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分譲マンションの理事に就任された方や、居住ルールに疑問をお持ちの方にとって、「区分所有法」は避けて通れない法律です。これはマンションで多くの人が共同生活を送るための根幹となるルールであり、いわば「マンションの憲法」(※法律上の正式名称ではなく重要性を示す比喩です)とも呼べます。
しかし、条文は複雑で理解が難しいと感じる方も多いでしょう。この記事では、宅地建物取引士・管理業務主任者の視点から、2026年9月現在の最新法令に基づき、区分所有法の要点をわかりやすく解説します。
区分所有法の基礎知識と3つの重要ポイント
正式名称を「建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号。以下『区分所有法』)」といいます。マンション管理を理解する上で、まず押さえるべきは以下の3点です。
①「専有部分」と「共用部分」の区別
マンションは、所有者が自由に使える部分と、全員で共有する部分に明確に分かれます(区分所有法第2条)。
- 専有部分: 住戸の内側など、区分所有権の目的となる部分です。
- 共用部分: 廊下、階段、エレベーター、エントランスなど、専有部分以外の建物部分です(区分所有法第4条)。
【注意点:専用使用権】 バルコニーや玄関ドア、窓サッシなどは、特定の居住者のみが使う「専用使用権」が認められていますが、法的性質は「共用部分」です。そのため、個人の判断で勝手にリフォームや色の変更を行うことはできません。
②「管理組合」は自動的に構成される

区分所有法第3条により、マンションの区分所有者は、自分の意思に関わらず全員が「管理組合」の構成員となります。脱退はできません。管理組合は建物の維持管理を行う「運営主体」であり、実務を請け負う「管理会社」とは立場が異なります。
③ 集会(総会)の決議要件

マンションの意思決定は「集会」で行われます。議題の重要度によって、必要な賛成数が法律で定められています。
| 決議の種類 | 主な内容 | 必要な賛成数(原則) | 根拠条文 |
|---|---|---|---|
| 普通決議 | 役員選任、予算承認など | 出席した区分所有者およびその議決権の各過半数 | 区分所有法第39条1項 |
| 特別決議 | 規約変更、共用部分の重大変更 | 区分所有者及び議決権の各過半数が出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上 | 区分所有法第17条1項、第31条1項等 |
| 特別多数決議 | 建替え決議 | 区分所有者及び議決権の各5分の4以上 | 区分所有法第62条1項 |
※普通決議事項については、区分所有法第39条第1項により「規約で別段の定め」をすることが認められています。例えば定足数の緩和などが規約で定められている場合があるため、必ず自マンションの管理規約を確認してください。

区分所有者の義務とトラブルへの対抗措置

区分所有者は権利を持つ一方で、共同生活を守る義務を負います。特に「共同の利益に反する行為」は厳格に禁止されています(区分所有法第6条)。深刻なトラブルが発生した場合、管理組合は以下の法的措置を検討できます。
- 行為の停止等の請求(第57条): 騒音や迷惑行為の停止を求める訴訟。普通決議で決定可能。
- 専有部分の使用禁止請求(第58条): 著しい障害がある場合、一定期間の使用を禁止する。特別決議が必要。
- 区分所有権の競売請求(第59条): 最終手段として、その者の所有権を競売にかける。特別決議が必要。
区分所有法と「管理規約」の相関関係

効力の順位は 区分所有法 > 管理規約 です。区分所有法には、規約での変更を一切認めない「強行規定」が存在します。例えば、建替え決議の要件を規約で「過半数」に緩和しても、それは法に抵触するため効力を有しない可能性があります。
【実践】資産価値を守るためのアクション
管理委託費の内訳精査
管理委託費を見直す際は、国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」を参考に、「事務管理」「管理員」「清掃」「設備管理」など、業務ごとに内訳が明記された見積書を取ることが重要です。「一式」という大まかな項目では適正価格の判断ができません。
また、見積もりを依頼する際は、標準契約書や事前に作成した仕様書に基づいて内容を明確にし、複数の管理会社と丁寧に協議を進めることが、円滑な交渉のポイントです。
自治体の補助金活用(2026年時点の注意点)
バリアフリー化や耐震改修には、自治体の助成制度が活用できる場合があります。自治体の制度は年度ごとに内容が変わるため、最新の公式情報を確認してください。多くの管理会社は申請手間の多さから提案に消極的ですが、申請手続きは煩雑なことが多いため、必要に応じて専門家へ相談してください。
よくある質問(Q&A)
Q:手続きを進める前に、最初にどの書類を見ればよいですか?
A:いま締結している管理委託契約書と、管理規約の決議の条項です。規約に別段の定めがあるときは、その定めに従ってください。
Q:修繕積立金の値上げにはどの決議が必要ですか? A: 管理規約に具体的な金額が記載されている場合、その変更は「規約の変更」として特別決議(3/4以上)が必要となるのが一般的です。ただし、規約の構造によっては普通決議で運用可能なケースもあるため、まずは自組合の規約構成を確認し、マンション管理士等の専門家へ相談することをお勧めします。
免責事項
本記事は2026年9月26日現在の法令に基づき、一般的な情報提供を行うものです。個別の法的判断については、必ず弁護士やマンション管理士等の専門家にご相談ください。法改正により内容が変更される場合があります。
参考資料
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」
- 国土交通省「マンション標準管理規約(令和6年6月改正版)」
- 国土交通省「マンション標準管理委託契約書」
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

