マンション漏水で上の階と連絡がつかない!法的な対処法5ステップと注意点

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天井から水が落ちて、上の階が電話に出ないときでも、被害の住戸の人が合鍵で入ったり、ドアを壊したりする条項はありません。先にやることは、記録、理事長への連絡、原因の管の当たり、立入りの請求です。

  • 入らない。修理目的でも、個人の判断で専有部分へ入りません。
  • 直上と決めない。水は、直上の枝管、その階の立て管、さらに上の系統のどれでもあり得ます。
  • 請求する。立入りは、標準管理規約第23条の請求か、第4項の緊急のときの理事長です。
  • 負担はあと。連絡が取れないことだけでは、修理費の宛名は決まりません。

この記事は2026年9月時点の区分所有法と、単棟型標準管理規約(令和7年10月17日改正)の説明です。自組合の規約と別表が先です。管理組合法人であることは、立入りの条件ではありません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

漏水で個人が入らない・直上と決めない注意

目次

上階と連絡がつかないときの5つの手順

  • 記録。天井、壁、床、家財、水の出方を写真と動画で残します。止水した時刻と、自分の専有の元栓を閉めても落ちてくるかも書きます。
  • 理事長と管理会社。個人で上階と交渉を完結させず、緊急の窓口へ連絡します。管理会社は手続を手伝います。立入りの権限者は、規約では理事長です。
  • 管の当たり。別表第2と、給水ならメーター、排水なら継手と立て管を、調査の図に書かせます。図ができるまで部屋番号は確定しません。
  • 立入りの請求。第23条で請求します。災害や事故で、共用部分または他の専有部分に重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長が自ら入り、または委任した者に行わせます。
  • 負担と保険。原因の管が決まってから、修理と階下の損害を分けます。証券は、被害住戸の火災保険と、組合の共用部保険を別々に開きます。

漏水対応の五つの手順

別表第2で、修理費の請求先を分ける

別表第2と第23条の立入りを分けた図

標準管理規約を使う組合では、境界の出発点は別表第2です。

  • 給水管。本管から各住戸のメーターを含む部分が、共用部分の附属物です。メーターより先は、この別表では共用部分に入っていません。
  • 雑排水管と汚水管。配管継手と立て管が共用部分です。立て管へつなぐまでの枝管は、この別表では共用部分に入っていません。系統は別なので、報告書の行は分けます。
  • 室内だからすべて専有、パイプスペースだからすべて共用、とは分けません。自組合の別表が標準と違えば、その別表です。

共用部分の管理は、標準管理規約第21条第1項で管理組合の責任と負担です。専有の枝管を組合の工事に含めるときは、第21条第2項の総会決議と、各区分所有者の実費負担の記載が要ります。この条は、枝管を規約共用部分に変える条項ではありません。記載が無い見積もりの合計を、組合の工事費としては承認しません。

第23条は、請求と、緊急の立入り

前二条により管理を行う者は、管理に必要な範囲で、他の者が管理する専有部分または専用使用部分への立入り、または自ら保存行為を実施することを請求できます。

  • 第2項。請求された人は、正当な理由がなければ拒否できません。
  • 第3項。正当な理由なく拒否した人は、その結果の損害を賠償します。拒否したことだけで、管が共用と決まるわけではありません。
  • 第4項。災害、事故などで、緊急に入らなければ共用部分等または他の専有部分に物理的または機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長が立ち入る、または保存行為ができます。委任した者に行わせることもできます。
  • 第5項。立ち入った人は、速やかにその箇所を原状に復します。開ける前の写真を残します。

区分所有法第6条第2項は、専有部分または共用部分を保存し、または改良するため必要な範囲で、他の区分所有者の専有部分の使用、または保存の実施を請求できます。相手に損害が出たときは償金を払います。これも請求であり、承諾のない実力での入室ではありません。

人命や火災の危険が切迫しているときの安否確認や消火は、警察と消防が、その危険に応じて判断します。修理のための開錠を、管理組合が警察に代わりにやらせる手続ではありません。

原因のあとで、修理と損害を分ける

漏水の修理費と損害を分ける図

  • 管の修理。共用の立て管やメーターまでは管理組合、専有の枝管はその区分所有者です。一体工事で規約に定めがあるときだけ、積立金の扱いが別にあります。
  • 階下の損害。区分所有法第9条は、建物の設置または保存の瑕疵で他人に損害が出たとき、その瑕疵は共用部分にあるものと推定します。調査で専有の枝管が原因と分かれば、この推定は使えません。推定を、調査費の請求書の宛名には使いません。
  • 調査費。原因の管が共用の可能性があるあいだは、管理組合が手配します。最終の負担は、原因の帰属と規約です。原因が決まる前に、被害の階へ調査費を請求しません。
  • 保険。被害住戸の火災保険の水濡れと、上階の個人賠償と、組合の共用部保険は、別の証券です。支払われるかは約款です。保険金が必ず出るとは限りません。約款の支払事由で確認します。

見積もりは、立て管、枝管、住戸内の復旧、調査費の四行に分けます。一式の行は空欄です。金額が無い行をゼロ円として合計しません。同じ四行で2〜3社です。5社、6社へ同時に出すと、20戸から40戸程度では辞退が増えます。これは実務上の傾向であり、公的な統計ではありません。

返事がないことと、所在が不明なことは別

返事がない場合と所在不明手続の違い

電話に出ない、転居届がない、というだけでは、修理費の債務者がその人に確定したことにはなりません。先に当たるのは、組合の名簿、国内管理人の届出、登記です。法律上の国内管理人は区分所有法第6条の2で、国内に住所がない区分所有者が選任できます。標準管理規約第31条の3の届出があれば、連絡先はそこです。

  • 区分所有法第46条の2。区分所有者を知ることができず、またはその所在を知ることができない専有部分について、必要があると認めるとき、利害関係人の請求で、裁判所が所有者不明専有部分管理人による管理を命ずることができます。
  • 返事がないだけでは、この命令の要件を満たしたことにはなりません。誰であるか、所在がどこか、の調査を残します。
  • 管理人は、性質を変える行為などでは裁判所の許可が要ることがあります。選任された日から、枝管の本工事が自動で始まるわけではありません。
  • 第38条の2は、集会の決議から所在不明者を外す裁判です。漏水の修理費を確定する条ではありません。

公益財団法人マンション管理センターの空き住戸対応の資料は、連絡先の届出の考え方です。空き住戸だから補助金が出る、という全国共通の金額はありません。

応急の止水は、標準管理規約第21条が災害などの緊急時に、総会を待たずに必要な保存ができると置いている範囲です。専有の枝管を本工事へ含めること自体は、金額の大小にかかわらず第21条第2項の総会です。

住んでいる人と、登記の所有者

電話に出ない相手が、区分所有者とは限りません。賃借人が住んでいて所有者が別にいるとき、第23条の請求の相手は、その専有部分を管理する人です。所有者への請求と、室内にいる人への立入りの請求は、名簿の上で分けます。

  • 組合の居住者名簿と、区分所有者の名簿は、標準管理規約では別です。非法人の名簿は第31条の2、管理組合法人の名簿は区分所有法第48条の2です。漏水の連絡先を、法人の名簿に切り替えなければ出せない、とはなりません。
  • 国内管理人の届出があるときは、その人へも連絡します。届出がない海外の所有者を、最初から所在不明とは扱いません。
  • 登記の所有者と、名簿の名前が違うときは、両方を調査の表に残します。どちらか一方だけを、修理費の請求書の宛名にはしません。

同じ立て管で再び漏れたときは、単発の止水で閉じません。位置、管種、工法を長期修繕計画の見直しの材料にします。見直しの作業上の置き方は5年程度で、再発した年が早ければその年です。更生は管内の補修、更新は取替えです。専有の枝管を次の一体工事に含めるかは、第21条第2項の決議と実費の記載ができた組合だけです。

被害住戸の天井を開けて立て管を確認する調査は、共用部分の調査として組合が手配します。開けた箇所を戻すのは第23条第5項の原状回復です。原因が専有の枝管と分かったとき、調査と復旧を誰へ振り替えるかは、依頼書に書いておきます。損害がまだ無い段階の取替えを、第9条だけを根拠に組合の負担とはしません。第9条が推定するのは、他人に損害が出たときの瑕疵の場所です。

理事長へ渡す漏水の記録

  • 水に気づいた時刻と、写真を撮った時刻
  • 自分の専有の元栓を閉めたか、閉めても落ちてくるか
  • 天井の位置。直上の部屋番号は、図の前には空欄
  • 家財と、床の広がり
  • 管理会社の緊急窓口へ電話した時刻と、出た人の名前
  • 上階の呼び鈴、電話、掲示の、試みた手段と時刻
  • 名簿、国内管理人、登記の、当たった結果
  • 個人の火災保険の証券の有無。組合の共用部保険の証券は、理事長が請求と受領を代理します。標準管理規約第24条の2です

共用部分の応急の止水は、緊急時の保存として理事長が行うことがあります。専有の枝管を本工事へ含めること自体は、第21条第2項の総会決議です。応急で開けた範囲の写真は、復旧の前に撮ります。復旧のあとでは、開けた範囲が分かりません。

漏電のおそれがあるときは、その器具を触らず、消防の判断を待ちます。修理の開錠と、火災の危険の通報は、別の行動です。

第23条の対象には、専用使用部分も入ります。バルコニーの排水や、専用庭の管から下の階へ落ちているときも、被害の住戸の人が隣のバルコニーへ入る条項にはなりません。掲示板の貼り紙は、連絡の記録です。貼った日のあとに、立入りの請求ができたことにはなりません。

パイプスペースの点検口が被害住戸の室内にあるときは、開ける範囲を第23条の請求に書きます。点検口が共用廊下側にあるときは、専有部分へ入らなくても立て管を見られることがあります。どちらも、開けたあとは原状に復します。点検口があることだけで、枝管まで共用部分にはなりません。

管理会社の緊急対応は、管理委託契約の業務です。適正化法第72条の重要事項説明は、管理委託契約を結ぶときの説明であり、漏水の当日に上階へ入る根拠ではありません。管理員が合鍵を持っていても、第23条第4項の委任が無いまま開ける条項にはなりません。開けた人の名前、時刻、委任の有無を、理事長の記録に残します。

写真と電話の記録は、あとで拒否の損害や保険の請求で使います。組合の議事録とは別に、漏水のファイルとして理事長が保管します。原因の管が空欄のまま、上階の区分所有者へ修理費の請求書だけを先に出しません。

よくある質問

Q. 上の階が空き家でも、理事長は入れますか。
A. 第23条第4項の緊急の要件を満たすときは、理事長が立ち入る、または委任した者に行わせることができます。空き家であることだけでは、被害の住戸の人の入室権にはなりません。あとで原状に復します。

Q. 原因が特定できないあいだ、組合の負担ですか。
A. 第9条は、他人への損害について瑕疵が共用部分にあると推定します。調査で専有の枝管と分かれば、推定は使えません。原因が空欄のあいだ、被害の階へ修理費を確定しません。

Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. 別表第2、第21条と第23条、被害の写真、名簿と国内管理人の届出、個人と組合の保険証券です。

まとめ

  • 上の階と連絡が取れなくても、被害の住戸の人が合鍵や破壊で入る条項はありません。
  • 立入りは第23条の請求です。緊急で重大な影響のおそれがあるときは理事長です。入った箇所は原状に復します。
  • 標準の別表第2では、給水はメーターまで、排水は継手と立て管が共用です。直上と決めません。
  • 修理の負担は原因の管、階下の損害は第9条の推定と約款です。連絡が取れないことだけでは宛名が決まりません。
  • 所有者不明専有部分管理人は、誰か所在が分からないときの裁判所の命令です。返事がないだけでは足りません。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の漏水の助言ではありません。立入り、負担、保険は、その管理規約、調査報告書、保険約款で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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