2026年4月改正区分所有法の概要|管理組合が準備すべき4つの変更点と3ステップ

共用部分と連動して専有部分(サッシ等)を修繕する際のフローと、既に個人で工事を済ませた人への補償制度を解説。不公平感をなくし、マンション全体の修繕を円滑に進めるための仕組みです。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

2026年4月施行「改正区分所有法」の概要とマンション管理組合の準備ポイント

2026年4月1日に施行される改正区分所有法は、建物の老朽化や区分所有者の高齢化、所在不明者の増加といった現代のマンションが抱える課題に対応するためのものです。この改正は、区分所有法の主要な内容を更新するもので、特に総会の決議要件の緩和や管理の透明化に関する新ルールが、管理組合の運営に大きな影響を与えます。

管理組合の理事や役員の方々、あるいはご自身のマンションの将来に関心のある区分所有者にとって、法改正の内容を正確に理解し、施行に向けて準備を進めることが重要です。本記事では、宅地建物取引士の視点から改正区分所有法の主要な変更点を解説し、管理組合が取り組むべきステップを提案します。法改正の機会を活かし、マンションの資産価値維持・向上に繋げていきましょう。

導入:2026年4月1日施行「改正区分所有法」とは?

2026年4月1日に施行される改正区分所有法は、日本の多くのマンションが直面する老朽化と所有者不明問題に対応するため、区分所有法を中心に抜本的な見直しが行われたものです。

国土交通省の調査によると、築40年を超える高経年マンションは増加傾向にあり(例: 1980年代築のマンションが2026年時点で40年以上経過するケースの累積増加)、適切な修繕や建替えが急務です。しかし、これまでの法では、大規模修繕や建替えの決議ハードルが高く、合意形成が難航するケースが多発していました。

また、所有者亡故後の相続人不明や海外移住による連絡不能の「所有者不明住戸」が増え、管理費滞納や総会定足数不足による管理機能不全のリスクが高まっています。

今回の改正は、こうした課題を解決し、円滑なマンション管理を実現することを目的としています。具体的には、総会の決議要件緩和、管理の透明性向上、所有者不明対策などが含まれており、すべての管理組合に影響します。(出典: 国土交通省「令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理」PDF)

背景知識:知っておくべき用語と主要な4つの変更点

改正を理解する上で、基本用語の違いを押さえましょう。

用語説明
区分所有法正式名称「建物の区分所有等に関する法律」。分譲マンションのように一棟の建物を複数の所有者で所有・管理する権利関係やルールを定めた基本法です。
マンション管理適正化法正式名称「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」。管理会社の登録制度や情報提供を定め、管理の質を確保する法律です。本改正では一部見直しがあります。
マンション標準管理規約国土交通省が作成した管理規約のひな形。法律ではなく参考ですが、多くの管理組合がこれを基に規約を作成しており、法改正に合わせて更新されます(2025年10月改正)。

これらを踏まえ、主要な4つの変更点を解説します。決議要件は事項により異なり、管理規約に別段の定めがある場合は現行規約が優先されます(区分所有法第39条、第42条、第61条参照)。

【最重要】①総会の決議要件の緩和(区分所有法第61条・第70条の2・第70条の4改正関連)

合意形成の壁となっていた決議要件が緩和されます。改正の柱として、決議要件の段階的見直し、多様な再生手法の拡充、管理計画認定制度の強化が挙げられます。

  • 所在不明者の分母除外: 長年連絡不能の所在不明区分所有者を、一定条件(例: 公告経過後)で決議の母数(分母)から除外可能。これにより、実質的な決議ハードルが低下します。(出典: 国土交通省「令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理」PDF)
  • 建替え・敷地売却等の統一: 建替え(第61条)、敷地一括売却・取り壊し後売却(第70条の2・第70条の4新設)などの要件を、区分所有者および議決権の各5分の4以上に統一。一部事項(例: 簡易修繕)は過半数、大規模修繕は4分の3以上と事項別に異なります。
  • 決議要件の比較表(管理規約に別段の定めがある場合を除く)
決議事項改正前の要件改正後の要件備考
建替え決議区分所有者及び議決権の各5分の4以上区分所有者及び議決権の各5分の4以上(所在不明者除外可能)区分所有法第61条。管理規約優先。
敷地売却決議区分所有者全員の同意(※)区分所有者及び議決権の各5分の4以上大幅緩和。第70条の4関連。管理規約優先。
規約の変更・廃止区分所有者及び議決権の各4分の3以上区分所有者及び議決権の各4分の3以上第42条。重要事項維持。管理規約優先。
共用部分の変更(大規模修繕など)区分所有者及び議결権の各4分の3以上区分所有者及び議決権の各4分の3以上形状・効用変更時。管理規約優先。
普通決議(役員選任など)区分所有者及び議決権の各過半数区分所有者及び議決権の各過半数第39条。管理規約優先。

(※)団地の場合、区分所有者及び議決権の各5分の4以上。表は一般的な集合住宅を想定。誤解を避けるため、具体的事項はe-Gov法令検索で確認を。

  • 被災マンションの建替え決議期間延長: 建物価値の2分の1を超えて失われた集合住宅の場合、従来の1年以内から3年以内に延長(再延長可能)。混乱期の検討を支援します。(出典: ESCO「2026年区分所有法改正!マンション管理にどう影響する?」)

②管理の透明化:利益相反防止と見積もり取得(マンション管理適正化法改正)

管理会社との契約透明性を高めます。契約更新・解約時は現契約条項を最優先に確認し、専門家相談を推奨します。

  • 利益相反取引の説明・承認義務: 管理会社が関連会社へ発注する場合、事前に総会または理事会へ内容説明と承認を得ることが義務化されます。(出典: 建設ニュース「工費の内訳説明や相見積もり必須に/マンション管理適正化法改正案/国交省」)
  • 相見積もり取得に関するルールの整備: 管理組合からの求めに応じて、管理会社が複数業者から見積もり(内訳を明示し、積算根拠を付したもの)を取得・提示するルールが整備されます。最低2社以上が実務的目安ですが、「一式」表記を避け、項目別単価・数量を求めましょう。ただし、過度な要求(5~6社)は管理会社の負担増(現地調査3~4回、外注打ち合わせ複数回、理事面談)を招き、敬遠されるリスクあり。20~40戸規模では2~3社がバランス良いとされています。(出典: 修繕ナビ「改正標準管理規約と役員・役員の役割」)

③所有者不明・管理不全対策(区分所有法新設)

  • 管理人選任制度の新設: 所有者不明の専有部分や管理不全の共用部分に対し、管理組合等が裁判所に申し立て、管理人選任可能。管理人は債務弁済(管理費等)に関与し、部屋売却等で回収。管理規約で権限を明確化。(出典: 国土交通省「令和7年マンション関係法改正とこれからのマンション管理」PDF)注: 管理人は組合員前提だが、親族等も考慮。

④修繕積立金と専有部分工事の費用負担(区分所有法改正)

  • 一体的な修繕請求権: 共用部分修繕に伴う専有部分保存行為(例: 窓サッシ)を管理組合が請求可能。
  • 先行工事の補償義務: 先行交換した区分所有者に対し、相当額補償(例: 現在価格見積もりor全戸同額)。事前アンケート推奨。(出典: 国土交通省「令和7年マンション標準管理規約の改正について」PDF)

修繕積立金活用時は、2026年東京23区等の地域補助金(例: 東京都住宅政策本部補助制度)を確認。制度は年度・地域で変動するため、最新募集要項をチェック。一般管理会社は手間を嫌うが、専門支援で申請代行可能。

手続・対応ステップ:施行までに管理組合が準備すべき3つのこと

施行は自動適用ですが、規約見直しが鍵。2026年4月1日前に総会招集開始で新ルール適用可能(標準管理規約第43条改正対応)。

  1. 新・マンション標準管理規約の確認: 2025年10月改正版を国土交通省サイトから入手。法改正対応の変更点(決議手続等)を把握。
  2. 現行規約との比較: 差異を洗い出し、特に決議要件・役員対策条文をチェック。管理規約優先を念頭に。
  3. 規約改正総会計画: 変更案作成後、特別決議(4分の3以上)で承認。施行後運営を円滑化。

FAQ(よくある質問):改正区分所有法に関するQ&A

  • 施行日はいつですか? 罰則はありますか? 2026年4月1日。直接罰則なしですが、遅れで管理不全リスク増。
  • 一番の変更点は何ですか? 総会決議要件緩和。特に所在不明除外と5分の4統一で建替え等がしやすくなる。
  • 管理組合として今すぐ何をすべきですか? 新標準管理規約確認と現行規約比較から。公式PDF優先。

実務ヒント:管理組合と管理会社、双方の視点から

管理組合向け:上手な相見積もりの取り方

透明性向上のチャンスですが、

  • 内訳詳細を求め、「一式」避ける。
  • 2~3社が現実的。過多要求は管理会社負担(現地・外注・面談複数回)で対応悪化の恐れ。

契約更新・解約時は現条項優先、専門家相談を。

管理会社向け:事業撤退も選択肢に

改正で業務負担増(コンプライアンス強化)。継続不安なら撤退を検討。

筆者関連企業として、株式会社MIJでは管理会社向け事業撤退サポートを提供(広告含む)。

  • 撤退時のトラブル回避: 管理組合・居住者とのトラブル防止、スムーズ引き継ぎ。
  • 既存業者の継続: 清掃・点検等協力会社関係維持し、事業譲渡。
  • 費用面のサポート: 撤退費用軽減、当面の人件費補助等。

法改正を機に専門支援を。個別相談は公式サイトへ。

まとめ:法改正をマンション価値向上のチャンスに

改正区分所有法は、管理の基盤強化の機会。主なポイント:

  • 決議要件緩和: 再生意思決定容易化。
  • 管理透明化: 健全運営促進。
  • 所有者不明対策: 管理不全低減。
  • 費用負担公平化: 修繕ルール明確化。

新標準管理規約を参考に規約見直しを。資産価値向上へ前向きに。

免責事項

本記事は2026年4月1日施行予定の改正区分所有法等に関する一般情報提供を目的とし、法的な助言ではありません。解釈・適用は個別事実・契約により異なり、内容変更可能性あり。正確情報は弁護士等専門家へ相談を。広告部分(MIJ紹介)は個別相談推奨。本情報に基づく損害は責任負いかねます。最新法令・規約確認を最優先に。

参考資料

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士・管理業務主任者)不動産業界歴23年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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