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はじめに
エレベーターは日常生活に欠かせないインフラでありながら、「誰が」「どこで」点検しているかを把握していない管理組合も少なくありません。
本記事では、エレベーターに関する「会社の種類」と「点検業者の選び方・変更の可否」など、意外と知られていないポイントをわかりやすく解説します。
エレベーター会社には「メーカー系」と「独立系」がある
メーカー系とは?
メーカー系とは、三菱電機・日立・東芝・フジテック・オーチスなど、エレベーターを製造している会社、またはその系列の保守会社のことです。設備の設計・施工から保守までをトータルで対応する体制が整っているのが特徴です。
【メリット】
- 純正部品の調達がスムーズ
- 製品仕様に精通しているため、対応が的確
【注意点】
- 保守料金がやや高め(特にフルメンテナンス契約)
- 柔軟な契約変更やカスタマイズが難しい場合も
独立系とは?
独立系とは、メーカーに属さない保守専門会社を指します。日本エレベータ保守協会(JEMEA)などに加盟している企業も多く、全国で多数の独立系業者が存在します。
【メリット】
- メーカーに比べて保守費用が安価なことが多い
- 契約内容の自由度が高い
- 複数メーカーのエレベーターにも対応可能(混在物件に強い)
【注意点】
- ごく一部のメーカーでは図面や部品提供を制限していることがあり、対応困難な場合も
- トラブル時の対応力や部品調達力に差がある
点検業者は変更できるのか?
結論から言えば、点検業者は変更可能です。マンションの共用部は管理組合の所有物であり、どの業者と契約するかは組合の自由です。
ただし、以下の点に注意する必要があります。
1. 保守契約の内容と解約条件を確認する
メーカー系の契約では、1年または複数年の縛りがあることがあります。更新時期や自動更新の有無を確認しましょう。
2. エレベーターの仕様・型式による制約
一部のエレベーター(特に最新型や独自仕様)の場合、図面やソフトウェアの仕様が非公開であり、メーカー系以外が対応できないケースがあります。
3. 法定検査と点検業者の分離も可能
点検業者と法定検査実施者(昇降機検査資格者)を分けて契約することもできます。これは独立系業者を使う際の選択肢として有効です。
4. 更新工事時の「囲い込み」に注意
更新工事をメーカー系で行った場合、その後の保守契約を同社に限定される提案(囲い込み)がなされることがあります。将来的な選択肢を残すためにも、契約前の確認が大切です。
保守契約の見直しを検討すべきケースとは
- 現在の保守費用が高く、見直しの余地がある
- フルメンテ契約をやめてPOG契約+別途部品対応に切替えたい
- 混在メーカーの物件で一括管理したい
- 保守内容や頻度を見直したい
当社がサポートした小規模マンションの中にも、点検業者を切り替えることで年間保守費を大幅に削減できた例があります。
なお、一度フルメンテナンス契約を解約してPOG契約へ移行した場合、メーカーによってはフルメンテナンス契約に戻すことができない場合があります。また、エレベーターの老朽化が進んでいる場合は、フルメンテ再契約にあたり条件や費用が厳しくなることもあります。
各メーカー・業者ごとに再契約時の条件が異なるため、事前の見積取得と確認が重要です。
切替の際は、費用削減だけでなく、将来の選択肢やリスクも含めた総合的な判断が求められます。
当社のサポート内容
当社では、以下のようなご相談を承っております:
- 現在の点検契約の診断と見直し提案
- メーカー系・独立系の業者比較(見積取得・交渉含む)
- 契約更新前の事前相談
- リニューアル工事のご相談、工事後の保守契約見直し
点検業者の選定は、エレベーターの安全性と将来の修繕コストに直結します。特に戸当たり負担が大きくなりがちな小規模マンションこそ、賢い選択と柔軟な対応が重要です。
お気軽にご相談ください。