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分譲マンションの玄関ドアの鍵を替えるとき、費用の負担と、理事長への申請は別の話です。単棟型標準管理規約(令和7年10月17日改正)第7条第2項第二号は、玄関扉のうち錠と内部塗装部分を専有部分とします。錠の交換費用は、原則としてその区分所有者が出します。扉本体に穴を開ける加工は、共用部分の工事です。
- 第7条。天井・床・壁は躯体を除く部分が専有。玄関扉は錠と内部塗装が専有。窓枠と窓ガラスは専有に含まれません。
- 第17条。共用部分または他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕等は、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けます。
- 第21条。共用部分の管理は管理組合です。バルコニー等の専用使用に伴う通常の保存は、専用使用権を有する者の負担です。
- 第22条。開口部の防犯・防音・断熱等の改良は、組合が計画修繕として実施します。
- 円。鍵交換の全国相場と呼べる公的な統計はありません。金額の目安は、見積書で確認します。
使う規約が標準と違うときは、その第7条相当の条文を先に開きます。別表第2に玄関扉の行があるかも、同じときに見ます。この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

玄関ドアの鍵交換|錠は専有、扉は共用
第7条第2項は、専有部分を他から区分する構造物の帰属を決めています。玄関扉は、その二号です。
- 専有。錠。内側の塗装部分。第3項で、専有部分の専用に供される設備のうち、共用部分内にある部分以外のものも専有です。
- 共用。錠と内部塗装を除く玄関扉。窓枠と窓ガラス。第22条のコメントは、これらを開口部として共用部分に扱う、と書いています。
- 専用使用。第14条は、バルコニー、玄関扉、窓枠、窓ガラス等に専用使用権があることを、区分所有者が承認します。使う権利と、所有の帰属は別です。
- 自組合の規約。原始規約が第7条と違う書き方をしているときは、その条文が優先します。細則で鍵の種類を定めている組合もあります。
丁番、ドアクローザー、ドアスコープを、この第7条は名前で分けていません。扉本体に付く部品は、開口部の共用として扱うことが多い、という読み方はできます。断定して費用を割り当てる前に、自組合の規約と別表第2を見ます。
第21条第1項本文は、敷地および共用部分等の管理を組合の責任と負担とします。ただし書は、バルコニー等の保存行為のうち通常の使用に伴うものを、専用使用権を有する者の負担とします。錠の交換は、このただし書の「通常の使用に伴う保存」ではなく、第7条の専有の修繕として読むのが、標準の建付けです。

交換の前に、第17条の承認を取る

専有部分の修繕等の条文は第17条です。第21条は共用部分の管理です。第21条第3項を、専有の修繕の条文だとは読みません。
- 第1項。共用部分または他の専有部分に影響を与えるおそれのある修繕、模様替え、取付け、取替えは、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けます。
- 第2項。設計図、仕様書および工程表を添付した申請書を、理事長に提出します。
- 第3項。承認または不承認は、理事会の決議で決めます。理事長の独断ではありません。
- 第4項。承認があったときは、承認の範囲内で、専有部分の修繕等に係る共用部分の工事ができます。扉に穴を開ける加工は、この範囲に入るかが論点です。
- 第5項。理事長またはその指定を受けた者は、必要な範囲で修繕等の箇所に立ち入れます。区分所有者は、正当な理由がなければ拒否できません。
同じ錠への取替えでも、オートロックの配線や電気錠の制御盤に触れる工事は、共用部分に影響を与えるおそれがあります。影響が無いと自分で判断して着工しません。紛失の当日に業者を呼ぶときも、事後に第17条の申請を出すのか、細則の緊急の手続があるのかを、理事会が決めておきます。
第17条第6項は、承認を受けた工事のあと、共用部分または他の専有部分に影響が生じたときは、発注した区分所有者の責任と負担で必要な措置を取る、と定めています。交換した錠が閉まらない、扉が歪む、隣接戸の枠に触れる、といった不具合は、この項の対象です。第7項は、承認を要しない修繕等でも、業者の立入りや騒音など、組合が事前に把握する必要があるものは、理事長へ届け出ます。シリンダーだけの取替えでも、共用廊下での作業時間を届け出る細則を置いている組合があります。
申請書に書くのは、住戸番号、工事日、業者名、錠の型番、扉への穴あけの有無、オートロックとの連動の有無、作業中の共用廊下の使用です。型番が空欄の申請は、第17条第2項の仕様書が欠けています。承認の前に着工した工事は、第21条第5項の考え方(無承認の保存行為の費用は行った者が負担)とは条文が違います。第17条の承認が無い着工は、原状回復の請求の対象になり得ます。
第23条第4項は、災害または事故により、共用部分または他の専有部分に重大な影響を与えるおそれがある緊急のとき、理事長が立ち入る、または委任した者に行わせることができます。鍵の紛失そのものは、この緊急の立入りの典型ではありません。共用のオートロックが使えなくなった事故とは、分けて記録します。
開口部の改良は第22条

防犯性能の高い錠への一斉交換や、玄関扉そのものの更新は、第7条の「錠の個人交換」とは別の議案です。
- 第22条第1項。共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事で、防犯、防音または断熱等の性能の向上等に資するものは、組合がその責任と負担において、計画修繕として実施します。コメントは、玄関扉については錠および内部塗装部分を除く、と書いています。
- 第2項。組合が第1項の工事を速やかに実施できないときは、区分所有者があらかじめ理事長に申請して承認を受け、自己の責任と負担で実施できます。承認の判断は理事会です。
- 一斉交換。標準管理規約第47条のコメントは、窓枠、窓ガラス、玄関扉等の一斉交換工事を、普通決議で実施可能な例に挙げています。形状または効用の著しい変更になるかは、工法を見て分けます。
- 積立金。計画修繕は第28条第1項第1号です。取崩しは第48条第10号の総会です。錠の個人交換を、この取崩しに混ぜません。
第9条の瑕疵の推定は、設置または保存の瑕疵で他人に損害が生じたとき、その瑕疵は共用部分にあると推定する、という区分所有法の定めです。共用部分の雨漏りが錠を傷めた、という主張は、事実の証明の話です。推定があるから組合が必ず錠代を出す、という条文ではありません。
理事会が細則で決めておくこと

- 申請の様式。第17条第2項の添付(仕様書、工程表)を、鍵交換用に短くした用紙を置きます。型番と、扉への加工の有無を書かせます。
- 使える鍵。オートロックと連動する鍵の種類、複製の可否、マスターキーの有無を細則に書きます。
- ID登録。電気錠やカードキーの登録を管理会社が行うときの費用負担は、管理委託契約と細則です。金額は見積書で確認します。
- 緊急の紛失。夜間に業者を呼んだあとの報告期限と、翌日の第17条の申請を決めておきます。
- 保険。盗難で錠を替えたときの補償は、加入している保険の約款です。紛失や経年を補償するかは、約款の支払事由で確認します。
区分所有法第6条第2項は、保存または改良のため、他の専有部分の使用や保存の実施を請求できる、と定めています。実力で入る権利ではありません。損害があれば償金です。鍵業者を隣戸へ入れたいときは、この請求と第23条の手続です。
鍵交換向けの全国共通の制度はありません。自治体の要綱は年度で変わります。区の制度名と金額は、当該区の公式サイトの要領で確認します。
管理会社の変更や相見積もりは、錠の個人交換の主題ではありません。委託契約の見直しを、鍵の細則と混ぜた議案にはしません。
全戸の錠を替える議案を出すとき
個人の紛失交換と、全戸の防犯改良は、総会の議案を分けます。混ぜると、第37条の通知した事項がぼやけます。
- 計画の行。長期修繕計画に、開口部または玄関扉の行があるかを見ます。無ければ、第48条第5号の計画の変更を先に出します。
- 費用の科目。第28条第1項第1号の計画修繕か、第3号の改良かを、議案に書きます。個人の錠代を、この行に足しません。
- 定数。形状または効用の著しい変更でなければ、第47条第2項の普通決議です。著しい変更なら第3項の各4分の3です。扉の色と形状を大きく変える工法は、図面で分けます。
- 各戸の錠。組合が扉本体を替える工事でも、各戸の錠を新しい扉に合わせる作業は、専有の範囲です。各戸の実費にするか、一体工事として第21条第2項で組合が行うかは、議案に書きます。第21条第2項は専有部分である設備のうち共用と構造上一体となった部分を、共用の管理と一体で行うときの条文です。錠がこの「設備」に当たるかは、工法の説明が要ります。当たると決められないときは、各戸の実費として分けて書きます。
総会の通知は第43条で少なくとも2週間前です。見積もりの有効期限が総会の前に切れる数字は、通知に使いません。本記事では見積もりの円を置きません。工事中に専有部分へ入る範囲は、第23条の請求に住戸ごと書きます。不在の住戸は、国内管理人の届出(標準管理規約第31条の3)があるかを先に見ます。第31条の3は規約の届出条文であり、区分所有法第6条の2の法律そのものではありません。
よくある質問
Q. 鍵を紛失しました。組合の積立金から出せますか。
A. 第7条第2項第二号の錠は専有です。紛失による交換は、その区分所有者の負担です。第28条の計画修繕には当たりません。
Q. 業者を自分で呼んでよいですか。
A. 共用または他の専有に影響を与えるおそれがあるときは、第17条の承認が先です。扉に穴を開ける加工は、承認の範囲を理事会が決めます。
Q. 賃貸で住んでいます。自分で交換できますか。
A. 分譲の区分所有者と、賃借人では立場が違います。占有者は第5条第2項で、使用方法について区分所有者と同一の義務を負います。貸与するときは第19条で、規約と細則を第三者に遵守させます。交換の申請は、所有者を通すのが原則です。本記事の主題は分譲の管理組合です。
Q. 防犯のために全戸の扉を替えたい。
A. 第22条第1項の計画修繕です。一斉交換は、コメントでは普通決議の例です。錠だけを各戸が替える話と、議案を分けます。
Q. 第21条第3項が、専有の修繕の条文ですか。
A. 専有の修繕等は第17条です。第21条第3項は、共用部分の保存行為を区分所有者が行うときの申請です。
Q. 内側の塗装を自分で塗り替えてよいですか。
A. 内部塗装部分は第7条第2項第二号の専有です。外側の塗装は開口部の共用です。外側の色を変える塗装は、第17条または第22条の対象です。
Q. マスターキーを、理事長が持ってよいですか。
A. 標準の条文に、理事長が全戸のマスターキーを持つ定めはありません。緊急の立入りは第23条第4項です。鍵の保管を細則で決めるときは、通帳の印鑑と同じく、一人に集めません。
まとめ
- 玄関扉の錠と内部塗装は、第7条第2項第二号の専有です。交換費用は原則として区分所有者です。
- 錠と内部塗装を除く扉は共用です。専用使用権は第14条です。
- 影響のおそれがある修繕等は、第17条で理事長に申請し、理事会が承認します。
- 開口部の防犯等の改良は第22条の計画修繕です。個人の錠交換と混ぜません。
- 金額と自治体の制度名は、当該年度の要領と見積書で確認します。負担は規約と細則で確認します。
免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。境界、承認、負担は、その管理規約、使用細則、見積もりで確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

