マンション警備会社おすすめ5選!法務視点で正しい切り替え4ステップガイド

マンションの警備会社選定において避けるべき特徴をまとめた注意喚起パネル。公安委員会の認定番号を提示しない業者、内訳不透明な「一式見積もり」、極端に安価な見積もり、契約書なしで業務を始める提案の4項目がアイコンと共に示されている。これにより、管理組合は危険な業者リスクを回避し、信頼できるパートナーを見極めることができる。

マンションの警備会社切り替えガイド:法務の視点から正しい手順を解説

マンションの警備員の対応が悪い、現在の警備費用が高い割にサービスが見合っていない…など、警備会社に対する不満はありませんか?マンションの安全と資産価値を守る上で、警備会社の役割は非常に重要です。もし現状に課題を感じているなら、警備会社の切り替えは有効な解決策となり得ます。

しかし、いざ「おすすめの警備会社」を探そうとしても、何を基準に選べば良いのか、どのような手続きが必要なのか分からず、足踏みしてしまう管理組合は少なくありません。この記事では、宅地建物取引士の視点から、マンションの警備会社を切り替えるための法的な基礎知識、失敗しない優良企業の選び方、そして総会決議を含む具体的な変更手順までを網羅的に解説します。正しい知識を身につけ、あなたのマンションに最適な警備会社を選びましょう。

目次

背景知識:大前提は「管理委託」と「警備契約」の区別から

警備会社の切り替えを検討する前に、まず理解すべき最も重要な前提があります。それは、マンションの「管理事務」と「警備業務」は、法律上全くの別物だということです。この区別を曖昧にしたまま進めると、契約トラブルやコスト管理の失敗に繋がる可能性があります。

用語の整理:管理事務と警備業務は法律が違う

管理組合が業者に業務を委託する際、根拠となる法律が異なります。この違いを理解することが、適切な契約を結ぶ第一歩です。

項目管理事務警備業務
主な業務内容事務管理業務(会計、出納等)、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務施設内の常駐・巡回、不審者の監視・排除、盗難等の事故防止、緊急時対応
根拠法マンション管理適正化法警備業法
特徴マンションの維持管理全般に関する幅広い業務。人の生命・身体・財産の保護に特化した専門業務。
管理事務と警備業務の法的整理
(表が表示されない場合: 項目 – 管理事務: 事務管理業務(会計、出納等)、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務 / 根拠法: マンション管理適正化法 / 特徴: マンションの維持管理全般に関する幅広い業務。 – 警備業務: 施設内の常駐・巡回、不審者の監視・排除、盗難等の事故防止、緊急時対応 / 根拠法: 警備業法 / 特徴: 人の生命・身体・財産の保護に特化した専門業務。)

ポイントは、警備業務を行うには「警備業法」に基づき、営業所の所在地を管轄する公安委員会の認定が必須であるという点です。 これは、専門的な知見と体制が求められる業務だからです(出典:警備業法第2条、第4条)。認定がない場合、無許可営業となり刑事処分対象となる可能性があります。

国土交通省の見解:なぜ契約を分ける必要があるのか

国土交通省が公開している「マンション標準管理委託契約書」は、管理会社との契約のひな形となる重要な資料です。この中で、管理会社が行う「管理事務」の内容が定義されていますが、本来、防犯や防災に関する警備業務は、この管理事務に含まれていません(出典:国土交通省「マンション標準管理委託契約書」2023年3月改定版)。

警備業務を委託する場合は、管理委託契約とは別に「警備契約」を締結するか、管理委託契約書の中に「別個の業務」として明確に内容、範囲、費用を記載する必要があります。

契約を分ける、あるいは明確に区別することには、管理組合にとって次のようなメリットがあります。

  • コストの透明化: 管理費のうち、いくらが警備に充てられているか明確になる。
  • 責任所在の明確化: 事故発生時の責任が管理会社にあるのか、警備会社にあるのかがはっきりする。
  • 専門性の確保: 警備専門の会社を直接選定することで、より質の高いサービスを期待できる。

まずは現在の契約形態をチェックしよう

切り替えを検討する前に、必ず現在の契約書を確認してください。チェックポイントは以下の通りです。

  • 管理委託契約書の中に「警備業務」に関する記載があるか?
  • ある場合、業務内容や費用は他の管理事務と明確に区分されているか?
  • そもそも、管理組合が警備会社と直接「警備業務委託契約」を締結していないか?

現状を正確に把握することで、次に取るべき行動が明確になります。

手続・対応ステップ①:優良な警備会社の選び方と比較基準

現在の契約形態を把握したら、次は新しい警備会社の選定です。ここでは、失敗しないための5つの比較基準を紹介します。

ポイント1:【必須条件】公安委員会の「認定」を受けているか

これは最も重要なチェック項目です。警備業法に基づき、警備業務を営むには公安委員会の認定が法律上必須です(出典:警備業法第4条、第5条)。認定を受けていない業者は違法であり、契約してはいけません。2024年4月の警備業法改正により、従来の認定証は廃止され、認定番号の確認が主となります。見積もり依頼時には、施設警備業務(常駐・巡回警備)の認定番号を必ず確認しましょう。認定の有無は、各都道府県公安委員会のウェブサイトに掲載されている認定業者一覧などで確認できます。

警備業を営もうとする者は、…都道府県公安委員会の認定を受けなければならない。

(出典:警備業法 第四条)

ポイント2:マンション警備(施設警備)の実績は豊富か

警備会社と一口に言っても、交通誘導が得意な会社、イベント警備が専門の会社など様々です。マンション特有の事情(居住者とのコミュニケーション、プライバシーへの配慮など)を理解しているか、同規模のマンションでの警備実績が豊富かを確認しましょう。公式サイトの導入事例や、担当者への直接のヒアリングで判断できます。

ポイント3:緊急時の対応体制と近隣拠点

火災報知器の作動や不審者の侵入など、万が一の事態に迅速に対応できる体制は不可欠です。

  • 24時間365日対応の指令センター(管制センター)を持っているか?
  • マンションから近い場所に待機所や営業拠点があるか?(緊急時の駆けつけ時間に直結します)

これらの点は、住民の安心に大きく関わるため、契約前に必ず確認すべき項目です。

ポイント4:警備員の質と教育体制

警備員の質は、サービスの満足度を左右します。しかし、「質」は客観的に測りにくいものでもあります。そこで、次のような点から教育体制を確認しましょう。

  • 警備業法で定められた法定研修以外に、独自の教育プログラム(接遇マナー研修など)を実施しているか。2025年6月からは熱中症対策が法的義務となるため、その実施状況も重要な確認項目となります。
  • 警備員指導教育責任者や機械警備業務管理者といった国家資格保有者が在籍しているか。

質の高い教育は、警備員の適切な判断力や丁寧な対応に繋がります。

ポイント5:見積もりと契約内容の透明性

見積もりが「一式」で提出されるような会社は注意が必要です。信頼できる会社は、費用の内訳を明確に提示します。

  • 警備員1人あたりの単価
  • 勤務時間や拘束時間
  • 業務内容(常駐、巡回頻度など)

契約書の内容も同様です。契約期間、解約の際の条件(通知期間や違約金の有無)などを事前にしっかり確認できる透明性の高い会社を選びましょう。

手続・対応ステップ②:切り替えを成功させる4ステップ

優良な会社の基準がわかったら、いよいよ具体的な切り替え手続きを進めます。管理組合で合意形成を図りながら、計画的に進めることが成功の鍵です。

ステップ1:理事会での課題整理と選定基準の策定

まず、理事会で「なぜ警備会社を切り替えたいのか」を明確にします。

  • 現在の警備会社への不満点(費用、警備員の対応、報告内容など)をリストアップする。
  • 新しい警備会社に求める条件(コスト削減、サービス向上など)を具体化する。
  • 前章で解説した「選び方のポイント」を基に、自分たちのマンションに合った選定基準を策定する。
  • 管理規約の決議要件(例: 特別決議の閾値)を事前に確認し、総会決議の形式を決定する。

ここでの議論が、後の業者選定や総会での説明の土台となります。

ステップ2:候補先の選定と比較見積もりの取得

策定した選定基準に基づき、2〜3社の候補を選び、見積もりを依頼します。この際、全社に同じ条件(警備員の配置時間、業務内容など)を提示し、公平に比較できるようにすることが重要です。

ポイント:見積もり依頼は2〜3社に絞るのが現実的です。理由は後の章で詳しく解説します。

ステップ3:総会での説明と決議(原則として過半数承認)

警備会社の変更は、共用部分の管理に関わる重要事項であり、原則として区分所有者および議決権の各過半数による承認(区分所有法第39条第1項) が必要です。ただし、管理規約に異なる定めがある場合(例:理事会決議のみで足りる、特別決議が必要など)は、その規約の定めが優先されます。必ず現在の管理規約を確認してください。

総会では、以下の点を分かりやすく説明し、組合員の理解を得ることが大切です。

  • 警備会社を変更する理由(現状の課題)
  • 候補先の比較検討結果(費用、サービス内容)
  • なぜその会社を推薦するのか
  • 切り替えによって何が改善されるのか(コスト削減効果、安全性の向上など)

理事会で検討した内容を総会で説明するプロセスの一般例として、資料を用意し、質疑応答に備えましょう。

ステップ4:現契約の解約と新規契約・引き継ぎ

総会で承認を得られたら、最終ステップです。

  1. 現警備会社への解約通知:
    • 現在の警備業務委託契約書の条項が最優先です。 契約書に記載されている解約予告期間(通常30~60日)を厳守し、書面で正式に解約通知を行ってください。
    • 契約書に「解約違約金」「不渡り期間のサービス継続義務」など特別な条件がないか、必ず確認してください。解約後10日以内に警察署へ変更届出(新旧会社間手続き)を確認し、必要に応じて弁護士等の専門家に相談してください。
  2. 新規警備会社との契約締結: 理事長名で、正式に警備業務委託契約を締結します。弁護士等の専門家に契約内容の最終確認を依頼することをお勧めします。
  3. 業務の引き継ぎ: 最も重要なプロセスです。警備サービスに空白期間が生まれないよう、現在の契約終了日と新しい契約開始日を調整し、両社間で必要な情報(鍵の管理方法、緊急連絡先、設備の位置など)の引き継ぎを確実に行ってもらいます。

よくある質問(FAQ)

Q.

マンションの警備会社を変更するのに、総会決議は必ず必要ですか?

A.

はい、警備会社の変更は共用部分の管理に関する重要な変更にあたるため、原則として区分所有法第39条第1項に基づく管理組合総会の決議(区分所有者および議決権の各過半数による承認)が必要です。ただし、管理規約の定めが区分所有法を上回る場合(例: 3/4以上の賛成要件)はそちらを優先されるため、事前に規約を確認してください。

Q.

見積もりは何社から取るのがベストですか?

A.

多くのサイトでは「できるだけ多くの会社から」と推奨されがちですが、実務上は2〜3社に絞るのが最も現実的で効果的です。あまりに多くの会社に依頼すると、対応する管理会社側の負担が大きくなり、質の高い提案を受けにくくなる可能性があります。特に中小規模のマンション(戸数20〜40程度、実務経験に基づく目安)ではその傾向が顕著です。

Q.

良い警備会社と悪い警備会社の見分け方を教えてください。

A.

最も重要なのは、警備業法に基づく「公安委員会の認定」を受けていることです。これを提示できない業者は論外です。その上で、①マンション警備の実績が豊富か、②緊急対応体制が整っているか、③見積もりの内訳が明確で契約内容に透明性があるか、の3点を確認しましょう。

実務ヒント:プロが教える見積もり交渉と業者選定の急所

情報収集する中で「多くの会社から相見積もりを取るべき」というアドバイスを目にすることが多いかもしれません。しかし、実務の現場ではそれが必ずしも最善手とは言えません。ここでは、より実践的なヒントをお伝えします。

相見積もりは「2〜3社」が鉄則な理由

なぜ、見積もり依頼は多ければ良いというものではないのでしょうか。それは、見積もりを作成する管理会社や警備会社側の多大な労力がかかるためです。組合側の要望が強すぎると、敬遠される恐れがあります。特に中小規模のマンション(戸数20〜40程度)では、5社や6社からの見積もりを求められると、受注確率が低いと判断され、対応を避けられるケースが少なくありません。一方、タワーマンションなどの大規模物件では積極的な対応が見込めますが、自主管理型の小規模マンションでは2〜3社に絞った真剣な依頼が、質の高い提案を引き出しやすいです。

警備計画を含む管理委託の見積もりを作成するには、

  • 現地調査(3〜4回程度)
  • 清掃、エレベーター点検、消防設備など各協力会社との調整
  • 理事会との複数回にわたる面談

など、契約に至らなくても膨大な時間とコストが発生します。

ここを確認!「一式見積もり」では絶対ダメ

提出された見積もりを比較する際は、総額だけでなく、その内訳を精査することが極めて重要です。特に以下の項目が明確に記載されているかを確認してください。

(見積もりチェックリスト)

  • ☐ 警備員の単価(時間額または日額)
  • 拘束時間と勤務時間の定義(休憩時間の扱い)
  • ☐ 警備員の配置人数(ポスト数)
  • ☐ 業務内容(常駐、巡回、立哨など)
  • ☐ 欠員時の代替要員(代務)の費用が含まれているか
  • ☐ 時間外や休日業務の割増料金規定
  • ☐ 契約期間と解約条件

業者によって「拘束時間(休憩含む)」で計算するのか、「実働時間」で計算するのかが異なる場合があります。この定義が曖昧だと、後々のトラブルの原因になります。総額が安く見えても、必要な業務が含まれていなかったり、解約条件が厳しかったりするケースもあるため、細部まで確認しましょう。

【注意喚起】こんな警備会社・見積もりは避けるべき

以下のような特徴が見られる業者は、契約を避けるのが賢明です。

  • 公安委員会の認定番号を提示しない、またははぐらかす(または、無許可営業の可能性のある業者)
    • 無許可営業の可能性があり、絶対に契約してはいけません。
  • 見積もりが「警備業務一式」となっており、内訳が不透明
    • 後から追加料金を請求されるリスクがあります。
  • 極端に安い見積もりを提示する
    • 警備員の労働環境が悪く、サービスの質が低い可能性があります。
  • 「契約書なしでもすぐに始められます」などと提案する
    • 口約束はトラブルの元です。必ず書面で契約を締結しましょう。

まとめ:信頼できる警備会社への切り替えで、安心できるマンション運営を

マンションの警備会社切り替えは、決して簡単なプロセスではありません。しかし、正しい手順を踏めば、住民の安全性を高め、管理費の適正化を実現できる、非常に価値のある管理組合活動です。

最後に、この記事の要点をまとめます。

  1. 現状認識: 「管理事務」と「警備業務」は法律上別物です。まずは現在の契約形態を確認し、警備業務の契約内容を正確に把握しましょう。
  2. 業者選定: 「公安委員会の認定」を必須条件とし、「マンション警備の実績」「緊急時対応体制」「契約の透明性」を基準に、信頼できる候補を2〜3社に絞り込みます。
  3. 比較検討: 候補会社には同じ条件で見積もりを依頼し、総額だけでなく、「人件費」「拘束時間の定義」「業務範囲」といった内訳を詳細に比較検討します。
  4. 意思決定と実行: 理事会で方針を固め、総会で原則として過半数承認を得ます。その後、現在の会社との解約、新しい会社との契約・引き継ぎを計画的に進め、サービスに空白期間が生じないようにします。

現在抱えている警備会社への不満は、より良いマンション運営への改善のチャンスです。この記事を参考に、あなたのマンションの安心と資産価値を守る、最適なパートナーを見つけてください。

免責事項

本記事は、マンションの警備会社選定に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の物件や状況に対する個別具体的な法的助言を行うものではありません。警備会社の選定や契約締結にあたっては、弁護士等の専門家にご相談いただくとともに、最新の法令や、対象マンションの管理規約、個別の契約条項を必ずご確認ください。

参考資料

  • 国土交通省, マンション標準管理委託契約書及び同コメント,
    https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000053.html
    (2023年3月改定版、2025年12月18日確認)
  • 警備業法, e-Gov法令検索,
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347AC0000000117
    (2025年12月18日時点の最新版、最終改正: 2024年4月)
  • 建物の区分所有等に関する法律(区分所有法), e-Gov法令検索,
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
    (2025年12月18日時点の最新版)
  • マンション管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法), e-Gov法令検索,
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC1000000149
    (2025年12月18日時点の最新版)

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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