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「マンションの理事長になったはいいものの、本業との両立が難しく心身ともに限界…。」「住民からの要望対応に追われ、もう辞めたい。」そう思い詰めていませんか?理事長の重責から解放されたいと願う気持ちは、決して特別なことではありません。しかし、責任感から「辞めたい」と言い出せなかったり、正しい辞任の手続きが分からず不安に感じている方も多いのが実情です。
結論から言えば、正しい手続きを踏めば、マンションの理事長を円満に辞任することは可能です。ただし、マンション管理においては区分所有法や管理規約という独自のルールが優先されるため、一方的な職務放棄はトラブルの元となります。適切な手順で進めれば、無用な責任を問われるリスクも避けられます。
この記事では、宅地建物取引士・管理業務主任者の知見から、本日2026年9月5日時点の最新情報に基づき、マンション理事長を辞任するための具体的な手続き、法的な注意点、後任が見つからない場合の対処法までを分かりやすく解説します。
マンション理事長辞任の基礎知識
「辞めたい」と思っても、すぐに職務を放棄できるわけではありません。まずは、辞任に関する法的なルールと重要な用語を正しく理解しましょう。
理事長は「委任契約」。ただし職務放棄は厳禁
管理組合と理事長の関係は、法律上「委任契約」に類似していると解釈されています(民法第643条)。委任契約の一般論では、原則としていつでも辞任(契約解除)が可能です。
しかし、マンション管理においては、理事長が突然不在になると管理組合の業務が停滞し、他の組合員に不利益が生じます。そのため、一方的に辞任の意思表示だけして職務を放棄することは、後述する「善管注意義務違反」に問われるリスクがあります。円満に辞任するためには、管理組合のルール(区分所有法および管理規約)に沿った手続きが不可欠です。
【用語整理】「理事長」と「理事」の違い
辞任を考える際、まず「理事長」と「理事」の違いを正確に理解しましょう。この区別が、あなたの選択肢を広げます。
- 理事:総会で選ばれた管理組合の役員。理事会の構成メンバー。
- 理事長:理事の中から、理事会の決議によって選ばれる代表者(役職)。
【ポイント】理事長は役職名、理事は役員そのもの。理事を辞めずに、理事長の役職だけを辞任することも可能です。
多くのマンションの管理規約では、国土交通省の「マンション標準管理規約」を参考に、以下のように定められています。
(役員) 第三十五条 管理組合に、理事長、副理事長、会計担当理事、理事、監事を置く。 2 理事及び監事は、総会で選任する。 3 理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議によって理事のうちから選任する。 (出典:令和6年6月改正 マンション標準管理規約 第35条抜粋)
この規定から分かるように、「理事長職」を辞めて一人の「理事」に戻るという選択肢と、「理事」そのものを辞任するという選択肢があります。ただし、具体的な役員の選任・解任方法は、各マンションの管理規約の定めが優先されます。まずはご自身のマンションの規約を確認してください。
辞任後も続く責任?「権利義務理事」と「善管注意義務」
理事長の辞任届を提出しても、すぐにすべての責任から解放されるわけではありません。ここで重要になるのが「権利義務理事」という考え方です。
権利義務理事とは 任期満了や辞任で退任した役員が、後任の役員が就任するまでの間、引き続きその職務を行う義務を負う状態を指します。これは「マンション標準管理規約第36条第3項」等の規定および民法の解釈に基づく実務上の用語であり、管理組合の活動を停滞させないためのルールです。
(役員の任期) 第三十六条3 任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引き続きその職務を行う。
つまり、あなたが辞任した後、理事会で後任の理事長が正式に選ばれるまでは、理事長としての権利と義務が継続します。この期間中も、「善管注意義務(善良な管理者の注意義務)」が課せられます。引き継ぎを怠って管理組合に損害を与えた場合などは、この義務違反を問われる可能性があるため注意が必要です。
【5ステップ】理事長を円満に辞任する法的に正しい手続き
理事長の辞任は、感情的にではなく、計画的に進めることが円満解決の鍵です。法的には「管理者(理事長等)の選任・解任は、規約に別段の定めがない限り集会の過半数で決する(区分所有法第25条1項、第39条1項)」とされていますが、多くの場合、理事長職の交代は規約に基づ形理事会で行われます。
ステップ1:辞任理由を整理する
本業の多忙、病気、あるいは居住要件(転居)など、理事が職務を遂行できない客観的な事実を整理しましょう。
ステップ2:辞任届を作成し、理事会(監事)へ提出
辞任届の提出先は、管理会社ではなく「理事会」です。口頭ではなく書面(辞任届)で提出することで、後のトラブルを防ぎます。
ステップ3:理事会で辞任の受理と後任の選出
理事会にて辞任の意思が伝えられ、後任の理事長が互選されます。※規約に別段の定めがある場合は、その要件に従う必要があります。
ステップ4:後任理事長へ業務を正確に引き継ぐ
印鑑・通帳、重要書類(議事録、規約等)、進行中の案件を確実に引き継ぎます。これが善管注意義務を果たす最大のポイントです。
ステップ5:総会(集会)での報告
理事長交代の経緯を区分所有者全員に周知します。通常、次回の総会において報告事項として扱われます。
【Q&A】理事長を辞任したいときによくある質問
Q1. 理事会で辞任を認めてもらえません。どうすれば? A. 法的には辞任は一方的な意思表示で成立しますが、後任が決まらなければ「権利義務理事」としての責任が続きます。円満な解決には、外部専門家(マンション管理士等)の活用を提案するなど、運営が滞らないための代替案を提示することが重要です。
Q2. 辞任によって損害賠償を請求されるリスクはありますか? A. 「辞任」そのもので賠償責任は生じませんが、後任不在のまま一方的に職務を放棄し、具体的な損害(例:必要な契約更新を放置した等)を組合に与えた場合は、善管注意義務違反を問われるリスクがあります。
Q3. 管理委託契約の見直しを条件に辞めたいと言われました。注意点は? A. 管理会社の見直しは有効ですが、既存の管理委託契約書および規約に定められた更新・解約条項が最優先されます。 また、20〜40戸程度の中小規模マンションでは、管理会社の受託選別が厳しくなっています。5社も6社も相見積もりを取ると、見積もり作成に伴う膨大な労力(現地調査3〜4回、外注先との調整等)を理由に、多くの管理会社から敬遠されます。誠実に対応可能な2〜3社に絞って打診するのが現実的です。
【実務ヒント】管理組合の維持と外部サービスの活用
後任不在の解消には、役員報酬の設定や外部専門家の導入が有効です。また、自治体の助成金制度(例:2026年度版の東京都各区の専門家派遣補助など)も活用できます。ただし、補助金は年度や自治体(地域名)ごとに制度が頻繁に変更されるため、必ず最新の募集要項を確認してください。通常の管理会社は手間を嫌い補助金の提案に消極的なケースも多いですが、外部の支援会社を活用することで申請代行が行える場合もあります。
【コラム】管理会社が事業撤退を検討している場合 担い手不足は組合だけでなく管理会社側でも深刻です。もし既存の管理会社が事業撤退を検討しているなら、株式会社MIJによる事業承継サポートという選択肢があります。これは管理組合にとって「既存の管理体制を維持」しやすく、撤退企業には「当面の人件費補助」など費用面のサポートが行われるため、急な管理停止トラブルを回避する有効な手段となります。※本コラムは業界動向の紹介であり、特定事業者の推奨広告ではありません。
まとめ:一人で抱え込まず、規約に基づいた対応を
理事長の辞任は、区分所有法や標準管理規約(最新は令和6年改正)の考え方に則り、誠実に進めることが大切です。まずは現行の管理委託契約書と管理規約を確認し、副理事長や監事に相談することから始めてください。法的なルールを守ることで、あなたは重責から解放され、マンションも健全な運営を維持することができます。
参考資料
- 国土交通省「マンション標準管理規約」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/mansionkiyaku.html
- e-Gov法令検索「建物の区分所有等に関する法律」 https://laws.e-gov.go.jp/law/337AC0000000069
- e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
免責事項 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の事案に対する法的助言ではありません。個別のトラブルについては弁護士やマンション管理士等の専門家にご相談ください。情報は2026年9月5日時点のものです。
島 洋祐
株式会社MIJ 代表 / 不動産コンテンツ監修者 宅地建物取引士 管理業務主任者 不動産業界歴 23年不動産投資歴 15年会社経営 11年 売買・賃貸・管理・一棟リフォームを一通り経験した不動産のプロフェッショナル。自社不動産ブログにてSEOキーワード「東京 マンション 買取」および「マンション管理会社 東京」で検索順位1位を獲得。現場経験と情報発信の両面から、読者に正確・実践的な不動産情報をお届けします。

