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エレベーター保守点検の費用相場と見直しガイド【2026年最新版】
マンションやビルの維持管理費において、大きな割合を占めるのがエレベーターの保守点検費用です。「この金額は適正か?」「もっと安くできないか?」と疑問に思う管理組合様やオーナー様は少なくありません。しかし、専門性が高く安全に直結するため、どこから手をつければ良いか分からないのが実情でしょう。
この記事では、宅地建物取引士および管理業務主任者の資格を持つ不動産の専門家が、2026年7月現在の法令・制度に基づき、エレベーター保守の費用構造、契約種別、業者の選び方、そして現実的な見直し手順を徹底解説します。
エレベーター保守の基礎知識:混同厳禁の2つの柱
費用を見直す前に、必ず押さえておくべき法的根拠と用語の違いがあります。
「法定検査報告」と「保守点検」は全くの別物

エレベーターの維持管理では、建築基準法に基づく義務と、任意契約に基づくメンテナンスが並走しています。
- 法定検査報告(建築基準法第12条第3項)
- 目的: 安全基準への適合性を有資格者が検査し、特定行政庁へ報告する法的義務です。
- 対象: 原則として建築物に設置された昇降機が対象ですが、労働安全衛生法に基づく性能検査を受けるものや、専用住宅内のホームエレベーター等、各自治体の細則により対象外となる例外もあります。詳細は所管行政庁の「定期報告制度」等を確認してください。
- 費用: 月額保守料とは別個に発生するのが一般的です。これを怠ると、建築基準法第101条に基づき、是正命令や罰則(過料等)の対象となる可能性があります(注:適用の有無は行政判断によります)。
- 保守点検
- 目的: 故障を未然に防ぎ、安全稼働を維持するための継続的なメンテナンスです。
- 根拠: 所有者と保守会社の間で交わされる保守契約に基づきます。
「毎月保守料を払っているから法的義務は果たせている」という誤解は、報告漏れのリスクを招きます。「定期検査報告書」と「保守点検記録」は別個の書類であることを認識しましょう。
契約形態と業者の種別:費用とリスクのバランス
契約形態:POGとフルメンテナンス(FM)
国土交通省の「エレベーター保守・点検業務標準契約書」(平成28年策定、令和6年一部改訂)でも示されている主要な2形式です。
| 契約形態 | 月額費用の目安 | 含まれる内容 | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|---|
| POG契約 | 1.5万~3.5万円 | 点検、消耗品(パーツ・オイル・グリス)代 | 月々の固定費を抑制できる | 高額部品の修理・交換は別途請求 |
| フルメンテナンス | 2.5万~5.0万円 | 点検+大部分の部品代・修理費 | 突発的な高額出費を防げる | 月々の固定費が高い。故障が少ないと割高 |
※費用はエレベーターのメーカー、階数、積載量、築年数により大きく変動します。上記は一般的なマンションの1基あたりの目安です。
業者の種別:メーカー系 vs 独立系

- メーカー系: 製造メーカーの系列。純正部品の供給がスムーズで技術情報も豊富ですが、費用は高めです。
- 独立系: 特定メーカーに属さない専門会社。競争原理によりコストが抑制される事例が多く見られます。一方で、会社によって最新機種の対応力や部品調達ルートに差があるため、実績の確認が不可欠です。
見直しの4ステップ:管理会社との良好な関係を維持するために
Step1:現状の契約内容を把握する

まずは手元の契約書を精査してください。特に以下を確認しましょう。
- 解約条項・更新条項: 何ヶ月前に通知が必要か。※現契約条項が最優先されます。
- 部品交換の範囲: FM契約であっても、巻上機や制御盤などの超高額部品が「対象外」となっていないか。
Step2:候補会社を2〜3社に絞り込む

相見積もりは2〜3社への依頼が現実的です。5社、6社と過度な見積もりを管理組合が求めると、管理会社の工数負担(現場立会い、仕様精査、理事会説明等)が激増し、特に20〜40戸程度の中小規模マンションでは「非効率な顧客」として管理会社から敬遠されるリスクがあります。
Step3:詳細な内訳を比較する
「一式」見積もりは絶対に避け、以下の比較表(Excel等で作成推奨)を用いて構造化された比較を行いましょう。
- 点検頻度、24時間緊急対応の有無、遠隔監視システムの有無、賠償責任保険への加入状況。
Step4:管理組合の合意形成
保守契約の変更は、原則として普通決議(区分所有法第39条)事項です。ただし、各マンションの管理規約に特別な定めがある場合は、規約が優先されます。必ず事前に自物件の規約を確認してください。
FAQ:よくある質問
Q:法定検査報告(建築基準法第12条)の費用が月額に含まれることはありますか?
A:極めて稀です。法定報告は所有者の義務であり、保守点検とは業務の性質が異なります。見積書で「別途料金」か「事務手数料込み」かを確認してください。
Q:メーカー系から独立系に変えるとPL法の責任はどうなりますか?
A:製品自体の欠陥による事故はPL法に基づきメーカーが責任を負いますが、整備不良など保守管理上の過失による事故は、契約に基づき保守会社(独立系含む)が責任を負います。そのため、独立系を選ぶ際は損害賠償責任保険の加入状況を確認してください。
実務ヒント:2026年時点の補助金情報について
リスタート運転機能や自動診断・仮復旧運転機能など、安全装置導入には助成金が活用できるケースがあります。
- 例:東京都「東京とどまるマンション エレベーター閉じ込め防止対策促進事業」(2026年度時点)
- 内容:リスタート運転機能や自動診断・仮復旧運転機能など、エレベーターの閉じ込め防止対策への補助。※補助対象、補助率(例:1/2以内)、上限額(例:200万円/基)は年度や自治体、要綱により変動します。必ず自治体の公式サイトで最新情報をご確認ください。
多くの管理会社は、手続きが煩雑な補助金申請を嫌がる傾向にありますが、弊社(株式会社MIJ)ではこれら補助金申請のサポートや提案も積極的にお引き受けしています。
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- 撤退時のトラブル回避: 法務・会計面を整理し、合意形成をサポートします。
- 既存業者の継続: 今までお付き合いのある清掃・点検会社との関係を可能な限り維持します。
- 費用面のサポート: 個別の状況に応じ、当面の人件費などを補助する支援などのスキームも提案可能です。詳細条件は直接お問い合わせの上、個別契約でご確認ください。
まとめ
エレベーター保守費用の見直しは、コスト削減だけでなく、建物の資産価値と安全を守るためのアップデートです。まずは「法定検査」と「保守点検」の違いを正しく理解し、2〜3社程度の適正な規模で比較検討を始めてみてください。
免責事項
本記事は特定物件への法的助言ではありません。契約変更の際は最新の法令・管理規約・現行契約書の内容を最優先し、必要に応じて専門家へご相談ください。
参考資料
- 建築基準法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省「昇降機の適切な維持管理に関する指針」(平成28年策定、令和6年一部改訂)
- 国土交通省「エレベーター保守・点検業務標準契約書」(平成28年策定、令和6年一部改訂)
- 東京都住宅政策本部「東京とどまるマンション エレベーター閉じ込め防止対策促進事業」
- 東京都昇降機安全協議会「定期検査報告制度」解説資料
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

