【2026年4月導入予定】第三者管理方式規制強化の2大ポイントと管理組合の3ステップ準備ガイド

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※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

マンション管理の役員の高齢化や担い手不足を背景に、専門家が管理者となる「第三者管理方式」を検討する管理組合が増えています。しかし、その一方で管理の不透明性や利益相反といった課題も指摘されてきました。こうした状況を受け、国土交通省は2026年4月の導入を目指した、第三者管理方式に関する規制強化の法改正を検討しています。本記事は2026年2月時点での検討状況に基づくもので、施行通知の発表待ち段階です。最新の法令情報は国土交通省公式サイトで必ず確認してください。この改正は、管理の透明性を高め、区分所有者の利益を守るための重要なステップです。

本記事の対象: 本改正は、区分所有法第25条~第31条に基づく管理組合の管理運営が対象です。直接管理(組合員が管理者となる方式)とは異なります。

本記事では、宅地建物取引士の視点から、第三者管理方式の規制強化の具体的な内容、管理組合が今から準備すべきこと、そして導入に伴うリスクと回避策までを、一次情報に基づき分かりやすく解説します。

目次

なぜ今?第三者管理方式の規制が強化される背景

第三者管理方式(外部管理者方式)の規制強化は、現代のマンションが抱える2つの大きな課題に対応するために進められています。

深刻化するマンション管理の担い手不足

マンションの管理組合では、役員の高齢化や共働き世帯の増加により、理事のなり手が見つからないという問題が深刻化しています。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によると、役員のなり手が「不足している」「やや不足している」と回答した管理組合は、全体の半数近くにのぼります。

この担い手不足の解決策として、専門家が管理者となる第三者管理方式が注目されてきました。専門家(マンション管理士や管理会社)が管理者になることで、役員の負担を軽減し、専門的な知見に基づいた安定した管理運営が期待できるからです。

利益相反行為による管理費の不透明化という課題

第三者管理方式にはメリットがある一方、大きな課題も存在します。それは、管理者が自身の関連会社に工事などを不当に高い金額で発注する「利益相反行為」のリスクです。

役員がいない、あるいは管理に関心が薄い管理組合では、管理者の業務をチェックする機能が働きにくくなります。その結果、相場より高額な修繕工事費や管理委託費が計上され、知らないうちに管理組合の財産が損なわれるケースが懸念されていました。

今回の規制強化は、こうした利益相反行為を防ぎ、管理の透明性を確保することで、区分所有者の利益を守ることを目的としています(出典:横浜市マンション管理組合サポートセンター、2025)。

【2026年4月導入予定】法改正による規制強化の2つのポイント

2025年の通常国会で法案が提出され、2026年4月からの施行が目指されている法改正。その規制強化のポイントは、大きく2つに分けられます。まだ「予定」段階ではありますが、管理組合として今のうちから内容を理解しておくことが重要です。

規制強化の目的は「利益相反の防止」と「透明性の確保」。管理組合の財産を守るためのルールが具体化されます。

ポイント1:利益相反の防止(自己取引の事前説明義務化)

これまで問題視されてきた、管理者が自社やグループ会社に工事などを発注する「自己取引」について、事前にその理由、金額、選定の妥当性などを区分所有者に説明することが義務化される予定です。これにより、管理費の使途が明確になり、不適切な支出を抑制する効果が期待されます(出典:横浜市マンション管理組合サポートセンター、2025)。これにより、マンション標準管理規約第48条で外部管理者方式が明確に位置づけられました。

ポイント2:管理体制の厳格化(区分所有法改正)

区分所有法(マンション法)の改正により、外部の専門家が管理者となる場合のルールがより厳格になります。具体的には、外部管理者の誠実義務や、管理者と管理組合との利益が相反する場合の取引制限が明記される見込みです。また、監事による監査機能を強化し、管理者の業務執行を適切にチェックできる体制づくりが求められます(出典:オナーズ(株)、2024)。区分所有法の改正により、新たに第77条の二に利益相反取引規制が規定される予定です(施行未確定)。

項目規制強化前(現状)規制強化後(2026年4月〜予定)
利益相反(自己取引)説明義務はなく、管理報告書での事後報告が中心。不透明性が高い。現規約で別段定めあれば、それが優先(§28条)。自社・関連会社への発注時、理由・金額等の事前説明が義務化される。
管理体制管理者の権限範囲が規約で曖昧なケースも。監事の役割が形式的な場合がある。外部管理者の誠実義務・利益相反取引の制限を法的に明記。監事の監査機能が強化される。
規制強化のポイント(Before/After比較)

【管理組合の実務】規制強化を受けて今すぐ準備すべきこと

法改正はまだ先の話と思わず、今から準備を進めることで、スムーズな移行が可能になります。管理組合が取り組むべき3つのステップを解説します。

Step1:管理規約の見直しと「外部管理者方式」への移行準備

まず、現在の管理規約を確認しましょう。第三者管理方式を導入するには、管理規約の変更が必須です。

国土交通省は、従来の「第三者管理方式」という呼称を「外部管理者方式」に見直し、標準管理規約もこれに合わせて改定しています。

▼用語の整理

  • 第三者管理方式: 従来からの一般的な呼称。管理組合の役員に代わり、外部の専門家が管理者となる方式。
  • 外部管理者方式: 最新の国土交通省ガイドラインで推奨されている呼称。内容は第三者管理方式と同様ですが、専門家が管理者であることをより明確に示しています。

規約を改定する際は、最新のマンション標準管理規約を参考に、管理者の権限範囲や業務内容、報酬、解任の要件などを具体的に定める必要があります。規約の変更は、区分所有者および議決権の各4分の3以上の賛成が必要な「特別決議(ただし現規約に別段の定めがあればそちらが優先)」が求められるため、計画的な準備が不可欠です(出典:建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第31条)。

Step2:信頼できる外部管理者・外部監事の選任プロセス

規制強化のポイントは、管理者の独走を防ぐチェック機能です。そのため、管理者だけでなく、その業務を監督する「監事」の役割が非常に重要になります。なお、監事の選任は区分所有法第25条に基づく普通決議(各過半数)で決議されます。

特に、管理者と利害関係のない独立した外部の専門家(マンション管理士や弁護士など)を監事に選任する「外部管理者+独立監事の二層構造」が推奨されます。外部監事を置くことで、管理の透明性が格段に向上し、利益相反のリスクを効果的に抑制できます。マンション標準管理規約第36条の2に外部専門家の欠格条項が定められています。

外部管理者の選任は、区分所有者および議決権の各過半数の賛成で決する「普通決議」によりますが、事前に候補者の実績や提案内容を十分に比較検討するプロセスが大切です(出典:建物の区分所有等に関する法律第25条)。

Step3:複数社からの見積もり取得と業者選定の注意点

外部管理者を選定する際は、信頼できそうな会社から複数社の見積もりを取得し、じっくりと比較検討することが重要です。しかし、やみくもに多くの会社へ依頼するのは得策ではありません。

管理会社にとって、一つのマンションの管理委託見積もりを作成するには、現地調査、会計状況の確認、清掃・設備点検会社との打ち合わせなど、多大な時間と労力がかかります。小規模なマンションの場合、5社も6社も相見積もりを取ろうとすると、多くの管理会社から敬遠され、結果的に選択肢が狭まってしまう可能性があります。管理委託内容の精査および、会計状況、そして1棟全体の管理費等の見積もり作成をするには3-4回ほど現地に足を運び、また清掃会社、EV点検、消防、警備など多岐にわたって外注先会社との打ち合わせを行ったうえで理事会数名との面談も数回こなすため労力がかかります。

その際、見積書の内訳が「一式」ではなく、項目ごとに細かく記載されているかを確認することが重要です。

第三者管理方式(外部管理者方式)導入のリスクと回避策

外部管理者方式は多くのメリットがある一方、権限が一人に集中しやすいという構造的なリスクもはらんでいます。導入を成功させるためには、リスクを理解し、適切な対策を講じることが不可欠です。

決議要件の厳格な遵守(普通決議と特別決議の違い)

手続きの正当性は、将来のトラブルを防ぐ最大の防御策です。特に、総会の決議要件を混同しないよう注意が必要です。重要:現在の管理規約に特別決議要件の別段の定めがある場合、その定めが優先されます(§28条)。新規約の制定前に必ず弁護士と現規約を確認してください。

決議の種類必要な賛成数主な議案の例
特別決議区分所有者数および議決権の各4分の3以上・管理規約の設定・変更・廃止
外部管理者方式の導入(規約変更を伴うため)
※ただし、管理規約に別段の定めがある場合は、その定めが優先されます(区分所有法第28条)
普通決議区分所有者数および議決権の各過半数
(※規約に別段の定めがあればそちらが優先)
・管理者の選任・解任
・管理費等の変更
・収支決算、事業報告の承認
決議要件の違い(区分所有法に基づく)

外部管理者方式を導入するための規約変更は「特別決議」が必要です。この手続きを誤ると、後から選任自体の有効性が争われる可能性があります。

委託契約書のチェックポイントと管理者の権限範囲

外部管理者との間で締結する「業務委託契約書」は、管理組合の財産を守るための生命線です。契約前に、以下の点を必ず確認しましょう。

  • 業務範囲の明確化: 管理者がどこまでの業務を行うのか。総会決議が必要な事項は何か。
  • 権限の制限: 管理者が単独で契約・発注できる金額の上限はいくらか。
  • 報告義務: 管理組合への定期的な業務報告・会計報告の方法と頻度はどうなっているか。
  • 報酬: 報酬の算定根拠は明確か。成功報酬など特別な条件はないか。
  • 解任・契約解除の条件: どのような場合に契約を解除できるか。

※契約更新・解約時は、現行契約条項および最新法令を最優先に確認。標準管理委託契約書(2025年公表予定)を参考。

(記載例)
第〇条(権限)
管理者は、本マンションの通常の管理に要する経費のうち、一件につき金〇〇円以下の支出については、自らの判断で行うことができる。ただし、それを超える支出を伴う業務の実施には、あらかじめ総会の決議を経なければならない。

外部専門家の「独立性」をいかに確保するか

管理会社が管理者となり、その管理会社が推薦する専門家が監事に就任するケースでは、チェック機能が形骸化する恐れがあります。

監事は、管理組合自身が主体となって、管理者とは完全に独立した立場にあるマンション管理士や弁護士を探し、選任することが理想です。専門家の紹介サービスなどを活用し、複数の候補者から比較検討することをお勧めします。

海外在住者への対応強化(新:国内管理人制度)

所有者不明・海外在住の所有者が増加する中、令和8年改正で『国内管理人制度』(区分所有法§31条の3)が新設されます。これにより、管理組合の意思決定がより円滑になる見込みです。

管理会社の事業撤退という新たなリスクと対策

近年、担い手不足は管理組合だけでなく、管理会社側でも深刻な問題となっています。人件費の高騰や後継者不足を理由に、マンション管理事業から撤退する中小の管理会社も少なくありません。

管理会社が撤退する背景

これまで地域に密着して丁寧なサービスを提供してきた管理会社が、事業承継の問題などから、突然管理業務を続けられなくなるケースがあります。管理組合にとっては、急に管理会社を探さなければならなくなり、管理の質が低下したり、管理費が高騰したりするリスクに直面します。

撤退企業を支援する専門サービスの役割

こうした課題に対し、管理事業から撤退を考えている企業をサポートし、管理組合への影響を最小限に抑える専門的なサービスも登場しています。

管理事業継承支援サービスを提供する事業者も登場しています。これにより、撤退する企業は従業員の雇用を守りつつ、トラブルなく事業を終えることができます。

管理組合にとっても、既存の清掃員や協力業者を維持したまま、スムーズに新しい管理会社へ移行できるメリットがあります。これは、管理組合の運営を安定させる新しい選択肢の一つと言えるでしょう。

最新情報のキャッチアップ方法と相談先

法制度やガイドラインは常に更新されます。正確な情報を基に意思決定を行うため、情報の入手先と相談先を確保しておくことが重要です。

国土交通省のガイドライン・標準管理規約の確認方法

最も信頼できる一次情報は、国土交通省のウェブサイトです。「マンション標準管理規約」「外部の専門家の活用ガイドライン」などのキーワードで検索すれば、最新の公式資料をいつでも確認できます。法改正の動向についても、同省の発表を定期的にチェックしましょう。

自治体の補助金制度の調べ方と注意点

マンション管理の適正化を支援するため、自治体によっては専門家派遣やコンサルティング費用に対する補助金制度を設けている場合があります。

「お住まいの市区町村名 マンション管理 補助金」などで検索し、自治体のウェブサイトを確認してください。ただし、補助金制度は年度ごとに内容が変わったり、予算がなくなると終了したりします。利用を検討する際は、必ず最新の募集要項を確認し、対象期間や要件(例:2026年度 東京都〇〇区の制度)を正確に把握しましょう。通常の管理会社は手間がかかるため補助金の提案を嫌がりますが、積極的に申請代行を行える事業者を選ぶことも検討してください。

施行通知待機中(2026年2月現在) 本改正の詳細な施行通知は、2026年3月末までに国土交通省より発表される予定です。施行通知発表後、本記事の内容が変更される可能性があります。最新情報は国土交通省住宅局のウェブサイト(mlit.go.jp)で常時ご確認ください。

困ったときの相談先(マンション管理士など)

管理規約の改正や外部管理者の選定など、専門的な判断に迷ったときは、専門家への相談が有効です。

  • マンション管理士: 管理組合運営全般に関するアドバイスを提供。
  • 弁護士: 契約書の内容確認や法的なトラブルに関する相談に対応。
  • 各自治体の相談窓口: 公的な立場で相談に応じてくれる窓口もあります。

一人で抱え込まず、専門家の知見を活用することが、適切な管理組合運営への近道です。

まとめ

第三者管理方式(外部管理者方式)に関する2026年4月導入予定の規制強化は、管理の透明性を高め、区分所有者の利益を守るための重要な法改正です。

管理組合としては、この変更を「他人事」と捉えず、主体的に対応していく必要があります。

  • 規制強化の背景: 役員の担い手不足と、利益相反行為のリスク。
  • 法改正の2つの要点: ①利益相反の事前説明義務化、②管理体制の厳格化。
  • 管理組合が今すべきこと: ①管理規約の見直し、②信頼できる外部管理者・監事の選任、③複数社からの適切な見積もり取得。
  • 重要なリスク対策: ①決議要件の遵守、②契約書の精査、③専門家の独立性確保。

今回の規制強化をきっかけに、ご自身のマンションの管理体制を改めて見直し、将来にわたって資産価値を維持できる、健全な管理組合運営を目指しましょう。

免責

本記事は、2026年2月時点の公開情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。法改正の具体的な内容や施行時期は、今後の国会審議等により変更される可能性があります。個別のマンションの状況に応じた法的助言を行うものではなく、具体的な意思決定にあたっては、必ず弁護士やマンション管理士等の専門家にご相談ください。最新の法令や個別の管理規約・契約条項が最優先されることをご了承ください。

特に、管理規約の変更、外部管理者の選任、契約内容の決定にあたっては、必ず弁護士またはマンション管理士等の専門家にご相談の上、現在の管理規約・委託契約書の内容を確認してください。最新の法令は法務省e-Gov法令検索および国土交通省公式サイトで確認ください。

参考資料

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士・管理業務主任者)不動産業界歴23年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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