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2025年も後半に入り、マンション市場は依然として「高価格・低供給」の二極化構造に直面しています。
新築マンションは過去最高値を更新し続ける一方で、中古市場では「億ション」の割合が過去最大水準に達しました。
一見すると「バブル的」な様相を呈していますが、背景には資材費・人件費の高騰、都市部再開発による地価上昇、さらには人口動態やライフスタイルの変化といった複合的要因があります。
本稿では、2025年9月時点でのマンション市場の実態と今後の論点を、供給・価格・地域差・リスク要因の観点から整理し、営業や投資の現場で即活用できる形で解説します。
目次
① 新築分譲マンション動向(首都圏・東京23区)
- 供給戸数は低水準が続く。
2025年上半期の首都圏の発売戸数は8,053戸で、前年比11.2%減。4年連続の供給減という構造的な供給制約下にあります。リバブル+3不動産経済+3atpress+3 - 価格は過去最高水準を更新。
平均価格は8,958万円、㎡単価は135.0万円と、上半期として過去最高値を記録。不動産経済 - 成約ペースは鈍化。
初月契約率は66.6%(東京23区は68.8%)であり、かつての高成約率からは減速傾向。不動産経済+2atpress+2
② 下半期以降の供給見通し(2025年後半)
- 供給量は回復傾向。
下半期(2025年後半)は15,000戸の供給見込みで、前年同期比7.6%の増加。年間の供給は約2.3万戸で、前年並みの予想。クラモア(住み替え情報サイト)+1 - 価格高止まりの見通し。
建築の資材費・人件費の高止まりが続くため、短期的に価格が下がる期待は薄い。クラモア(住み替え情報サイト)
③ 中古マンションの動向:価格上昇の加速
- 「億ション」の存在感が急拡大。
東京23区の中古マンションのうち、1億円超の「億ション」は全体の15.5%に達し、10年前から急増。特に港区・千代田区など都心部で顕著です。テレ朝NEWS - 坪単価の急上昇。
2025年上半期の東京都23区の中古マンション成約坪単価は、前期比で7.5%上昇という「異常な加速」を記録。atpress - 新築価格高騰が中古を押し上げ。
新築の価格上昇に伴い、相対的優位性がある中古価格にも上昇圧力が波及している構造。みずほリテール株式会社
④ 市場構造とリスク要因の構造分析
- 仕入れコストの高騰が課題。
三菱UFJ信託の調査によれば、マンションデベロッパーの73%が「仕入れに苦戦」、83%が「見合わせ」傾向。理由は「用地価格が検討可能水準を超えていること」が最大要因です。kantei.ne.jp+7prtimes.jp+7テレ朝NEWS+7 - 都心集中 vs 郊外乏しい状況。
都心部では再開発や地価上昇による強い上昇トレンド。一方、郊外では人口減少とインフラ老朽化の影響で、価格が下落傾向にある地域もある構造。lvn.co.jp
⑤ マーケティング・営業の観点
- 商品企画の差別化が急務。
高価格帯市場が拡大する一方で、供給戸数が限られる今、デベロッパーは価格だけでなく価値訴求(設計の質・立地の優位性・共用設備)で差別化が求められます。 - 中古市場を見据えた販売戦略。
耐震・免震構造や資産価値維持(流動性)を重視する購入者向けに、中古市場とも視野に入れた訴求が重要です。 - 郊外エリアは慎重に。
郊外での新規開発は、高コストでの仕入れと地価の下落リスクの両面を踏まえ、「収支バランス」が厳しくなる可能性が高いです。
結論:2025年9月時点のマンション市場まとめ
項目 | 確定要素 |
---|---|
新築供給 | 供給減が継続。価格高止まり。 |
中古市場 | 坪単価・億ション割合ともに大幅上昇。 |
仕入・開発 | 用地価格高騰が事業性を圧迫。 |
地域差 | 都心では強い上昇トレンド、郊外には下落リスク。 |
営業戦略 | 差別化・資産価値訴求・市場特性対応が必須。 |