管理会社の株式譲渡と事業譲渡|管理委託契約で組合が見る点

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管理会社から株式譲渡や事業譲渡の知らせが来たとき、管理組合が最初に確認するのは、管理委託契約の相手である法人が替わるかどうかです。株主が替わる株式譲渡と、事業を別の法人へ移す事業譲渡では、組合が取る手続が分かれます。

  • 株式譲渡。法人はそのままです。株主が替わります。契約の相手は、原則として同じ法人です。
  • 事業譲渡。事業を別の法人へ移します。契約の相手が変わり得るため、組合の承諾または新しい契約が問題になります。
  • 契約書。相手が自動で替わるかは、いま結んでいる管理委託契約書の条項です。会社法の一般論だけで決まりません。
  • 第72条。マンション管理適正化法の重要事項説明が要るのは、新しい業者と管理受託契約を結ぶときです。株主が替わっただけでは、新規の説明会にはなりません。
  • 総会。管理委託契約の締結は、単棟型標準管理規約第48条第17号の総会決議事項です。

知らせの文書に「グループ再編」とだけ書いてあるときは、株式譲渡か事業譲渡かを相手に書面で確認します。この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

株式譲渡と事業譲渡で契約相手が違う図

目次

管理会社の株式譲渡|契約の相手法人は同じか

株式譲渡は、その会社の株式が別の人や会社へ移る取引です。会社という法人は続きます。管理委託契約の名義も、原則として同じです。

  • 法人。契約の相手は、登記上の同じ会社です。フロント担当や所長が替わっても、法人が同じなら、契約の相手は替わっていません。
  • 登録。適正化法第44条のマンション管理業者の登録は、その法人に付いています。有効期間は5年です。株主が替わっただけで、登録が消える条項にはなっていません。
  • 変更の届出。登録事項に変更があれば、適正化法第48条で、その日から30日以内に国土交通大臣へ届け出ます。役員の交代などがこれに当たります。届出の写しを、組合が求める根拠は契約書です。
  • 契約書の定め。株主の過半数の変更を、通知や協議、解約の事由とする条項がある契約があります。その条項があれば、条項どおりに進めます。条項が無ければ、株式譲渡だけで解約にはなりません。

会社法の手続や、株主総会の定数は、会社の登記と定款、弁護士に確認します。組合が見るのは、自組合の契約書と、相手が第44条の登録を受けたマンション管理業者であることです。

同じ条件で契約を更新するときは、第72条第2項の書面交付です。管理者が置かれているときは、第3項で管理者へ説明します。主任者は主任者証を提示し、書面には主任者が記名します。記名押印ではありません。

フロント担当の交代や、支店の統廃合は、株式譲渡とは別です。担当が替わっても、契約の相手は同じ法人です。担当の交代を、第72条第1項の新規契約だとは扱いません。連絡窓口の変更は、契約書の通知先の条項で処理します。

親会社の商号や、グループの名称がパンフレットに出ていることがあります。契約の相手は、署名欄の法人です。グループ名が替わった知らせだけでは、契約の相手は分かりません。登記上の商号と、第44条の登録名義を並べます。

株式譲渡と事業譲渡の契約影響

事業譲渡のとき、相手が変わり得る

管理会社の譲渡で組合が見る順番

事業譲渡は、管理の事業を別の法人へ移す取引です。契約上の地位を移すには、相手方である管理組合の承諾が要ります。承諾の出し方は、規約と総会です。

  • 承諾。いまの契約を、譲り受ける法人へそのまま移す話なら、組合の承諾が要ります。理事会の承認だけで足りるか、総会が要るかは、規約の総会決議事項です。標準管理規約第48条第17号は、管理委託契約の締結を総会に挙げています。
  • 新しい契約。譲り受ける法人と新たに管理受託契約を結ぶときは、第72条第1項です。説明会を開き、説明会の日の1週間前までに、重要事項と日時場所を記載した書面を、区分所有者等と管理者等の全員へ交付します。
  • 登録。譲り受ける側が、第44条の登録を受けているかを確認します。登録を受けていない法人に、管理業を営ませることはできません。登録簿は第49条で一般の閲覧に供されます。
  • 口座と印鑑。分別管理の口座の名義、通帳と印鑑の保管者を、契約が移る前に確認します。管理会社が通帳と印鑑を両方持たない運用は、譲渡の前後を問いません。

いまの契約を解約してから新しい契約を結ぶ方法もあります。解約の予告期間と方法は、いま結んでいる契約書です。標準管理委託契約書は、少なくとも三月前の書面による申入れをモデルにしています。自組合の契約書が優先します。三月分の違約金という月数は、契約書に書いてあるときだけです。

税の扱い(どの取引に消費税が掛かるか)は、契約の内容と税理士の確認です。税率も金額も、税理士と当該年度の取扱いで確認します。

第72条が要るのは、新しい業者との契約

事業譲渡時の第72条と総会確認

  • 新規の契約。第72条第1項は、管理受託契約を締結しようとするときです。説明会、1週間前の書面、主任者証の提示、書面への記名が揃います。
  • 同一条件の更新。第2項は、従前と同一の条件で更新しようとするときです。区分所有者等全員への書面交付で足ります。管理者がいれば第3項で、主任者が管理者へ説明します。
  • 第73条。契約が成立したあと、管理業者は書面を交付します。管理者等がいるときは管理者等へ、業者が管理者であるときまたは管理者がいないときは区分所有者全員へ渡します。
  • 株式譲渡。法人が同じなら、新しい業者との契約ではありません。第72条第1項の説明会を、株式譲渡の知らせだけで求める条項にはなっていません。
  • 事業譲渡。譲り受ける法人と新たに結ぶなら、第1項です。地位の移転に承諾するだけなら、いまの契約の条件を読む作業が先です。

第72条は、保険の募集や工事の説明ではありません。管理受託契約の内容と履行に関する事項です。説明会の資料に、工事の見積もりや保険の勧誘が混ざっているときは、管理受託契約の説明と分けて読みます。

株式・事業譲渡後の総会・登録・引継ぎ

  • 第48条第17号。管理委託契約の締結は総会の決議事項です。普通決議は第47条第1項と第2項です。議決権総数の過半数の出席のうえ、出席組合員の議決権の過半数です。
  • 登録の確認。第44条の登録と、有効期間5年。第49条の登録簿。譲受側の事務所に第71条の標識があるかも、現場で見ます。
  • 財産の分別管理。第76条で、修繕積立金その他の財産は、自己の固有財産および他の管理組合の財産と分別して管理します。口座の型は施行規則第87条です。
  • 報告。第77条の管理事務報告は、譲渡の前後で途切れないように、報告の月と主任者を確認します。

登録がその効力を失ったとき、適正化法第89条は、その業者であった者または一般承継人が、委託に係る管理事務を結了する目的の範囲内で、なおマンション管理業者とみなす、と定めています。登録が消えた日に、現場が無人になる条項ではありません。結了の範囲と、次の業者への引渡しを、書面で日時を切って求めます。

合併で法人が消滅するときは、適正化法第50条で、代表する役員であった者が30日以内に国土交通大臣へ届け出ます。組合への知らせは、届出とは別です。契約書の通知条項を見ます。

理事会が書面で残すこと

株式事業譲渡で理事会が残す書面

  • 知らせの日付。株式譲渡か事業譲渡か、効力発生の予定日、相手の法人名と登録番号を、理事会の記録に残します。
  • 契約書の条項。地位の移転、株主の変更、解約の予告期間を抜き出します。口頭の「そのまま続きます」は、条項に代えません。
  • 第72条の要否。新しい法人と契約するなら説明会の日程。同じ法人のままなら、次の更新の第2項の書面です。
  • 口座。組合名義か、印鑑の保管者、保証の上限を、譲渡の前後で同じ表にします。
  • 総会資料。第48条第17号で契約を出すときは、契約期間、業務の四つ(事務管理、管理員、清掃、建物設備管理)、報酬の額の内訳を付けます。「一式」は空欄のままです。

相見積もりを取るなら、同じ仕様で2社から3社です。20戸から40戸程度では、同時に多く出すと辞退が増える、という実務上の傾向はあります。統計ではありません。

基幹事務の一括再委託は、適正化法第74条で禁止されています。清掃、消防、エレベーター点検は、基幹事務そのものではありません。事業譲渡のあとに、現場の清掃会社や点検会社が替わる話と、管理受託契約の相手が替わる話は分けます。再委託先の交代を、第48条第17号の新しい委託契約だとは扱いません。

第75条の帳簿と、第76条の分別管理と、第77条の報告は、譲渡の効力発生日をまたいでも途切れないようにします。発生日の前後で、通帳の残高証明を組合の名義で取ります。報告書の残高と原本が合うかを、監事が第41条で見ます。

譲渡の知らせを受けた週に集める書類

口頭の説明会の前に、次の書類を理事会で揃えます。揃わないまま承諾の議案を出しません。

  • いまの管理委託契約書。契約期間、解約の申入れ、地位の移転、株主の変更、通知先。
  • 相手の登録。第44条の登録番号、有効期限、第71条の標識の写真。
  • 口座。組合名義の通帳の写し、印鑑の保管者、保証契約の有無。
  • 直近の第77条の報告。譲渡の予定日をまたぐ月の報告担当の主任者。
  • 規約の写し。第48条第17号と、第47条の普通決議。使う規約が標準と違うときは、その条文です。

書類が揃ったあと、株式譲渡なら契約書の通知条項を履行します。事業譲渡なら、承諾の議案か、新しい契約の第72条第1項かを選びます。両方を同じ総会の同じ議案に混ぜません。総会の通知は、標準管理規約第43条で少なくとも2週間前です。区分所有法第37条は、通知した事項についてのみ決議できます。法律が特別の定数を定める事項は、規約の別段の対象から外れます。管理委託契約の締結は、第48条第17号の普通決議です。

よくある質問

Q. 株式譲渡の知らせが来たら、総会で契約をやり直しますか。
A. 法人が同じなら、契約の相手は替わっていません。契約書に株主変更の定めがあるときだけ、その定めに従います。第72条第1項の説明会は、新しい業者との契約のときです。

Q. 事業譲渡を承諾しないと、管理が止まりますか。
A. 承諾しなければ、契約の相手はいまの法人のままです。いまの法人が事業をやめるときは、解約の条項と第89条の結了を見ます。止まると決まった条文ではありません。

Q. 新しい業者の登録は、どこで確認しますか。
A. 適正化法第44条の登録です。第49条で、国土交通大臣が登録簿を一般の閲覧に供します。有効期間は5年です。

Q. 重要事項説明は、工事や保険の説明ですか。
A. 第72条は管理受託契約の説明です。工事の見積もりや保険の募集ではありません。書面には主任者が記名します。

Q. 譲り受ける会社が、まだ登録を受けていません。
A. 第44条の登録を受けていない者は、マンション管理業を営めません。登録の完了と、第71条の標識を確認してから、第48条第17号の議案にします。

Q. 会社法のどの条を読めばよいですか。
A. 会社法の条番号は、案件ごとに弁護士に確認します。組合が見るのは、自組合の管理委託契約書、第72条、第44条の登録です。

まとめ

  • 株式譲渡は法人が続きます。契約の相手は、原則として同じです。
  • 事業譲渡は、契約の相手が変わり得ます。地位の移転には組合の承諾が要ります。
  • 第72条の説明会が要るのは、新しい業者と管理受託契約を結ぶときです。
  • 委託契約の締結は第48条第17号の総会です。解約の期間は、いまの契約書です。
  • 会社法の条番号と税の金額は、弁護士・税理士に確認します。組合が見るのは契約書と登録です。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。契約の承継、承諾、解約は、その管理規約、管理委託契約書、相手の登録で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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