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マンション管理組合の理事の皆様、お疲れ様です。管理会社の不正や不透明な会計を防ぎたいという思いは、共通の願いではないでしょうか。特に担い手不足が進む中、管理会社に理事長業務を任せる「管理業者管理者方式」への関心が高まっています。しかし、そこには「利益相反」という大きなリスクが潜んでいます。
このリスクに対応するため、マンション管理適正化法施行規則が改正され、2026年4月1日に施行されました。管理会社が管理組合と利益相反の可能性がある取引を行う場合、事前に区分所有者への説明が厳格に義務化されたのです。本記事では、宅地建物取引士の知見を活かし、2026年8月時点の最新法規制と実務のチェックポイントを解説します。
【2026年4月施行】マンション管理の利益相反・事前説明義務とは?
法改正の核心は「利益相反取引に関する事前説明義務」の強化です。これは、専門知識を持つ管理会社が「管理者(理事長)」を兼ねる際、自社の利益を優先して管理組合に不利益を与える行為を防ぐためのセーフティネットです。
法改正の背景と「管理業者管理者方式」の注意点

「外部管理者方式(第三者管理方式)」のうち、特に管理会社が管理者を務める「管理業者管理者方式」は、最も利益相反リスクが高いとされます。例えば、管理会社が自身の関連会社に高額な工事を発注するケースなどが該当します。こうした取引を透明化するため、国土交通省は「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン(2024年6月7日改訂)」を策定し、監査機能の強化を求めています。
事前説明が必要な「利益相反取引」の具体例

改正施行規則第84条第1項第2号および国不動第141号(令和6年6月7日付)通達によれば、以下の取引が説明対象となります。
- 工事・物品の契約: 管理者自身やその子会社・密接関係者と締結する修繕工事や備品購入。
- サービスの提供: 自社が代理店を務める保険契約や、自社提供のネットインフラ導入など。
これらは禁止されているわけではありませんが、取引実行前に「利益相反の事実」と「その必要性」を区分所有者へ説明し、管理組合としての合意形成(総会決議等)を経る必要があります。
管理者受託契約における重要事項説明の義務化
清掃などの「管理委託契約」とは別に、理事長業務を請け負う「管理者受託契約」についても新ルールが適用されています。
説明会開催の原則と例外的な免除規定

管理業者は、管理者受託契約の締結前に、原則として説明会を開催し、重要事項を説明しなければなりません(施行規則第83条第1項)。
- 原則: 契約期間、報酬、利益相反行為の類型などを説明会で周知する。
- 例外: 同一条件での契約更新の場合に限り、説明会の開催は不要で、重要事項説明書の交付をもって代えることができます(施行規則第83条第2項)。
重要事項説明(重説)のデジタル化とIT重説の要件
2021年の法改正により、マンション管理適正化法第72条および第77条に基づき、オンラインでの「IT重説」が認められています。
- 必須要件: 説明を受ける区分所有者等の承諾を事前に得ること。また、IT重説を希望しない方には対面説明等の代替手段を確保する必要があります。
- 実務上の留意点: なりすまし防止のためマイナンバーカード等による本人確認を行い、内容を録画保存することが推奨されています。
監事による監査体制の強化と見積もりの透明性
ガイドラインでは、管理者(管理会社)への権力集中を防ぐため、監事の設置と監査(月次会計報告、領収書等の原本チェック)の徹底が強く推奨されています。
相見積もりの現実的な進め方

透明性確保のために相見積もりは有効ですが、20戸〜40戸程度の規模で5社も6社も見積もりを依頼すると、管理会社側の調査・打ち合わせ負担が非常に大きくなるため、敬遠されるリスクがあります。実務上は、2〜3社程度に絞って依頼するのが、管理会社が真剣に提案を行いやすい「ベストな数」と言えます。
また、見積書に「一式」という曖昧な表現を使わせず、内訳を詳細に示させることが不正防止の第一歩です。
管理会社の撤退・承継への備え
採算性などを理由に管理会社が事業から撤退する場合、円滑な引き継ぎが必要です。撤退を検討する企業向けの解決策として、専門会社などが提供する「管理事業承継支援サービス」のような選択肢があります。これは、管理組合との解約トラブルを回避しつつ、従業員の雇用維持や、当面の人件費補助などのサポートを受けながら事業を専門会社へ引き継ぐスキームです。組合側にとっても、管理放棄を避けられるメリットがあります。
また、自治体の助成金(例:東京都のマンション助成制度など)は年度・地域により制度が頻繁に変更されます。通常の管理会社は申請手続きの煩雑さを嫌がりますが、補助金申請代行に積極的な専門会社を活用するのも有効な手段です。
【Q&A】よくある質問
Q:利益相反の可能性がある工事、総会決議があれば事前説明は不要?
A:いいえ、必要です。 今回の法改正(施行規則第83条・84条)により、決議の前段階として、利益相反の重要事実を説明するプロセスが独立して義務付けられました。なお、決議要件は各マンションの管理規約の規定が優先されます。
Q:SRCT工法と一般的な配管更新、どちらが安いですか?
A:条件によりますが、特定の条件下ではSRCT工法の方が約40%安くなる傾向にあります(※)。 理由は、既存配管内を研磨再生するため壁・床の解体範囲を最小限に抑えられ、内装復旧費を大幅に削減できるためです。ただし、劣化状況等により適用不可の場合もあるため、個別調査が必須です。
※特定の施工会社の事例に基づく参考値。
まとめ
改正法は、管理組合が「主体性」を持って管理会社を監督することを求めています。法律を武器に、透明性の高いマンション運営を目指しましょう。
【免責事項】 本記事は2026年8月時点の情報に基づき、一般的な解説を目的としたものです。個別の法的助言や紛争解決(解約交渉等)については、必ず弁護士等の専門家にご相談ください。制度利用の際は、国土交通省の公式サイトにて最新の条文や通達を確認してください。
【参考資料】
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律、同施行規則(令和7年改正・令和8年4月1日施行)
- マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン(令和6年6月改訂版)
- 国土交通省通達「国不動第141号」(令和6年6月7日付)
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

