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マンション管理を考えるうえで欠かせない「長期修繕計画」。
聞いたことはあるけれど、「具体的にどんなもの?」「自分の生活にどう関係あるの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、長期修繕計画の基本的な目的や役割、作成時のポイント、見直しのタイミングまで、わかりやすく解説します。
そもそも長期修繕計画って?
「長期修繕計画」とは、マンションの将来に必要な修繕工事の内容や時期、かかる費用を一覧にまとめたものです。
国土交通省が定めるガイドラインでは、「少なくとも30年以上の期間を見据えて作成すること」が推奨されています。
🔧 工事の計画だけじゃない!お金の計画も大切
長期修繕計画の最大の目的は、「この先どんな修繕が、いつ、いくらくらいかかるのか?」を予測し、住民が将来困らないように資金計画を立てておくことです。
つまり、計画に基づいて毎月いくら修繕積立金を集めればよいかを算出する重要な資料なのです。
❝ 将来予想される修繕工事等を計画し、必要な費用を算出し、月々の修繕積立金を設定するために作成するもの ❞
— 国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン(令和3年)」より
長期修繕計画の基本的な作成ルールとは?
これは、国が定めたガイドラインに基づいた基準です。
📖 長期修繕計画の定義(国交省ガイドラインより)
国土交通省は、マンションの長期修繕計画について、以下のような内容を明記しています:
- 計画期間は30年以上が望ましい
- 2回以上の大規模修繕工事を含むこと
- 5年ごとの見直しが推奨される
これには、マンションという建物の寿命や、設備の更新サイクルを踏まえた実務的な背景があります。
なぜ30年以上で2回以上の大規模修繕工事を含めるの?
🏙 建物の寿命はもっと長い
マンションは築30年を過ぎても十分に使用される資産です。20年程度の短期的な修繕計画では、建物の全ライフサイクルをカバーできず、資金が不足するリスクがあります。特に、外壁や設備更新など、築30年以降に発生する高額な修繕費用を見越して、早期から積み立てを始めることが重要です。
🛠 一度の修繕では足りない
外壁・屋上・配管・エレベーターなど、部位によって劣化のタイミングは異なります。2回目以降の修繕で初めて設備の更新や構造的な劣化対応が必要になるケースもあります。12年〜15年周期で行う大規模修繕を最低でも2回想定しなければ、必要な工事をカバーできません。
計画は作って終わりじゃない!5年ごとの見直しが重要
長期修繕計画は「一度作っておけば安心」というものではありません。
なぜなら…
- 実際の修繕が予定通りに進まないこともある
- 修繕費用が社会情勢(物価や資材費、人件費)で変動する
- 管理状況や建物の劣化速度によって修繕内容も変わる
こうした理由から、5年ごとに見直すことが推奨されています。
定期的にプロによる点検や費用見積もりを行い、現実に即した内容へアップデートしていくことが必要です。
長期修繕計画がないとどうなる?
✔ 修繕費用が足りず、一時金の徴収や借入が必要になる
✔ 計画性を欠くと、工事のタイミングが遅れ建物が劣化
✔ 将来的な資産価値の低下につながる恐れも
こうしたリスクを避けるためにも、長期修繕計画の策定と定期見直しはマンション管理の基本となります。
まとめ|長期修繕計画は「お金の健康診断」
- 「長期修繕計画」は将来の修繕と費用を予測し、必要な積立金を算出する大切な計画
- 国のガイドラインでは30年以上かつ2回以上の大規模修繕を含むことが推奨されている
- 作成後も5年ごとに見直しを行うことで、現実に合った計画に保つことができる
マンションの安心・安全を守るために、そして資産価値を維持するために、長期修繕計画を正しく理解し、活用していきましょう。