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管理組合の会計報告は、慣例の資料作りではありません。区分所有法第43条は、管理者が集会において毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない、と定めています。単棟型標準管理規約(令和7年10月17日改正)第59条は、理事長が毎会計年度の収支決算案を監事の会計監査を経て、通常総会に報告し、その承認を得なければならない、と定めています。標準管理規約第60条は管理費等の徴収の条であり、監査報告書の条ではありません。
- 3点。総会に出す中心は、収支決算案、事業報告、監事の監査の結果です。貸借対照表を法律が必須書類として置いているわけではありません。
- 定数。第48条第三号は、収支決算及び事業報告を総会の決議事項としています。規約に別段がなければ普通決議です(区分所有法第39条、標準管理規約第47条第1項・第2項)。
- 招集。第42条第3項は、通常総会を毎年1回、新会計年度開始以後2か月以内に招集します。通知は標準管理規約第43条で2週間前、区分所有法第35条は少なくとも1週間前です。法律の第43条(事務報告)と、規約の第43条(招集通知)は別です。
- 会社の報告。適正化法第77条の定期報告は、管理会社から管理者等への報告です。総会の承認に代えません。
管理組合の会計報告|事務報告と決算は別物
この記事は2026年9月時点の説明です。使う規約と、いまの会計年度の定めが先です。令和6年6月改正の規約例や、令和6年6月改定の委託契約書を、いまの条文だとは使いません。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
総会に出す3点と、手元に置く帳簿
第59条が総会へ出すと書いたのは、収支決算案です。第48条第三号は、事業報告も決議事項に置いています。監事は第41条第1項で、業務の執行と財産の状況を監査し、総会に報告します。
- 収支決算案。その年度の収入と支出です。管理費と修繕積立金を、同じ合計に混ぜません。第28条第4項の区分経理です。総合調査の区分経理は90.1%です。
- 事業報告。その年度に行った管理の報告です。第48条第三号の、決算と対になる行です。第54条第1項第一号は、理事会が収支決算案、事業報告案、収支予算案、事業計画案を決議します。
- 監事の監査。第59条は、決算案を監事の会計監査を経て総会へ出します。第41条第2項は、監事がいつでも理事と職員に報告を求め、業務と財産を調査できます。第3項は、不正があると認めるとき臨時総会を招集できます。監査報告書の押印の全国様式はありません。記名か署名かは、使う規約と細則です。
- 帳票。第64条第1項は、理事長が会計帳簿、什器備品台帳その他の帳票類を作成して保管し、組合員または利害関係人の理由を付した請求があれば閲覧させます。閲覧の日時と場所は指定できます。第3項は、請求した人が求める情報を記入した書面を交付でき、費用を相手に負担させられます。
貸借対照表を作る組合はあります。第59条の必須の名は、収支決算案です。公益法人の会計基準に管理組合が当然に従う、という条文はありません。様式の全国一律の定めも、この規約例の本文にはありません。
区分経理と、余剰・不足
管理費の赤字を、修繕積立金から埋める条項はありません。科目の線は、第27条と第28条です。
- 管理費。第27条の通常の管理に要する経費です。11項目のうち、委託業務費は第8号、損害保険料は第5号です。自治会費は含みません。
- 修繕積立金。第28条第1項は、計画修繕、不測の修繕、改良・変更、再生等の調査、積立金の管理運用、その他特別に必要な管理に限り取り崩せます。第3項は、借入の償還にも充てられます。
- 第61条第1項。収支決算の結果、管理費に余剰が生じたときは、その余剰は翌年度の管理費に充当します。積立金へ自動で移す条項ではありません。移すなら第48条第6号の総会です。
- 第61条第2項。管理費等に不足が生じたときは、第25条第2項の負担割合で、その都度必要な金額の負担を求められます。
- 第26条。管理費等の債権は、特定承継人にも行えます。未収の行は、決算の注に残します。
口座は第62条で、会計業務のため管理組合の預金口座を開設します。標準管理委託契約書の口座は三つの型です。管理会社が通帳と印鑑を両方持たない形にします。保証には上限があります。第76条は、業者が修繕積立金などを自己の財産や他の組合の財産と分別します。
管理会社の帳簿と、定期報告
委託している組合では、会社の報告と、総会の会計報告を重ねて見ます。どちらか一方で足りる、という関係ではありません。
- 第75条。マンション管理業者は、委託を受けた管理事務について、国土交通省令で定めるところにより帳簿を作成し、保存しなければなりません。
- 第76条。修繕積立金その他省令で定める財産を、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理します。
- 第77条第1項。管理者がいるとき、定期に管理業務主任者が管理者等へ管理事務を報告します。第2項は、管理者がいないとき、説明会を開いて区分所有者等へ報告します。第3項は、主任者証の提示です。
- 第74条。基幹事務(会計の調定、出納、維持修繕の企画または実施の調整)の一括再委託は禁止です。会計の数字を、再委託先の報告書だけで総会に上げません。
会社の月次報告を、第59条の決算承認に代えません。開始残高と、旧年度の最終報告の突合は、変更のときだけでなく、毎年度の監査でも使います。見積もりの「一式」は空欄のまま聞きます。金額が無い欄を0円として合計しません。
通常総会までの日程と、議事録
決算案は、理事会が先に決議してから総会へ出します。監事の監査を飛ばして、理事会案をそのまま総会に上げる条項ではありません。
- 理事会。第54条第1項第一号の案です。第53条第1項は、理事の半数以上の出席と、出席理事の過半数です。第53条第3項は、特別の利害関係を有する理事は議決に加われません。
- 監事の出席。第41条第4項は、監事が理事会に出席し、必要があると認めるとき意見を述べます。第5項は、不正や規約違反のおそれを理事会へ報告します。
- 通知。標準管理規約第43条第1項は2週間前です。第47条第12項は、あらかじめ通知した事項のみ決議できます。区分所有法第37条も、通知した事項のみです。
- 議事録。標準管理規約第49条は、紙なら議長と、議長が指名した出席組合員2人が署名します。区分所有法第42条は、紙のときは議長と出席した区分所有者2人です。第49条の2は、議案書と付随資料の保管と閲覧です。
予算案の承認前に、経常的でやむを得ない経費を支出する定めは、第58条にあります。前年の同経費のおよその範囲内、とコメントは書いています。決算の承認と、翌年度の予算の承認は、同じ通常総会の別の議案です。第48条第四号が収支予算及び事業計画です。
報告を怠ったときの過料を、区分所有法第43条に置く条文ではありません。第91条の過料は、登記や財産目録など、別の行為です。この記事の主題は非法人の会計報告です。損害賠償が必ず発生するとは限りません。契約と事実関係で確認します。総会で承認を得られなかったときは、修正のうえ再提出するか、臨時総会を開くかを、規約と理事会で決めます。
第56条は会計年度、第57条は収入を管理費等と使用料、支出を第27条から第29条に充当すると定めています。使用料(駐車場など)を管理費の統計に含めるか含めないかは、総合調査の二つの行です。駐車場使用料等を含む管理費の全国は17,103円、含まない全国は11,503円です。この数字を、自組合の決算の適否の上限には使いません。委託費の相場でもありません。
長期修繕計画書は第64条第2項で、理事長が保管し、理由を付した請求があれば閲覧させます。設計図書と修繕等の履歴情報も同じ項です。決算の説明で、積立金の残高と、計画上の積立予定の差を示す資料を付けるかは、第48条関係のコメントが毎年の総会で差を明示する重要性を書いています。円/㎡のベンチマークは置きません。段階増額の目安は、初期額が均等額の0.6倍以上、最終額が1.1倍以内です。
第25条第2項は、管理費等の額を共有持分で算出します。戸数が少ないことと、持分の計算をやめてよいことは別です。第60条の徴収は、口座振替をモデルにしています。未納のときは、遅延損害金と督促の費用を加算して請求できる、と第2項は置いています。利率の数字は、規約の空欄です。この記事に利率は置きません。第4項は、理事長が理事会の決議により、未納の請求の訴訟その他法的措置を追行できます。
相見積もりで会計の委託先を比べるときも、同じ仕様で2〜3社です。5〜6社へ同時に出すと、20〜40戸程度では辞退が増えます。実務上の傾向であり、統計ではありません。会計ソフトの任意提案は合計の外です。
よくある質問
Q. 管理会社の月次報告があれば、総会の決算は不要ですか。
A. 不要ではありません。第77条は管理者等への定期報告です。第59条の総会承認は残ります。
Q. 貸借対照表が無いと違法ですか。
A. 第59条が必須と書いたのは収支決算案です。貸借対照表を作るかは、会計の運用と総会資料の慣行です。
Q. 監事が欠けていても総会は開けますか。
A. 第59条は監事の会計監査を経ると書いています。先に監事の選任を議案にするかを、規約で見ます。第41条の監査は、監事がいる前提です。
Q. 組合員は帳簿を見られますか。
A. 第64条は、理由を付した請求があれば閲覧させます。日時と場所は指定できます。写しの交付は第3項です。費用を請求できます。
Q. 管理費の余りを積立金に回してよいですか。
A. 第61条第1項は、余りを翌年度の管理費に充当します。積立金へ移すなら第48条第6号の総会です。
Q. 標準管理規約第60条が監査の条文ですか。
A. 違います。第60条は管理費等の徴収です。会計報告は第59条、監事は第41条です。
Q. 通常総会は年度が始まってすぐ開けますか。
A. 第42条第3項は、新会計年度開始以後2か月以内です。予算承認前のやむを得ない経常経費は、第58条第3項の範囲です。
Q. 管理会社を変えた年の決算はどうしますか。
A. 旧会社の最終残高と、新会社の開始残高を4項目(管理費、積立金、未収、未払)で突合します。第76条の分別と、第28条第4項の区分経理は、変更の前後で途切れません。
Q. 議事録に決算の賛否を全員分書きますか。
A. 普通決議の議事録は、第49条の署名です。建替え決議の議事録に賛否を書く定めを、決算の議事録へ移しません。
まとめ
- 区分所有法第43条は、管理者の毎年1回の事務報告です。標準管理規約第43条の招集通知とは別です。
- 第59条は、収支決算案を監事の会計監査を経て通常総会で承認します。第60条は徴収の条です。
- 総会の3点は、決算案、事業報告、監事の監査の結果です。貸借対照表は法律の必須名ではありません。
- 管理費と積立金は区分経理します。余りは第61条で翌年の管理費へ充当します。
- 業者の第75条の帳簿、第76条の分別、第77条の定期報告は、総会の承認に代えません。
- 通常総会は年度開始後2か月以内です。定数は普通決議です。
- 第64条の帳簿は、理由を付した請求があれば閲覧できます。写しの交付は費用を請求できます。
- 第60条は徴収の条です。監査報告書の条と取り違えません。規約の改正日は令和7年10月17日です。
免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。決算の様式、監事の監査の方法、閲覧の手続、未納の利率はその管理規約、会計帳簿、総会資料、契約書で確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

