新築マンションの修繕積立金はいつから払う?段階増額の見方

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新築マンションの修繕積立金は、物件の引渡しを受けて区分所有者になったときから、管理組合へ納入する費用です。入居が遅れて空室でも、所有者である以上、納入義務は残ります。開始する月は法律に明文がなく、管理規約と売買契約の定めを見ます。

  • 開始。単棟型標準管理規約第25条で、区分所有者は管理費と修繕積立金を組合へ納入します。第30条で、組合員の資格は区分所有者になったときに取得します。
  • 負担の割合。区分所有法第19条は、共用部分の負担を持分とし、規約で別段を認めます。標準管理規約第25条第2項は、管理費等の額を共有持分に応じて算出します。
  • 方式。長期修繕計画作成ガイドライン(令和6年6月改定)は、均等積立を基本とします。段階増額の初期額は均等額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内です。
  • 取崩し。標準管理規約第28条の事由以外には取り崩しません。管理費とは区分して経理します。
  • 円の目安。1平方メートルあたりの単価や1戸あたりの適正額は、見積書と統計の定義を揃えて確認します。額は自組合の長期修繕計画です。

この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。

修繕積立金は区分所有者になったときから

目次

修繕積立金|支払いが始まる時点と開始月

区分所有法第3条の団体は、区分所有者が二人以上いれば管理組合としてあります。組合員になった日と、口座引落しが始まる月は、同じ日とは限りません。

  • 第19条。各共有者は、規約に別段の定めがなければ、持分に応じて共用部分の負担に任じます。修繕積立金は、この負担の一つです。
  • 第25条。敷地および共用部分等の管理に要する経費として、管理費と修繕積立金を納入します。管理費は第27条の通常の管理、積立金は第28条の特別の管理です。
  • 第30条。組合員の資格は、区分所有者となったときに取得し、区分所有者でなくなったときに喪失します。鍵を受け取った日より前に所有権が移っていれば、その日から組合員です。
  • 開始月。「引渡し月の翌月から」とする規約が多い、という実務はあります。法律の条文ではありません。原始規約と、売買契約の特約を読みます。

標準管理規約第26条は、管理組合が管理費等について有する債権を、区分所有者の特定承継人に対しても行使できる、と定めています。売却しても、未納は次の所有者へ請求できます。売主への返還は、規約に定めがあるときだけです。

徴収の方法は第60条です。組合員が各自開設する預金口座から口座振替で、組合の口座へ受け入れる型が標準です。当月分は、規約で定める徴収日までに一括して徴収します。第7項は、納入した管理費等と使用料について、返還請求も分割請求もできない、と書いています。この規約例を使っている組合では、売却時の返還は、第7項とぶつかります。返還を認めるなら、規約の別段が要ります。

遅延損害金の率は、規約の空欄です。本記事では年率の数字を置きません。未納の請求を理事長が訴訟で追行するときは、第60条第4項で理事会の決議が要ります。

修繕積立金の均等積立と段階増額

均等積立と段階増額を分けたアイコン図

新築分譲では、購入時の月額を低く見せるために段階増額を使う場合があります。ガイドラインは、均等積立を基本とし、段階増額を使うときの引上げの考え方を示しています。

  • 均等積立。計画作成時に、計画期間中の積立金の額が均等になるよう設定する方式です。
  • 段階増額。当初の積立額を抑え、段階的に増額する方式です。標準管理規約のコメントも、この二つの呼び方を使っています。
  • 初期額と最終額。段階増額の月額は、均等積立とした場合の月額を基準額とします。計画の初期額は基準額の0.6倍以上、計画の最終額は基準額の1.1倍以内です。
  • 見直し。均等積立でも、5年程度ごとの見直しで、推定修繕工事費の累計が増え、必要な月額が増える前提があります。均等だから将来も同じ額、とは読みません。
  • 制限ではない。ガイドラインは、工事費の上昇などを踏まえて額を大きく引き上げることを、この0.6と1.1で制限するものではない、と書いています。

増額は、長期修繕計画の数字だけでは決まりません。額の変更は総会の決議です。計画に増額予定が書いてあっても、総会で否決されれば、その月額は変わりません。否決のあとに工事だけを進める条項にはなっていません。

新築の売買時に渡される長期修繕計画は、分譲会社が作った案です。管理組合が総会で第48条第5号の長期修繕計画として承認したあとの計画と、分譲時の案は別です。築後の最初の見直しで、工事費の見積もりが案とずれていることは珍しくありません。ずれを、段階増額の倍率だけで吸収しようとせず、計画の行を直してから第48条第6号の額を議案にします。

一時金を予定する計画もあります。ガイドラインの記載例では、大規模修繕の予定年度に残高が工事費を下回るとき、その年度に一時金または借入れ等の対応が必要、と書いています。一時金の額も、第48条第6号の管理費等の額として総会に出します。一時金の金額は、総会資料の見積もりで確認します。

第28条の取崩しと、区分経理

修繕積立金の取崩しと区分経理

積み立てた修繕積立金は、第28条第1項の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩せます。

  • 第1号。一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕。
  • 第2号。不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕。
  • 第3号。敷地および共用部分等の改良または変更。
  • 第4号。マンション再生等に係る合意形成に必要となる事項の調査。
  • 第5号。修繕積立金の管理および運用。
  • 第6号。その他、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理。

第2項は、建替え等の再生決議のあと、事業の計画や設計に必要があるときの取崩しです。第3項は、第1項の経費に充てるための借入れの償還です。第4項で、修繕積立金は管理費と区分して経理しなければなりません。令和5年度マンション総合調査(令和6年6月21日公表)では、区分経理をしている組合は90.1パーセントです。管理費の口座から積立金の計画修繕を出す行は、区分経理の対象です。

第29条の使用料は、その管理に要する費用に充てた残りを、修繕積立金として積み立てます。駐車場使用料を管理費の不足に回し続ける運用は、この条の建付けとずれます。

修繕積立基金と、長期修繕計画

修繕積立基金と長期修繕計画

  • 基金。分譲会社が、将来の計画修繕に充てるため、購入者から修繕積立基金を一括で徴収している場合があります。標準管理規約のコメントは、基金も修繕積立金として積み立て、区分経理する、と書いています。基金の額と、売買代金の内訳かは、売買契約です。
  • 返還。住戸を売ったときの基金や積立金の返還は、規約に定めがある場合だけです。定めが無ければ、次の区分所有者へ積み立てたまま残ります。未納は第26条で特定承継人へ請求できます。
  • 計画の期間。長期修繕計画は、30年以上で大規模修繕を2回以上含む期間で作ります。見直しは5年程度です。作成費用の国の単価はありません。
  • 額の変更。管理費等の額は、標準管理規約第48条第6号の総会決議事項です。第28条の特別の管理と取崩しは第10号です。普通決議は第47条第1項と第2項です。議決権総数の過半数の出席のうえ、出席組合員の議決権の過半数です。

ガイドラインの記載例では、外壁塗装や屋上防水などの大規模修繕は12年から15年が目安です。周期は義務ではありません。初期の月額が低くても、最初の大規模修繕の年に残高が足りるかは、計画の収支で見ます。1戸あたりの工事費は、見積書で確認します。

理事会が今期確認すること

  • 原始規約の開始月。引落しが始まる月と、所有権移転の月がずれていないかを、総会議案の収支と並べます。
  • 積立方式。均等か段階増額か、増額の予定年と倍率を、長期修繕計画の表で確認します。初期額が均等額の0.6倍を下回っていないかも見ます。
  • 基金の会計。分譲時の基金が、積立金会計に入っているかを決算書で確認します。管理費会計に残っていれば、区分経理の対象です。
  • 使用料の繰入れ。第29条どおり、使用料の残りが積立金へ入っているかを見ます。
  • 次の見直し。築後5年を迎える組合は、計画期間が30年以上か、大規模修繕が2回入っているかを先に確認します。

借入れは第63条です。第28条第1項の業務を行うため必要な範囲で借りられます。償還は第28条第3項で積立金から出せます。融資の金利や、管理計画認定による年0.2パーセントの引下げは、住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資の話です。節約額は、証券と見積もりの差額で確認します。借りる前に、第48条第10号の総会決議があるかを確認します。

管理委託契約の内訳確認や、管理会社の相見積もりは、積立金の額そのものではありません。委託費の「一式」は空欄のままです。相見積もりは同じ仕様で2社から3社です。委託費の金額は、同じ四業務の見積もりで確認します。

分譲時の資料で確認する支払開始月

新築の修繕積立で分譲資料を見る行

購入前と、引渡し直後の理事会で、同じ行を見ます。パンフレットの月額だけを、適正額だとは扱いません。

  • 積立方式の記載。均等か段階増額か。段階増額なら、何年後に何倍にする予定かが表にあるかを見ます。倍率の数字が無い表は、総会の議案に使えません。
  • 計画期間。30年以上か。大規模修繕が2回入っているか。12年から15年の記載例は、外壁と屋上の行の目安です。義務ではありません。
  • 基金の有無。売買契約の支払内訳に修繕積立基金があるか。引渡し後の最初の決算で、積立金会計に入ったかを確認します。
  • 管理費との混同。提示された月額が、管理費と積立金の合計になっていないかを分けて読みます。管理費は管理委託費ではありません。

鉄部塗装は5年から7年、屋内共用給水管の更生は19年から23年、取替は30年から40年、という記載例も、ガイドラインにあります。新築の初期額を決めるときの行です。円は、その組合の見積もりです。

よくある質問

Q. 入居前でも、修繕積立金は払いますか。
A. 区分所有者になった時点から、第25条の納入義務があります。開始月は規約です。入居の有無では消えません。

Q. 分譲時の月額が安いと、損ですか。
A. 安いこと自体が違法とは限りません。仕様と資格の行を見て判断します。段階増額なら、初期額が均等額の0.6倍以上か、最終額が1.1倍以内か、増額の総会が通るかを見ます。円の適正額は、自組合の計画です。

Q. 売却するとき、積み立てた分は戻りますか。
A. 規約に返還の定めがある場合だけです。定めが無ければ、積み立てたまま次の区分所有者へ残ります。未納は第26条で特定承継人へ請求できます。

Q. 均等積立なら、将来も増額しませんか。
A. ガイドラインは、均等でも5年程度の見直しで必要額が増える、と書いています。増額は第48条第6号の総会です。

Q. 管理費と修繕積立金は、同じ口座でもよいですか。
A. 第28条第4項は区分して経理することを求めています。口座を分けるか、同じ口座でも科目を分けるかは、自組合の会計の方法です。令和5年度マンション総合調査では、区分経理は90.1パーセントです。

Q. 修繕積立基金は、毎月の積立金と別物ですか。
A. 分譲時に一括で徴収する基金です。コメントは、基金も修繕積立金として積み立て、区分経理する、と書いています。額と返還は、売買契約と規約です。

まとめ

  • 修繕積立金は、区分所有者になったときから納入します。開始月は規約と売買契約です。
  • 段階増額の初期額は均等額の0.6倍以上、最終額は1.1倍以内です。均等積立がガイドラインの基本です。
  • 取崩しは第28条の事由に限ります。管理費とは区分経理します。
  • 修繕積立基金は売買契約と規約の定めです。売却時の返還も、規約に定めがあるときだけです。
  • 額の変更は第48条第6号の総会です。1平方メートルあたりの単価は、見積書と統計の定義を揃えて確認します。

免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。開始月、積立方式、基金、額の変更は、その管理規約、売買契約、長期修繕計画で確認してください。

島 洋祐

株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

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この記事を書いた人

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