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2026年施行・区分所有法改正の要点|管理組合が決議要件緩和に向けて備えるべき重要アクション
老朽化が進むマンションの管理組合役員にとって、「建替えや大規模修繕が必要なのに、総会で合意が得られない」という悩みは深刻です。特に所在不明の区分所有者や無関心層により、重要な意思決定が停滞するケースは少なくありません。
こうした膠着状態を打開するため、「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第47号)」が2025年(令和7年)5月23日に成立し、同月30日に公布されました。本改正法のうち、区分所有法の改正部分は2026年(令和8年)4月1日に施行されました。
本記事では、宅地建物取引士・管理業務主任者の視点から、最新の改正法に基づき、決議要件がどう変わるのか、管理組合が今から準備すべきアクションプランを解説します。
区分所有法改正の要点まとめ:決議要件はこう変わる
法務省および国会での審議を経て成立した今回の改正法は、老朽化マンションの意思決定を円滑にするための抜本的な変更を含んでいます。
ポイント1:裁判所の決定による所在等不明所有者の除外(新設:区分所有法第38条の2)

現行法では、建替え決議などで「全区分所有者」を分母(総数)に含めるため、相続未了や海外移住で連絡が取れない「所在不明者」が一人でもいると、賛成票が足りず可決できない問題がありました。
改正法では、一定の調査を尽くしても所在が確認できない区分所有者について、管理組合が裁判所に申し立て、その決定を得ることで、集会の決議の分母から除外できる仕組みが導入されます。これは権利を奪うものではなく、正当な手続きを経て意思決定を可能にするための調整です。ただし、裁判所への申し立てや公告などの厳格な手続きが必要となります。
ポイント2:建替え決議や特別決議の要件緩和(区分所有法第39条・第62条関連)
マンションの建替えには「区分所有者及び議決権の各5分の4以上」という極めて高いハードルがありました。今回の改正では、耐震不足等の一定の要件を満たす場合に加え、所在不明者を除外した上での緩和が整備されます。
特に注目すべきは、「出席した区分所有者及びその議決権」を基準とした特別多数決(出席者の4分の3以上など)によって決議できる類型が新設された点です。これにより、いわゆる「無関心層(欠席者)」によって決議が否決される事態を防ぎやすくなります。
【比較表】建替え・重要決議の変更要約(※原則的な方向性)
※表の詳細は現行法第62条と改正後の緩和要件(4分の3への引き下げ等段階的緩和)を比較したものです。
| 項目 | 改正前(現行法) | 改正後(2026年4月1日施行) |
|---|---|---|
| 建替え決議の基本要件 | 全区分所有者および議決権の各5分の4以上 | 同要件を維持しつつ、所在不明者の除外手続きにより実質緩和 |
| 所在等不明者の扱い | 原則として「反対票」扱いになる(分母に含まれる) | 裁判所の決定により分母から除外可能(新設:第38条の2) |
| 出席者ベースの決議 | 原則なし(全区分所有者が対象) | 所在不明者除外等の手続き後、「提出された議決権の4分の3」等での決議を可能にする規定を整備 |
※注:集会の決議要件については、区分所有法の規定に加え、各マンションの管理規約の定めが優先される(区分所有法第39条)場合があるため、自組合の規約確認が必須です。
背景:なぜ今、法改正が必要だったのか?
問題1:急増する「築40年超マンション」の課題

国土交通省の統計によれば、築40年を超える高経年マンションは2022年末時点で約125.7万戸ですが、20年後の2042年末には約445.0万戸(約3.5倍)に急増すると推計されています。建物の老朽化は外壁落下や漏水だけでなく、災害時の倒壊リスクという安全性の危機に直結します。
問題2:所有者の高齢化と「無関心層」の増加
所有者の高齢化や相続に伴う所在不明化、賃貸化による無関心層の増加により、現行の「高すぎる決議要件」では修繕や建替えが一切進まない事態となっていました。今回の法改正は、こうしたマンションの「死活問題」を解消するためのセーフティネットと言えます。
改正を見据えて管理組合が今すぐやるべき3つのアクション
アクション1:適切な相見積もり(2〜3社への絞り込み)

管理会社の変更や大規模修繕の際、相見積もりは重要ですが、20〜40戸程度の中小規模マンションで5社も6社も依頼するのは避けるべきです。管理会社の見積もり作成には、3〜4回の現地調査や各種外注先(エレベーター、清掃、警備等)との調整など多大な労力がかかります。過度な社数への依頼は「受注確率が低い」と判断され、真剣な提案を辞退されるリスクがあります。実務上は信頼できる2〜3社に絞って依頼するのが、質の高い提案を引き出す現実的な運用例です。
アクション2:助成金・補助金の最新情報の確認
「東京都〇〇区」といった自治体ごとに、耐震改修や省エネ化の助成金は存在しますが、これらは年度ごとに予算や要件が大きく変わります。「2024年度の制度が2026年度にも存在する」保証はありません。通常の管理会社は手間がかかる申請代行を敬遠しがちですが、株式会社MIJのように、管理組合の資産価値向上のために補助金申請を積極的に提案・支援する事業者も存在します。
アクション3:管理会社の突然の「撤退リスク」への備え(BCP)

人手不足等を背景に、管理事業から撤退する企業が増えています。こうした緊急事態に備え、事業継続計画(BCP)の視点を持つことが重要です。株式会社MIJでは、管理事業からの撤退を検討する企業に対し、スムーズな引き継ぎを支援するサービスを提供しています。
- 撤退時のトラブル回避: 管理の空白期間を作らず後継へ繋ぐ。
- 既存業者の継続: 今まで付き合いのある清掃・点検会社を維持できるよう調整。
- 撤退費用のサポート: 撤退企業に対し当面の人件費を補助するなど、円滑な承継を促す仕組み。
管理組合としては、万が一の際にこうした「承継支援サービス」があることを知っておくことが、将来の安心材料になります(※利害関係のない一例としての紹介です)。
Q&A|区分所有法改正と実務の疑問
Q. 改正法が施行されたら、反対派の意見は無視できますか?
A. 無視はできません。 法改正は手続きの円滑化であり対話の不要化ではありません。強引な多数決は将来の訴訟リスクを招きます。改正後も専門家を交えた丁寧な合意形成プロセスが不可欠です。
Q. 管理会社から撤退を告げられたらどうすべき?
A. まずは「管理委託契約書」の解約予告期間(通常3ヶ月前等)を最優先で確認してください。 その上で、前述の承継支援サービス等を活用し、速やかに後任選びに着手する必要があります。
Q. 配管更新で「SRCT工法」と「一般的な更新」どちらが安い?
A. 条件によりますが、SRCT工法のほうが約40%安くなる傾向にあります。 理由は、既存の配管内部を研磨・コーティングすることで、壁を壊す工事範囲を最小限に抑えられ、工期も短縮できるためです。
まとめ:法改正を資産価値維持の追い風に
- 法改正施行済み: 区分所有法の改正部分は2026年4月1日に施行。
- 所在不明者除外: 裁判所の決定を経て、決議の分母から除外が可能になる。
- 意思決定の円滑化: 出席者ベースの決議要件などが整備される。
法改正はチャンスですが、最終的な判断は各組合の規約や状況に左右されます。施行を待つ間に、現在の管理委託契約の精査や、補助金活用、BCPの検討を始めましょう。具体的な手続きについては、弁護士やマンション管理士などの専門家へ相談することをお勧めします。
免責事項
本記事は2026年7月31日時点の公的情報に基づき作成されています。実際の施行状況や具体的条文の適用については、必ず法務省の公式サイトや官報等の一次情報を確認してください。本記事は一般的な情報提供であり、個別具体的な事案への法的助言ではありません。最終判断は専門家への相談のもと行ってください。
参考資料
- 法務省「区分所有法等の一部を改正する法律について」(改正法概要ページ)
- 国土交通省「マンション政策・関連法令について」(改正概要PDF等)
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

