マンション管理組合と自治会の違い|加入と会費の扱い

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分譲マンションでは、区分所有者の団体と、地域の自治会(町内会)が並ぶことがあります。名前が似ていても、加入の仕方と会費の性質は別です。管理組合は区分所有法第3条で、区分所有者2人以上のときに当然に存在します。建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行う団体です。合意だけでは解散できません。

  • 組合員。専有部分を取得した区分所有者は、意思表示なしに組合員です。脱退の届出では外れません。
  • 自治会。居住者が任意に入る地縁の団体です。区分所有者だけでなく、賃借人も構成員になり得ます。入らない自由と、退会する自由があります。
  • 会費。管理費と修繕積立金は、マンションを維持管理する費用です。自治会費は、親睦や福祉、助け合いのための任意の負担です。
  • 法人。管理組合法人の設立は区分所有法第47条です。自治会の地縁法人とは別手続です。この記事の主題は、法人化ではありません。

この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

管理組合と自治会は別の団体

目次

管理組合と自治会|自治会費は管理費ではない

単棟型標準管理規約(令和7年10月17日改正)のコメントは、管理組合と自治会・町内会等を混同しないよう注意すると置いています。各居住者が各自の判断で自治会へ入るときに払う自治会費は、管理費等とは別のものです。第27条の管理費の使途11項目に、自治会費は入っていません。第5号は火災、地震等の損害保険料です。

  • 一体徴収。管理費と一緒に集めていても、自治会費は管理費に変わりません。
  • 区分経理。集めるときは、管理費の口座と行を分けます。令和5年度調査で、管理費と積立金の区分経理は90.1%です。自治会費も、管理費の項目には混ぜません。
  • コミュニティ。マンションや周辺の美化、防災、生活ルールの調整など、区分所有法第3条の管理の範囲内の活動は、組合の業務になり得ます。一部の者だけのサークルや、主として親睦の飲食は、管理の範囲を超えます。
  • 特定承継。規約第26条は、管理費等を特定承継人へ請求できます。自治会費は、この請求の対象ではありません。

管理費の額は、標準管理規約第48条第6号の総会決議事項です。普通決議は第47条です。規約に別段が無いときは区分所有法第39条です。自治会費の額を、管理費の議案の同じ行に載せません。第25条第2項は、管理費と積立金を共有持分で負担します。自治会費の分担の仕方は、自治会の会則です。

自治会費は管理費とは別の負担

一体で集めるときの四点

一体徴収でも加入は強制しない

標準管理規約のコメントは、自治会費等を管理費等と一体で徴収している場合の留意を四つ置いています。規約に「一緒に払う」と書いてあっても、この四点は残ります。

  • ア。自治会または町内会等への加入を強制するものとならないようにすること。
  • イ。加入を希望しない者から自治会費または町内会費等の徴収を行わないこと。
  • ウ。自治会費等を管理費とは区分経理すること。
  • エ。管理組合による代行徴収に係る負担について整理すること。振込手数料や事務の手間を、管理費から出すかを総会の資料に書きます。

最高裁判所は、自治会を加入と退会が自由な任意団体とし、退会の意思表示でその効力が生じると判断しています。退会した人へ会費の支払いを強制することは、この判断の先にありません。判決の日付は、該当する裁判例の一次情報で確認します。個別の請求は、その組合の徴収の仕方と、自治会の会則を見て、弁護士へ確認します。

名簿と総会の通知は分ける

組合名簿と自治会名簿は分ける

非法人の区分所有者名簿と居住者名簿は、標準管理規約第31条の2です。国内に住所がない区分所有者は、区分所有法第6条の2の国内管理人を選任できます。招集通知の届出は規約第31条の3です。自治会の回覧板の名簿と、組合の名簿は別です。回覧に載っていることだけで、自治会費の債務者にはなりません。

  • 招集。規約第43条は総会通知を2週間前とします。届出住所または国内管理人へ出します。掲示による代替は第3項です。自治会の回覧で総会通知を代える条項には、標準の第43条はなっていません。
  • 管理者。理事長は規約第38条第2項で区分所有法の管理者です。自治会の会長と兼ねていても、肩書は分けて議事録に書きます。
  • 監事。規約第41条は、業務執行と財産の状況を監査し総会に報告します。自治会費を代行徴収しているときは、区分経理の行を監査の対象に含めます。
  • 賃借人。組合員は区分所有者です。賃借人に自治会加入を求めることは、組合の管理費の請求とは別です。加入を強制する条項にはなりません。

管理組合が防災などの目的で自治会へ団体として関わるときは、その活動が区分所有法第3条の管理の範囲内かを、総会の資料に書きます。範囲内でも、退会した世帯から自治会費分を管理費に上乗せし続ける集め方は、コメントのイに当たります。

管理費と自治会費の会計を分ける

管理の目的内の活動と親睦は分ける

管理費の使途は規約第27条です。修繕積立金の取崩しは第28条です。自治会の行事の飲食を、積立金から出す事由には、第28条の六つの行はなっていません。管理費から出すときも、管理の目的の範囲と、一部の者だけが参加する行事かを分けます。

  • 決算。自治会費の預りと、管理費の収入を、同じ一行にしません。預り金なら、残高を注記します。
  • 滞納。管理費の滞納と、自治会費の未納は、請求書を分けます。規約第26条の特定承継人への請求は、管理費等です。
  • 保険。共用部分の損害保険料は管理費の使途に入ります。自治会の行事保険は、管理費の同じ行に混ぜません。
  • 委託。管理会社へ代行徴収を頼むときは、管理委託契約の業務の範囲に、自治会費が載っているかを見ます。載っていても、希望しない人から取る根拠にはなりません。

管理計画認定は、自治会の加入率を見る制度ではありません。東京都の管理状況届出は、昭和58年12月31日以前新築で居住用独立部分6以上の管理組合が届け出ます。自治会の加入状況の届出ではありません。

総会資料に書く項目と書かない項目

管理費の改定と、自治会費の依頼は、招集通知の議案を分けます。区分所有法第37条は、通知した事項のみ決議できます。規約で別段を置けますが、法律が特別の定数を定める事項は除きます。自治会費の額を、第48条第6号の管理費等の額の同じ議案に載せると、反対した人が管理費まで否決する材料になります。

  • 第43条。総会通知は2週間前です。再生等は2か月前です。自治会の行事の案内は、この期限の対象ではありません。組合の掲示板に行事を貼ることと、総会通知の代替は別です。
  • 第31条の2。区分所有者名簿と居住者名簿は、組合の名簿です。自治会の回覧用の名簿へ、組合の名簿をそのまま渡すかは、利用目的を総会の資料に書きます。
  • 第6条の2。国内に住所がない区分所有者の国内管理人は、招集通知の受領権限です。自治会の行事の出欠の代理人ではありません。
  • 第18条第6項。共用部分の損害保険契約は管理とみなされます。自治会の行事保険は、この管理には入りません。

標準管理規約第32条の業務のうち、マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上は、組合の業務です。以前置かれていた「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成」の表現は、定義のあいまいさから削除されています。削除のあとも、美化や防災など管理の目的内の活動は残ります。削除を、防災訓練まで止める根拠にはしません。

区分所有法第19条は、共用部分の負担を持分とし、規約で別段を置けます。自治会費を持分で割る定めは、管理費の負担割合ではありません。会則の分担と、規約第25条第2項の持分を、同じ表に混ぜません。第53条は、管理組合法人の財産で完済できない債務を、第14条の割合で区分所有者が弁済する規定です。自治会の借金へは使いません。この記事の主題は法人化ではありません。

管理会社へ代行徴収を頼むときは、適正化法第72条の重要事項説明の対象は管理受託契約です。自治会費の取扱いが書面に載っていても、希望しない人から取る根拠にはなりません。第76条の分別管理は、組合の財産です。自治会の通帳を、組合の収納口座と混ぜません。通帳と印鑑を同じ人が持たない原則は、預り金でも同じです。

賃借人が自治会を辞めたとき、管理費の請求先は区分所有者です。規約第26条の特定承継は、売買などの承継人への管理費等です。賃貸借の終了で自治会費の未納を、次の入居者へは引き継ぎません。理事長は規約第38条第2項の管理者として、管理費の請求と、自治会費の預りの領収を、帳票のタイトルで分けます。

よくある質問

Q. 規約に「自治会費を管理費と一緒に払う」とあれば拒否できませんか。
A. 会費の性質は管理費ではありません。希望しない人から自治会費を取らないことが、標準管理規約コメントの留意です。退会の自由を事実上制限する集め方は、争いの元です。

Q. 賃貸で入っています。自治会加入は必須ですか。
A. 自治会は任意です。管理費の支払い義務と、自治会への加入は別です。

Q. 管理組合を辞められますか。
A. 区分所有法第3条の団体は、専有部分を持っているあいだは外れません。売却などの特定承継で、次の区分所有者へ移ります。

Q. 自治会費の公式の月額はありますか。
A. ありません。会則と総会の資料で見ます。金額は見積書で確認します。

Q. 防災訓練の費用は管理費から出せますか。
A. マンション及び周辺の安全の維持や防災が、管理の目的の範囲内で行われるときは、組合の業務になり得ます。一部の者だけの飲食は、その範囲を超えます。総会の資料に対象と金額の行を分けます。

一体徴収をやめるときは、管理費の口座から自治会費の行を外す日を、総会の資料に書きます。引き落としの委託先、領収のタイトル、滞納の督促文を、同じ日に直します。督促文に自治会費が残っていると、希望しない人への請求が続きます。コメントのイは、希望しない人から取らないことです。やめる決議のあとも、帳票のタイトルを見ます。

理事長が自治会の役員を兼ねるときは、組合の印と自治会の印を分けます。総会の議長と自治会の集会の司会は、同じ議事録にはまとめません。区分所有法第42条の議事録は、組合の集会の記録です。自治会の出欠を、この議事録の出席者欄に混ぜません。監事の監査は、組合の財産です。自治会の残高は、預り金として注記するか、そもそも組合の帳簿に載せないかを、四点のエで整理します。

新しく入った区分所有者へ渡す案内には、管理費と積立金の額、引落しの日、自治会は任意であること、希望しない人から自治会費を取らないことを、別の段落で書きます。売買の重要事項説明は宅建士の説明です。組合の理事長が、自治会加入を売買の条件として約束する条項にはなりません。案内の文面は、理事会の承認を残します。賃借人向けの入居のしおりも、同じ四点を短い文で載せます。しおりの自治会の欄を、必須のチェックボックスにはしません。案内を配った日と、しおりの版を、理事会の議事録に残します。改訂したら旧版は廃棄せず、日付を書いて保管します。

まとめ

  • 管理組合は区分所有法第3条で当然に存在し、自治会は任意の地縁団体です。
  • 自治会費は管理費ではありません。第27条の使途にも入っていません。
  • 一体で集めるときは、強制しない、希望しない人から取らない、区分経理、代行の負担の整理、の四点です。
  • 最高裁は自治会の加入と退会が自由だと判断しています。日付は、根拠資料の表記で確認します。
  • 美化や防災など管理の目的内の活動は組合の業務になり得ます。親睦の飲食は目的を超えます。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。会費の徴収は、その管理規約、契約書、見積もりで確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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