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マンション配管の水漏れ責任は誰にある?費用負担や調査フローを現行法に基づき徹底解説
マンションで突然発生する水漏れ。上階から水が滴り落ちてくる、あるいは階下の住人から「水が漏れている」と連絡が来るなど、誰もがパニックに陥りがちです。そんな時、最も気になるのが「この修理費用や損害賠償は、一体誰が責任を負うのか?」という問題でしょう。
結論から言うと、マンションの配管水漏れの責任分界点は、「漏水がどこから発生したか(専有部分か共用部分か)」と、そのマンション独自の「管理規約」によって決定されます。
【重要】 本記事の内容は一般的なマンション管理・法務の考え方を示したものであり、最終的な責任判断や費用負担は、各マンションの管理規約、賃貸借契約、保険約款、および専門業者による調査結果に基づき、必要に応じて弁護士等の専門家の助言を優先してください。
この記事では、宅地建物取引士および管理業務主任者の資格を持つ筆者が、2026年9月5日現在の最新法令や国土交通省の資料に基づき、責任の所在を判断する基準や対応フローを解説します。
マンション水漏れの責任は「どこから漏れたか」で決まる
マンションの水漏れ責任を理解する上で、最も重要なのが「専有部分」と「共用部分」の区別です。国土交通省の「マンション標準管理規約(単棟型)」では、その境界線が以下のように整理されています。
責任の分かれ道:「専有部分」と「共用部分」
| 区分 | 範囲の定義(標準管理規約別表第2参考) | 代表的な設備 | 責任主体 |
|---|---|---|---|
| 専有部分 | 区分所有者が単独で所有・使用する住戸の内側。 | 室内の内装、キッチン、トイレ、枝管(横引き管) | 区分所有者 |
| 共用部分 | 区分所有者全員で共有する部分。 | 躯体、屋上、外壁、縦管(立管・本管)、メーター以前の給水管 | 管理組合 |
(注:上図はモデルケースです。給水管は「本管から各住戸メーターを含む部分」、雑排水管・汚水管は「配管継手及び立て管」が共用部分とされ、各住戸メーター以降の配管や縦管へ接続するまでの枝管は、原則として専有部分に含まれます。)
枝管(専有)と縦管(共用)の具体的な境界線
- 枝管: 自室の設備のみに繋がっている管。床スラブ(コンクリートの床板)の上を通る配管などが該当します。
- 縦管: マンション全体を垂直に貫き、各階へ供給・排水を集約する管です。
必ず確認!「管理規約」が最優先ルール
標準管理規約は法的な強制力を持たない「雛形」です。マンションによっては、特約により「専有部分に属する枝管であっても、管理組合が一体的に管理・修繕を行う」と定めているケースがあります(標準管規約第21条第2項等の趣旨に基づく規約共用部分など)。また、近年の標準管理規約改正(令和7年10月17日改正等)では、専有部分の配管管理を管理組合が主体となって行えるよう規定整備が進んでいます。そのため、自分のマンションの「最新の管理規約」を必ず確認することが不可欠です。
水漏れ発生時の初期対応と原因調査フロー
水漏れが発生した場合、2026年現在の実務では以下の4ステップで対応します。
Step1: 安全確保と応急処置
元栓を閉め、漏電防止のためにコンセントを抜きます。重要なのは「被害状況の記録」です。スマートフォンで動画や写真を撮影しておきましょう。これが後の保険請求で決定的な証拠となります。
Step2: 管理会社・関係者への報告
管理会社は原因調査や業者手配の窓口となります。賃貸で入居している場合は、速やかにオーナー(貸主)またはその管理受託会社へ連絡してください。賠償責任等の判断はこれら契約関係に基づきます。
Step3: 原因調査の依頼と費用負担
調査は管理組合が主導し、一旦管理組合が費用を支出するケースが多く見られますが、これは「共用部分に原因がある可能性」を考慮した運用です。「調査費用の最終的な負担者」は、規約や決議に基づき、原因箇所の責任者に振り替えられるのが一般的です。
Step4: 修繕と損害賠償(法的根拠の整理)
水漏れの被害に対する責任は、以下の法的根拠に基づき判断されます。
- 民法第709条(不法行為責任): 居住者の過失(洗濯機のホース外れ等)や、区分所有者が設備の老朽化を認識しながら放置した場合などが該当します。
- 民法第717条(工作物責任): 建物の設置や保存に瑕疵(欠陥)がある場合に、所有者や占有者が負う責任です。共用部配管の腐食などが原因の場合は、管理組合が責任を負う可能性があります。
マンション水漏れに関するQ&A
Q. 原因箇所がどうしても特定できない場合は?
A. 区分所有法第9条により「共用部分の瑕疵」と推定されます。
第9条:建物の設置又は保存に瑕疵があることにより他人の権利を侵害したときは、その瑕疵は、共用部分の設置又は保存にあるものと推定する。
ただし、これは「反証がない場合の法的推定」です。区分所有者が調査を拒否した場合や、専有部である蓋然性が著しく高い場合など、個別の事情により判断が分かれる可能性があるため、最終的には専門家への相談を推奨します。
Q. 専有部の枝管更新は、SRCT工法と一般的な配管更新どちらが安い?
A. 条件によりますが、SRCT工法(配管更生)の方が、一般的な配管更新(引き替え)より約40%安くなる傾向にあります。 更生工事は既存の配管内部を研磨・コーティングするため、壁や床を壊す必要が少なく、工期も短縮できるメリットがあります。ただし、配管の劣化が激しい場合は更新しか選択肢がないため、事前の劣化診断が重要です。
Q. 保険はどこまでカバーしてくれる?
A. 加入している保険約款が最優先されますが、概ね以下の通り区別されます。
- 個人賠償責任保険: 加害者になった際、階下の被害(内装・家財)への賠償金をカバーします。※自室の配管修理費は対象外。
- 火災保険(水濡れ補償): 被害者になった際、自室の濡れた家財などをカバーします。※老朽化(経年劣化)による漏水そのものは免責となるケースが多いです。
マンション管理運営のアドバイス(小規模マンションの視点)
20戸〜40戸程度の小規模マンションでは、管理会社の見積もり対応に注意が必要です。管理会社側は見積もり作成にあたり、清掃・EV点検・警備などの外注先調整や3〜4回の現地調査、理事会面談など多大な労力を割きます。そのため、5〜6社も相見積もりを依頼すると「手間がかかる組合」と敬遠され、かえって良い提案が届かなくなるリスクがあります。
見積もりを依頼する際は、理事会で方針を固め、2〜3社に絞るのが現実的です。また、補助金(例:東京都のマンション改良工事助成等)の申請は手間がかかるため、消極的な管理会社も存在します。こうした課題に対し、管理会社の事業承継支援や運営サポートを専門に行う外部コンサルタントなどを活用し、専門的な知見(補助金制度の活用や、スムーズな委託先承継の支援など)を得ることも、資産価値を守る有効な手段です。
まとめ
- 責任の所在は「専有部」か「共用部」か、および「個別の管理規約」で決まる。
- 原因不明時は区分所有法第9条により「共用部分」と推定されるが、立証責任の調整規定である点に注意。
- 個人賠償責任保険への加入状況と約款を必ず確認する。
いざという時に備え、管理規約を一度読み直し、適切な保険への加入を確認しておきましょう。
免責事項
本記事は2026年9月5日時点の情報に基づき、一般的な知識を提供するものです。個別の法的トラブルについては、弁護士等の有資格者にご相談ください。掲載情報の利用により生じた損害について、筆者および運営者は一切の責任を負いません。
参考資料
- 国土交通省「マンション標準管理規約(単棟型)及び同コメント(令和7年10月17日改正)」
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」「民法」
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

