マンション管理組合の法人化メリット5選!デメリット・手続き・税金も解説

専門家たちが集まってテーブルを囲み、資料を検討しているイメージ写真です。マンション管理士、弁護士、司法書士といった異なる分野の専門家が協力して、管理組合の法人化に関する複雑な課題を議論している様子を表現しています。これにより、管理組合が信頼できる専門家のサポートを得ることで、法人化のプロセスを円滑に進め、最適な選択をするための読者へのメリットを視覚的に伝えます。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

マンション管理組合の法人化とは?「人格なき社団」との違い

マンション管理組合の運営において、「組合名義で契約や登記ができない」「役員の責任が重い」といった課題に直面していませんか?その解決策の一つが「管理組合の法人化」です。法人化することで、組合名義での不動産登記や契約が可能になり、役員の個人的な負担を軽減できる可能性があります。

しかし、手続きには費用と手間がかかり、すべての組合にとって最適な選択とは限りません。この記事は、宅地建物取引士の一般知識に基づく情報提供を目的としており、個別の事案に対する法的な助言や見解を示すものではありません。本記事の執筆者は関連業者の利害関係がなく、中立的な視点で解説します。宅地建物取引士の視点から、マンション管理組合を法人化するメリット・デメリット、税金への影響、具体的な手続きの流れを、区分所有法などの一次情報に基づいて解説します。あなたのマンションにとって法人化が本当に必要なのか、判断するための情報を提供します。個別の状況に応じた判断や法的手続きについては、必ず弁護士、司法書士、マンション管理士等の専門家にご相談ください。

法的地位の変化:「管理組合法人」になるということ

多くのマンション管理組合は、法人格を持たない「人格なき社団」として活動しています。「人格なき社団」とは、団体としての実態はあるものの、法律上の権利や義務の主体(法人格)とは認められていない組織のことです。そのため、不動産登記や契約などの法律行為を組合名義で行うことができません。

これに対し、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第47条に基づき、所定の手続きを経て法人格を取得した管理組合を「管理組合法人」と呼びます。法人化により、組合は法律上の人格を得て、組合自身の名義で契約を締結したり、不動産を所有したりできるようになります。

管理組合の法人化とは、組合が法律上の人格(法人格)を取得し、権利と義務の主体となることです。

両者の主な違いを以下の表にまとめます。

項目人格なき社団(法人化前)管理組合法人(法人化後)
法的地位法人格なし法人格あり(区分所有法)
不動産登記理事長など個人名義管理組合法人名義
銀行口座代表者個人名義(「団体名+代表者名」)管理組合法人名義
契約の主体理事長など個人管理組合法人
訴訟の当事者理事長など個人管理組合法人
役員の責任組合の債무に対し個人が責任を負うリスク組合の財産の範囲内での有限責任(※)
(※)役員個人の善管注意義務違反等による責任は免除されません。
※表が表示されない場合:項目 – 法的地位: 人格なき社団(法人化前)法人格なし、管理組合法人(法人化後)法人格あり(区分所有法);不動産登記: 人格なき社団(法人化前)理事長など個人名義、管理組合法人(法人化後)管理組合法人名義;など。

法人化すべき組合・しなくてもよい組合の判断基準

法人化は全ての管理組合に必須ではありません。以下のような状況に当てはまる場合、法人化のメリットを享受できる可能性があります。ただし、個別の状況によるため、専門家判断を推奨します。この判断は標準的な分譲マンション管理組合を対象とし、特殊な組合(例: 商業施設併設)は別途確認が必要です。

  • 法人化を検討すべき組合の例
    • 駐車場用地や集会所など、組合として不動産の取得・所有を計画している。
    • 大規模修繕工事などで、金融機関からの融資を検討している。
    • 管理費滞納者への法的措置や、業者とのトラブルなど、訴訟に発展する可能性が高い問題を抱えている。
    • 役員のなり手が少なく、個人に過度な責任が集中することを避けたい。
    • 組合財産の管理をより透明化し、不正を防止する体制を強化したい。

一方で、小規模なマンションで、将来的に不動産を取得する計画がなく、組合運営が円滑に行われている場合は、あえて費用と手間をかけて法人化する必要性は低いかもしれません。

【メリット解説】マンション管理組合を法人化する主な利点

法人化によって具体的にどのようなメリットが得られる可能性があるのか、5つのポイントに分けて解説します。

① 組合名義での契約・不動産登記が可能になる

最大のメリットは、管理組合法人の名義で不動産登記や各種契約ができるようになることです(出典:国土交通省「マンション管理・再生ポータルサイト」)。

法人化していない場合、組合で駐車場用地などを取得しても、登記名義は理事長の個人名義となります。これには以下のようなリスクが伴います。

  • 理事長が交代するたびに、名義変更登記の手続きと費用が発生する。
  • 万が一、理事長が亡くなった場合、その個人の相続財産とみなされ、権利関係が複雑化する恐れがある。
  • 理事長個人の債権者に、組合の財産が差し押さえられるリスクがゼロではない。

法人化すれば、組合の財産は法人名義で明確に保全され、役員個人の状況に左右されることなく安定した資産管理が実現します。

② 役員個人の責任範囲が限定され、負担が軽減される

法人化すると、組合の債務に対して役員(理事)が負う責任は、原則として組合財産の範囲内に限定されます(有限責任)。

法人化していない「人格なき社団」では、組合の債務(例:工事代金の未払いなど)について、法律上の解釈が明確でなく、理事個人が無限に責任を負うリスクがありました。法人化により、この責任範囲が明確になり、役員の心理的・経済的負担が軽減される可能性があります。これにより、役員のなり手不足解消の一助となることも期待できます。

ただし、役員としての任務を怠った場合(善管注意義務違反)や、不正行為による損害を与えた場合の個人責任まで免除されるわけではない点には注意が必要です。

③ 組合の信用力が向上し、融資や取引が円滑になる

法人格を持つことで、社会的な信用力が高まる可能性があります。登記事項証明書(登記簿謄本)によって法人の存在や代表者を公的に証明できるため、金融機関や取引先からの信頼を得やすくなります。

特に、大規模修繕工事などで高額な資金が必要となる場合、金融機関からの融資審査において有利に働く場合があります。法人化していない組合に比べて、契約主体が明確であるため、手続きがスムーズに進む傾向があります。

④ 財産管理が明確化・透明化し、不正を防止しやすくなる

法人化に伴い、会計処理を明確にする必要性が生じます。銀行口座も「管理組合法人 ○○ 理事 ××」といった法人名義で一本化されるため、個人の財産と組合の財産が明確に区別され、お金の流れが透明化します。

これにより、万が一の不正や使途不明金の発生を防ぎやすくなり、組合員(区分所有者)全体の安心につながる可能性があります。

⑤ 訴訟などの法的手続きが安定・迅速化する

管理費の長期滞納者への支払督促や訴訟、規約違反者に対する差止請求など、法的な手続きが必要になった場合も、法人化のメリットは大きいでしょう。

法人格があれば、管理組合法人が原告または被告として訴訟の当事者となります。理事長の任期中に訴訟が終わらなくても、理事長が交代するたびに訴訟手続きを中断・変更する必要がなくなり、安定した訴訟追行が可能です。これにより、問題解決の迅速化が期待できます。

【デメリット・注意点】法人化の前に知っておくべき課題

メリットが多い一方で、法人化にはコストや手間といったデメリットも存在します。導入を検討する際は、これらの課題も必ず把握しておきましょう。

① 設立・維持に費用と手間がかかる

法人化には、設立時と維持管理の両面でコストが発生します。

  • 設立費用
    • 法人設立登記そのものに登録免許税はかかりません(非課税)。
    • しかし、登記申請手続きを司法書士に依頼する場合、司法書士報酬が発生します。具体額は事務所により異なりますので、複数の事務所に事前見積りを依頼してください。
    • その他、規約の変更や議事録作成などの事務費用も発生します。
  • 維持費用
    • 役員(理事)の変更登記: 理事が交代するたびに、法務局で変更登記が必要です。司法書士に依頼すればその都度報酬が発生します。具体額は事務所により異なります。
    • 法人住民税の均等割: 収益事業を行っていなくても、原則として法人住民税の「均等割」が課税されます(金額は自治体により異なる)。ただし、後述の通り減免制度があります。

② 理事の交代時に登記変更手続きが必要になる

法人の理事(代表理事である理事長を含む)が交代した場合、その都度2週間以内に法務局へ役員変更の登記申請を行う義務があります(出典:一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 第303条)。

この手続きを怠ると、行政上の罰則対象となる可能性があります。詳細な罰則内容については、法務局または弁護士にご確認ください。輪番制で毎年役員が交代する管理組合にとっては、この登記手続きが煩雑な事務負担となる可能性があります。

③ 全ての管理組合にとって最適な選択ではない

これまで見てきたように、法人化は特に「対外的な法律行為」や「資産管理の安定化」において力を発揮する可能性があります。しかし、以下のような組合にとっては、コストや手間がメリットを上回る可能性もあります。

  • 小規模で、組合員間の合意形成が円滑なマンション。
  • 当面、駐車場用地の購入や融資などの具体的な計画がない。
  • 役員の事務負担をこれ以上増やしたくないと考えている。

法人化はあくまで手段の一つです。組合の現状と将来の計画を照らし合わせ、慎重に必要性を判断することが重要です。

【税金の影響】法人化による税務への影響とよくある誤解

「法人化すると税金の負担が重くなるのでは?」という懸念は、非常によく聞かれる質問です。結論から言うと、多くの場合、法人化によって税負担が大きく変わることはありません。

法人税は「収益事業」にのみ課税される

法人化していない「人格なき社団」も、法人化した「管理組合法人」も、法人税法上、収益事業から生じた所得にのみ法人税が課税されます(法人税法第4条等、出典:国税庁「人格のない社団等に対する課税」)。以前は区分所有者が30人以上であることが要件でしたが、区分所有法改正(平成13年)によりその制限が撤廃されました。

管理費や修繕積立金のように、組合員から徴収する金銭は収益事業にあたらないため、法人税の対象外です。

(記載例)収益事業と見なされる可能性のある事業
・組合員以外の第三者への駐車場・駐輪場の貸付
・屋上や壁面への広告看板の設置
・携帯電話基地局アンテナの設置
・自動販売機の設置(運営主体や契約形態による)
※表が表示されない場合:収益事業と見なされる可能性のある事業 – 組合員以外の第三者への駐車場・駐輪場の貸付、屋上や壁面への広告看板の設置、など。

これらの収益事業を行っていない限り、法人化しても法人税が課されることはありません。

法人住民税の均等割と減免申請のポイント

法人税がかからない場合でも、法人である以上、原則として都道府県と市町村に「法人住民税の均等割」を納める義務があります。金額は自治体によって異なります。

しかし、一部の自治体では、収益事業を行っていない公益法人等(管理組合法人が該当)に対して、この均等割を減免する制度を設けています。

【重要】減免は自動的に適用されません
この減免措置を受けるためには、通常、毎年の申告期限内に自治体へ「減免申請書」を提出する必要があります。申請を忘れると課税されるため、注意が必要です。

法人化しても税負担は大きく変わらないのが一般的

上記の通り、

  • 法人税は収益事業がなければ非課税。
  • 法人住民税の均等割は、一部の自治体で減免申請が可能。

この2点から、法人化が直接的な増税につながるケースは限定的です。税金面での懸念は、法人化を断念する決定的な理由にはなりにくいと言えるでしょう。

法人化へのロードマップ|決議から登記までの4ステップ

管理組合の法人化は、法律に定められた手順に沿って進める必要があります。ここでは、決議から登記完了までの大まかな流れを4つのステップで解説します。

Step1: 専門家への相談と情報収集

まずは、法人化のメリット・デメリットを組合の状況に当てはめて具体的に検討するため、マンション管理士や弁護士などの専門家に相談することから始めましょう。理事会内で法人化の必要性や課題について共通認識を形成します。

Step2: 総会での「特別決議」(4分の3以上の賛成)

法人化は、管理組合の根幹に関わる重要な変更です。そのため、総会において「特別決議」で可決される必要があります。

法人化の決議要件
区分所有者数および議決権の各4分の3以上の多数による賛成
(出典:建物の区分所有等に関する法律 第47条)
ただし、管理規約でより厳格な決議要件が定められている場合は、その要件が優先して適用されます。法人化前に現行規約を確認してください。

【法改正情報】
ただし、2026年4月1日より施行される改正区分所有法により、法人化の決議ルールが変更される予定です。施行日以降に決议を行う場合は、最新の法令文および所管官庁のガイダンスを必ずご確認ください。

この要件は非常に厳しいため、事前に組合員への十分な説明会を開き、法人化の目的や効果、今後の運営方針について理解と納得を得るプロセスが不可欠です。別紙として規約変更案を添付して議論を進めることを推奨します。

Step3: 法務局への設立登記申請

総会で法人化が決議されたら、主たる事務所の所在地を管轄する法務局へ設立の登記を申請します。この登記が完了した日に、管理組合法人が成立します。

一般的に、登記申請は司法書士に依頼します。申請には主に以下の書類が必要です。

  • 設立登記申請書
  • 法人化を決議した総会の議事録
  • 規約
  • 理事の就任承諾書 など

Step4: 登記完了後の諸手続き

登記が完了したら、法人としての活動を開始するための各種手続きを行います。

  • 税務署、都道府県税事務所、市区町村役場への法人設立届出
  • 法人名義での銀行口座の開設
  • 火災保険などの契約者名義の変更。法人化に伴う契約更新/解約時は、現契約条項(自動継続等)を最優先に確認し、必要に応じて専門家相談してください。
  • 管理会社との契約の再締結。法人化に伴う契約更新/解約時は、現契約条項(自動継続等)を最優先に確認し、必要に応じて専門家相談してください。 など

FAQ(よくある質問)

マンション管理組合の法人化に関して、よく寄せられる質問にお答えします。

Q1: マンション管理組合の法人化にかかる費用はどのくらいですか?
A1: 設立登記自体に登録免許税はかかりませんが、司法書士への依頼報酬が発生します。具体額は事務所により異なりますので、複数の事務所に事前見積りを依頼してください。維持費用としては、理事が交代するごとの変更登記費用(事務所により異なる)や、法人住民税の均等割(減免されない場合、自治体により異なる)がかかります。

Q2: 法人化すると、税金は高くなりますか?
A2: 駐車場の外部貸しなどの「収益事業」を行っていない限り、法人税はかかりません。法人住民税の均等割も、一部の自治体で減免申請が可能です。減免されない場合、金額は自治体により大きく異なります。事前に当該の市区町村税務課へお問い合わせのうえ、シミュレーションをしてください。したがって、法人化によって税負担が大きく増えることは稀です。

Q3: 小規模なマンションでも法人化するメリットはありますか?
A3: あります。規模に関わらず、役員の個人的な責任・負担を軽減できる点や、財産管理が明確になる点はメリットです。将来、隣地購入などの計画が持ち上がった際にスムーズに対応できる備えにもなります。ただし、設立・維持コストが見合うかどうか、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

Q4: 理事の任期中に法人化の手続きは完了しますか?
A4: 組合員の合意形成に時間がかかるため、1年の任期中に完了するのは難しい場合もあります。法人化の検討から登記完了まで、数ヶ月から1年以上かかることも想定し、理事会で長期的な視点を持って計画的に進めることが大切です。

法人化を検討する際のプロの視点

法人化のプロセスや、その後の管理会社との付き合い方には、実務的なコツがあります。専門家の視点から、2つのポイントをお伝えします。本記事は非公式の一般情報提供であり、法的助言ではありません。

管理会社の見積もりは2~3社が現実的

法人化を機に管理会社の見直しを検討する組合も多いでしょう。その際、多くの会社から見積もりを取りたいと考えるのは自然ですが、注意が必要です。

法人化に伴う管理会社の見直しを検討する場合の注意点

新しい管理会社への乗り換えやサービス変更を検討する際は、現在の管理委託契約の解除条件・違約金・契約終了予定時期を必ず確認してください。既存契約で「契約期間中の中途解除には違約金が発生する」と定められている場合は、その条項が優先されます。法人化の手続きと契約更新のタイミングを調整し、コスト最適化を図ることを推奨します。

特に20~40戸程度の中小規模マンションの場合、5社も6社も相見積もりを取ろうとすると、かえって管理会社から敬遠されることがあります。管理会社にとって、1つの組合の見積もりを作成するには、現地調査、協力会社との打ち合わせ、会計状況の精査など、多大な労力がかかります。あまりに多くの競合がいると「受注できる可能性が低い」と判断され、真剣な提案が出てこない可能性があるのです。管理会社側は、管理委託内容の精査および、会計状況、そして1棟全体の管理費等の見積もり作成をするには3-4回ほど現地に足を運び、また清掃会社、EV点検、消防、警備など多岐にわたって外注先会社との打ち合わせを行ったうえで理事会数名との面談も数回こなすため労力がかかるため、2~3社での相見積もりに対しては積極的に動く傾向にあります。本気度の高い提案を引き出すためには、比較検討する管理会社を2~3社に絞るのが現実的かつ効果的です。また、見積もりを依頼する際は「事務管理業務費」「清掃業務費」「設備管理業務費」など、項目別の詳細な内訳を求めるようにしましょう。

頼れる専門家(マンション管理士、弁護士、司法書士)の選び方

法人化は専門的な知識が不可欠なため、専門家のサポートが欠かせません。それぞれの専門家の役割を理解し、適切なタイミングで相談しましょう。推奨専門家は中立的な立場から選んでください。

  • マンション管理士: 法人化の検討段階から組合員の合意形成、総会運営のサポートまで、プロジェクト全体の調整役として頼りになります。
  • 司法書士: 法人設立登記や役員変更登記といった、法務局への手続きを専門に行います。
  • 弁護士: 訴訟や複雑な法律問題を抱えている場合に、法的な助言や代理人としての活動を依頼します。

信頼できる専門家を選ぶ際は、マンション管理組合の法人化に関する実績が豊富かどうかを確認することが重要です。

まとめ:法人化は目的ではなく手段。組合の将来を見据えた判断を

マンション管理組合の法人化は、組合名義での登記・契約能力の獲得、役員の責任軽減、対外的な信用力向上など、多くのメリットをもたらす可能性のある有効な選択肢です。特に、組合として資産の取得を計画していたり、大規模な修繕工事を控えていたりする場合には、その効果を発揮する可能性があります。

一方で、設立・維持にはコストと事務的な手間がかかるというデメリットも存在します。税金面の負担は誤解されていることが多いですが、役員交代時の登記義務などは新たな負担となります。

大切なのは、「法人化すること」自体を目的としないことです。あなたのマンションが10年後、20年後、どのような姿でありたいのか、その将来像を実現するための「手段」として法人化が本当に必要かを見極める必要があります。組合規模、修繕計画、訴訟リスク、融資ニーズを総合判断し、専門家に相談することを推奨します。本記事は2025年11月時点の情報に基づいていますが、2026年4月1日に施行される区分所有法改正により、決議手続きが一部変更される予定です。最新の法令および国土交通省の指針をご確認のうえ、理事会や総会で議論を深め、組合にとって最善の道を選択してください。

免責

本記事は、マンション管理組合の法人化に関する一般的な情報提供を目的として作成されており、個別の事案に対する法的な助言や見解を示すものではありません。個別の状況に応じた判断や法的手続きについては、必ず弁護士、司法書士、マンション管理士等の専門家にご相談ください。本記事に掲載された情報には万全を期しておりますが、その正確性、完全性、最新性を保証するものではありません。法令の改正や各自治体の運用が変更される可能性がありますので、最新の情報は官公庁のウェブサイト等でご確認いただくようお願いいたします。

参考資料

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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