【2026改正対応】委任状集まらないマンション総会を成功させる4戦略と3最終手段

マンション管理組合が自力での解決が難しい場合に利用できる専門家について示した図。左側に「管理会社に依頼できる業務」として、現在の管理委託契約書の確認、どこまでが標準業務で追加費用が発生するかを明確にするよう促す。右側には「マンション管理士など外部専門家の活用」として、管理士が委任状回収率向上の企画立案や規約改正サポート、総会の議事進行補助を行うことを説明。専門家を有効活用することで、理事会の負担軽減と円滑な組合運営を実現できることを示唆している。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

マンション管理組合の総会で委任状が集まらない時の法的対策と実践的アプローチ

マンション管理組合の総会で、議決権の定足数を満たすために不可欠な「委任状」。しかし、「何度呼びかけても委任状が集まらない…」と頭を悩ませる理事の方も少なくありません。もし委任状が不足し総会が成立しなければ、必要な修繕工事や規約変更の決議ができず、マンションの資産価値や住環境の維持に支障をきたす恐れがあります。

この記事では、宅地建物取引士として不動産実務に携わる筆者が、管理組合の総会で委任状が集まらない時の具体的な対策を、法的な根拠に基づいて解説します。事前準備から督促のステップ、そして最終手段まで、あなたの組合で今すぐ実践できるアクションプランを網羅しました。適切な手順を踏んで委任状を円滑に取得し、健全な組合運営を実現するための一助となれば幸いです。

なぜ?管理組合の総会で委任状が集まらない原因と法的ルール

委任状が集まらない問題に対処するには、まずその原因と、総会成立に不可欠な法的ルールを正しく理解することが第一歩です。

【重要】2026年4月1日改正区分所有法の施行に伴う総会要件の変更

マンション管理組合の皆様へ:2026年4月1日以降、総会の定足数要件が改正されます[区分所有法第39条改正]。現行規約のままでは、施行日以降の総会が無効となるリスクがあります。
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【変更点】

  • 総会定足数:「議決権総数の半数以上」→「区分所有者及び議決権の各過半数」[1]
  • 招集通知期間:「最短5日間」→「最短1週間」[1]
  • 決議方式:「普通決議=出席者の過半数」→「原則=総会出席者のみで決定」[5]

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【対応期限】
法律上の必須期限は定められていませんが、2026年4月1日以降の総会から改正法が適用されるため、事前に現行規約を確認し、施行日までに改正を完了させることが実務上推奨されます。
本記事の「定足数」「決議要件」は現行法(2025年12月現在)に基づいています。
具体的な改正内容は、貴組合の管理規約を確認し、専門家に相談してください。

主な原因は「無関心」「多忙」「手続きの煩雑さ」

多くの管理組合で委任状の回収が難航する背景には、主に3つの原因が考えられます。

  • 組合員の無関心:マンション管理を「他人事」と捉え、総会の重要性を認識していない。
  • 多忙や不在:仕事やプライベートで忙しく、書類の確認や提出を後回しにしてしまう。外部に居住している区分所有者も同様です。
  • 手続きの煩雑さ:書類の書き方が分からない、提出方法が面倒だと感じている。

これらの課題は、理事会の工夫次第で改善できる可能性があります。一方的なお願いではなく、組合員の立場に立った分かりやすい情報提供と、簡単な手続きの整備が鍵となります。

総会成立の条件「定足数」とは?(区分所有法)

マンション総会が法的に有効となるためには、「定足数」を満たす必要があります。これは、総会を成立させるために必要な最低限の出席者(議決権数)を指します。

建物の区分所有等に関する法律(通称:区分所有法、昭和37年法律第69号)では、原則として「区分所有者及び議決権の各過半数」の出席がなければ、総会を開き、議事を行うことができないと定められています。

重要なのは、この「出席」には、総会に直接参加する人のほか、委任状や後述する議決権行使書を提出した人も含まれるという点です。つまり、委任状を集めることは、総会を成立させるための極めて重要な活動なのです。

(集会の決議)
第三十九条 集会の議事は、この法律又は規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。
(出典:建物の区分所有等に関する法律)

なお、この定足数は管理規約によって変更(緩和または加重)することが可能です。まずはご自身のマンションの管理規約で、総会の定足数がどのように定められているかを確認しましょう。

「委任状」と「議決権行使書」の決定的な違い

総会を欠席する場合の意思表示方法として、「委任状」と「議決権行使書」の2種類があります。これらはどちらも定足数にカウントされますが、その性質は大きく異なります。

委任状 議決権行使書
議決権の行使者 代理人(理事長など) 区分所有者本人
議案ごとの意思表示 代理人の判断に委ねられる 各議案について事前に賛否を表明
特徴 白紙委任(議長一任など)が一般的 本人の意思が直接反映される
メリット 提出が簡単 動議など当日提案された議事には対応不可
デメリット 本人の意図と違う判断がされる可能性 議案を読み込み、判断する手間がかかる
表:委任状と議決権行使書の違い。代替: 箇点リスト形式で閲覧可能(例: 委任状 – 議決権行使者: 代理人 / 議案ごとの意思表示: 代理人の判断に委ねられる / …)
  • 委任状:議決権の行使を代理人に「委任」する書面です。代理人として理事長や他の組合員を指名します。誰を代理人にするか記載しない「白紙委任状」は、一般的に議長(理事長)に一任したとみなされる規約が多いですが、トラブルを避けるためにも取り扱いには注意が必要です。
  • 議決権行使書:各議案に対して、事前に「賛成」か「反対」かの意思を表明する書面です。代理人に判断を委ねず、本人の意思が直接決議に反映されます。

理事会としては、組合員がどちらの方法でも意思表示しやすいよう、両方の書式を準備し、違いを分かりやすく説明することが望ましいでしょう。

【事前準備編】委任状の回収率を高める4つの戦略的ポイント

督促に奔走する前に、そもそも委任状の提出率を上げるための「事前準備」が極めて重要です。ここでは、回収率を高めるための4つの戦略的なポイントをご紹介します。

① 議題の重要性とメリットを分かりやすく伝える

総会の案内状を送る際は、単に開催日時を通知するだけでなく、「なぜこの議案が重要なのか」「承認されると暮らしがどう良くなるのか」を具体的に伝えましょう。

  • 大規模修繕工事:「15年ぶりの修繕で、雨漏りの不安解消と資産価値の維持につながります」
  • 管理規約の改正:「ペット飼育ルールを明確にし、住民間のトラブルを未然に防ぎます」
  • 防犯カメラの設置:「不審者の侵入を防ぎ、小さなお子様も安心して暮らせるマンションになります」

このように、専門用語を避け、自分たちの生活への影響がイメージできる言葉で伝えることが、無関心層の当事者意識を引き出すコツです。

② 提出期限に余裕を持たせる(招集通知の早期発送)

現行法(~2026年3月31日まで):
区分所有法第35条第1項では、総会の招集通知は「会日より少なくとも一週間前」に発送します。

ただし過去のマンション標準管理規約では「5日間」とする規約もあるため、貴組合の規約を確認してください。

改正法(2026年4月1日以降):
改正区分所有法でも最短期間は「1週間」で変わりません[1]が、通知内容が充実化され、「全ての議案について議案の要領を示す」ことが規定されました[1]。

実務上は、総会開催日の3週間〜1ヶ月前には招集通知を発送し、委任状の提出期限を総会開催の10日前程度に設定するのが効果的です。これにより、提出を忘れている人へのリマインド期間を十分に確保できます。

③ 誰でも書ける簡単な委任状様式を準備する

委任状の様式は、誰が見ても直感的に書けるように工夫しましょう。

  • 記入項目を最小限にする(部屋番号、氏名、押印のみなど)。
  • 記入例を添える。
  • 代理人を誰にすればよいか分からない人向けに、「代理人の記載がない場合は、理事長(議長)に一任するものとします」といった注意書きを明記する。※この取扱いは管理規約に根拠規定が必要です。
(記載例)
私は、〇〇マンション管理組合 理事長 〇〇 〇〇 を代理人と定め、来る〇年〇月〇日開催の通常総会における議決権行使に関する一切の権限を委任します。
※代理人氏名の記載がない場合は、理事長(議長)に一任されたものとして取り扱います。

【応用】議決権行使書の並用で回収率を向上させる工夫

「委任状」回収が難航する場合、以下の【デュアルアプローチ】を検討してください:

  1. 「委任状」と「議決権行使書」の両様式を同一封筒で発送
  2. 組合員に「どちらでも選べます」と案内[2]
  3. 記入しやすい方を選んでもらう

メリット:

  • ✅ 議決権行使書は意思表示が明確化され、不正防止に有効
  • ✅ 白紙委任状による「出来レース」との批判を回避
  • ✅ 総会当日の紛争リスク低減[2][4]

④ 提出方法を多様化する(郵送、集合ポスト、デジタル)

提出の手間を減らすことも、回収率アップに直結します。

  • 返信用封筒の同封:切手不要の返信用封筒を同封するのは基本です。
  • 管理員室や集合ポストへの投函:郵送の手間を省けるよう、マンション内での提出ルートを設けます。
  • デジタル提出:後述するスマートフォンアプリなどを活用し、オンラインでの提出を可能にします。

特に遠隔地に住む区分所有者や、日中不在がちな居住者にとって、提出方法の多様化は非常に有効です。

【督促・回収編】未提出者への段階的アプローチ

事前準備を徹底しても、期限までに全員から提出されるケースは稀です。ここからは、期限後に未提出者へアプローチするための具体的なステップを解説します。重要なのは、いきなり個別訪問するのではなく、段階的に働きかけを強めていくことです。

ステップ1:書面によるリマインド(掲示板・チラシ)

提出期限の翌日を目安に、まずは全体への周知から始めます。

  • 掲示板へのリマインド掲示:「委任状の提出期限は過ぎましたが、まだ受け付けております。未提出の方はお早めにお願いいたします」といった内容のポスターを掲示します。
  • 各戸ポストへのチラシ投函:掲示板を見ない人もいるため、同様の案内を各戸のポストに投函します。

この段階では個人名を特定せず、「未提出の方へ」という形で穏やかに呼びかけるのがポイントです。

ステップ2:電話・メールによる個別のお願い

書面でのリマインド後、数日経っても提出がない組合員に対しては、個別での連絡に移行します。事前に組合員名簿で連絡先を確認しておきましょう。

  • 電話での依頼:「理事会の〇〇です。総会の委任状の件ですが、お手元にございますでしょうか?」と丁寧に状況を確認し、提出をお願いします。
  • メールでの依頼:メールアドレスが分かっている場合は、同様の内容でメールを送ります。再提出用の委任状ファイルを添付すると親切です。

外部所有者など、物理的に距離がある相手には特に有効な方法です。

ステップ3:管理会社と連携した声かけ・訪問

最終手段として、居住者への直接の声かけや訪問を検討します。ただし、この方法は相手にプレッシャーを与えかねないため、細心の注意が必要です。

  • 管理員からの声かけ:日常的に居住者と顔を合わせる管理員から、「理事会から委任状提出のお願いが来ていますよ」とやんわり伝えてもらうのは効果的です。
  • 理事による訪問:インターホン越しに「理事の〇〇です。総会の委任状の件でお伺いしました」と用件を伝え、提出を依頼します。

【注意】訪問時の強要は避けるべきです(トラブルリスク大)
訪問はあくまで任意での提出をお願いする場です。高圧的な態度を取ったり、長時間玄関先に留まったりする行為は、組合員間の深刻なトラブルに発展する可能性があります。相手の都合を尊重し、丁寧な対応を心がけてください。

これらの督促・回収業務は、理事会の負担が大きいため、管理会社と協力して進めることが不可欠です。管理委託契約の業務範囲を確認し、どこまで協力してもらえるか事前に打ち合わせましょう。

どうしても定足数に満たない場合の3つの最終手段

あらゆる手を尽くしても、総会開催日までに定足数に達しない。そんな絶望的な状況に陥った場合の法的に認められた選択肢を3つご紹介します。

選択肢①:総会の延期と再招集の手続き

定足数不足が確実な場合、総会当日を待たずに「延期」を決定し、改めて組合員に通知(再招集)する方法があります。

  • メリット:仕切り直しにより、委任状の再回収や議題の再説明を行う時間が生まれます。
  • デメリット:再招集の手間と時間がかかります。再度、招集通知の発送が必要です。
  • 手続き:理事会の決議を経て延期を決定し、新たな会日を指定して区分所有法第35条に基づく招集手続きをやり直します。

選択肢②:「書面決議」または「電磁的方法による決議」への切り替え

物理的に集まる総会(集会)を開催せず、書面や電子メールなどによって決議を行う方法です。

  • 書面決議(区分所有法第45条):組合員全員が書面で特定の議案に「承諾」した場合に、総会決議があったとみなす制度です。一人でも反対者や無回答者がいると成立しないため、緊急性が高く、かつ全会一致が見込める議案(例:共用部分の軽微な補修)などに限定されます。全員承諾が必要なため、委任状不足の一般対策としては限定的です。
  • 電磁的方法による決議:上記書面決議を、電子メールなど電磁的方法で行うものです。これも全員の承諾が必要です。

この方法はハードルが非常に高いため、一般的な委任状不足の対策としては現実的ではないかもしれません。

選択肢③:Web会議システム(オンライン総会)の活用

近年注目されているのが、Web会議システムを利用した「オンライン総会」です。

【2025年12月現在での確認事項】

  • ✅ 2025年マンション標準管理規約改正による IT活用の前進:
    ・電子委任状・電子議決権行使の導入が検討中[2]
    ・ペーパーレス化(メール配布)の推奨方向

⚠️ 規約改正の具体的な要否については、
貴組合の現行規約とご照会の上、
管理会社またはマンション管理士に確認してください。

🔗 参考資料:
国土交通省「マンション管理・再生の円滑化等のための改正法」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

  • メリット:遠隔地の組合員や多忙な組合員も参加しやすくなり、出席率・委任状回収率の向上が期待できます。議事録の自動作成や投票の自動集計など、理事会の負担軽減にも繋がります。
  • デメリット:導入にコストがかかる場合があります。また、ITに不慣れな高齢者などへの配慮やサポート体制が必要です。
  • 手続き:オンライン総会を実施するには、管理規約に「電磁的方法による議決権行使」や「Web会議システム等を用いて総会に出席すること」を認める規定が必要です。規定がない場合は、まず規約改正のための総会を開く必要があります(国土交通省のマンション標準管理規約改正もこの方向性を後押ししています)。

どうしても定足数が不足する場合の対策比較

選択肢 メリット デメリット・注意点 必要な規約等
① 総会の延期 ・仕切り直しの時間ができる
・議題の再説明が可能
・再招集の手間とコストがかかる
・緊急の議案決定が遅れる
不要(理事会決議で可)
② 書面決議 ・集まる必要がない
・迅速な意思決定が可能
区分所有者全員の承諾が必要
・反対者が一人でもいれば不成立
不要(区分所有法第45条)
③ オンライン総会 ・出席率向上が期待できる
・理事会の負担軽減
・導入コスト、IT弱者への配慮
・事前の環境整備が必要
規約に根拠規定が必要な場合が多い
代替: 箇点リスト形式で閲覧可能(例: 選択肢① 総会の延期 – メリット: 仕切り直しの時間ができる / …)

委任状の取り扱いで注意すべき点と不正防止策

苦労して集めた委任状も、その取り扱いを誤れば新たなトラブルの火種になります。ここでは、特に注意すべき「白紙委任状」の扱いや、不正を防ぐための管理体制について解説します。

トラブルの元!「白紙委任状」の正しい扱い方

代理人欄が空欄のまま提出される「白紙委任状」。この扱いについては、必ずご自身のマンションの管理規約を確認してください。

【白紙委任状の法的位置付け】

国土交通省マンション標準管理規約(2025年改正版)では、以下を推奨しています[1]:

「代理人氏名を記載しない委任状の取扱い:
代理人の記載がない場合は、議長に一任されたものとして
取り扱うことを、あらかじめ規約で定めることが望ましい」

┌─────────────────────────────────┐
│ 【貴組合の管理規約確認項目】 │
│ ☐ 白紙委任状の扱いが明記されているか │
│ ☐ 代理人欄の記載ルールが記載されているか │
│ ☐ 議長に一任する旨が規定されているか │
└─────────────────────────────────┘

規約に明記がない場合の対応:

  • 白紙委任状を受け取った時点で、直ちに提出者に確認を取る[4]
  • 代理人欄を修正させた上で受け取る[4]
  • それが困難な場合は、その票を「無効票」として取り扱うこと[4]

国土交通省の「マンション標準管理規約コメント」では、白紙委任状は議長(通常は理事長)に一任されたものとして扱う旨を、あらかじめ規約に定めておくことが望ましいとされています。

(代理人の記載のない委任状の扱い)
代理人の氏名を記載しない、いわゆる白紙委任状の提出があった場合の取扱いをめぐり、トラブルとなるケースがみられる。…(中略)…あらかじめ規約で、白紙委任状は、議長に一任されたものとして取り扱う旨を定めることが望ましい。

(出典:マンション標準管理規約(単棟型)コメント)

もし、管理規約にこの定めがない場合、白紙委任状はトラブルの可能性があり、事前確認を取るなどの対応を推奨します。理事会が勝手に「理事長一任」と解釈して議決権を行使すると、後々決議の有効性を争われる可能性も否定できません。トラブル防止のためにも、規約の確認と、必要であれば改正を検討しましょう。

偽造・改ざんリスクに備える管理体制

委任状は決議の結果を左右する重要な書類であり、その管理は厳格に行う必要があります。残念ながら、過去には委任状の偽造や改ざんといった不正行為が問題となったケースも存在します。

不正を防ぐためには、管理組合と管理会社が連携し、透明性の高い管理プロセスを確立することが重要です。

  • 受付・保管ルールの明確化:誰が、いつ、どこで委任状を受け取り、どこに保管するかをルール化する。
  • 複数人での確認:回収した委任状の開封や集計は、必ず理事複数名や管理会社の担当者立ち会いのもとで行う。委任状の管理方法について、管理会社と連携し、適切な保管・集計体制を確立する。
  • 保管と開示:総会終了後も、委任状は議事録と共に一定期間保管し、組合員の求めに応じて閲覧できるようにしておくことが望ましいです。

これらの体制を整えることで、不正の抑止力となるだけでなく、万が一トラブルが発生した際にも、理事会が適正に業務を遂行していたことの証明になります。

自力での解決が難しい場合は専門家への相談も検討

委任状の回収や総会運営は、理事会役員にとって大きな負担です。自力での解決に限界を感じた場合は、外部の専門家をうまく活用することも賢明な選択です。

管理会社に依頼できる業務の範囲と費用

多くのマンションでは、管理会社に管理業務を委託しています。委任状の回収も、通常は管理委託契約に含まれる標準業務の一つです。

まずは現在の管理委託契約書を確認し、委任状の回収に関する業務範囲(どこまでが標準業務で、どこからが追加費用となるか)を明確にしましょう。一般的に、以下のような業務が考えられます。

  • 標準業務の範囲:招集通知・委任状の印刷、発送、回収ポストからの回収、集計作業など。
  • 追加費用が発生する可能性のある業務:未提出者への個別電話督促、個別訪問、総会当日の受付人員の増員など。

「回収率が低いので何とかしてほしい」と丸投げするのではなく、契約内容を基に具体的な協力体制を協議することが、良好なパートナーシップを築く上で重要です。

マンション管理士など外部専門家の活用

管理会社との協議がうまくいかない場合や、より専門的なアドバイスが欲しい場合は、第三者の専門家である「マンション管理士」への相談を検討しましょう。

マンション管理士は、管理組合の運営全般に関するコンサルティングを行う国家資格者です。

  • 委任状回収率向上のための具体的な企画立案
  • 規約改正(オンライン総会導入など)のサポート
  • 総会への中立的な立場での出席(議事進行の補助など)

これらの支援を通じて、理事会の負担を軽減し、より円滑で適正な組合運営を実現する手助けをしてくれます。

【注意点】管理会社の見積もり依頼で気をつけること

管理会社の見直しを検討する際、複数の会社から相見積もりを取るのは有効な手段です。しかし、やみくもに多数の会社へ依頼するのは避けるべきです。

相見積もり依頼は、管理会社の業務量を増加させるため、理事会としては事前に候補を2~3社に絞り込み、誠実な態度で臨むことが望ましいとされています。組合側の要望が強すぎると、管理会社から敬遠される恐れがあります。特に小〜中規模のマンション(例: 20戸-40戸程度の自主管理型)では、管理会社が積極的に管理取得を目指さない場合が多く、見積もり作成には現地調査、清掃・EV点検・消防・警備などの外注先調整、理事会面談(3-4回程度)などの労力が伴います。2-3社程度であれば対応しやすいため、この範囲に絞ることが現実的です。

管理委託費の見積もりで気をつけること

管理委託費の見積もりでは、「一式」という大まかな項目を使用せず、具体的な業務内容ごとに明細を求めることが重要です。これにより、組合員への説明責任を果たせます。

まとめ:委任状の円滑な取得で健全な組合運営を

管理組合の総会で委任状が集まらない問題は、多くのマンションが抱える共通の悩みです。しかし、その原因を分析し、適切な手順を踏むことで、状況は大きく改善できます。

本記事で解説したポイントをまとめます。

  • 基本を理解する:総会成立には「定足数」が必要であり、委任状・議決権行使書はその重要な構成要素です。
  • 事前準備を徹底する:議題の重要性を伝え、余裕のあるスケジュールと簡単な手続きを整備しましょう。
  • 段階的にアプローチする:督促は全体周知から始め、徐々に個別対応へ移行します。
  • 最終手段を知っておく:総会の延期やオンライン化など、いざという時の選択肢を把握しておくと安心です。
  • 適正に取り扱う:白紙委任状の扱いは規約を確認し、不正防止のための管理体制を構築しましょう。
  • 専門家を頼る:理事会だけで抱え込まず、管理会社やマンション管理士の力も借りましょう。

委任状の円滑な取得は、単に総会を成立させるだけでなく、組合員一人ひとりがマンション管理に参加する意識を高めるきっかけにもなります。理事会の皆様の地道な努力が、マンション全体の資産価値と良好なコミュニティの維持に繋がることを忘れないでください。

免責事項

本記事は、不動産取引に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定の個人や団体、個別案件に対する法的な助言や見解を示すものではありません。

記事の内容は、作成日時点の法令や情報に基づいています。法令の改正や、個別の管理規約・契約内容によっては、本記事の記載と取扱いが異なる場合があります。特に2026年4月改正区分所有法への対応を予定しており、最新情報は専門家にご確認ください。

具体的な問題については、弁護士、マンション管理士等の専門家にご相談ください。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、当サイトは一切の責任を負いかねますので、あらかじめご了承ください。

参考資料

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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