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区分所有者名簿と、実際に住んでいる人の名簿は、別の表です。標準管理規約(単棟型、令和7年10月17日改正)第31条の2は、理事長が組合員名簿と居住者名簿を作成して保管する、と定めています。自組合の規約がこの条文を採用していれば、作成と保管は理事長の仕事です。規約に別の定めがあるときは、その定めに従います。
この記事は、2026年9月時点の標準管理規約と区分所有法で、誰の名簿か、いつ直すか、誰に見せるかを整理します。2024年6月の標準管理規約とは、閲覧の条件が違います。自組合の規約が古い条文のままなら、古い条文が優先します。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。運用は、自組合の管理規約に従ってください。
組合員名簿と居住者名簿は別物
組合員名簿の相手は、部屋の区分所有者です。総会の通知を出すあて先と、議決権の確認に使います。居住者名簿の相手は、賃借人を含む、いま住んでいる人です。標準管理規約のコメントは、設備点検で専有部分に入るときの連絡先、災害時の避難や安否の確認のために居住者名簿を置く、と説明しています。
所有者と居住者が同じ部屋は、両方に載ります。貸している部屋は、所有者は組合員名簿、賃借人は居住者名簿です。一方の表を、もう一方の代わりにしません。総会の通知を居住者名簿だけに出すと、住んでいない区分所有者に届きません。
災害時に自ら避難することが難しい人(高齢者、障害のある人、乳幼児など)を居住者名簿で把握することは、コメントが望ましいとしています。この情報は、個人情報保護法の要配慮個人情報に当たることがあります。要配慮個人情報は、原則として、あらかじめ本人の同意を得て取得します。同意の欄がない様式で、病名や障害の区分まで書かせないでください。
届出と、年1回の確認
標準管理規約第31条は、組合員の資格を得た人、失った人に、直ちに書面で届け出ることを求めています。届け出た内容が変わったときも、直ちに書面です。電磁的方法を使えると規約が定めている組合は、書面または電磁的方法です。
専有部分を貸したときは、第19条第3項により、借りた人が借用の届出を管理組合へ出します。理事長は、第31条の届出またはこの借用の届出があったとき、遅滞なく名簿を更新します(第31条の2)。届出を待たずに、理事長が変更を把握したときは、届出の提出を求める、という確認の仕方がコメントにあります。
届出がなくても、理事長は毎年1回以上、名簿の内容を確認します。確認は、総会や掲示で「変わったら届出が要る」と知らせること、変更を知った部屋に届出を求めることを含みます。確認した日と、直した行を、名簿の末尾に残します。残らない確認は、翌年に同じ部屋を見落としやすくなります。
国内に住んでいない組合員が国内管理人を選んだときは、第31条の3の届出です。氏名または名称と、住所または居所を、直ちに理事長へ出します。選任を終えたとき、内容が変わったときも、直ちに届け出ます。組合員名簿には、その管理人を付記しておくことがコメントで望ましいとされています。
招集の通知は、届出のあて先へ出す
標準管理規約第43条は、総会の通知を、会議の日の少なくとも2週間前に出す、と定めています。会議の目的がマンションの再生等に係る決議のときは、2か月前です。区分所有法第35条の原則は少なくとも1週間前で、規約で長くできます。標準管理規約を採用している組合の総会は、2週間です。
通知は、組合員が届け出たあて先に発します。届出がない組合員には、専有部分の所在地へ出します。国内管理人の届出があるときは、その管理人あてです。建物内に住む組合員と、届出のない組合員には、所定の掲示場所への掲示で通知に代えられます(第43条第2項、第3項)。
名簿が古いために、届け出た住所と違う場所へ通知を出すと、この招集手続とずれます。ずれは、決議が当然に無効になる、と法律が一言で定めているものではありません。決議の効力を争うときの、手続の瑕疵になり得ます。争われる前に、届出のあて先と、実際に出したあて先を、発送リストで照合します。
見せる相手と、見せない項目
現行の第31条の2は、組合員が相当の理由を付した書面で請求したときに、名簿を閲覧させる、と定めています。閲覧の日時と場所は、理事長が指定できます。2024年6月の条文にあった「組合員の求めに応じて、氏名・住所・連絡先を一覧で閲覧させる」という書き方とは、条件が違います。自組合の規約が古い書き方のままなら、その書き方です。規約を改正していない組合に、令和7年の条件だけを適用しないでください。
請求をできる人は、標準の条文では組合員に限っています。コメントは、組合員以外からの請求を想定して、規約で範囲を広げることもできる、としています。賃借人や担保権者に必ず見せる、とは書いてありません。区分所有法第33条は規約の閲覧の規定であり、名簿の閲覧そのものの規定ではありません。名簿の閲覧範囲は、規約の閲覧と同じにはしません。
コメントは、請求の理由に照らして不要な項目は開示しないこともできる、としています。部屋番号の確認が理由なら、他の部屋の電話番号まで一覧で渡す必要はありません。セールスや嫌がらせを理由にした請求は、相当の理由を付した請求とは説明しにくいです。拒否するときは、理由が相当でないことを、一文で残します。
書面の交付は、「することができる」です。請求があれば必ずコピーや郵送をしなければならない、とは書かれていません。交付するときは、その費用を請求者に負担させることができます。電磁的記録の名簿は、規約が電磁的方法を使う場合、請求に応じて電磁的方法で提供することもできます。提供できることと、メールで名簿一式を送らなければならないことは別です。
法人の管理組合は、法律上の名簿がもう一つある
管理組合法人には、区分所有法第48条の2第2項により、区分所有者名簿を備え置き、区分所有者の変更があるごとに必要な変更を加える義務があります。この義務は、法人でない管理組合には、この条文ではかかりません。法人でない組合の名簿は、規約の第31条の2です。
同じ第48条の2の第1項は、財産目録です。設立のときと、毎年1月から3月までのあいだに作り、主たる事務所に備えます。事業年度を特に定めている法人は、設立のときと、毎事業年度の終了のときです。名簿の話と、財産目録の話を、一つの「第48条の2の名簿義務」にまとめないでください。
法律の第2項は、名簿に書く項目の名前を、この文では列挙していません。書く項目は、規約と届出の様式で決めます。様式には、利用目的を書いておきます。標準管理規約のコメントは、個人情報を取得するときに利用目的の特定と通知または公表が要ること、本人から書面で取得するときは利用目的の明示が要ることを、個人情報保護法の第4章として参照しています。
保管と、管理会社が終わるとき
個人情報取扱事業者に該当する管理組合は、個人情報保護法第23条の安全管理措置を講じます。名簿の紙は施錠できる場所、電磁的記録はアクセスできる人を限る、という分け方を、理事の引継ぎメモに書きます。理事の個人のメールに、名簿の全件を添付したままにしない、という運用も、この措置の一つです。
管理会社が名簿の入力を担っているときは、元データは組合のものです。契約が終わるときは、いまの管理委託契約書の引き渡しの条項と、解約の予告期間を見ます。引き渡しの一覧に、組合員名簿、居住者名簿、届出の書面、直近の確認日を入れます。会社のサーバーにしかない状態で契約が終わると、次の理事会が届出のあて先を再現できません。
閲覧と更新の手続を、管理委託の仕様に書くときは、第31条の2の「相当の理由」「日時と場所の指定」「交付はできる」「年1回の確認」を、仕様の行にします。仕様が「名簿の管理一式」だけだと、交付の可否と確認の回数が見えません。
請求が来た日の手順
書面が届いたら、その日のうちに四行をメモします。請求者の部屋番号、理由、求めた項目、閲覧に指定した日時と場所、です。理由が部屋の連絡先の確認なら、その部屋の行だけを見せ、他の部屋の電話番号は伏せます。一覧の全件を、理由を読まずに渡さないでください。
指定した日時に来なかった請求は、名簿を郵送して埋めません。次の日時を書面で指定し直します。交付に応えるときは、渡した項目と、受け取った費用を同じメモに残します。費用を取らない場合も、取らなかったことを残します。残らない交付は、翌年に「渡したはず」という争いだけが残ります。
届出の様式には、利用目的を印刷します。招集の通知、緊急時の連絡、点検のための立入り、のどれに使うかを、様式の上段に書きます。上段がない届出は、取得のときに利用目的を明示したことになりにくいです。要配慮個人情報に当たる避難の情報は、同意の欄を様式に別に置きます。同意の欄に署名がない行は、名簿へ転記しません。
年1回の確認は、総会の議案書の末尾に「確認した日」と「直した部屋番号」だけを載せます。氏名と電話番号の全件は、議案書に印刷しません。全件を総会資料にすると、閲覧の請求より広い範囲へ名簿が渡ります。直した部屋がゼロの年も、確認した日は残します。日がない年は、確認していない年と区別できません。
国内管理人の届出が届いた部屋は、組合員名簿のその行に管理人の氏名と住所を付記し、次の総会通知の発送リストをその住所へ切り替えます。付記の前に出した通知は、切り替えません。切り替えの日を発送リストに書くと、どの総会から管理人あてになったかが残ります。選任が終わった届出が来たら、付記を消し、区分所有者の届出のあて先へ戻します。
戻したあとの総会通知を、消した管理人の住所へ出し続けないでください。発送リストの切り替え日より前の通知は、出した先のまま記録に残します。戻した日以降の通知だけ、区分所有者の届出のあて先です。
よくある質問
Q. 個人情報を理由に、届出を拒否されたら。
A. 標準管理規約第31条の届出は、規約を採用している組合では組合員の義務です。利用目的(招集の通知、緊急連絡)を様式に書いたうえで、提出を求めます。出さない場合、通知は届出のない組合員として専有部分の所在地へ出るか、掲示で代える、という第43条の扱いになることを伝えます。
Q. 遠方の所有者から、名簿の郵送を求められたら。
A. 現行の第31条の2で、交付は「することができる」です。必ず郵送する義務としては書かれていません。閲覧の日時と場所を指定して応えることができます。交付するときは、費用を請求者の負担にできます。自組合の規約が古い条文で、一覧の閲覧を求めに応じてさせるとだけ書いているときは、その規約です。
Q. 最初にどの書類を見ますか。
A. 管理規約の名簿の条項と、届出の条項です。令和7年10月17日改正の標準管理規約と、自組合の条文のどちらが載っているかを先に見ます。規約に別段の定めがあるときは、その定めに従ってください。
まとめ
組合員名簿と居住者名簿は、理事長が作成して保管します。更新は、第31条と第19条第3項の届出のつど、それに加えて年1回以上の確認です。閲覧は、現行の標準管理規約では、組合員が相当の理由を付した書面で請求したときで、日時と場所を指定できます。コピーの交付は任意です。法人には、第48条の2第2項の区分所有者名簿が別にあります。第1項は財産目録です。自組合の規約が2024年6月の古い条文のままなら、その条文に従います。
免責事項本記事は2026年9月時点の標準管理規約(令和7年10月17日改正)と区分所有法に基づく一般的な説明であり、個別の閲覧拒否や個人情報の助言ではありません。手続は自組合の規約、要配慮個人情報は本人の同意、法人の備置きは第48条の2で確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

