※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。
旧耐震と聞いたとき、先に分けるのは耐震診断と耐震改修です。診断は性能を調査して評価すること、改修は補強工事です。同じ総会の一つの議案に、円の合計だけを載せて両方を済ませません。
- 努力義務。旧耐震の建築物の所有者には、耐震改修促進法により、診断を行い必要に応じて改修するよう努める義務があります。罰則のある報告義務とは別です。
- 報告義務。対象は限定です。要緊急安全確認大規模建築物や、自治体が条例で指定する沿道の建築物などが当たります。居住専用の分譲マンションの多くは、所管に確認するまで報告義務とは決めません。
- 確認の日。新耐震の境は、1981年6月1日以後の建築確認です。竣工の日だけを見ません。
- 円。1戸あたりの診断費、改修費の相場金額は見積書で確認します。見積もりの項目で見ます。
マンション耐震診断|診断と改修を分け、義務の有無を所管へ確認
この記事は2026年9月時点の説明です。※本記事は一般的な情報提供を目的としています。
旧耐震の線と、東京の届出
確認済証、検査済証、台帳記載事項証明で、建築確認の年月日を探します。確認の日が1981年5月31日以前なら、耐震の話の出発点は旧耐震です。確認の日が分からないときは、所管の建築指導の窓口へ問い合わせます。
- 東京都の管理状況届出。条例の対象は、昭和58年12月31日以前に新築され、居住用の独立部分が6以上あるマンションです。届出者は管理組合です。耐震診断の報告義務そのものではありません。
- 沿道。緊急輸送道路に接するか、高さの要件があるかは、所在地の条例です。他県の数値を自組合へ持ち込みません。
- 大規模施設の併設。低層に不特定多数が使う大きな用途があるかは、報告義務の当たりになります。延べ面積の数字は、所管の案内で確認します。
- 地震保険。建築年割引は1981年6月1日以後新築で10%、耐震診断割引は同日基準で10%、耐震等級は1が10%、2が30%、3が50%、免震は50%です。重ねられず、最も高い一つです。
区分所有法第18条は、共用部分の管理を集会の決議とします。保存行為は各共有者ができます。診断のための調査は、管理や保存の範囲になり得ます。改修が共用部分の形状または効用の著しい変更に当たるときは、第17条です。区分所有者及び議決権の各4分の3です。規約で区分所有者の定数のみ過半数まで減らせます。議決権の4分の3までを、規約で過半数へは落とせません。
耐震診断を総会資料に載せる項目
標準管理規約を使う組合では、普通決議は第47条、特別の定数は第47条第3項です。第28条は修繕積立金の取崩し事由です。計画修繕、不測の修繕、改良・変更、再生等の調査、積立金の管理運用、その他特別に必要な管理、が並びます。診断を調査の行に載せるか、改修を計画修繕や改良の行に載せるかを、議案の文に書きます。
- 招集。規約第43条は2週間前です。再生等は2か月前です。診断の調査を再生の調査に載せるときは、通知の期限を規約で確認します。
- 通知した事項。区分所有法第37条は、通知した事項のみ決議できます。診断の承認のあとに、同じ総会で改修の工法まで決めるときは、両方を通知に書きます。
- 管理者。理事長は規約第38条第2項で区分所有法の管理者です。調査の発注者と、工事請負の発注者を、議案で分けます。
- 長寿命化税制。対象は外壁塗装等に床防水と屋根防水を加えた工事で、令和5年4月1日から令和9年3月31日までに完了したものです。翌年度の建物固定資産税のみです。耐震改修そのものの減額ではありません。
管理計画認定は、耐震診断の合格証ではありません。住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資は、管理計画認定で年0.2%の引下げがあります。節約額は、証券と見積もりの差額で確認します。耐震の加算があるかは、その融資の案内です。
見積もりは調査と工事を分ける
診断の見積もりと、改修の見積もりは別の仕様です。同じ紙の一式にはしません。一式の欄は空欄です。金額が無い欄を0円として合計しません。同じ仕様で2〜3社です。20戸から40戸程度で5社、6社へ同時に出すと辞退が増える傾向があります。現地確認の回数は、各社の見積条件で確認します。
- 診断の行。図面調査、現地調査、計算、報告書です。報告書の書式を仕様に書きます。
- 改修の行。設計、工事、仮設、監理です。工法の名前だけを一式にまとめません。
- 助成。国や都区の助成は、年度の要綱が先です。申請者は管理組合です。港区や横浜市の金額は見積書で確認します。全国共通の補助金はありません。
- 義務と助成。助成の対象(階数や面積など)は、報告義務の対象とは別です。要綱の行を、法律の義務の行には使いません。
標準管理規約第21条第1項は、共用部分の管理を管理組合の責任と負担とします。第2項は、専有部分の配管でも一体工事は総会決議で組合が行えます。耐震の診断は配管の一体工事ではありません。専有の室内の家具移動や、専有の壁の開口が要るときは、第17条の届出・承認と、第23条の立入り請求を分けます。
耐震診断で理事会が残す記録
確認済証の写し、所管へ聞いた日と応対者、診断の仕様、2〜3社の見積もり、総会の招集通知、議事録を一冊にします。管理会社の担当が提案を嫌がることと、組合が発注できることは別です。適正化法第72条は、管理委託契約を結ぶときの説明であり、耐震診断の発注根拠ではありません。
- 名簿。非法人の区分所有者名簿は規約第31条の2です。国内に住所がない区分所有者は、区分所有法第6条の2の国内管理人を選任できます。招集通知は規約第31条の3の届出先へ出します。
- 所在不明。第38条の2は、決議から所在等不明者を除く裁判です。診断の発注を自動で進める条ではありません。
- 保険金。規約第24条の2は、保険金の請求と受領を理事長が代理します。診断の費用を保険金で払えるかは約款です。
- 計画。長期修繕計画の見直しは5年程度です。診断の結果が出た年に、計画の項目を直します。周期の記載例を、診断の期限にはしません。
区分所有法第6条第2項は、保存または改良のため必要な範囲で、他の専有部分の使用や保存の実施を請求できます。損害があれば償金です。実力で入る権利ではありません。診断のコア抜きや、専有の天井裏の確認が要るときは、この請求と規約第23条を使います。
規約第23条の立入りと、専有の開口
診断の調査で専有部分へ入るときは、標準管理規約第23条です。管理を行う者は、管理に必要な範囲で立入りまたは保存行為を請求できます。請求された人は、正当な理由がなければ拒否できません。正当な理由なく拒否した人は、その結果の損害を賠償します。災害や事故で緊急に入らなければ共用部分等または他の専有部分に重大な影響を与えるおそれがあるときは、理事長が立ち入る、または委任した者に行わせます。立ち入った人は、速やかに原状に復します。
- 第17条(規約)。共用部分または他の専有部分に影響を与えるおそれのある専有部分の修繕等は、あらかじめ理事長に申請し、書面による承認を受けます。診断のための室内の開口が、この修繕等に当たるかを、申請の文に書きます。
- 専用使用。第23条の対象には専用使用部分も入ります。バルコニー側から外壁を見る調査も、隣戸の専用使用へ入るときは請求が要ります。
- 点検口。パイプスペースの点検口が室内にある住戸と、廊下側にある住戸を、調査の図に分けます。点検口があることだけで、その住戸の壁が共用にはなりません。
- 賃借人。室内にいる人が区分所有者とは限りません。請求の相手は、その専有部分を管理する人です。所有者への説明と、室内への立入りは、名簿の上で分けます。
標準管理規約第21条第1項は、共用部分の管理を管理組合の責任と負担とします。診断の費用を積立金から出すときは、第28条のどの事由かを議案に書きます。第4項の区分経理は残します。管理費の全国平均17,103円は、診断費の目安ではありません。
区分所有法第9条は、建物の設置または保存の瑕疵で他人に損害が出たとき、瑕疵は共用部分にあると推定します。診断の前に損害が無い段階の補強を、この推定だけを根拠に組合の負担とはしません。第9条が推定するのは、他人に損害が出たときの瑕疵の場所です。
長期修繕計画の見直しは5年程度です。診断の結果が、外壁、屋上、給排水の周期の記載例(大規模修繕12〜15年、屋内共用給水管の取替30〜40年)と食い違うときは、その年に計画の項目を直します。記載例は義務ではありません。段階増額の目安は、初期額が均等額の0.6倍以上、最終額が1.1倍以内です。円毎平方メートルのベンチマークは使いません。
役員は規約第35条第2項で組合員から選任します。理事長は理事会の決議で理事のうちから選びます。診断の発注を、理事会限りで済ませるかは、規約の理事会の職務と、第48条の総会決議事項で見ます。金額の大小だけで、総会を省略する条項には、標準の第48条はなっていません。
よくある質問
Q. すべての旧耐震に診断の罰則がありますか。
A. 努力義務と、報告義務は別です。報告義務の対象かは所管へ確認します。該当しない居住専用でも、努力義務は残ります。
Q. 改修は必ず特別決議ですか。
A. 形状または効用の著しい変更に当たるときが区分所有法第17条です。診断の調査は管理や保存の範囲になり得ます。工法の説明を見て、議案の定数を決めます。
Q. 1戸あたりの公式の円はありますか。
A. 記事の一般論ではなく、自組合の規約と見積書で確認します。調査、設計、工事の行で見積もります。
Q. 補助金はいくら戻りますか。
A. 全国共通の額はありません。年度の要綱と、申請者が管理組合であることを確認します。
Q. 診断の結果が悪いと、売れる額は必ず下がりますか。
A. 公式の下落率はありません。放置したままの状態と、診断の結果と改修の計画を議事録に残した状態は、買主が見る書類が違います。金額の見通しは、見積書と会計書類で確認します。
所管の窓口で聞くときは、建築確認の年月日、沿道指定の有無、報告義務の対象か、助成の要綱の年度、申請者が管理組合か、をメモにします。他県の高さの要件や、延べ面積の数字を、自組合の義務の行へは写しません。電話した日、応対者の所属、案内された資料の名前を、理事会のファイルに残します。管理会社の担当が助成を嫌がることと、組合が申請できることは別です。
総会の招集通知には、診断の仕様、改修の有無、積立金の取崩しの事由、立入りが要る住戸の範囲を分けて書きます。診断の承認だけを通知した総会で、改修の工法まで決めることは、第37条の通知した事項の外になり得ます。同じ日に両方を決めるときは、両方を通知に載せます。
診断の報告書が届いたら、構造の指標の読み方を、設計者に総会で説明してもらいます。指標の名前を、改修の工法の決定そのものにはしません。次の議案は、経過観察、部分補強、全体補強のどれを、どの総会で決めるかです。円の合計だけを先に採決しません。立入りが残る住戸と、仮設の範囲を、説明の図に残します。地震保険の割引は、免震、等級、診断、建築年のうち最も高い一つです。診断の直後に、割引を重ねて安くなる約束はしません。
まとめ
- 診断と改修は別議案です。努力義務と、罰則のある報告義務も別です。
- 新耐震の境は1981年6月1日以後の建築確認です。竣工日だけを見ません。
- 東京都の管理状況届出は、昭和58年12月31日以前新築で居住用独立部分6以上の管理組合です。
- 著しい変更に当たる改修は区分所有法第17条です。所有者の定数のみ過半数まで減らせます。
- 見積もりは調査と工事を分け、同じ仕様で2〜3社です。助成の円は要綱が先です。
免責事項本記事は2026年9月時点の一般的な説明であり、個別の助言ではありません。診断と改修の決議は、その管理規約、契約書、見積もりで確認してください。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

