は株式会社MIJによる情報提供であり、自社サービスの紹介を含みます。決議は、自組合の管理規約の定めに従ってください。
法人でない管理組合と、管理組合法人
多くのマンションの管理組合は、法人登記をしていない団体です。この団体は、区分所有者がいることで成立しています。
- 総会で「解散する」と議決しても、区分所有者の管理義務と、管理費を負担する関係は残ります。
- 任意団体の解散届のような手続をしても、第3条の団体が消えるわけではありません。
管理組合法人は、第3条の団体が、次を定めて登記することで成立します。
- 集会の決議で、法人となる旨と名称と事務所を定める
- 主たる事務所の所在地で登記する
設立の決議は、区分所有法第47条です。
- 議決権を有しない者を除く区分所有者の過半数であって、議決権の過半数を有する者が出席する
- 出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上で決する
- 出席の割合は、規約で過半数より高くできる
- 各4分の3以上は、規約で下げられない
法人にすると、団体の名義で登記や契約がしやすくなります。法人にしたあとも、中身は区分所有者の団体です。法人格を外しても、建物が残っていれば、第3条の団体に戻るだけで、管理がなくなるわけではありません。
管理組合法人が解散する三つの事由
区分所有法第55条第1項は、管理組合法人の解散事由を三つに限っています。管理が負担だという理由は、この三つのどれにも入りません。
- 建物の全部の滅失
- 建物に専有部分がなくなったこと。例は、一人が専有部分の全部を取得し、専有部分が建物からなくなる場合です。
- 集会の決議
三つ目の集会の決議は、第55条第2項です。
- 議決権を有しない者を除く区分所有者の過半数であって、議決権の過半数を有する者が出席する
- 出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上で決する
- 出席に必要な割合は、規約で過半数より高くできる
- 各4分の3以上を、規約で過半数まで下げることはできない
2026年4月1日より前の「区分所有者および議決権の各4分の3」は、出席者ではなく全員を母数にする数え方でした。いまの解散決議は、定足数を満たしたうえで、出席した人の各4分の3です。
- この決議で外れるのは、法人格です。
- 建物が残っているときの解散決議は、管理組合そのものを消滅させる決議ではありません。
- 決議のあとも、区分所有者は第3条の団体として管理を続けます。
- 総会資料には「法人格を外す」と書き、管理費の負担が終わるとは書きません。
解散のあと、法人はすぐ消えない
第55条の2は、解散した管理組合法人が、清算の目的の範囲で、清算が結了するまで存続するとみなす、と定めています。解散の日に、通帳と契約が自動で消えるわけではありません。
清算人は、次のとおりです。破産手続開始の決定による解散は除きます。
- 原則は理事です(第55条の3)。
- 規約に別段の定めがあるとき、または集会で理事以外の者を選任したときは、その者が清算人になります。
- 清算人がいないとき、または欠けて損害のおそれがあるときは、裁判所が選任できます(第55条の4)。
清算人の職務は、次の三つです(第55条の6)。
- 現務の結了
- 債権の取立てと債務の弁済
- 残余財産の引渡し
債権者への知らせは、第55条の7です。
- 就職の日から二月以内に、少なくとも三回、官報で公告する
- 債権者に申出を求める。申出の期間は二月を下ることができない
- 知れている債権者は、公告だけでは除斥できない。各別に催告する
解散と清算は、裁判所の監督に属します(第56条の2)。管轄は、主たる事務所の所在地を管轄する地方裁判所です(第56条の3)。総会の決議だけで清算が終わったことにはなりません。監督の事件は、この裁判所へ確認します。
残った財産は、誰に帰属するか
解散した管理組合法人の財産は、規約に別段の定めがなければ、区分所有法第14条の持分割合と同じ割合で各区分所有者に帰属します(第56条)。
- 第14条の割合は、規約で別段の定めがなければ、専有部分の床面積の割合です。
- 標準管理規約(単棟型)第65条は、管理組合が消滅する場合の残余財産を、第10条の共用部分の共有持分割合に応じて各区分所有者に帰属すると定めています。
- 持分割合と修繕積立金の負担割合が大きく違うときは、衡平な清算になるよう規約で定めることが、標準管理規約のコメントで望ましいとされています。
- 第65条の本文自体は、別段の定めを読む条項ではありません。
建物が残っている状態で法人格だけを外す場合と、建物の滅失で団体そのものが終わる場合では、財産を分ける必要が違います。
- 法人格だけを外す。管理を続ける団体の財産として、通帳を引き継ぎます。
- 建物の滅失で団体が終わる。債務を弁済した残りを、規約と第56条に従って帰属させます。
総会資料で、どちらの解散かを一行目に書きます。一行目がないと、積立金を各戸へ分配する話と、法人登記を閉じる話が混ざります。
建物を終わらせる決議は、解散決議とは別
管理組合が事実上なくなるのは、建物の区分所有が終わるときです。建替えは、区分所有法第62条です。
- 議決権を有しない者を除く区分所有者および議決権の各5分の4以上で、建物を取り壊し、敷地などに新たに建物を建築する旨を決します。
- この5分の4は、出席した人の5分の4ではありません。母数は、議決権を有しない者を除いた区分所有者と議決権です。
- 規約で5分の4を下げる、とも書けません。
建物が、法務大臣の定める安全性の基準に該当するときは、この5分の4が4分の3になります。基準は、次の五つの類型です(第62条第2項)。該当するかどうかは、大臣の基準への当てはめです。古いから4分の3、とは書けません。
- 地震に対する安全性
- 火災に対する安全性
- 外壁などの剥離・落下
- 著しく衛生上有害となるおそれのある配管
- 高齢者・障害者等の移動の円滑化
建替えの招集と説明会は、通常の総会より長いです。
- 招集は、会日の少なくとも二月前に通知を発します。この二月は、規約で長くできます(第62条第6項)。
- 通知には、建替えを必要とする理由、建替えをしない場合に効用を維持・回復する費用とその内訳、修繕の計画があるときはその内容、積み立てている修繕積立金の額を含めます。
- 会日の少なくとも一月前までに、説明会を開きます(第62条第8項)。
決議で定めることは、次の四つです。分担と帰属は、各区分所有者の衡平を害しないように定めます。
- 新しい建物の設計の概要
- 取壊しと建築の費用の概算
- 費用の分担
- 新しい区分所有権の帰属
決議のあと、招集した者は、賛成しなかった区分所有者へ、建替えに参加するかどうかを書面で催告します。建替組合を作る道は、マンションの建替え等の円滑化に関する法律の手続であり、第55条の法人解散とは別です。
解散と間違えやすい手続
次の三つは、いずれも第3条の団体を解散する手続ではありません。
- 管理会社の契約を終えること
- 自主管理へ移ること
- 理事会を置かない管理へ移ること
契約の終了は、管理委託契約書の解約の予告期間と、総会で委託契約を決議するときの規約の条項を見ます。標準管理規約では、管理委託契約の締結は総会の決議事項です(第48条第十七号)。
- 別段の定めがなければ、委託契約の決議は区分所有法第39条の、出席した区分所有者(議決権を有しないものを除く。)およびその議決権の各過半数です。
- 標準管理規約第47条第2項は、普通の議事を出席組合員の議決権の過半数で決すると定めています。この定めが規約にあるときは、その定めに従います。
- 法人の解散決議の各4分の3を、管理会社の解約に使わないでください。使う決議が違います。
助成は、解散の決議そのものには全国共通のメニューがありません。工事や管理計画認定に、自治体の当該年度の要領があるかは、公式サイトで確認します。要領にない事業名で申請の代行を前提にしないでください。
解散を議案にする前の確認
議案の前に、登記事項証明書で法人であるかを見ます。
- 法人でなければ、第55条の解散は使えません。
- 法人であれば、名称、主たる事務所、理事、資産の科目を、直近の決算と照合します。
- 決算に載っていない通帳があれば、議案の前に残高を金融機関へ照会します。
債務の一覧も、決議の前に作ります。清算人は、これらの弁済が職務です。一覧がない決議は、残余財産の帰属だけを話し、債務が残ったまま分配の話に進みます。知れている債権者は、官報の公告だけでは足りず、各別に催告します。一覧は、その催告の宛先になります。
- 管理委託の未払い
- 工事の未払い
- 借入
- 未払の税金
法人格を外したあとの運営も、同じ議案書に書きます。契約の相手が法人名になっているときは、法人格を外す日と、契約の表示を変える日を揃えます。揃えずに解散だけを決議すると、契約の相手が登記上いなくなります。
- 理事長を区分所有法上の管理者とするのか
- 会計の名義をどう変えるのか
- 管理委託契約の相手方の表示を変えるのか
設立のときの決議と、解散のときの決議は、数え方が揃っています。どちらも、過半数の出席のうえで、出席した各4分の3です。設立を普通決議だと思っている議事録があると、解散も同じ誤りで案内されます。過去の設立時の議事録の数え方は、今回の議案の参考にはせず、いまの第47条と第55条第2項で数えます。
招集の通知は、区分所有法第35条により、会日の少なくとも一週間前です。この期間は規約で長くできます。標準管理規約第43条を使っている組合は、少なくとも二週間前です。解散を急ぐときも、一週間を切った通知にはしません。
- 通知には、法人格を外すこと、清算人を誰にするか、債務の一覧を添付することを、議案の要領として書きます。
- 通知の控えは、清算のファイルの最初に綴じます。
- 清算人を理事のままにする場合でも、議案に氏名を書きます。書かないと、登記上の理事と、実際に通帳を動かす人がずれたまま清算が始まります。
- 理事以外を清算人にするときは、その選任も同じ集会の決議に載せます。第55条の3は、集会で理事以外の者を選任したときは理事が清算人になる原則が外れる、と定めています。
よくある質問
Q. 管理会社をやめて自主管理にするのは、解散ですか。
A. 解散ではありません。委託契約の終了と、その後の管理体制の変更です。第3条の団体と、集会、管理費の負担は残ります。
Q. 法人の解散は、出席者の4分の3で足りますか。
A. 先に定足数があります。議決権を有しない者を除く区分所有者の過半数であって、議決権の過半数を有する者の出席です。そのうえで、出席した区分所有者およびその議決権の各4分の3以上です。4分の3は、規約で下げられません。
Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. 法人登記がされているか、管理規約の解散と残余財産の条項、直近の決算です。法人でなければ、第55条の解散決議の対象ではありません。
まとめ
- 建物と区分所有が残るあいだ、第3条の管理組合は話合いだけでは解散できません。
- 管理組合法人の解散事由は、全部滅失、専有部分がなくなったこと、集会の決議の三つです。
- 決議は定足数を満たした出席者の各4分の3で、4分の3は下げられません。
- 建物が残る解散は法人格を外す手続で、管理は続きます。
- 建替えは第62条の各5分の4で、安全性の基準に該当するときだけ各4分の3になり、招集は二月前です。
免責事項本記事は2026年9月時点の区分所有法に基づく一般的な説明であり、個別の清算、建替え、売渡しの助言ではありません。決議は管理規約、清算は管轄の地方裁判所、建替えの安全性の基準は法務大臣の定めへの当てはめで確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

