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東京都内のマンションで防犯カメラの設置や更新を検討中の管理組合様へ。高額な設置費用は大きな課題ですが、多くの区市町村が提供する助成金(補助金)制度を活用すれば、負担を大幅に軽減できる可能性があります。
この記事では、宅地建物取引士の知見を活かし、東京都のマンション向け防犯カメラ助成金制度について徹底解説します。2026年時点の最新情報を基に、対象要件や申請ステップ、そして管理組合が陥りがちな失敗例まで、実務に即して具体的にご説明します。助成金を賢く活用し、マンションの資産価値と安全性を高めるための一歩を踏み出しましょう。
【重要】本記事は情報提供目的です。以下の順序で優先されます:
- お住まいの自治体の公式要綱・申請要領(最優先)
- マンション管理規約(理事会決議等)
- 本記事の情報
助成金・補助金制度は、年度ごとに予算や要件、申請期間が変更されることが頻繁にあります。昨年度の情報が今年も通用するとは限りません。
申請を検討する際は、必ずお住まいの自治体の公式ホームページで最新の募集要項を確認することが不可欠です。本記事の情報も2026年2月時点のものとして参考にし、最終確認は必ずご自身で行ってください。
結論:東京都のマンション防犯カメラ設置に助成金は活用できる!
結論から言うと、東京都内の多くの自治体で、マンション管理組合が共用部に防犯カメラを設置する際に利用できる助成金・補助金制度が存在します。これらの制度を適切に活用することで、設置費用の一部を賄うことが可能です。
ただし、助成金を受給するには、各自治体が定める要件を満たし、正しい手順で申請しなくてはなりません。制度は年度や自治体ごとに変更される可能性があるため、2026年時点の東京23区・市町村の最新情報を基に確認してください。
対象は管理組合が主体となる共用部の設置
助成金の対象となるのは、原則としてマンション管理組合が主体となって申請し、エントランスや駐輪場といった「共用部」に設置するケースです。個人の住戸(専有部)への設置は対象外となることがほとんどです。小規模マンション(管理組合が未設立の場合)や賃貸マンションについては、各自治体の扱いが異なる可能性があるため、スコープ外としてお住まいの自治体に直接確認してください。
最新情報の確認が必須!制度は毎年変わります
助成金・補助金制度は、年度ごとに予算や要件、申請期間が変更されることが頻繁にあります。申請を検討する際は、必ずお住まいの自治体の公式ホームページで最新の募集要項を確認することが不可欠です。本記事の情報も2026年2月時点のものとして参考にし、最終確認は必ずご自身で行ってください。
背景知識:助成金の基本と対象要件
助成金申請の第一歩は、制度の基本的なルールを理解することです。ここでは、申請の前提となる用語や対象要件について解説します。
用語の整理:「助成金」と「普通決議」
助成金と補助金
助成金と補助金は、どちらも国や自治体から支給される返済不要の資金です。本記事ではほぼ同義として扱いますが、一般的に助成金は要件を満たせば受給しやすく、補助金は審査や採択数が限られる傾向があります。
普通決議とは?
防犯カメラの設置は、マンションの「管理行為」にあたります。区分所有法では、このような共用部分の変更には、管理組合の集会(総会)での決議が必要と定められています。
防犯カメラの設置は、共用部分の変更であるため、区分所有法に基づき管理組合集会での決議が必要です。
- 普通決議 (区分所有法 第39条):「形状又は効用の著しい変更を伴わない」管理行為の場合、集会出席区分所有者の議決権の過半数で可決
- 特別決議 (区分所有法 第17条1項):形状または効用の著しい変更を伴う場合、区分所有者数および議決権の各3/4以上が必要
防犯カメラ設置の一般的なケースは普通決議で対応される傾向にありますが、管理規約で別段の定めがある場合、または大規模改修に伴う設置の場合は、特別決議の要否について理事会で検討してください。ただし、管理規約で異なる決議要件が定められている場合はそちらが優先されます。事前に規約を確認してください。
※ 個別の判断は、管理規約と実施内容を踏まえた上で、法律専門家にご相談ください。助成金申請の際、この総会議事録が必須書類となります。
助成金申請の対象となる3つの要件
要件1:申請主体は「マンション管理組合」
助成金の申請者は、個々の区分所有者ではなく、法人格の有無を問わず「マンション管理組合」である必要があります。申請書類も、理事長名義で提出するのが原則です。個人名義は受け付けられない場合が多いため、注意してください。
要件2:対象はエントランスなどの「共用部」
助成金の対象となるのは、居住者全員の利益に資する共用部分への設置です。具体的には、以下のような場所が該当します。
- エントランス、ロビー
- 廊下、階段
- エレベーター
- 駐車場、駐輪場
- ゴミ置き場
要件3:常時録画機能など自治体が定める「カメラ仕様」
多くの自治体では、犯罪抑止という目的に合致するよう、設置する防犯カメラに一定の仕様を求めています。「常時録画機能を有すること」などが一般的な要件です(2026年時点の情報)。ダミーカメラは対象外となるケースがほとんどなので注意しましょう。
【区市町村別】東京都のマンション向け防犯カメラ助成金制度一覧
東京都内の各自治体が提供する助成金制度は、補助率や上限額が大きく異なります。ここでは、2026年調査時点での主要な区市町村の制度を一覧でご紹介します。
| 補助率 | 主な自治体名 | 上限額(目安) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 全額 | 世田谷区、千代田区、昭島市など | 4万円 | ※上限額あり。「全額」といっても費用全体を賄えるとは限らない点に注意。昭島市は屋外用のみ。 |
| 9/10 | 武蔵野市 | 5万円 | |
| 3/4 | 北区、練馬区、江戸川区、台東区など21自治体以上 | 3~6万円 | 台東区は上限6万円と高め。2026年時点の情報。 |
| 1/2 | 葛飾区(個人向け)、品川区(個人向け)、三鷹市など | 2~4万円 | 葛飾区上限40,000円。戸建て住宅対象が主で、マンション共用部は別制度確認を。自治体により上限額に幅あり。 |
| 1/2 | 中央区 | 50万円 | マンション管理組合向け。他区と比較して突出して高額。対象要件が厳しい可能性があるため要綱の精読が必須。2026年時点の情報。 |
この表は視覚障害者対応のため、テキストベースのリスト代替として以下に要約: 全額補助 (世田谷区・千代田区・昭島市など、上限4万円)、9/10 (武蔵野市、上限5万円)、3/4 (北区・練馬区・江戸川区・台東区など21自治体以上、上限3~6万円)、1/2 (葛飾区(個人向け、上限40,000円)・品川区(個人向け、上限20,000円)・三鷹市など、上限2~4万円)、1/2 (中央区、マンション共用部、上限50万円)。詳細は本文参照。
【ご注意】
この表は複数メディアの情報を基に作成した参考情報です(2026年2月時点の情報)。申請前には、必ずお住まいの自治体の公式ホームページまたは担当窓口で最新の要綱をご確認ください。特に、表内の品川区の記載(上限20,000円)は主に個人住宅向けの制度です。管理組合が共用部に設置する際に利用できる制度については、別途自治体への確認が必須となります。葛飾区なども含め、個人向け制度と共用部向け制度を混同しないようご注意ください。
助成金申請の7ステップ|事前相談から受給までの完全フロー
助成金の申請は、段取りが重要です。一般的な申請フローを7つのステップに分けて解説します。
- Step1:自治体HPでの制度確認と事前準備
お住まいの自治体のホームページで、制度の有無、申請期間、必要書類などを確認します。募集要項や申請書の様式をダウンロードしておきましょう。 - Step2:管理組合内での合意形成(総会決議)と運用ルール策定
理事会で防犯カメラ設置の必要性や予算案をまとめ、総会に議案として提出します。ここで普通決議による承認を得ます。同時に、プライバシー保護のための「防犯カメラ運用ルール」(映像の閲覧権限者、保存期間など)も策定し、承認を得ておくことが極めて重要です。 - Step3:販売店・管理会社への事前相談
複数の設置業者から見積もりを取得します。この際、「助成金を利用したい」と明確に伝え、必要な書類作成に協力してもらえるか確認しましょう。 - Step4:交付申請書の提出
自治体の様式に従い、交付申請書を作成します。見積書、総会議事録、設置場所の図面などを添付して、指定された窓口に提出します。 - Step5:交付決定通知の受領
自治体による審査が行われ、無事に採択されると「交付決定通知書」が届きます。ここに補助金額が記載されています。 - Step6:防犯カメラの購入・設置工事
必ず交付決定通知書を受け取ってから、業者と正式に契約し、カメラの購入・設置工事を行います。 - Step7:完了報告と補助金の受領
工事完了後、完了報告書に領収書の写しや設置後の写真などを添付して提出します。内容が確認されると、指定した口座に補助金が振り込まれます。
【実務のリアル】助成金申請で失敗しないための5つの注意点
制度を理解し、手順通りに進めても、実務では思わぬ落とし穴にはまることがあります。ここでは、経験に基づいたリアルな注意点を5つ紹介します。
注意点1:管理会社は申請に消極的な場合がある
助成金申請には、見積もりの手配や書類作成など、多くの手間がかかります。そのため、管理会社によっては申請手続きに対する対応姿勢にばらつきが見られる傾向があります。ただし、多くの管理会社は協力的に対応しており、申請を積極的にサポートする体制を整えている企業も増えています。MIJ(当社)では助成金の申請代行を積極的にご提案しています(当社は防犯カメラ設置支援を事業とする企業です)。管理会社が非協力的な場合はご相談ください。
注意点2:相見積もりは2〜3社が現実的【業者選定のコツ】
費用を比較検討するため相見積もりは重要ですが、やみくもに業者を増やすのは得策ではありません。特に20~40戸規模のマンションで5社も6社も見積もりを要求すると、対応に多大な労力がかかるため、業者から敬遠されてしまう可能性があります。組合側の要望が強すぎると、管理会社側は管理委託内容の精査や現地確認、外注先との打ち合わせなどで労力がかかるため、参加しにくくなります。信頼できる業者を2〜3社に絞って、じっくり比較検討するのが現実的です。
注意点3:必ず「購入・契約前」に申請する
これは最も重要なルールです。ほとんどの助成金制度では、交付決定前に結んだ契約や支払った費用は補助対象外となる傾向があります。
※ ただし、自治体によって「事前相談後の購入であれば可」といった例外的な取扱いがある場合もあります。必ずお住まいの自治体の要綱で確認するか、担当窓口に直接問い合わせてください。焦って先に工事を進めてしまうと、助成金が受けられなくなるため、必ず「交付決定」の通知を待ってから契約・購入に進んでください。
注意点4:予算には限りあり!先着順の可能性を意識
自治体の助成金は、年度ごとに予算が定められています。申請が多数寄せられた場合、期間中であっても予算上限に達した時点で受付を終了する「先着順」となることがあります。申請を検討しているなら、早めに準備を始め、受付開始後なるべく速やかに提出することをおすすめします。再申請や審査落選時の扱いは各自治体で異なるため、直接問い合わせを。
注意点5:映像のプライバシーに関する運用ルールを必ず定める
防犯カメラの映像は個人情報に該当します。プライバシー侵害トラブルを未然に防ぎ、個人情報保護方針を明確にするため、以下の点を含む「防犯カメラ運用ルール」を書面で定め、管理組合総会で承認を得ることを強く推奨します。
- 管理責任者の設置
- 映像の撮影範囲の特定(特定住戸を映さないなど)
- 映像データの保存期間(一般的な目安:30日以内)
- 映像を閲覧できる者の範囲と権限(例:理事長、防犯担当理事に限定)
- 映像閲覧時の申請手続きと記録簿の作成(議事録記録は推奨)
- 映像の誤用・漏洩時の対応(懲戒規定等の参考)
個人情報保護法の適用を示唆しますが、マンション管理組合が個人情報取扱事業者に該当するかどうかは管理組合の規模等によって異なるため、個別確認を推奨します。
【2025年度〜】東京都の助成金制度の最新動向
今後の制度動向についても触れておきます。
「個人宅向け」助成への都の補助が開始
東京都は、区市町村が実施する個人住宅(戸建て・アパートの個人専有部)向けの防犯機器購入助成に対して、都が補助を行う「令和7年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業」を令和7年度(2025年度)から開始しました。実施期限は2026年(令和8年)3月末の予定です。詳細は必ず東京都の公式サイトをご確認ください(2026年時点の情報)。
マンション管理組合向け制度との違い
マンション管理組合向けの助成金(共用部対象)とは異なる制度です。管理組合が共用部に設置する防犯カメラについては、引き続き各自治体の既存制度(前表参照)をご利用ください。両者は別の制度ですので、混同しないよう注意が必要です。
まとめ:助成金活用に向けた最終チェックリスト
最後に、助成金申請を成功させるための最終チェックリストです。以下の項目を確認し、計画的に準備を進めましょう。
- お住まいの自治体の公式HPで最新の募集要項(期間、要件、補助率)を確認しましたか?
- 申請主体が「管理組合」であり、対象が「共用部」であることを理解していますか?
- 総会で「防犯カメラ設置」と「運用ルール」の承認を得る準備はできていますか?
- 必ず「交付決定後」にカメラの契約・購入を行うことを理解していますか?
- 予算が先着順で終了する可能性を考慮し、早めに準備を始めていますか?
助成金の活用は、適切な知識と準備があれば、マンションのセキュリティ強化と費用負担軽減を両立できる有効な手段です。この記事が、皆様の円滑な防犯対策の一助となれば幸いです。
免責事項
【必読】免責事項
本記事は、2026年2月時点の情報を基に作成した一般的な情報提供を目的とするものであり、以下の点を保証するものではありません:
- 特定のマンションにおける法的助言
- 助成金・補助金の受給可否
- 申請承認の確実性
情報源の優先順位:
- お住まいの自治体の公式ホームページ・要綱(最優先)
- マンション管理規約・理事会決議
- 本記事の情報
個別判断を要する事項:
- 管理規約による普通決議・特別決議の要件
- 既存の管理委託契約との関係
- 個人情報保護方針の策定
- 予算編成・積立金の活用可否
これらについては、弁護士・マンション管理士等の専門家にご相談ください。本記事を基にした判断による損害について、当社(編集元)は一切の責任を負いません。助成金・補助金制度の詳細は、必ず管轄の地方自治体の最新の公式情報をご確認ください。また、個別の契約内容や管理規約が本記事の内容に優先します。最終的な判断は、専門家にご相談の上、ご自身の責任で行ってください。
参考資料
- 東京都都民安全『令和7年度東京都防犯機器等購入緊急補助事業について』 https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/tomin_anzen/chian/bouhan/bouhankikijosei/0000002517.html
- アンカー・ジャパン株式会社『【2026年】東京都で防犯カメラに補助金や助成金は出る?個人宅・マンション管理組合それぞれ解説』 (各自治体情報参照元)
- 株式会社ビックカメラ『東京都で防犯カメラなどの購入に補助金が出ています!【2026年最新版】』 (各自治体情報参照元)
- AruCom『東京都の防犯カメラ助成金制度』 (各自治体情報参照元)
- e-Gov法令検索『建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)』 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=337AC0000000069
島 洋祐
保有資格:(宅地建物取引士・管理業務主任者)不動産業界歴23年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

