※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。
分譲マンションの維持には、法令で点検や報告が求められるものがあります。すべての共同住宅に、同じ一覧が当たるわけではありません。建築基準法第12条の定期報告は、特定建築物などが対象です。対象でない建物に、第12条の報告義務があるようには扱いません。周期と報告先は、特定行政庁の定めです。
- 組合の業務。標準管理規約第32条は、組合管理部分の保安、保全、保守、清掃などを管理組合の業務に置いています。
- 契約。誰が手配し、誰が立ち会い、報告書をどこに保管するかは、管理委託契約書または点検の契約書が先です。
- 費用。点検の円は、見積もりと契約書で確認します。費用の相場は見積書で確認します。
- 罰則の円。罰金の額は、所管の案内で確認します。報告書の日付と、対象かどうかの確認が先です。
法定点検|対象になる建物から確認する
この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
法定点検で先に開く書類
一覧表のコピーより、自組合の建物がどの点検の対象かを、書類で確認します。
- 建築確認と台帳。階数、延べ面積、用途。第12条の対象になるかは、特定行政庁の定めと、この数字です。
- 点検の契約書。消防、昇降機、受水槽、電気、浄化槽のうち、結んでいる契約の範囲。一式の欄は空欄のまま比べます。
- 最新の報告書。実施日、次回の予定、指摘の有無。指摘を放置したまま、次の総会資料に「実施済み」とは書き込みません。
- 管理委託契約書。建物・設備管理の行に、どの点検が入っているか。入っていない点検は、別契約です。
- 長期修繕計画。点検で出た劣化を、計画の見直しの材料にします。見直しは5年程度が目安です。
東京都のマンション管理状況届出は、昭和58年(1983年)12月31日以前新築で居住用独立部分6以上が対象です。届出者は管理組合です。届出と、第12条の定期報告は別の手続です。
管理計画認定は、管理者等が都道府県等の長に申請し、5年ごとに更新します。第48条第16号の総会事項です。認定を受けていれば点検が不要、という読み方はしません。
よく確認する点検の種類
条番号が抽出で確認できない法令は、条番号を書かず、内容だけ書きます。周期の数字は、根拠となる法令・告示で確認します。いまの契約書と、最新の報告書の日付が先です。
- 建築の定期報告。第12条は特定建築物、建築設備、防火設備、昇降機など、対象ごとに調査または検査と報告があります。対象でない建物まで、同じ周期で報告する義務があるようには扱いません。
- 消防用設備。消火器、自動火災報知設備などの点検と、消防署長への報告があります。機器の種類と、建物の用途で周期が分かれます。契約書の記載と、報告の控えを確認します。
- 受水槽。簡易専用水道に当たる受水槽では、定期の検査があります。有効容量などの要件は、所在地の水道の窓口と、設備の図面で確認します。
- 電気。高圧の受変電設備など、自家用電気工作物がある建物では、保安の規程と、選任した技術者による点検があります。低圧だけの建物に、同じ点検があるようには扱いません。
- 浄化槽。下水道が未整備で浄化槽がある建物では、保守、清掃、検査があります。公共下水道へ接続済みの建物に、同じ点検があるようには扱いません。
排水管の洗浄や外壁の美装は、法令上の点検一覧には入りません。詰まりや漏水を防ぐ任意の手入れです。長期修繕計画と、第48条第5号の決議で扱います。
アスベストの事前調査は、2023年10月から有資格者が行います。工事の前の調査であり、年次の法定点検の一覧とは別です。補助金額は、当該年度の要領で確認します。
法定点検の手配と見積もり
点検の手配は、管理会社に出しているときと、組合が直接契約するときがあります。どちらでも、報告書の宛名は組合です。
- 仕様。対象設備、資格、報告の提出先、立会いの要否を仕様書に書きます。
- 社数。同じ仕様で2〜3社です。5〜6社へ同時に出すと、20〜40戸程度では辞退が増えます。実務上の傾向であり、統計ではありません。
- 一式。金額が書けない欄は空欄のまま。金額が無い欄をゼロ円として合計しません。任意の提案は合計の外です。
- 現地。調査の回数を組合が決める性質のものではありません。
管理委託契約の四つの業務のうち、建物・設備管理の行に法定の点検が入っているかを見ます。入っていない行を、委託費の値下げの材料にだけ使うと、点検が落ちます。落とすときは、誰が別契約するかを役割表に書きます。
新しい管理会社と契約するときは、適正化法第72条の説明会、1週間前までの書面、主任者証の提示、書面への記名が要ります。点検業者との請負だけを替えるときは、第72条の管理受託契約の説明とは別です。
委託契約の締結は第48条第17号、第47条の普通決議です。点検の単年度の発注が、総会のどの号に当たるかは、自組合の規約と、金額の扱いです。理事会の専決の定めがあれば、その定めです。
総会資料と、止めないこと
役員のなり手が少ない年でも、対象の点検は止まりません。止まること自体が、次の総会で説明する事実になります。
- 報告。実施日、次回、指摘、是正の期限を表にします。口頭の「やった」では、次期理事会へ渡せません。
- 是正。指摘が共用部分の工事になるときは、第21条第1項の組合の管理、第28条の取崩し、第48条第10号の特別の管理を確認します。
- 配管。別表第2では、給水管は本管から各住戸のメーターまでが共用です。メーターより先はこの別表では共用ではありません。点検の対象と、修繕の負担を混ぜません。
- 計画。計画期間は30年以上、大規模修繕を2回以上含むのがガイドラインの考え方です。点検の指摘を、次の周期の材料にします。
法定点検そのものへの全国共通の補助金はありません。東京都マンション改良工事助成は、工事の例として名前だけ挙げます。金額は見積書で確認します。年度要綱が優先です。
管理費の全国平均は、令和5年度マンション総合調査で駐車場使用料等を含む1戸月額17,103円です。点検費の相場ではありません。修繕積立金は駐車場等を除く13,054円、区分経理は90.1%です。
総会通知は第43条で2週間前、区分所有法第35条は少なくとも1週間前です。議事録は第49条で議長と、議長が指名した出席組合員2人が署名します。
管理会社から契約の終了を打診されたときは、解約の申入れ期間は結んでいる契約書、決議は規約を先に見ます。標準は少なくとも三月前の書面です。点検の報告書と契約書は、終了日の引継ぎ表に書きます。空白の週に点検が落ちる形は避けます。
書面または代理人による議決権の行使は、区分所有法第39条第2項と標準管理規約第47条第7項で出席に算入します。点検の是正工事を総会に載せるときは、通知した事項だけが決議の対象です。第37条です。
監事は、業務の執行と財産の状況を監査し、総会に報告します。点検の報告書と、是正の見積もりを、監事の監査の材料にします。口頭の「問題なし」では、次期理事会へ渡せません。
自組合の規約が標準と違うときは、標準の条文番号ではなく、自組合の条文を総会資料に書きます。この規約例では管理組合を法人としていません。点検の手配の条件に、法人の登記は要りません。
集会は第34条で管理者が少なくとも毎年1回招集します。理事長は第38条第2項で区分所有法の管理者です。管理員が点検に立ち会っても、報告の名義人は組合です。
住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資は、管理計画認定で年0.2%の引下げがあります。節約額は、証券と見積もりの差額で確認します。融資の有無だけで、点検の対象は変わりません。
火災・地震等の損害保険料は第27条第5号の管理費の使途です。自治会費は含みません。点検の指摘を、保険の請求の材料にするときは、証券の約款です。保険金が必ず出るとは限りません。約款の支払事由で確認します。
よくある質問
Q. すべてのマンションに建築基準法第12条の報告がありますか。
A. ありません。第12条は特定建築物などが対象です。対象かは、階数、面積、特定行政庁の定めです。
Q. 排水管洗浄は法定点検ですか。
A. 法令上の点検一覧には入りません。任意の手入れです。計画と総会で扱います。
Q. 点検を出せば、理事の責任はなくなりますか。
A. なくなりません。手配と、報告書を読むのは理事会です。指摘の是正を総会または理事会のどの決議で扱うかを書きます。
Q. 点検の費用相場はいくらですか。
A. 金額や手続の細部は、規約・契約書・当該年度の要領で確認します。同じ仕様の2〜3社の見積もりで確認します。
Q. 点検に全国共通の補助金はありますか。
A. ありません。自治体の制度は年度の要綱です。
Q. 自主管理だと点検は不要ですか。
A. 不要にはなりません。対象かどうかは、建物と法令です。管理会社の有無ではありません。
Q. 第12条の周期は全国共通ですか。
A. 特定行政庁の定めです。全国共通の年数の有無は、根拠法令で確認します。所在地の窓口と、最新の報告書で確認します。
Q. アスベスト調査は毎年必要ですか。
A. 工事の前の事前調査です。2023年10月から有資格者です。年次の法定点検の一覧とは別です。
Q. 点検業者の変更も第48条第17号ですか。
A. 第17号は管理委託契約の締結です。点検の請負だけを替えるときは、自組合の規約と、理事会の専決の定めです。
候補の点検業者を理事会に呼ぶときは、資格、前回の指摘への対応、報告の提出先、立会いの要否を同じ紙で聞きます。答えは議事録の別紙に残します。
長期修繕計画の記載例では、外壁塗装・屋上防水などの大規模修繕は12〜15年、鉄部塗装は5〜7年です。義務ではありません。点検の指摘で前倒しするときは、その年の総会資料に理由を書きます。
段階増額の目安は、初期額が均等額の0.6倍以上、最終額が1.1倍以内です。点検費の増減だけで、積立金の額を理事会だけで変えません。額は第48条第6号です。
口座は、管理会社が通帳と印鑑を両方持たない置き方にします。保証には上限があります。上限の円は契約書で確認します。点検費の支払口座と、修繕積立金の口座を混ぜません。
専有の枝管を組合の工事に含めるときは、第21条第2項の総会決議と、各区分所有者の実費負担の記載が要ります。この条は、枝管を規約共用部分に変える条項ではありません。点検の対象が共用だから、枝管まで組合負担、とはしません。
開始日と終了日を揃えない管理会社の変更では、昇降機と消防の点検窓口が空白になります。短期延長を書面で確認します。自主管理へ暫定で移るときは、手配の担当を役割表に書きます。空白の月に報告期限が来るときは、その期限を日程表の先頭に置きます。
第24条で、組合が共用部分の損害保険を締結することを区分所有者が承認する形がモデルです。保険の更新は第17条の著しい変更ではありません。点検の指摘と、保険の証券は別の綴りに保管します。第24条の2で、保険金の請求と受領は理事長が代理します。
まとめ
- 建築基準法第12条は特定建築物などが対象です。すべての共同住宅に同じ報告があるわけではありません。
- 消防、受水槽、電気、浄化槽は、対象になる建物で行います。確認できない周期と罰則の金額は見積書で確認します。
- 先に開くのは、台帳、点検契約、最新の報告書、管理委託契約書、長期修繕計画です。
- 見積もりは同じ仕様で2〜3社、一式の欄は空欄です。報告書の宛名は組合です。
- 点検そのものへの全国共通の補助金はありません。排水管洗浄は法定点検ではありません。
第72条の説明会の開催日は、新しい管理業者との契約開始日より前に書きます。
免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。対象、周期、費用はその管理規約、契約書、特定行政庁の定め、見積もりで確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

