2026年改正区分所有法の主な変更点と管理組合準備ガイド

バリアフリー化や耐震改修を終えた、モダンで明るいマンションのエントランスの実写イメージ。補助金を活用した建物再生のポジティブな成果と、資産価値の維持向上を視覚的に表現しています。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

2026年4月施行の改正区分所有法:マンション管理の変革と準備ポイント

2026年4月1日に施行される改正区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)は、マンションの管理・再生を円滑化する抜本的な改正です。約23年ぶりの大規模見直しとして、老朽化マンションの増加や区分所有者の高齢化といった課題に対応し、特に建て替えや大規模修繕の決議要件を緩和します。これにより、管理組合の意思決定が現実的になります。

この記事では、不動産ライターが国土交通省の公式資料に基づき、改正の主な変更点を解説します。管理組合役員や区分所有者向けに、施行前の準備ステップを具体的に提案します。法改正をマンションの資産価値維持・向上の機会として活用するため、正しい理解を深めましょう。

背景:改正の必要性

改正は、マンションの老朽化急増と管理停滞を解決するものです。高齢化による所有者不明化が決議を遅滞させ、「合意形成ができず何も決められない」状態を生んでいます。国土交通省資料では、建て替え希望者が多いのに進まない事例が指摘されており(区分所有法の趣旨から)、再生促進が急務です。

要点整理:主な変更点

改正の柱は「決議要件の緩和」「再生円滑化」「管理不全対策」の3つです。ただし、管理規約でより厳格な要件が定められている場合、現行規約が優先されます(区分所有法第2条等)。規約改正により緩和を導入可能です。

変更点(1) 決議要件の緩和:出席者多数決の原則と所在不明者対応

改正前は、総会決議で区分所有者総数及び議決権総数の各過半数が必要で、欠席者が事実上の反対となり停滞を招いていました。改正後は、普通決議(区分所有法第39条)が原則として出席者の多数決(出席区分所有者及び議決権の各過半数)で可能になります。ただし、管理規約に別段の定めがある場合は規約が優先します。

所在不明区分所有者(相続人存否不明など)については、裁判所の認定を得ることで議決権を決議の分母から除外可能(同法第58条)。実務では裁判手続きが必要で、早期準備が重要です。これにより、合意形成が現実化します。

変更点(2) 建て替え・再生の円滑化

老朽化マンションの再生を促進するため、特定決議の要件が緩和されます。対象は耐震性不足や外壁剥落危険などの特定条件下に限られます(同法第67条、第68条)。また、共用部分の変更(同法第17条第2項)は、基本的に出席者の過半数で可能ですが、形状や効用の著しい変更を伴う重要なものは出席者の4分の3以上が必要です。さらに、瑕疵除去やバリアフリー化のための変更(建物の通常の管理・使用に要する補修・改良)は、過半数で足りる場合があります。

一棟リノベーション(共用部分の著しい変更)や一括売却は新制度化され、多数決で進められます。

決議内容 改正前 改正後
建て替え決議
(耐震性不足等特定条件下)
区分所有者及び議決権の各5分の4以上 区分所有者及び議決権の各4分の3以上
一棟リノベーション(大規模改修)
※共用部分の著しい変更
全員一致 区分所有者及び議決権の各5分の4以上
建物・敷地の一括売却 (規定なし) 区分所有者及び議決権の各5分の4以上
(出典:国土交通省「マンション法制の見直しについて」を基に作成。表が表示されない場合:決議内容 | 改正前 | 改正後 n 建て替え決議(特定条件下) | 各5分の4以上 | 各4分の3以上 n 一棟リノベーション | 全員一致 | 各5分の4以上 n 一括売却 | 規定なし | 各5分の4以上)

これらの緩和で、従来困難だった再生が前進します。

変更点(3) 管理不全対策の強化

管理不全の専有部分(所在不明者所有など)に対し、裁判所が管理人を選任し、必要に応じて売却などの処分を可能にします(同法第58条〜第62条)。これにより、マンション全体の安全・価値を守ります。

用語整理:管理費・管理委託費・修繕積立金

  • 管理費:区分所有者が共用部分維持のため管理組合へ支払う費用。
  • 管理委託費:管理組合が管理会社へ業務委託するための費用(管理費から支出)。
  • 修繕積立金:大規模修繕のための積立金。

改正は管理委託費の見直し機会でもあり、後述します。

手続ステップ:施行前の準備(2026年4月1日まで)

管理委託契約の更新・解約は、現行契約条項及び区分所有法第47条等の規定が最優先されます。早期に管理規約と連動した見直しを検討してください。

(1) 管理規約の見直し

改正適用には管理規約変更が必要な場合が多く、国土交通省は2025年(令和7年)に標準管理規約を改正予定です。これを参考に、専門家(マンション管理士・弁護士)に相談し、総会で決議を。2025年中開始を推奨。

(2) 改正理解と情報共有

理事会勉強会、説明会、資料配布で周知を。丁寧な対話が合意形成の鍵です。

(3) 管理会社連携と委託契約見直し

改正は管理会社関係の見直し機会です。相見積もりは公正取引に重要ですが、過度(5〜6社)は管理会社側の労力を増大させ、敬遠されるリスクがあります。特に20〜40戸規模では、現地調査(3〜4回)、協力会社打ち合わせ、理事会面談が必要で、2〜3社に絞るのが現実的です。これで質の高い提案を得られます。

見積書では、「設備管理費 一式」などの大まかな表記を避け、各項目(エレベーター保守点検費、消防設備点検費など)の内訳を確認。透明性の高いものが信頼性が高いです。

(記載例:設備管理費 一式ではなく、「エレベーター保守点検費」「消防設備点検費」「給排水設備点検費」のように業務ごとに明記されているかを確認する。表が表示されない場合:内訳明記を優先し、一式表記は透明性欠如の可能性あり。)

Q&A

Q1. 施行日は?準備は?

A1. 2026年4月1日。規約変更プロセスを考慮し、2025年中から準備を。

Q2. すべての決議が緩和?

A2. いいえ。主に建て替え・重大変更対象(同法第17条、第67条)。軽微変更は従来過半数。規約で厳格化可能。

Q3. 補助金対象?

A3. 耐震改修・バリアフリー化などが対象ですが、年度・地域限定(例: 2026年度 東京都〇〇区マンション長寿命化助成金)。制度改定頻繁のため、自治体最新情報を確認。申請手続きが煩雑で通常管理会社は消極的ですが、積極代行可能な会社を選ぶと有効です。改正法の再生促進と連動し、活用を検討。

実務ヒント:管理事業撤退検討企業向け

改正は中小管理会社に影響を与え、後継者不足などで撤退を考える場合もあります。本記述は一般情報提供であり、筆者/提供元は特定企業の事業支援に関与していません。利害関係がない場合でも、個別相談は中立的な専門家へ。

撤退時は契約解除・引き継ぎが課題です。事業承継(M&A)が有効で、信頼企業への移管によりトラブル回避、既存協力業者の継続、移行期の人件費補助などが可能。撤退企業が切実な負担軽減につながります。一般社団法人などの支援団体や専門コンサルに相談を。

まとめ

改正区分所有法は老朽化対応の転機。決議緩和を活かし、2025年中の規約見直し、管理会社連携、補助金活用を。計画的準備でマンションの未来を築きましょう。

免責事項

本記事は2026年2月時点の公開情報に基づく一般情報提供です。法的助言意図せず、改正法・規約・契約が最優先。専門家相談を。


参考資料

  • 国土交通省「マンション法制の見直し(区分所有法・建替え円滑化法)について」
  • 法務省「民法等の一部を改正する法律(令和5年法律第79号)について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00330.html
  • e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
  • 国土交通省関連資料 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001619448.pdf
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この記事を書いた人

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