雑排水管清掃とは 〜安全で快適な住環境を守るために〜

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マンションでは、日々多くの水が使用され、その排水は建物内の「排水管」を通って下水道へと流れていきます。この排水管には大きく分けて「汚水管」と「雑排水管」があります。
汚水管はトイレなどの排水を流す配管を指し、これに対して雑排水管とは、台所・洗面所・浴室・洗濯機など、生活排水の中でもトイレを除いた排水を流す配管のことを指します。

目次

雑排水管が詰まると何が起こるのか

雑排水管には、食べ物の油分、髪の毛、石けんカス、洗剤の残り、細かなゴミなど、様々な異物が流れ込むため、長年使用していると内側に汚れが付着していきます。
これが少しずつ蓄積されると、排水の流れが悪くなり、最悪の場合は逆流や漏水、悪臭の発生、階下漏水事故など重大なトラブルを引き起こします。特に古いマンションでは、配管の勾配(傾き)が十分でない場合もあり、水が滞留しやすく、詰まりリスクが高まります。

雑排水管清掃の目的

このような事故を未然に防ぐために行うのが雑排水管清掃です。
これは専用の高圧洗浄機やワイヤークリーナーを用いて、配管内に付着した油脂分・スライム・異物を除去し、本来の通水性能を回復させる作業です。
排水管清掃を怠ると、いざ詰まりや漏水が発生した際に、室内や階下の住戸に深刻な損害を与える可能性があり、管理組合やオーナーとしては大きな責任問題に発展します。

どのくらいの頻度で実施すべきか

一般的に、マンションでは雑排水管清掃は1年に1回の定期清掃が推奨されています。
ただし、これは建物の築年数、配管材質、使用状況によって適正な頻度が異なります。
例えば、築20年以上の物件であれば、配管内の劣化や汚れの付着状況を点検し、場合によっては半年に一度の実施を検討するのも合理的です。
逆に、最近の高性能な排水管で、油分の流入が少ない家庭が多い場合は2年に1回で済むケースもありますが、これはあくまで例外です。

入居者協力の重要性

雑排水管清掃は、作業員が共用部分の縦管だけを清掃しても十分ではなく、専有部分(各戸内の排水管)も含めて清掃することが最も効果的です。
そのため、管理組合や管理会社は、住民へ事前通知を行い、当日は作業員が各住戸に入室できるよう、在宅の協力を依頼します。
この住戸内清掃を「不在だから」「面倒だから」と拒否されると、その部屋だけ詰まりが残り、後にトラブルの原因になります。
結果的に他の住戸へも影響を与えるため、入居者の理解と協力が不可欠です。

実施拒否が及ぼす重大なリスク

雑排水管清掃を一部の住戸が拒否した結果、その未実施住戸の専有部分で詰まりが発生し、それが立て管などの共用部分に波及して漏水や逆流事故が起きた場合、管理組合が損害賠償を負担するのではなく、原因を作った未実施住戸が直接損害賠償責任を負うのが原則です。
ただし、実際には被害を受けた住戸が「共用部分の維持管理責任は管理組合にある」として管理組合に補修を求めることはあり得ます。その場合でも、管理組合は原因住戸に対して発生した修繕費用を求償(負担請求)する権利を持っています。

未実施住戸が責任を果たさなければ、最終的には管理組合として法的措置を取る場合もあります。

雑排水管清掃の費用と管理組合の役割

雑排水管清掃の費用は、規模や戸数、清掃範囲(専有部含むか共用部のみか)によって異なりますが、
マンションの管理組合では年間の管理費の中に清掃費を組み込むことが多く、住民から個別に徴収することは稀です。
管理組合は、総会や理事会で適切な業者選定と作業内容の確認を行い、定期的に清掃が実施されているか、作業後に問題がないかの報告を受けるなどの管理責任を担います。

定期的な清掃だけではなく日常の注意も

もちろん、清掃業者に任せれば全て解決するわけではありません。
排水管トラブルを防ぐには、日頃の使い方の注意も重要です。
具体的には、

  • 油を直接流さない(キッチンペーパーで拭き取る)
  • 食べ物のカスや髪の毛をこまめに取り除く
  • 定期的に市販のパイプ洗浄剤を活用する(ただし過度な使用は配管を傷める場合がある)
    など、住民一人ひとりの意識が必要です。

まとめ

雑排水管清掃は、目に見えない部分のメンテナンスだからこそ軽視されがちですが、
適切な頻度での清掃と住民協力を確実に行うことで、突発的なトラブルを防ぎ、長期的に建物の資産価値を守ることにつながります。
管理組合やオーナーとしては、単に「業者に頼めば良い」という認識でなく、どの部分を、どの範囲まで清掃すべきか、どのくらいの頻度が妥当かを論理的に把握し、住民にもわかりやすく説明することが、快適な住環境の維持に欠かせません。
「たかが排水管、されど排水管」。
適切な管理とメンテナンスで、予防できるトラブルは確実に防いでいきましょう。

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この記事を書いた人

保有資格:(管理業務主任者・ 保険募集人・甲種防火管理者)
不動産業界歴5年。外部管理者方式や関連法規についての知識も豊富に持っております。
管理組合様それぞれのニーズに合った資産形成のご提案も行ってまいります。
組合様に最適な業者の選定や価格交渉により、コストパフォーマンスの高い管理を実現します。

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