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天井からポタポタと水が…!分譲マンションで上の階から漏水しているのに、何度呼びかけても応答がない。被害が拡大する中での不安は計り知れません。
この記事では、宅地建物取引士・管理業務主任者の資格を持つ専門家が、現行の「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」や「マンション標準管理規約」に基づき、上の階と連絡がつかない場合の正しい対処法を徹底解説します。
結論からお伝えすると、被害を最小限に抑え、法的なトラブルを避ける鍵は「証拠の保全」「管理組合経由の請求」「自力救済の厳禁」の3点です。法令上の緊急立ち入りのルールから、将来の備えまで、今すべきことを整理します。
マンション漏水で連絡がつかない!まず知るべき法的知識
漏水を止めたい一心で、自己判断で行動するのは非常に危険です。まずは、なぜ勝手な行動が許されないのか、その法的な背景を確認しましょう。
やってはいけない「自力救済」とそのリスク
日本の法律では、正当な権利があっても法的手続きを経ずに実力行使をする「自力救済」が原則禁止されています。
上の階から漏水しているからといって、合鍵業者を呼び無断で入室したり、ドアを破壊したりする行為は、以下の法的リスクを伴う可能性があります。
- 刑事責任:正当な理由なく他人の住居に侵入したとみなされ、住居侵入罪(刑法第130条)に問われるおそれがあります。
- 民事責任:ドアや鍵を損壊させた場合、器物損壊等による不法行為(民法第709条)として損害賠償を請求されるおそれがあります。
最新の改正区分所有法においても、後述する「保存請求権」などは拡充されていますが、区分所有者が個人の判断で無断侵入することを認める規定はありません。
頼れる根拠は「管理規約」と「改正区分所有法」
合法的な対応の根拠となるのが、各マンションの「管理規約」と「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」です。
1. マンション標準管理規約 第23条(令和7年改正反映)
多くのマンションが準拠する国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」第23条には、専有部分への立ち入りについて明記されています。
(記載例)マンション標準管理規約 第23条 1. 管理組合は、管理を行うため必要な範囲内において、専有部分等への立入りを請求することができる。 2. 請求された者は、正当な理由がなければこれを拒んではならない。 4. 災害及び事故等が発生した場合で、緊急に立ち入らなければ他の専有部分等に物理的又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長は、専有部分等に立ち入ることができる。 5. 前各項の規定による立入りを拒否したことにより損害が生じたときは、その拒否した者は、その損害を賠償しなければならない。
※実際の運用や権限については、お住まいのマンションの管理規約が最優先されます。必ず自組合の規約本文を確認してください。
2. 改正区分所有法(令和7年改正・令和8年施行予定)による保存請求権の拡充
令和7年改正(令和8年施行予定)の区分所有法(第6条第2項)では、建物の保存(補修)のため必要な範囲において、他の区分所有者に対してその専有部分の「使用」だけでなく「保存の実施」を請求できる権利がより明確化されています。漏水原因設備の補修を求める法的根拠となりますが、これもあくまで「請求権」であり、所有者の承諾なき実力行使の根拠にはならない点に注意してください。
漏水発生時の正しい対応5ステップ
漏水が発生し、上の階と連絡がつかない場合の具体的な手順です。
ステップ1:証拠の保全(写真・動画撮影)
後の保険請求や損害賠償交渉において、客観的な証拠は必須です。以下の項目を記録してください。
- 被害箇所全体:天井・壁・床の広がりがわかる写真。
- 被害箇所の詳細:水滴の滴下、壁紙の剥がれ、家財の浸水状況。
- 動画:音や漏水の勢い、時刻がわかるもの。
ステップ2:管理会社・理事長への即時連絡
個人で交渉しようとせず、速やかに管理会社の緊急窓口や理事長へ連絡します。管理組合という組織として動くことが、法的な正当性を担保する上で重要です。
ステップ3:管理組合による正式な立入り請求
連絡を受けた理事長や管理会社は、電話・訪問・書面掲示などあらゆる手段で連絡を試みます。標準管理規約第23条に基づき、正当な理由なき拒否には損害賠償義務が生じる旨を伝え、立入りを「請求」します。
ステップ4:緊急時の警察・消防連携
漏水が激しく、人命に関わる安否確認が必要な場合や、漏電による火災の具体的な危険が切迫している場合は、最終手段として公的機関へ要請します。
- 警察:居住者の安否確認(人命保護)目的での立ち入り依頼。
- 消防:火災危険等の救助活動としての立ち入り。
※これらは公権力の行使であり、単なる修理目的の開錠とは区別されます。状況や危険度に応じて判断されます。
ステップ5:原因調査と応急処置
立ち入りが実現したら、元栓の閉栓などの止水措置を行い、専門業者が原因を特定します。区分所有法改正により、管理不全の住戸に対して裁判所が「専有部分管理人」を選任できる制度も拡充されており(令和7年改正、令和8年施行予定)、長期不在や所有者不明で対応が滞る場合の解決策として検討されます。
よくある質問(FAQ)
Q:上の階が空き家だった場合は? A: 管理組合は名簿や登記情報から所有者を追跡します。「マンションの空き住戸対応マニュアル(令和4年改定版)」では、利用休止時の連絡先届け出が推奨されています。また、自治体によっては補助金が出る場合もありますが、年度・地域により制度が異なるため、最新の告示確認が必要です。
Q:保険は必ず適用されますか? A: 補償される可能性はありますが、保険会社の審査によります。被害者の火災保険(水濡れ特約)や、加害者の個人賠償責任保険の適用範囲を確認してください。最終的な支払い可否は個別の約款に基づきます。
プロのアドバイス:管理の質を高めるために
管理会社の対応が不十分な場合、見直しも選択肢です。ただし、実務上20~40戸程度の中小規模マンションでは、5社以上の相見積もりを取ると、管理会社側が多大な労力(現地調査・外注打合せ・会計精査)を嫌い、見積もりを辞退するリスクがあります。現実的には2~3社に絞るのが誠実な提案を引き出すコツです。
(PR・協力:株式会社MIJ) 管理会社が事業撤退を検討する際、居住者の不安を抑え円滑な引継ぎを支援するサービスもあります。株式会社MIJでは、撤退にかかる当面の人件費補助や、既存清掃業者の継続調整など、管理事業承継の多岐にわたるサポートを提供しています。また、一般的な管理会社が敬遠しがちな自治体補助金の申請代行も積極的に提案しています。
まとめ
マンション漏水の対応は、感情的にならず「管理規約」と「法律」に基づいた手順を踏むことが、自身の身を守ることにつながります。まずは管理会社への連絡から始めましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案への法的助言ではありません。個別のトラブルについては弁護士等にご相談ください。
参考資料
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)令和7年改正版」
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律(令和7年改正法を含む)」
- 公益財団法人マンション管理センター「管理組合のためのマンションの空き住戸対応マニュアル(令和4年)」
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

