マンション管理会社は、日々の清掃や設備点検から長期修繕計画の作成まで、マンションの快適で安全な暮らしを支える重要な存在です。
管理組合だけでは手が回らない専門的な業務を一手に引き受けることで、住民の負担軽減や資産価値の維持に大きく貢献しています。
本記事では、マンション管理会社の具体的な業務内容や役割、さらに管理委託のメリットについて「マンション標準管理規約」に定められた業務内容を元にわかりやすく解説します。初めて管理会社の利用を検討される方や、管理の効率化を図りたい理事会の方におすすめの内容です。
管理組合が担う業務とは?各項目をわかりやすく整理
管理組合の業務について、マンション標準管理規約では次の1~15号のように定められています。
各項目についてわかりやすく解説いたします👆
マンション標準管理規約(最終改正:令和6年6月7日) 単棟型(コメント含む)より抜粋
【第32条 】管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。
一 管理組合が管理する敷地及び共用部分等(以下本条及び第48条において「組合管理部分」という。)の保安、保全、保守、清掃、消毒及びごみ処理
💡ポイント:この項目は共用部の点検や清掃などの日常において欠かせない業務を上げており、管理のメインとなる部分です。
二 組合管理部分の修繕
💡ポイント:共用部分の修繕には、建物の外壁や屋根、エレベーター、給排水設備、照明器具、共有廊下や階段の床材など多岐にわたる箇所が含まれます。また、定期的な点検やメンテナンスによって小さな不具合を早期に発見し、適切に対処することが重要です。
三 長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理
💡長期修繕計画についての記事はこちら→https://mij-c.com/column/1508
四 建替え等に係る合意形成に必要となる事項の調査に関する業務
💡ポイント:
1. 住民の意向を丁寧に把握し、合意形成の基礎資料を作成します。
2. 法規制や建物の耐震性など技術的な調査を行う
3. 修繕積立金や建替え費用など財務状況を確認
4. 所有者や行政、専門家間の意見調整を進める
5. 調査結果を分かりやすく報告し、住民と共有
五 適正化法第103条第1項に定める、宅地建物取引業者から交付を受けた設計図書の管理
💡上記の図書とは:宅地建物取引業者は、マンションを分譲した場合において、管理組合の管理者等へ11種類の図書(図面)の交付が義務づけられている
六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等
💡ポイント:
1. 過去の修繕内容や費用を記録・保存
2. 情報を一元管理し共有をスムーズにする
3. 新しい修繕も随時記録・更新します
4. 履歴を活用し効率的な修繕計画を立てる
5. 居住者へ修繕状況を適宜報告する
七 共用部分等に係る火災保険、地震保険その他の損害保険に関する業務
💡ポイント:必要な保険の選定、加入や更新手続きを行う。事故発生時の保険請求手続き。定期的な保険の見直しや組合員へ保険内容の説明など。
八 区分所有者が管理する専用使用部分について管理組合が行うことが適当であると認められる管理行為
💡具体例:
例えば、マンションのバルコニーは、普段は各部屋の住民が掃除などをしますが、大規模な修繕工事で防水工事や床の改修をする場合は、管理組合が工事全体を計画・実施します。
これは、バルコニーが各部屋の「専用使用部分」ではあるものの、建物全体の防水や構造に関わる重要な部分であり、統一的な管理が必要だからです。
九 敷地及び共用部分等の変更及び運営
💡ポイント:主にマンションの大規模修繕や設備改善を検討する際などが該当します。
例1:エレベーターの防犯カメラ設置(普通決議)
例2:エントランスのバリアフリー化工事(特別決議)
例3:駐輪場のルール変更(普通決議)
十 修繕積立金の運用
💡ポイント:修繕積立金は、以下の目的に限り運用することができると定められています。
1. 金融機関への預入
2. 国債、地方債、その他確実な有価証券の取得
十一 官公署、町内会等との渉外業務
💡ポイント:マンションが地域社会の一員として、外部組織と円滑な関係を築くための業務です。
具体的には、防災訓練での行政との連携、町内会が主催するイベントへの参加、隣接地の建築計画に関する協議などが含まれます。
十二 マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務
💡具体例:マンションの安全とマナーを守る注意喚起やパトロールなどの対策、災害に備える「もしも」の準備(防災マニュアルや災害時の備蓄用意や点検など)
十三 広報及び連絡業務
💡ポイント:管理組合や理事会が住民に対して情報を的確に伝え、住民同士のコミュニケーションを円滑にするための業務を指します。
十四 管理組合の消滅時における残余財産の清算
💡ポイント:管理組合の消滅時に残った財産は、原則として区分所有者の議決権割合に応じて分配すると定めています。ただし、総会の決議によって、特定の目的に充当する(例えば、建替え組合への移行費用など)ことを決めることもできます。
十五 その他建物並びにその敷地及び附属施設の管理に関する業務
💡ポイント:これまでの項目で具体的に挙げられていない、しかしマンションの管理運営に必要不可欠な業務全般を包括的に定めています。
時勢に合わせた対応として、例えば近年増えている宅配ボックスやインターネット接続サービスの導入・管理など、新しい技術やサービスに対応するための業務も含まれます。
その他、予想外の事態や、特別なイベントなど、その時々に応じて発生する業務なども考えられます。
上記のように、管理組合の業務は多岐にわたります。
なぜ管理会社が必要?住民だけでは難しい運営の理由
マンションの管理には、多くの専門知識やスキルが必要です。住民だけでこれらを正確かつ効率的に行うのは難しいため、管理会社がその役割を担います。
管理会社が関わることで、マンションの運営がスムーズになり、住民の負担も軽くなります。
管理会社は、複数のマンションでの運営経験をもとに、効率的な管理ノウハウを持っています。
点検や修繕のスケジュール管理、予算の調整、住民との連絡調整などを専門的に行い、マンションの維持をサポートします。さらに、清掃業者や修繕業者と提携しているため、住民が業者と個別にやり取りする手間も省けます。
設備の故障や災害時の対応も管理会社が迅速に行います。これにより、問題が早く解決し、住民の安心と快適さが守られます。
また、法律や規則を守った運営が求められる中で、管理会社は専門的な知識を活かし、適切なサポートを提供します。
さらに、住民間の意見交換や調整が必要な場面では、管理会社が仲介役となり、円滑なコミュニケーションを促します。住民への情報提供や連絡も担当し、全員が同じ情報を共有できるようにします。
このように、管理会社はマンション運営に欠かせない存在であり、住民が快適で安全に暮らせる環境づくりを支えています。
まとめ
管理組合の運営は専門知識が必要で大変…。そんな悩みを解決するのが、マンション管理の専門家である管理会社です。面倒な手続きや書類作成、専門業者との連携を代行し、皆様のよりよい暮らしをサポートすることが役割です。
管理組合の運営、何から手をつけていいか分からない…。そんなときは、私たちにご相談ください。
当社のマンション管理組合様向けのサポートは、パッケージサービスではなく、個々の組合様のお悩みにあわせたカスタマイズが可能です。
予算が限られていても、抱えている課題が一つだけでも大丈夫。本当に必要なサポートだけを組み合わせ、安心で快適なマンションライフを一緒に築いていきましょう。