分譲マンション賃貸で多い「漏水トラブル」への対応方法

水漏れトラブルの象徴として水滴が滴る画

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

分譲マンションを賃貸に出している賃貸オーナー様にとって、最も多い相談のひとつが「漏水トラブル」です。いざ発生すると、被害者・加害者・管理会社・保険会社など多くの関係者が関わるため、対応を誤ると大きなトラブルに発展しかねません。

この記事では、賃貸オーナー様に向けて、漏水トラブルの原因から具体的な対応方法、さらには未然に防ぐためのポイントまで分かりやすく解説します。


目次

【用語整理】「自主管理」という言葉の使い分け

マンションに関する記事を書くうえで、しばしば混乱を招くのが「自主管理」という言葉です。実は、大きく分けて2つの意味で使われます。

  • 賃貸管理における自主管理(オーナー直接管理)
    • オーナーが賃貸管理会社に委託せず、入居者(賃借人)と直接やり取りしている状態。
  • 建物管理における自主管理(管理組合直接運営)
    • マンション管理組合が管理会社に業務を委託せず、組合員自身で運営をしている状態。

この記事では混乱を避けるため、賃貸オーナー様がご自身で入居者とやり取りしている状態を「オーナー直接管理」と表記します。


被害者側(漏水を受けた入居者)の対応

分譲マンションを賃貸している場合、漏水の被害を受けた入居者(賃借人)は、まず「誰に連絡すべきか」が重要になります。

  • 賃貸管理会社へ連絡: 最も一般的なケースです。入居者は管理会社に状況を伝えます。
  • オーナー直接管理の場合: オーナー本人へ直接連絡を促しましょう。
  • 建物管理における自主管理(管理組合直接運営)の場合: 共用部分に原因が疑われる場合、理事長など管理組合の役員に連絡する必要があります。

入居者が現地でやるべきこと

  • 漏れている状況を動画や写真で記録
  • 何時ごろから発生しているか、被害範囲をメモ
  • 電気設備や家具家電が濡れていないか確認
  • ご自身の火災保険(借家人賠償責任保険・家財保険)の有無を確認

加害者側(上階住戸や専有部分が原因)の対応

漏水の原因が上階住戸や専有部分にある場合、加害者側にも迅速な対応が求められます。

一次対応

  • 漏れている箇所を止める(給水バルブを閉めるなど)
  • 被害者に状況を説明し、謝罪

確認すべきこと

  • ご自身の火災保険に**「個人賠償責任特約」**が付いているか
  • 専有部分の設備(給排水管、給湯器、洗濯機など)に起因していないか

考えられる主な原因

漏水の原因は、大きく「専有部分が起因」「共用部分が起因」2つのケースに分かれます。

専有部分に起因

  • 洗濯機ホースの外れ
  • 給湯器やトイレタンクの不具合
  • 専有部分の給排水管の劣化・破損

共用部分に起因

  • 屋上防水や外壁からの雨水浸入
  • 共有配管の劣化や詰まり

※ 共用部が原因だと疑われる場合は、建物管理会社や管理組合の調査が必要です。ただし、明らかに専有部が原因だと判断できるケース(洗濯機ホースの外れなど)は、調査を待たずに専有部側で対応可能です。


管理会社・オーナーの役割

賃貸管理会社(またはオーナー様)

  • 被害者から状況をヒアリング
  • 動画や写真での記録を依頼
  • 上階や共用部の可能性があれば建物管理会社へ連絡

建物管理会社(マンション管理会社)

  • 共用部に原因があるかどうかを調査
  • 共用部に起因している可能性があるならば、理事長や管理組合への報告を行う

トラブルを最小化するためのポイント

  • 記録を残す: 被害状況、原因箇所、対応の時系列を整理しておく。
  • 保険の確認: 被害者・加害者・オーナー様のそれぞれの保険加入状況を早めに確認する。
  • 早めの連絡: 曖昧なまま放置すると被害が拡大します。管理会社や理事長へ迅速に連絡しましょう。

実際のトラブル事例

  • 事例①:洗濯機ホース外れによる漏水
    • 賃貸中の部屋で洗濯機ホースが外れ、下階に水が漏れた。入居者は賃貸管理会社に連絡。管理会社は加害者(入居者)に火災保険の個人賠償特約の有無を確認。結果的に保険適用で解決した。
  • 事例②:共用配管の劣化による漏水
    • 築40年超のマンションで共用排水管が詰まり、複数の住戸で水漏れが発生。建物管理会社が調査し、共用部分が原因と判明。管理組合の保険で対応した。

賃貸オーナー様が備えておくべきこと

  • ご自身の火災保険に個人賠償責任特約を付帯する
  • 入居者にも借家人賠償責任保険への加入を義務付け
  • 建物管理会社や管理組合の連絡体制を把握しておく
  • 賃貸(専有部)と建物(共用部)の管理状況を理解し、対応ルートを整理しておく

まとめ

漏水トラブルは、「専有部分か共用部分か」「被害者と加害者の保険対応」を早めに切り分けられるかどうかで、解決までのスピードが大きく変わります。

分譲マンションのオーナー様は「賃貸管理会社に任せきり」で安心せず、ご自身の保険内容や管理会社の対応フローを事前に把握しておくことが、トラブルを最小限に抑えるための重要なポイントです。

株式会社MIJは管理組合様の運営サポートだけでなく、賃貸管理の実績も豊富です。
漏水トラブルをはじめ、賃貸経営に関するご不安な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

保有資格: マンション管理士・ 二級建築士
不動産業界に従事して13年。現在は小規模マンションや自主管理組合のサポートに注力しています。
本年より自身も居住しているマンションの理事長に就任。首都圏の実情に即した現場支援をモットーに、日々管理組合の課題解決に取り組んでいます。

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