東京のマンション管理会社費用比較ガイド|令和5年データで見る適正価格の5ステップ

東京のマンション管理会社費用比較ガイド|令和5年データで見る適正価格の5ステップ

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

東京都内のマンション管理委託費は、人件費や物価の上昇を背景に高止まりしています。管理組合の運営において、この費用は大きな割合を占めるため、その適正化は重要な課題です。しかし、やみくもに安さだけを求めて管理会社を選ぶと、サービスの質が低下し、結果的に資産価値を損なうことにもなりかねません。大切なのは、費用の構造を理解し、自らのマンションに合ったサービスを適正な価格で提供してくれる会社を見極めることです。

本記事は、分譲マンションの管理組合向けに共用部分の維持管理や組合運営支援を行う「分譲管理」に関する実務知識を提供するものです。賃貸マンションなどの収益不動産を対象としたプロパティマネジメント(PM)やビルマネジメント(BM)とは射程が異なります。宅地建物取引士および管理業務主任者の資格を持つ不動産ライターが、国土交通省の公表データや標準的な契約の指針を基に、東京都内におけるマンション管理会社の費用を比較・検討する具体的な方法と注意点を解説します。なお、本記事は株式会社MIJの提供により作成されており、同社のサービス紹介を含みます。

目次

背景知識:東京のマンション管理費用の相場と構造

マンションの維持費用について考える際、まず「管理費」と「管理委託費」の違いを正確に理解することが重要です。

  • 管理費:区分所有者(住民)が、管理組合に毎月支払うお金全体を指します。共用部分の清掃費、光熱費、火災保険料、そして管理会社へ支払う「管理委託費」などが含まれます。
  • 管理委託費:管理組合が、業務を委託している管理会社へ支払う業務委託料です。

つまり、管理組合が集めた「管理費」の中から「管理委託費」が支払われます。本稿で比較・適正化の対象とするのは、この「管理委託費」です。将来の大規模修繕に備えて別途積み立てる「修繕積立金」とも区別する必要があります。

東京都における管理費の状況とデータ

国土交通省が公表した「令和5年度マンション総合調査結果」(2024年6月21日公表、Ⅱ結果編4ページ)のデータによれば、全国における駐車場使用料等や専用使用料からの充当額を除いた月/戸当たりの管理費平均は11,503円でした。平成30年度の前回調査(10,873円)と比較して増加しており、最低賃金の引き上げや資材高騰が影響していることが時系列の数字からもうかがえます。

同調査では、マンションの総戸数規模別における管理費の傾向も示されています。以下に戸数別の月/戸当たり平均額を記載します。

  • 20戸以下:17,992円
  • 21戸~30戸:14,561円
  • 31戸~50戸:12,798円
  • 51戸~75戸:11,465円
  • 76戸~100戸:10,483円
  • 101戸~150戸:9,906円

※上記データは、総戸数が小さくなるほど、エレベーター保守点検費などの固定コストを少ない戸数で分担するため、1戸当たりの負担額が重くなる構造を示しています。地価や人件費が高い東京都内の小規模物件では、この負担感がより顕著になる傾向があります。

管理委託費の内訳と標準契約書の位置付け

管理会社への見積もりを比較する際は、業務内容ごとの内訳を明確にすることが不可欠です。国土交通省が管理組合と管理会社との間の契約のひな型、および標準的な指針として公表している「マンション標準管理委託契約書」(令和5年9月改訂版)では、別表第1から別表第4に基づき、主に以下の4つの業務に分けて費用を算出する構成となっています。

  1. 事務管理業務(本契約第3条・別表第1関係):管理組合の会計、出納、理事会・総会の運営支援など
  2. 管理員業務(本契約第4条・別表第2関係):受付、点検、立会いなどの人的サービス
  3. 清掃業務(本契約第5条・別表第3関係):共用部の日常清掃や定期清掃
  4. 建物・設備管理業務(本契約第6条・別表第4関係):エレベーターや消防設備等の法定点検・保守

この「マンション標準管理委託契約書」は法令そのものではなく法的拘束力はありませんが、実務上の指針として広く用いられています。項目別に金額を把握することが適切な比較の前提となります。

取組・対応ステップ:管理会社と費用を比較する5つの手順

Step1:現状の契約内容と仕様を把握する

まずは現在の管理会社と締結している「管理委託契約書」および「重要事項説明書」に添付された仕様書を確認します。どのような業務がどの頻度・時間で組まれているか、項目別の明細があるかを把握します。なお、具体的な解約や更新の条件に関しては、現在締結されている管理委託契約書に記載された予告期間等の条項が最優先されるため、必ず事前に原本を精査してください。

Step2:項目別明細で見積もり依頼の準備をする

他社へ見積もりを依頼する際は、「管理委託費 一式」という大まかな項目での提示を避け、上記の「事務管理業務」「管理員業務」「清掃業務」「建物・設備管理業務」の4つの項目別に内訳金額を算出するよう依頼書に明記します。内訳が不明瞭な「一式見積もり」では、他社とのサービス水準や価格の妥当性を客観的に検証することができません。

Step3:比較検討する管理会社を2〜3社に絞る

相見積もりを依頼する会社数は、2〜3社に絞るのが実務上現実的です。精度の高い見積もりを作成するためには、管理会社側にも多大な労力がかかります。管理会社は、見積もり作成にあたり3〜4回ほど現地に足を運んで仕様や1棟全体の設備、会計状況を精査するほか、清掃、エレベーター点検、消防、警備などの外注先会社と細かな打ち合わせを行い、理事会との面談を重ねる必要があります。

そのため、5社も6社も同時に相見積もりを取るような組合に対しては、特に20戸〜40戸程度の中小規模マンションの場合、管理会社側が受託の労力を敬遠して辞退するリスクが高まります。組合側が資料を整理して丁寧に情報提供を行い、迅速な意思決定を心がける姿勢を示すことで、良好な提案を引き出しやすくなります。

Step4:プレゼンを受け、費用とサービス内容を総合的に評価する

各社から項目別明細を含む見積書が提出されたら、理事会でプレゼンテーションの機会を設けます。現在の管理レベルが維持できるか、フロント担当者の専門知識や、深夜・停電時をはじめとする緊急時の対応体制が整っているかを総合的に評価します。

Step5:総会で決議し、新管理会社へ円滑に移行する

最終的に管理会社を変更する場合、管理組合の総会(集会)での決議が必要です。原則として、区分所有法第39条第1項に基づき、集会に出席した区分所有者(議決権を有しない者を除く)およびその議決権の各過半数による「普通決議」で決します。ただし、各マンションの管理規約に別段の定めがある場合は、法律の規定よりも管理規約の定めが優先されますので、決議要件の詳細は必ず自組合の規約を確認してください。

また、現契約の解約手続きを進める際は、これまでに締結していた管理委託契約書内の解約告知期間に関する条項(通常は3ヶ月前までの通知など)が最優先で適用されます。新旧管理会社間で管理規約、長期修繕計画書、過去の点検報告書等の重要書類を漏れなく引き継ぐ段取りを綿密に調整することが、管理の空白期間を作らないために極めて重要です。

よくある質問(FAQ)

Q. 小規模分譲物件で委託費を抑えるにはどうすれば良いですか?

A. 管理員の勤務形態の見直し(常駐から巡回への変更)や、清掃頻度の最適化により、内訳に含まれる固定人件費を調整するアプローチが一般的です。

戸数の少ないマンションでは、1戸当たりの負担額が大きくなりやすいため、週5日勤務などの駐在形式から、週に数日訪問する巡回管理方式へ変更することで、人件費部分を圧縮できる場合があります。ただし、日常の清掃状況や居住者の安心感といったサービス維持とのバランスを慎重に判断する必要があります。また、個別の施工方法等の検討においては、例えば配管更新時に「SRCT工法」のような更生工法を選択できる条件であれば、一般的な配管全面更新と比較して工事費用を約40%低減できるケースもありますが、建物の劣化状況等によるため専門家への確認が必要です。

Q. 2026年現在、補助金や助成金を活用して管理組合の費用を抑えられますか?

A. 活用できる可能性はありますが、自治体や年度ごとの制度改定への注意と確認が必須です。

東京都や各区市町村(例えば「東京都〇〇区」など)では、マンションの省エネ改修や長寿命化に資する工事、耐震補強等に対して補助金・助成金制度を設けている場合があります。しかし、これらの行政制度は年度ごとに内容が改定・変更されるため、2026年時点における対象の地域・自治体の最新の募集要項を直接確認することが不可欠です。通常の管理会社は申請手続きに手間がかかるため提案に消極的なケースも見られますが、株式会社MIJでは管理組合の負担を軽減するため、独自のサポートメニューとして情報提供や申請サポートを積極的に提案しています。なお、最終的な申請内容の確認と責任は管理組合側に帰属します。

Q.「マンション管理適正評価制度」は管理会社の比較に使えますか?

A. 直接的には使えません。あの制度は「管理組合の運営状況」を評価・格付けするものです。

「マンション管理適正評価制度」や、マンション管理適正化法に基づく「管理計画認定制度」は、法定の基準や独自の評価項目に沿って、あくまで「管理組合」の管理体制や長期修繕計画の有無等を評価する制度です。委託先である「管理会社」の業務品質や、サポートの優劣を直接的に評価・比較する指標ではない点にご注意ください。

実務ヒント:コスト削減の限界と賢いパートナー選び

安易な値下げ要求が招く品質低下のリスク

他社の安い見積価格だけを根拠に、現在の管理会社へ一方的な減額を迫ることは推奨されません。仕様を変えずに金額だけを下げさせた場合、フロント担当者の変更や訪問回数の減少、清掃時間の短縮など、目に見えにくい部分での品質低下を招く恐れがあります。コストを抑える際は、必ず委託業務の範囲や頻度の見直し(仕様の適正化)とセットで協議を行うのが健全な手法です。また、過度なコスト削減が将来的な修繕積立金の不足や、適切な修繕の滞りにつながらないよう、中長期の資金計画と切り離さずに議論することが重要です。

【管理会社向け】事業引継ぎ・承継という選択肢。MIJのソリューション

少子高齢化に伴う小規模物件の採算性悪化や人手不足、後継者問題などを背景に、分譲マンション管理事業からの撤退や、一部の不採算物件の管理終了を検討されている管理会社の方も存在します。しかし、急な撤退は管理組合とのトラブルや、企業の信用低下に繋がりかねません。

株式会社MIJでは、管理組合や管理会社双方の負担を軽減し、円滑な事業承継を支援するソリューションを提供しています。

  • 管理組合とのトラブル回避:MIJが業務を適正に引き継ぐことで、管理の空白期間を生じさせず、住民に不安を与えない承継を実施します。
  • 既存従業員の雇用やリソースの安定:引継ぎにあたり、ご希望や条件に応じて、これまで現場を支えてきた従業員の方々の配置や業務移行をスムーズに支援します。
  • 撤退・承継に付随するコスト・費用のサポート:引継ぎ・移行期間中に発生する実務的な負担を軽減するため、事実に基づいた独自のサポート内容(条件に応じた一時的な体制維持への協力など、詳細はお問い合わせください)をご用意し、経営資源の選択と集中をバックアップします。

まとめ:費用と品質のバランスを見極める賢い比較を

東京都内でマンション管理会社の費用を比較する際は、単に金額の安さを追い求めるのではなく、その内訳と提供されるサービスの質を総合的に見極める視点が不可欠です。

  • 相場を客観的に知る:国土交通省の「令和5年度マンション総合調査結果」などの公的データを参考に、自マンションの規模に応じた費用水準を把握する。
  • 内訳明細で比較する:「一式見積もり」を避け、マンション標準管理委託契約書の業務区分(事務管理・管理員・清掃・建物設備管理)に沿った項目別明細で比較する。
  • 適切な社数で進める:管理会社側の現地調査や外注見積取得にかかる労力を考慮し、相見積もりは2〜3社に絞って誠実に交渉する。
  • 決議要件と規約の確認:管理会社の変更を決議する際は、区分所有法第39条第1項の原則を踏まえつつ、自組合の管理規約の定めを最優先に確認する。

管理委託費は、マンションの資産価値を維持・向上させるための投資です。本記事で解説したポイントを参考に、管理組合全体で納得のいくパートナー選びを進めてください。

免責事項

本記事は、分譲マンションの管理委託費に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の物件や個別の事案に対する法的な助言や実務的な見解を示すものではありません。管理会社の選定や契約交渉、解約等の法的手続きに際しては、貴マンションの管理規約、個別の委託契約条項、最新の法令等をご確認の上、ご自身の責任においてご判断ください。また、自治体の補助金・助成金制度については、必ず管轄の自治体が公表する最新の募集要項や要綱をご確認ください。

参考資料

  • 国土交通省, 「令和5年度マンション総合調査結果」(2024年6月21日公表、Ⅱ結果編:概要編および結果編各パート), https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000058.html
  • 国土交通省, 「マンション標準管理委託契約書及び同コメント」(令和5年9月11日改訂), https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000053.html
  • SUUMO, 「マンションの維持費は毎月どれくらいかかる?平均や築年数での違いを解説」(2022年4月4日公開記事), https://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/sumai_nyumon/money/ms_cost/
  • 株式会社MIJ, 「【2025年最新】管理委託費の内訳と平均値【令和5年データ】」, https://man-kan.com/m-columns/kanrihi-souba/

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

建物管理に関するお悩みはお気軽にご相談下さい!
大手建物管理会社では対応が難しい自主管理物件や小規模マンションにも、当社は的確なサポートを提供します。
規模に関わらず、管理組合様のニーズに寄り添い、資産価値の維持・向上に貢献する最適な管理プランをご提案。
長期的な安定と快適な居住環境づくりを全力でサポートいたします。

マンション管理のこと、 どんな小さな疑問でも
大丈夫です!

どんな些細なことでも構いません。管理費の最適化や修繕計画、住民トラブルの対応まで、
少しでも気になることはMIJまでお気軽にご相談ください!

相談は無料です!マンション管理のことは
何でもご相談ください!

03-5333-0703 電話で相談する

営業時間:10:00~18:00
平日、土日も営業(年末年始・お盆を除く)