管理組合の印鑑廃止と電子署名導入ガイド:4ステップで負担軽減

電子署名に反対する役員がいても、議事録が無効にならないことを解説するQ&A図解。区分所有法で定められた署名義務者は「議長および出席区分所有者2名」の計3名であり、この最小要件を満たせば議事録は法的に有効であることを提示。反対者がいても直ちに効力を失わないという安心感を読者に与える。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

マンション管理組合の印鑑廃止と電子署名導入

マンション管理組合の運営において、理事長の交代は避けて通れないイベントです。そのたびに発生するのが、金融機関での代表者変更とそれに伴う銀行印の届出変更手続き。この煩雑な作業は、理事の大きな負担となっています。この課題を解決する手段として今、管理組合での印鑑廃止と電子署名導入が注目されています。

しかし、電子署名を導入すれば全ての印鑑が不要になるわけではありません。特に、議事録を電子データで作成する場合、電子署名は法的な”義務”となることをご存知でしょうか。

この記事では、宅地建物取引士の視点から、区分所有法や電子署名法といった法的根拠に基づき、管理組合における電子署名導入のメリットと注意点、具体的な導入手順を網羅的に解説します。理事長交代時の負担を軽減し、持続可能で効率的な組合運営を実現するための第一歩を踏み出しましょう。

目次

なぜ今、管理組合で印鑑廃止・電子署名導入が注目されるのか?

管理組合運営のデジタル化が求められる背景には、役員の負担増や管理業務の非効率といった、多くの組合が抱える共通の課題があります。特に印鑑にまつわる問題は深刻です。

課題1:理事長交代のたびに発生する銀行印の変更手続き

管理組合の最も大きな課題の一つが、理事長の任期満了に伴う銀行印の変更手続きです。
多くの金融機関では、代表者である理事長が交代するたびに、以下の手続きが求められます。

  • 新しい理事長の本人確認書類
  • 総会の議事録(新理事長が選任されたことを証明する書類)
  • 管理規約
  • 新しい届出印

これらの書類を揃え、新旧理事長が平日の日中に銀行窓口へ出向く必要があり、時間的・身体的な負担は計り知れません。電子署名を導入し、議事録の正当性を担保することは、こうした手続きを将来的に簡素化していくための重要な布石となります。

課題2:印鑑の物理的な管理リスクと押印のための手間

理事長の印鑑(実印や銀行印)は、組合の財産を動かす重要なものです。その物理的な保管と引き継ぎには、常に紛失や盗難、悪用のリスクが伴います。

また、理事会議事録や各種契約書への押印のために、役員がわざわざ集まったり、書類を持ち回りしたりする手間も無視できません。ペーパーレス化と電子署名導入は、これらのリスクと手間を根本から解消する可能性を秘めています。

課題3:ペーパーレス化による管理業務の効率化ニーズ

大量の紙媒体の書類(議事録、会計報告書、見積書など)の印刷、配布、保管には多大なコストと労力がかかります。書類の保管スペースも有限であり、過去の書類を探し出すのも一苦労です。

電子署名を活用して議事録をはじめとする文書を電子化できれば、これらの業務を大幅に効率化できます。検索性が向上し、必要な情報にいつでもどこでもアクセスできる環境は、迅速な意思決定と透明性の高い組合運営に繋がります。

【法的根拠】管理組合の電子署名は任意ではない?区分所有法と電子署名法の重要ポイント

電子署名の導入を検討する上で、「何となく便利そうだから」という理由だけでは不十分です。法律上のルールを正確に理解することが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

【宅建士の視点】
電子署名の導入は、単なる効率化ツールではなく、法的な正当性を確保するための重要な手続きです。特に、議事録を電子化する場合のルールは厳格に定められており、安易な自己判断は危険です。

ポイント1:議事録を「電磁的記録」で作成する場合、電子署名は“義務”

まず最も重要な点を押さえましょう。区分所有法第42条第4項により、集会議事録を『電磁的記録』で作成する場合、当該電磁的記録には電子署名が義務づけられます。一方、紙の議事録をスキャンして電磁的方法で保管・閲覧する場合には、電子署名は不要です。つまり『作成段階で電磁的記録を選択した場合』に限定されることが重要です(出典:国土交通省「マンション標準管理規約 コメント」p. 45)。

「電子署名を使っても使わなくてもよい」という任意選択ではなく、「電子データで作成するなら、電子署名は必須」というルールです。このため、「電子署名を任意とする」といった内容の管理規約改正は法令違反となり無効です。

ポイント2:電子署名の法的効力と「真正成立の推定」とは

では、なぜ法律は電子署名を義務付けているのでしょうか。それは、電子署名法第3条に定められた「真正成立の推定」という効力があるからです。

用語の整理

  • 電子署名とは:電子データが「誰によって作成され(本人性)」「改ざんされていないか(非改ざん性)」を証明する技術的な仕組みです。メールの署名欄のような単なるテキストとは全く異なります。
  • 真正成立の推定とは:適切な電子署名がなされた電子文書は、本人の意思に基づき、押印された紙の文書と同様に「本物」であると法的に推定される効力のことです。この推定効は、法的には以下の意味です:(1)本人による署名があれば、『本人が存在し、行為能力がある』ことが推定される(民事訴訟法§228と共通)。(2)本人による『適切な』電子署名があれば、『文書が真正な成立をした』(=本人の意思で作成され、改ざんされていない)ことが推定される。この推定効により、裁判で『議事録が本物である』ことの立証責任が、組合から相手方に転換されます。推定効がない場合、組合側が『本物であり改ざんされていない』ことを能動的に証明する必要があり、デジタルフォレンジック等高額な調査費用が発生するリスクがあります。

もし将来、議事録の内容を巡って訴訟などの紛争が起きた場合、この「真正成立の推定」が極めて重要になります。電子署名があれば、議事録が本物であることを管理組合側が簡単に証明できます。逆に電子署名のない単なるPDFファイルでは、その証明責任を組合側が負うことになり、敗訴のリスクが高まります。

ポイント3:署名が必要なのは誰?「議長を含む3名以上」でOK

議事録に署名が必要なのは誰でしょうか。区分所有法では、議長および集会に出席した区分所有者の2名が署名・押印すると定められています(出典:区分所有法 第42条第3項)。

これを電子署名に置き換えた場合も同様で、原則として議長と出席区分所有者2名の計3名が電子署名を行えば法的要件を満たします。区分所有法第42条第3項では、集会議事録の署名者として『議長および出席した区分所有者2名以上』を定めており、この3名(以上)が最小基準です。

管理規約でこの基準を上回る人数(例:理事全員5名)を定めることは法令に違反しません が、3名より少なくする改正は区分所有法に抵触し、改正規約は無効となります。電子署名方式に変更する場合も、この署名者数の基準は変わりません。これにより、一部の役員がITに不慣れで電子署名に対応できない場合でも、他の対応可能な役員で要件を満たすことが可能です。

電子署名導入で「できること」と「できないこと」の境界線

電子署名導入は万能ではありません。法的な制約や実務上の壁も存在します。導入後に「こんなはずではなかった」と後悔しないよう、事前にその適用範囲を正確に理解しておきましょう。

【できること】総会議事録、理事会議事録の電子化

電子署名の最も主要な活用場面は、総会および理事会の議事録の電子化です。
前述の通り、区分所有法で定められた要件を満たすことで、紙の議事録と同等の法的効力を持つ電子議事録を作成・保管できます。これにより、以下のメリットが生まれます。

  • 押印のための書類の回覧が不要になる
  • 印刷・郵送コストが削減できる
  • ペーパーレス化により保管スペースが不要になる
  • 過去の議事録の検索が容易になる

【注意が必要なこと】銀行印変更手続きは完全にはなくならない

この記事のきっかけである「理事長交代時の銀行印変更手続きの簡素化」については、注意が必要です。

電子署名を導入して議事録の正当性を担保することは、長期的に金融機関との手続きをスムーズにする上で非常に有効です。しかし、電子署名を導入したからといって、すぐに銀行の届出印が不要になるわけではありません

金融機関における口座名義人の変更手続きは、その金融機関自身の内部規程に基づいて行われます。電子化された議事録をどこまで認めるか、どのような手続きを求めるかは金融機関ごとに対応が異なります。導入を検討する際は、組合が取引している金融機関へ事前に確認することが不可欠です。電子署名導入による銀行手続きの簡素化は、あくまで間接的な効果に留まる点に注意が必要です。金融機関の預金口座管理は個別の金融機関の内部規程に基づくため、議事録の電子化は組合内部の文書作成ルールであり、金融機関の法定代理人確認手続きとは別立てとなります。現在のところ、金融機関業界団体から統一基準も出ていません。

【できないこと】管理委託契約書の電子化(2025年時点)

管理組合が管理会社と締結する管理委託契約書については、現行法上、電子契約は認められていません。

これは、マンション管理適正化法により、管理会社は契約を締結する際に「記名押印した書面を交付すること」が義務付けられているためです(出典:マンション管理適正化法 第73条)。したがって、管理委託契約書は引き続き、紙と印鑑による手続きが必要となります。

【4ステップ】管理組合への電子署名導入ロードマップ

電子署名の導入は、思いつきで進められるものではありません。法的な手続きを踏まえ、計画的に進めることが成功の秘訣です。ここでは、具体的な導入手順を4つのステップに分けて解説します。

Step 1:【最重要】管理規約改正の総会決議(特別決議)

電子署名を導入し、議事録を電磁的記録で作成・保管するためには、管理規約の改正が必須です。これは、単なる理事会の判断だけでは進められません。

規約の改正は、区分所有法で最も厳格な決議要件の一つである「特別決議」が必要となります(出典:区分所有法 第31条第1項)。

決議要件組合員総数の4分の3以上 かつ 議決権総数の4分の3以上の賛成
管理規約改正のための特別決議要件
注: 表が表示されない環境では、以下のリストを参照: 1. 決議要件: 組合員総数の4分の3以上かつ議決権総数の4分の3以上の賛成。
(記載例)規約改正案
第XX条(議事録の作成及び保管)
3. 議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成する。
4. 電磁的記録により議事録を作成する場合には、当該電磁的記録に記録された情報については、法務省令で定める電子署名を行わなければならない。

Step 2: 電子署名サービスの選定と比較検討

규약 개정의 전망이 서면, 다음으로 이용할 전자서명 서비스를 선정합니다.
서비스는 다수 존재하지만, 특히 「입회인형(사업자 서명형)」이라고 불리는 타입이, 도입의 간편함으로부터 많은 기업이나 단체에서 이용되고 있습니다.

用語の整理

  • 当事者型電子署名:署名者本人が、厳格な本人確認を経て取得した電子証明書を用いて署名する方式。マイナンバーカードを利用するものなどが該当します。当事者型電子署名は本人確認が厳格で監査対応が容易です。
  • 立会人型電子署名:サービス事業者がメール認証などで本人確認を行い、事業者の電子署名を文書に付与する方式。手軽さがメリットです。立会人型電子署名でも要件を満たせば第3条推定効の法的効力は同等と考えられます(政府見解)。しかし、令和6年6月版「電子署名法第3条に関するQ&A」(総務省・法務省・経済産業省)において、立会人型電子署名が第3条要件を満たすかどうかは以下の条件に依存します:✓ サービス事業者が本人確認を適切に実施していること、✓ 署名処理が「利用者の指示のみに基づいて」行われること(事業者による恣意的な介入がないこと)、✓ 署名後のデータが改ざんされていないこと。これらが技術的・契約的に担保される場合、立会人型であっても第3条の真正成立推定効が適用される可能性があります。ただし、上記条件が不十分なサービスの場合、推定効が得られないリスクがあります。導入前に、サービス事業者に対して上記要件への適合性を書面で確認することを推奨します。

Step 2.5: 取引銀行への事前確認

サービス選定の後、組合が取引している複数の金融機関に対して、以下を書面で確認してください:

  • 電子署名議事録を『理事長交代の根拠書類』として受け入れるか
  • 現状では何を求めているか(紙か、電子署名か、その他か)
  • 将来的な対応予定

この確認なしに導入を進めると、『導入したのに、銀行では受け入れられなかった』という状況が生じるリスクがあります。

Step 3: 組合員への説明とアカウント登録の推進

サービスが決まったら、組合員(特に署名義務者となる可能性のある役員)に対して、導入の目的や使い方を丁寧に説明します。説明会を開催したり、分かりやすいマニュアルを配布したりする工夫が有効です。

ITツールに不慣れな方もいることを想定し、アカウントの登録作業をサポートする体制を整えることが、スムーズな導入に繋がります。

Step 4: 段階的な運用開始とハイブリッド運用の検討

最初から全ての文書を電子化するのではなく、まずは理事会議事録から試行するなど、段階的に運用を開始するのが現実的です。

また、電子署名が難しい役員がいる場合は、無理強いは禁物です。国土交通省Q&Aでは、「紙の署名済み議事録をスキャンしたPDFを電磁的方法で保管・閲覧する場合には、スキャン後の電子ファイルに電子署名は不要」と整理されています。ただし、この取扱いが『一部の署名者のみ紙+スキャン、一部が電子署名』という混在形式に適用されるかについては、公式な見解が確定していません。したがって、ハイブリッド運用を実装する場合は、以下の対応を推奨します:(a) 事前に管理組合の顧問弁護士に相談すること、(b) 管理規約改正時に、混在形式を明示的に許容する文言を加えること、(c) 金融機関に、混在形式の議事録が「銀行印変更手続きの根拠書類」として受け入れられるかを確認すること。本稿では『ハイブリッド運用は法的に認められている』と断定することは差し控えます。柔軟な対応で、組合員全体の合意形成を図りましょう。

電子署名サービスの選び方と注意点 – 事業者選定と費用

電子署名サービスの導入を成功させるには、自組合の規模や役員のITリテラシーに合ったサービスを選ぶことが重要です。ここでは、選定の視点と費用、そして管理会社との付き合い方について解説します。

サービス選定の3つの視点(法的要件、使いやすさ、サポート体制)

サービスを比較検討する際は、以下の3つの視点を持つことをお勧めします。

視点チェックポイント
1. 法的要件・電子署名法第2条、第3条の要件を満たしているか
・タイムスタンプ機能(いつ署名されたかを証明する機能)があるか
2. 使いやすさ・PCやスマートフォンでの操作画面が直感的で分かりやすいか
・ITに不慣れな人でも迷わず使える設計か
3. サポート体制・導入時の初期設定や操作方法に関するサポートは充実しているか
・トラブル発生時に電話やメールで迅速に問い合わせできるか
注: 表が表示されない環境では、以下のリストを参照: 1. 法的要件: 電子署名法第2条、第3条の要件を満たしているか、タイムスタンプ機能があるか。2. 使いやすさ: PCやスマートフォンでの操作画面が直感的か、ITに不慣れな人でも使える設計か。3. サポート体制: 導入時のサポートやトラブル対応が充実しているか。

費用の考え方:初期費用と月額料金

電子署名サービスの費用は、主に「初期費用」と「月額(または年額)料金」で構成されます。料金体系はサービス事業者やプランによって大きく異なります。

  • 初期費用:数万円〜
  • 月額料金:数千円〜数万円(ユーザー数や送信件数に応じた従量課金制の場合も)

費用は組合の規模や利用頻度によって大きく変動するため、必ず複数の事業者から見積もりを取得し、比較検討することが不可欠です。見積もりに関して、組合側の要望が強すぎると、管理会社から敬遠される恐れがあります。管理会社側は、管理委託内容の精査および会計状況、1棟全体の管理費等の見積もり作成をするには3-4回ほど現地に足を運び、清掃会社、EV点検、消防、警備など多岐にわたって外注先会社との打ち合わせを行ったうえで理事会数名との面談も数回こなすため労力がかかります。5社も6社も相見積もりを依頼すると、対応を敬遠される可能性があります。特に小〜中規模のマンション(例: 20戸-40戸程度の自主管理)ではその傾向が顕著です。本気で検討していることを示すためにも、相見積もりは2〜3社に絞るのが現実的でしょう。

管理会社への相談と相見積もりの現実的な進め方(2〜3社が推奨)

電子署名導入にあたり、日常的に付き合いのある管理会社に相談するのは有効な手段です。しかし、見積もりを依頼する際には注意が必要です。

【実務上のヒント】
管理会社にとっても、見積もりの作成には多大な労力がかかります。5社も6社も相見積もりを依頼すると、対応を敬遠される可能性があります。特に小〜中規模のマンションではその傾向が顕著です。本気で検討していることを示すためにも、相見積もりは2〜3社に絞るのが現実的でしょう。

管理会社は、組合の状況を把握した上で、過去に導入実績のある提携サービスを推薦してくれる場合があります。ただし、言われるがままに1社に決めるのではなく、必ず自分たちでも他のサービスを調べ、比較検討する姿勢が大切です。

よくある質問(Q&A)

電子署名の導入に関して、管理組合の理事からよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. ITが苦手な組合員がいる場合、どうすれば良いですか?

A1. 無理に電子署名を強制する必要はありません。前述の通り、どうしても対応が難しい署名義務者(役員)がいる場合は、その方だけ紙の議事録に署名・押印してもらい、スキャンデータと電子署名済みデータを合わせて保管するハイブリッド運用が可能ですが、議事録全体の法的有効性については管理規約および金融機関の要件に基づき専門家に確認を推奨します。組合員全員がITに精通している必要はなく、柔軟な対応で導入を進めることができます。

Q2. 電子署名にはどんな種類がありますか?(当事者型 vs 立会人型)

A2. 主に2種類あります。「当事者型」は、本人がマイナンバーカードなどを利用して厳格な本人確認を行い、自身の電子証明書で署名する方式です。信頼性は非常に高いですが、事前の準備が必要です。「立会人型(事業者署名型)」は、メールアドレス認証などで本人確認を行い、サービス事業者が署名を付与する方式です。手軽に導入できるため、多くの管理組合で選ばれています。どちらの方式が適しているかは、組合のセキュリティポリシーや役員のITリテラシーに応じて判断します。

Q3. 電子署名に反対する役員がいたら議事録は無効になりますか?

A3. 議事録が無効になるわけではありません。区分所有法で定められた署名義務者は「議長および出席区分所有者2名」の計3名です(規約で別段の定めがない場合)。仮に理事会役員が5名いて、そのうち1名が電子署名を拒否した場合でも、残りの議長を含む3名以上が電子署名を行えば、その議事録は法的に有効です。反対者がいること自体が、議事録の効力を直ちに失わせるものではありません。議事録の署名押印は総会決議の有効要件ではないためです。

まとめ:印鑑廃止と電子署名導入で、持続可能な管理組合運営へ

本記事では、管理組合における印鑑廃止と電子署名導入について、法的根拠から具体的な導入ステップまでを解説しました。

  • 理事長交代時の銀行印変更手続きなど、印鑑にまつわる負担は大きい
  • 議事録を電子化する場合、電子署名は法律上の義務(区分所有法)。
  • 電子署名には、文書の正当性を証明する「真正成立の推定」効がある(電子署名法)。
  • 導入には管理規約の改正(特別決議)が必須
  • 銀行手続きの完全電子化や管理委託契約書の電子化など、現状ではできないこともある
  • ITが苦手な人には、紙と電子を併用するハイブリッド運用で対応可能
  • サービス選定は「法的要件」「使いやすさ」「サポート」の3つの視点で、2〜3社から見積もりを取るのが現実的。

印鑑文化からの脱却と電子署名の導入は、単なる業務効率化に留まりません。役員のなり手不足が深刻化する中で、理事の負担を軽減し、より多くの人が組合運営に参加しやすくなる環境を整えることは、マンションの資産価値を維持・向上させるための重要な経営課題です。

この記事を参考に、あなたの管理組合でもデジタル化に向けた議論を始めてみてはいかがでしょうか。

免責事項

本記事は、2025年12月23日時点の法令や情報に基づき、管理組合運営に関する一般的な情報を提供することを目的としています。個別の管理組合の状況や特定の事案に対する法的助言を行うものではありません。

管理規約の改正や電子署名サービスの導入など、具体的な意思決定を行う際には、必ず弁護士やマンション管理士等の専門家にご相談ください。また、区分所有法や関連法令の最新の改正動向にご注意ください。本記事は、2025年12月23日時点の公開情報に基づいています。個別の管理組合の電子署名導入にあたっては、弁護士・マンション管理士等の専門家に相談することを必須とします。特に、銀行手続きとの関連性、ハイブリッド運用の有効性、紛争時の推定効の適用については、専門家確認なしに導入を進めないでください。


参考資料

  • e-Gov法令検索. 「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
  • e-Gov法令検索. 「電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)」. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102
  • e-Gov法令検索. 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」. https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC1000000149
  • 国土交通省. 「マンション標準管理規約(単棟型)」. https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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