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マンションの大規模修繕を計画する際、多額の費用は管理組合にとって大きな課題です。「修繕積立金が足りない」「少しでもコストを抑えたい」といった悩みに対し、近年「足場なし工法」が注目されています。これは、従来の大規模修繕で必須だった仮設足場を組まずに工事を行う手法で、コスト削減や工期短縮が期待できるものです。
しかし、本当に安くなるのか、安全性は大丈夫なのか、どんなマンションでも採用できるのか、といった疑問も少なくありません。工法選択は、費用だけでなく、建物の状況や法的な手続きにも関わる重要な意思決定です。
この記事では、宅地建物取引士の視点から、足場なし工法による大規模修繕の費用、メリット・デメリット、そして区分所有法に基づく注意点までを、一次資料を基に網羅的に解説します。この記事を読めば、あなたのマンションで足場なし工法を検討するための具体的なステップと判断基準が明確になります。
大規模修繕の「足場なし工法(無足場工法)」とは?
まず、足場なし工法がどのようなものか、その仕組みと大規模修繕における適用範囲を正確に理解しましょう。
ロープアクセス工法が主流|足場を組まない工事の仕組み
足場なし工法とは、その名の通り、建物の周囲に金属製の仮設足場を設置せずに行う工事手法の総称です。中でも主流となっているのが「ロープアクセス工法」です。
これは、建物の屋上から吊り下げた作業用のロープを使い、専門の技術者がブランコ工法のような専用器具に乗り、壁面を昇降しながら作業を行うものです。高所でのロープワークに専門技術が必要ですが、足場の設置・解体という大掛かりな工程が不要になる点が最大の特徴です。
足場なし工法(無足場工法)とは、建物屋上から吊り下げたロープを使い、作業員が昇降して外壁の補修や塗装を行う「ロープアクセス工法」を主とする工事手法。仮設足場の設置・解体が不要なため、コスト削減や工期短縮が期待されます。
大規模修繕で適用できる工事・できない工事
足場なし工法は万能ではなく、工事内容や建物の状況によって向き・不向きがあります。敷地形状(狭隘地や隣接建物密集)、外壁素材の均質性、作業員の進入・脱出経路の確保などの条件を満たす場合に適します。
【適用しやすい工事】
- 外壁のひび割れ補修、下地補修
- 外壁の塗り替え(塗装工事)
- サッシ周りなどのシーリング(コーキング)打ち替え
- 外壁タイルの打診調査・部分的な補修
- 雨樋の補修・交換
- 部分補修・点検・調査(特にコスト削減効果が高い)
【適用が難しい、または不向きな工事】
- 大規模な躯体工事: 建物の構造に関わるコンクリートの修復など、広範囲で重量のある機材を使う工事。
- 複雑な形状の建物: 凹凸が非常に多い、装飾的なデザインのマンションでは、ロープの設置や作業員の移動が困難になります。一部の地域で法規制によるゴンドラ工法使用制限の可能性もあります。
- 屋根の葺き替え工事: 大面積の資材運搬や作業員の安定した足場確保が難しいため、通常は足場が必要です。
- 大規模なタイル張替え: 多数のタイルを剥がして張り替える作業は、資材の運搬や作業効率の面で足場があった方が有利です。外壁タイル張りで落下リスクが高い場合も適用困難です。
最終的な適用可否は、専門家による現地調査で、建物の形状、劣化状況、周辺環境、高さなどの複合条件を総合的に判断する必要があります。高さは絶対的な制限ではなく、一般的に14~20階以上での実施は、屋上のロープアンカー強度、風圧条件、作業員の降下難易度を再検討し、足場架け工法との比較が推奨される場合があります(確定は現地調査による)。敷地形状(狭隘地での実施可能性)、外壁素材(タイル張りの落下リスク)も考慮されます。例えば、タワーマンションでも可能であれば足場を架設して工事を行うこともあります。
【費用比較】足場あり・なしで大規模修繕費用はいくら変わる?
管理組合が最も関心を持つのが費用面でしょう。ここでは、足場なし工法がなぜコスト削減につながる可能性があるのか、その根拠と目安について解説します。
費用の15〜25%を占める「仮設足場費用」が削減の根拠
国土交通省の調査によると、従来の大規模修繕工事において、工事費全体に占める「仮設工事費(主に足場の設置・解体費用)」の割合は約15~25%(規模・地域により変動)とされています(出典:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査」令和3年度版)。
例えば、総工費が8,000万円の工事であれば、約1,200万円~2,000万円が足場代となります。足場なし工法は、この仮設足場費用を根本的に削減できるため、総工費を抑制する効果が期待できる場合があります。ただし、足場なし工法では以下の別途費用が発生するため、「その分がまるごと削減される」わけではありません:
- ロープ機材費
- 専門技能者の特殊技能料
- 安全管理体制の強化費
結果として総工費削減額は個別条件で大きく変動します。「複数業者による見積比較」で初めて削減効果が明確になります。足場架け工法では足場設置に14~20日程度を要する一方、無足場工法は設置準備を省略でき工期が1-2週間短縮される傾向があり、この短縮により、足場費の直接削減に加えて、仮設管理費や現場経費の削減が見込まれます。
| 工事項目の分類 | 費用の内訳例 | 工事全体に占める割合の目安 |
|---|---|---|
| 仮設工事 | 仮設足場、現場事務所、仮設電気・水道など | 約20% |
| 外壁・建築工事 | 外壁補修、塗装、シーリング、タイル補修など | 約50% |
| 防水工事 | 屋上防水、バルコニー防水など | 約15% |
| その他 | 鉄部塗装、給排水管工事、現場管理費など | 約15% |
ケース別に見る足場なし工法の費用目安
足場なし工法の費用は、建物の規模や工事内容によって変動します。あくまで一般的な目安ですが、以下のような費用感が参考になります。これらの金額にロープ機材費、作業員特殊技能費、安全管理費が含まれています。
- 部分的な補修(数か所のひび割れなど): 40万~100万円
- 中規模の外壁塗装・補修: 150万~400万円
- 建物全体の大規模修繕(10階建て以上): 500万円~1,000万円超
注意点:総工費が比例して下がるわけではない
足場代がまるごと削減されるわけではありません。足場なし工法では、専門技術者への「特殊技能費」や「ロープ機材費」、「安全管理費」などが別途必要になります。総工費がいくら削減できるかは、個別の見積もりで比較検討することが不可欠です。
費用削減だけでなく工期短縮も大きなメリット
足場の設置と解体には、通常数週間から1ヶ月程度の期間を要します。足場なし工法ではこの工程が不要になるため、全体の工期を1〜2週間程度短縮できる可能性があります。
工期が短くなれば、居住者がバルコニーを使えない期間や、作業音に悩まされる期間も短縮されます。これは、居住者の生活への影響を最小限に抑えるという点でも大きなメリットです。
足場なし工法のメリット・デメリット【徹底比較】
費用や工期以外の側面も含め、足場なし工法のメリットとデメリットを総合的に比較し、自分のマンションに適しているか判断するための基準を整理します。
| 比較項目 | 足場あり工法(従来工法) | 足場なし工法(ロープアクセス) | 判断ポイント |
|---|---|---|---|
| 費用 | 工事費全体の20%程度が足場代。総額は高くなる傾向。 | 足場代が不要なため、総工費を抑制できる可能性。 | 10階建て以上の高層物件ほど削減効果が大きい。敷地が狭隘で足場設置が困難な場合にも有利。 |
| 工期 | 足場の組立・解体に数週間~1ヶ月程かかる。 | 足場工程がないため、1~2週間程度短縮可能。 | 居住者の拘束期間を短くしたい場合に有利。 |
| 安全性 | 足場からの第三者侵入リスク。悪天候時の安定性は高い。 | 侵入リスクは低い。強風や雨天では作業が中断しやすい(作業員の墜落、資材落下の危険性)。国際的な安全基準「IRATA(産業ロープアクセス業者協会)」で安全性が証明されており、「2ロープ・2アンカー」規則により、メインロープが摩耗で切れた際もライフラインで落下を防ぐ二重構造を採用。労働災害の統計では、一般的な足場と比較して事故が多いというデータはなく、規格がしっかりしている工法です。 | 防犯面を重視するか、天候による工期の不確実性を許容できるか。業者選定時にIRATA認証の有無、2ロープ体制の確認を必須としてください。 |
| 適用建物 | 複雑な形状や凹凸のある建物にも対応しやすい。 | 凹凸の少ないシンプルな形状の建物向き。周辺に隣接建物がない、または十分な距離がある物件、外壁が鉄筋コンクリート打ち放し、または塗装のみで凹凸が少ない場合に有利。20階超も技術判断で対応可能。 | 事前の現地調査で、外壁形状や障害物(室外機等)の確認が必須。 |
| 居住者影響 | 足場とシートで日照・眺望が悪化。圧迫感がある。 | 日照・眺望の阻害が少ない。作業中の作業員が窓の外に見えることがある。ロープ・ブランコ工法は足場のような人の登り木がないため防犯面で有効。 | 日中の在宅者が多いマンションでは、プライバシーへの配慮説明が重要。 |
【メリット】費用・工期・居住環境への配慮
足場なし工法の主なメリットは以下の3点です。
- コスト削減: 仮設足場費用が不要になり、総工費を抑制できる可能性がある。
- 工期短縮: 足場の設置・解体工程がないため、工事全体の期間が短くなる。
- 居住環境の維持: 足場や養生シートによる日照・眺望の悪化や圧迫感がない。また、足場を介した空き巣などの侵入リスクも低減される。
【デメリット】天候・安全性・適用建物の制限
一方で、以下のようなデメリットや注意点も存在します。
- 天候への依存: 強風や雨天時は安全確保のため作業を中断せざるを得ず、工期が天候に左右されやすい。
- 安全性への懸念: 高所でのロープ作業は高度な技術と徹底した安全管理が求められる。作業員の墜落や工具・資材の落下リスク対策が万全な業者を選ぶ必要がある。
- 適用建物の制限: 複雑な形状の建物や、一部の工事内容には不向き。
我が家のマンションはどっち?工法選択の判断基準
最終的にどちらの工法を選ぶべきかは、以下の点を総合的に考慮して判断します。
- 建物の形状と高さ: 高層でシンプルな形状のマンションほど、足場なし工法のメリットは大きくなります。高さは総合判断が必要です。
- 工事の範囲と内容: 外壁塗装や部分補修が中心であれば足場なし、大規模な躯体工事も含むなら足場ありが適している場合があります。
- 予算と長期修繕計画: 修繕積立金の状況と照らし合わせ、コスト削減の必要性がどの程度高いか。
- 居住者の意向: 日照やプライバシーへの配慮を重視するかどうか。
大規模修繕と費用の法的枠組み|区分所有法と管理適正化法
工法の選択は、単なる技術的な問題ではなく、管理組合の法的な意思決定プロセスと密接に関わります。区分所有法第3条により、管理組合は共用部分を「適切に維持管理する」責任を法定されています。修繕費用の支払いは、区分所有者個人の義務ではなく、組合全体への義務として位置づけられており、支払い拒否は認められません。
工事の決議要件|普通決議と特別決議の違い
大規模修繕工事の実施は、区分所有法に基づき、管理組合の総会で決議を得る必要があります。決議には主に「普通決議」と「特別決議」の2種類があります。
【普通決議】
区分所有者および議決権の各過半数の賛成で可決される決議。外壁補修や屋上防水など、建物の維持・保存を目的とする通常の大規模修繕工事は、基本的に普通決議で実施できます(区分所有法第18条)。
【特別決議】
区分所有者数および議決権の各4分の3以上の賛成が必要な、より厳格な決議。建物の形状や効用に「著しい変更」を伴う工事(例:外壁デザインの大幅変更、エレベーターの増設など)が該当します(区分所有法第17条)。
工法を「足場あり」から「足場なし」に変更すること自体は、通常「著しい変更」には当たらないため、普通決議の範囲内で行えることがほとんどです。ただし、管理規約で総会の決議要件について別段の定め(例:出席組合員の過半数、理事会承認が条件など)がある場合は、その規約が優先される(区分所有法第18条、マンション標準管理規約参照)。必ず現物の管理規約を確認し、決議手続きを決定してください。
修繕積立金の役割と国交省調査にみる費用実態
大規模修繕の費用は、区分所有者が毎月積み立てている「修繕積立金」から支出されます。これは、日々の管理業務に使われる「管理費」とは全く別の、将来の計画的な工事に備えるための資金です。
マンション管理適正化法に基づき、管理組合は長期修繕計画(通常12-15年周期)と修繕積立金を設定する義務があります。国土交通省の調査(令和3年実施、公表2022年)によると、1回目の大規模修繕工事にかかった費用は、1戸あたり75万円~125万円の範囲が最も多いという結果が出ています。マンション全体の工事費では、平均で1億円を超えるケースも少なくありません。
積立金不足は工法変更だけで解決しない|根本的な計画見直しの重要性
「足場なし工法で費用を抑えれば、積立金不足が解決する」と考えるのは早計です。工法変更はあくまでコストコントロールの一手段に過ぎません。
積立金が不足している場合、その根本原因は、長期修繕計画そのものや、積立金の値上げが適切に行われてこなかったことにある場合が多いです。マンション管理適正化法でも、長期修繕計画の適切な策定と見直しが求められています。工法の検討と並行して、長期修繕計画全体を見直し、必要であれば積立金の段階的な増額なども含めて検討することが、マンションの資産価値を維持する上で不可欠です。初期の積立金設定が低めとされることが多く、定期的な見直しが必要です。経営効率的には「段階増額方式」(数年おきに積立額を段階的に引き上げ)により、急激な値上げを避けつつ必要額を確保する方法が推奨されています。
【Q&A】足場なし工法に関するよくある質問
Q. 足場なし工法はどんなマンションでも使えますか?
A. いいえ、使えない場合があります。外壁の凹凸が非常に多いデザイン性の高いマンションや、一部のタイル張り、大規模な躯体工事を含む場合は適用が困難です。シンプルな形状の高層マンションで最も効果を発揮しやすい工法と言えます。専門家による現地調査での判断が必須です。
Q. 費用は本当に安くなりますか?
A. 仮設足場費用(工事費の約15~25%)が削減されるため、総工費を抑制できる可能性が高いです。しかし、特殊技能費などが別途かかるため、削減額はケースバイケースです。複数の工法で見積もりを取り、総額で比較することが重要です。
Q. 安全性は大丈夫ですか?
A. ロープアクセス工法の安全性は、以下の国際基準により担保されます:
- IRATA(産業ロープアクセス業者協会)
国際基準で安全性が認証された工法・技術者 - 「2ロープ・2アンカー規則」
(根拠:労働安全衛生法施行令第590条の2、厚生労働省告示)
メインロープが摩耗・切断した場合、ライフラインで必ず落下を防止する二重構造を採用
業者選定時には、IRATA認証の有無、2ロープ体制の確認を必須としてください。労働災害の統計では、一般的な足場と比較して事故が多いというデータはなく、規格がしっかりしている工法です。
Q. 相見積もりは何社に頼むべきですか?
A. 2〜3社が現実的です。多すぎると施工会社や管理会社の負担が過大になり、丁寧な対応をしてもらえなかったり、敬遠されたりするリスクがあります。同一の条件で複数の業者から見積もりを取得し、比較検討することが価格の適正化につながります。
【要注意】見積もり取得と業者選定で失敗しないための実務ポイント
工法を決めた後、最も重要なのが業者選定です。ここで失敗すると、コスト面でも品質面でも後悔することになります。
相見積もりは2〜3社が現実的|多すぎる依頼が招くリスク
費用の妥当性を判断するために、複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は必須です。しかし、「多ければ多いほど良い」というわけではありません。
5社も6社も見積もりを依頼すると、各社は詳細な現地調査や積算に多大な労力を費します。特に、管理を委託している管理会社にとっては、各社との調整や対応が大きな負担となり、関係が悪化する原因にもなりかねません。管理会社側は、管理委託内容の精査および、会計状況、そして1棟全体の管理費等の見積もり作成をするには3-4回ほど現地に足を運び、また清掃会社、EV点検、消防、警備など多岐にわたって外注先会社との打ち合わせを行ったうえで理事会数名との面談も数回こなすため労力がかかります。結論として、2-3社での相見積もりに対しては対応しやすいです。
| (実務担当者の本音) 特に小〜中規模のマンションで過度な相見積もりを要求されると、手間ばかりかかって受注できる確率も低いため、正直なところ敬遠したくなります。真剣に検討してくれる2〜3社に絞って依頼する方が、各社とも質の高い提案をしやすくなります。 |
見積書で確認すべき必須チェック項目
業者から提出された見積書は、総額だけでなく、詳細な内訳までしっかり確認しましょう。「一式」というような大雑把な項目が多い見積書は要注意です。
- 工事項目と数量: 設計図や修繕計画と数量が合っているか。
- 単価: 材料や作業の単価は妥当か。極端に安い場合は品質に問題がないか確認。
- 安全対策費: 足場なし工法の場合、安全管理体制と費用が明記されているか。
- 諸経費: 現場管理費や一般管理費の内訳は明確か。
- 保証内容と期間: 工事後のアフター保証の内容を確認。
工法選択後の契約書作成時には、着手金・中間金の支払い時期と金額割合、工事遅延・中断時の対応、瑕疵保証の内容と期間、契約解除の条件と違約金の有無を必ず書面に残す必要があります。これらは紛争予防とマンション管理適正化法に基づく適正な発注実務の根拠となります。
透明性確保の鍵「設計コンサルタント」の活用
管理組合だけで専門的な見積書を比較・判断するのは困難です。そこで有効なのが、第三者の専門家である「設計コンサルタント」の活用です。
設計コンサルタントは、管理組合の立場に立って、修繕計画の策定支援、仕様書の作成、業者選定のサポート、工事監理までを行ってくれます。コンサルタント費用はかかりますが(工事費の数%程度)、結果的に不適切な工事や過大な費用請求を防ぎ、トータルコストを削減できるケースも多いです。国土交通省の調査でも、設計コンサルタントを活用する管理組合が増加傾向にあります(令和3年調査時比で増加)。
地方自治体の助成制度を併用することで、修繕費負担を圧縮できます。
- 東京都「マンション長寿命化促進事業」
助成額最大500万円。対象要件・申請手続きは東京都建築安全推進課のマンション施策ポータルなどで確認してください。 - 神奈川県横浜市「外壁・屋上の省エネ改修に対する補助」
外壁塗装・屋上防水工事のうち、省エネ性能向上が対象。横浜市建築局のマンション管理支援ページなどで詳細要件を確認してください。
制度内容は年度・自治体により変更されるため、計画初期段階で各自治体の最新ガイドを直接確認し、申請可能性を判断することがポイントです。
まとめ:足場なし工法の検討は専門家と相談しながら慎重に
大規模修繕における「足場なし工法」は、適切に採用すれば費用削減や工期短縮など、管理組合にとって大きなメリットをもたらす有効な選択肢です。
この記事のポイントをまとめます。
- 足場なし工法は、主にロープアクセスにより、仮設足場費(工事費の約15~25%)を削減できる。
- 外壁塗装や部分補修には向いているが、複雑な形状の建物や大規模な躯体工事には不向き。
- メリット(コスト、工期、居住環境)とデメリット(天候、安全性)を総合的に比較する必要がある。
- 工事の実施には、区分所有法に基づく総会決議(通常は普通決議)が必須。
- 費用削減だけが目的化せず、長期修繕計画の見直しとセットで考えることが重要。
- 業者選定では、2〜3社への相見積もりと、専門家(設計コンサルタント)の活用が成功の鍵。
足場なし工法の検討は、決して管理組合だけで判断せず、まずは信頼できる管理会社や設計コンサルタントに相談することから始めましょう。専門家による正確な現地調査とアドバイスに基づき、あなたのマンションにとって最適な大規模修繕の形を慎重に探っていくことが、大切な資産を守るための最善の道です。
【重要な免責事項】
本記事は一般的な情報提供であり、
あなたのマンションの工法選定・費用決定は、
以下を実施したうえで決定してください:
- 管理会社・管理士に現物規約の決議要件を確認
- 長期修繕計画と現在の積立金状況の把握
- 設計コンサルタント(第三者専門家)への相談
- 複数業者による現地調査と見積比較
- 弁護士・管理士への法的確認
「決議すれば実施できる」のではなく、
「実施前に複数の専門家チェックを経ることで、
後々のトラブル・追加費用請求を防ぐ」
という予防的なプロセスが不可欠です。
免責事項
本記事は、不動産取引に関する一般的な情報提供を目的として作成されており、特定の個人または法人に対する法的・税務的・投資的な助言を提供するものではありません。
記事内で引用している法令、統計データ、制度内容は、執筆時点のものです。最新の法改正や各自治体の制度変更、個別のマンション管理規約、工事請負契約書の内容が、本記事の情報に優先します。
具体的な大規模修繕計画の策定や業者選定にあたっては、必ず弁護士、マンション管理士、建築士などの専門家にご相談ください。
参考資料
- 国土交通省「マンション標準管理規約」
- 国土交通省「標準管理委託契約書」
- 国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(令和3年度)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html - 国土交通省「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化について」
https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo16_hh_000216.html - e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069 - e-Gov法令検索「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC1000000149
島 洋祐
保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

