マンション管理士顧問契約の費用対効果は?相場と削減事例で理事長必見

マンション管理士との顧問契約がもたらす長期的なメリットを3つの視点から解説する図。トラブル予防、資産価値維持、運営の安定化という主要な利点をそれぞれ具体的に説明しており、持続可能なマンション管理の重要性を強調しています。

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

目次

マンション管理士の顧問契約は費用対効果が高い? 理事長必見の徹底解説

マンション管理組合の運営、お疲れ様です。理事長に就任されたものの、「管理委託費は適正なのか?」「総会の合意形成が難しい」「前任者からの引継ぎが不十分で、何から手をつければ良いかわからない」といった悩みを抱えていませんか。

専門家であるマンション管理士との顧問契約は、これらの課題を解決する有効な手段です。しかし、月々の顧問料という新たなコストが発生するため、「本当に費用に見合う効果があるのか?」と不安に思うのは当然でしょう。

この記事では、宅地建物取引士の資格を持つ不動産ライターが、マンション管理士との顧問契約における費用対効果を徹底解説します。公的な調査データや実例を基に、費用相場からコスト削減効果、さらには数字に表れにくい長期的なメリットまで多角的に分析します。筆者は宅地建物取引士資格保有の不動産ライターであり、特定業者との利害関係はありません。

結論から言えば、マンション管理士との顧問契約は、短期的なコスト削減だけでなく、管理組合の運営を安定させ、マンション全体の資産価値を長期的に守るための「未来への投資」です。この記事を読めば、その理由と、あなたのマンションで導入を検討する際の具体的なステップが明確になります。

背景知識:マンション管理士の顧問契約とは?

まず、顧問契約を検討する上で不可欠な「マンション管理士とは何か」「管理会社とどう違うのか」という基本的な知識を整理します。この違いを理解することが、費用対効果を正しく判断する第一歩です。

立場が違う!管理組合の「味方」となる中立的な専門家

マンション管理に関わる主なプレイヤーは「管理組合」「管理会社」「マンション管理士」の三者です。それぞれの役割と立場は明確に異なります。

管理組合マンションの所有者(区分所有者)全員で構成される団体。マンション管理の主体。
管理会社管理組合との「管理委託契約」に基づき、清掃・点検・会計などの実務を代行する事業者。契約の相手方
マンション管理士管理組合の運営に関して助言や指導を行う国家資格者(出典: 総務省「マンションの適正な管理の推進等に関する調査結果報告書」(公表: 2018年)[2]、マンション管理適正化法第44条に基づく、2025年時点の法改正確認済み)。管理組合の側に立つ、中立的な専門家(アドバイザー)。管理委託の有無を問わず適用可能です。

(表が表示されない場合: 管理組合 – マンションの所有者(区分所有者)全員で構成される団体。マンション管理の主体。/管理会社 – 管理組合との「管理委託契約」に基づき、清掃・点検・会計などの実務を代行する事業者。契約の相手方。/マンション管理士 – 管理組合の運営に関して助言や指導を行う国家資格者(出典: 総務省「マンションの適正な管理の推進等に関する調査結果報告書」(公表: 2018年)[2]、マンション管理適正化法第44条に基づく、2025年時点の法改正確認済み)。管理組合の側に立つ、中立的な専門家(アドバイザー)。管理委託の有無を問わず適用可能です。)

最大の違いは、その立場です。管理会社はあくまで管理組合との契約に基づいて業務を行う事業者であり、両者の利害が常には一致しません。一方、マンション管理士は、独立した第三者の立場から、管理組合の利益を最大化するための専門的な助言を行います。いわば、管理組合にとっての「家庭教師」や「かかりつけ医」のような存在です。

顧問契約で受けられる主なサービス内容

マンション管理士との顧問契約で提供されるサービスは多岐にわたりますが、主に以下のような助言・指導業務が中心となります。これらは日常業務の「代行」ではなく、理事会が適切な意思決定を下すための「支援」である点を理解しておくことが重要です。サービスには、マンション管理適正化法の遵守を確保するための定期相談、管理規約の見直し、長期修繕計画の策定・見直しが含まれることが一般的です(出典: 総務省報告書同上[2])。

  • 理事会・総会の運営支援
    • 議題の整理、資料作成のアドバイス(区分所有法、マンション標準管理規約に基づいた適正な議事運営支援による)
    • 会議への出席、議事進行のサポート
    • 区分所有法や管理規約に沿った適正な決議の支援(区分所有法第39条: 集会の決議は、区分所有者及び議決権の各過半数で決する。ただし、規約に別段の定めがあるときは、この限りでない)
  • 管理規約・使用細則の見直し
    • 法改正やマンションの実態に合わせた改正案の作成支援(標準管理規約への準拠を支援することで、管理組合運営の透明性と適正化が向上し、結果として効率化に繋がる)
  • 管理委託契約の見直し
    • 契約内容の精査、仕様の適正化
    • 管理会社選定(見積もり取得)のサポート
  • 長期修繕計画の策定・見直し
    • 計画の妥当性評価、修繕積立金の資金計画に関する助言
  • その他、管理組合運営全般に関する相談対応

自主管理マンションこそ、専門家の活用が鍵に

管理会社に委託せず、理事会が主体となって運営する「自主管理」マンションの場合、理事の負担は非常に大きくなります。専門知識の不足から、知らず知らずのうちに法令違反を犯してしまったり、修繕積立金が不足したりするリスクも高まります。

このような自主管理マンションこそ、必要な時だけ専門家の助言を得られるマンション管理士の顧問契約は、費用対効果の高い選択肢となり得ます。管理委託の有無を問わず、外部専門家を活用することで合意形成が容易になる可能性があります。

手続・対応ステップ:費用相場から導入検討まで

「専門家の支援は魅力的だが、やはり費用が気になる」という方のために、具体的な費用相場と、その投資効果をどのように測れば良いのかを解説します。

【相場】顧問料の目安は月額2.2万〜11万円程度(戸数・内容による)

マンション管理士の顧問契約にかかる費用は、マンションの戸数や契約内容によって変動します。2025年調査では、月額22,000円から110,000円程度の幅があり、単棟型マンションで3万〜6万円程度、団地型で5万〜15万円程度が目安とされています(出典: CrowdWorks「【2025年版】マンション管理士への依頼費用相場」[S-1]、全国マンション管理士会公式[S-3]、三井不動産グループ「マンション管理士の活用の実態について」(2020年)[1]を統合)。メール・電話相談は初回無料、以降1回あたり1万円程度、簡易アドバイザリー契約で月額1.5万〜2.5万円程度の事例もあります(出典: 同上[S-1])。

マンションの総戸数月額顧問料(目安)
21~100戸30,000円前後
101~200戸50,000円前後
201~500戸50,000円〜80,000円程度
(出典: CrowdWorks「2025年版」[S-1]、全国マンション管理士会[S-3]、三井不動産グループ2020年[1]を基に作成)

(表が表示されない場合: 21~100戸 – 30,000円前後/101~200戸 – 50,000円前後/201~500戸 – 50,000円〜80,000円程度(出典同上)。)

このほか、特定の課題解決を依頼する「スポット契約」や、成果報酬型(管理委託費削減の場合、一部事例で削減額の50%程度を成功報酬とするケースあり(出典: 福井英樹マンション管理士総合事務所「管理委託契約関係の業務」(公表年度: 要確認)[9])の契約形態もあります。まずは理事会で課題を整理し、顧問契約とスポット契約のどちらが適しているか検討すると良いでしょう。費用構造は時間制、成果報酬型、またはその組み合わせであることが一般的です。

【費用対効果】ROIはどう測る?3つの視点

顧問料という投資に対するリターン(Return on Investment: ROI)は、単に支出がいくら減ったかだけで測るべきではありません。公表されている統計データや事例に基づき、客観的な指標を用いることを推奨します。以下の3つの視点で総合的に評価することが重要です。

  1. 直接的なコスト削減(定量的)
    • 管理委託費の見直しによる削減額
    • 各種点検・工事費用などの適正化による削減額
  2. 将来の損失予防(定性的→金銭的価値)
    • 総会の紛糾や住民間トラブルの回避(訴訟費用の予防)
    • 長期修繕計画の適正化による将来の資金不足リスクの低減
  3. 運営の効率化・安定化(定性的)
    • 理事会の準備・運営にかかる時間の短縮(理事の負担軽減)
    • 属人化の解消と運営の透明性向上

【事例】管理委託費の見直しによる削減効果

費用対効果が最も分かりやすく表れるのが、管理委託費の見直しです。専門家であるマンション管理士が介在することで、管理仕様の無駄を洗い出し、適正な価格での契約締結をサポートします。

第三者専門家(日管連認定マンション管理士等)の支援により、管理費のコスト削減事例が報告されており、一部で30%以上の改善が見られたケースもあります(出典: 国土交通省調査[S-7]、福井英樹事務所事例[9])。これは個別のケースであり、全ての組合で同様の効果が保証されるわけではありません。

年間で数十万円単位のコスト削減が実現する可能性は十分にありますが、これは個別の事例であり、すべてのケースに当てはまるわけではありません。仮に月額5万円(年間60万円)の顧問料を支払っても、管理委託費が年間100万円削減できれば、十分に元が取れる計算になります。多くのケースで、投資回収期間はケースによっては1~2年程度で見込める可能性があります(出典: 同上[9])。管理組合側で専門知識を活用することで、調査時間節約・不必要支出防止・適正価格取引が担保され、顧問料以上の価値が期待されます。

FAQ:マンション管理士の顧問契約に関するよくある質問

ここで、顧問契約を検討する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

マンション管理士の顧問料の相場はいくらですか?
マンションの戸数や契約内容によりますが、2025年調査では月額22,000円〜110,000円程度の幅があり、21〜100戸で30,000円前後、101〜200戸で50,000円前後が目安とされています(出典: CrowdWorks「2025年版」[S-1]、全国マンション管理士会[S-3])。大規模なマンションや、理事会への出席頻度が高い契約では、これより高くなる傾向があります。
管理会社とマンション管理士の違いは何ですか?
最も大きな違いは「立場」です。管理会社は管理組合から業務を請け負う「契約相手」ですが、マンション管理士は管理組合の側に立つ中立的な「専門家(アドバイザー)」として、運営全般について助言・指導を行います(出典: 総務省報告書[2]、マンション管理適正化法第44条)。
費用対効果はどのように考えれば良いですか?
管理委託費などの直接的なコスト削減額だけでなく、総会運営の円滑化による理事の負担軽減や、将来のトラブル予防、長期的な資産価値の維持といった「目に見えにくい価値」も考慮して総合的に判断することが重要です。ROI計算は導入前後の管理費比較と予防効果の定量化を行い、公表されている統計データや事例に基づくことを推奨します。

実務ヒント:失敗しないためのポイントと長期的メリット

実際にマンション管理士への依頼を進める際に、知っておくべき注意点と、改めて認識しておきたい長期的なメリットを解説します。

ポイント1:見積もり依頼は2〜3社に絞るべき理由

管理委託費の見直しにあたり、多くの管理会社から見積もりを取りたいと考えるのは自然です。しかし、やみくもに4社、5社と声をかけるのは得策ではありません。組合側の要望が強すぎると、管理会社から敬遠される恐れがあります。特に20〜40戸程度の小規模マンションでは、管理会社が積極的に管理を取得しようとしない場合が多く、5社、6社への同時依頼は見積もり作成を敬遠される可能性が高いです(タワーマンションなどの大規模物件は例外)。

なぜなら、精度の高い見積もりを作成するには、管理会社側に相当な労力がかかるからです。

  • 現地調査(3〜4回に及ぶことも)
  • 清掃、エレベーター点検、消防、警備など外注先との調整・交渉
  • 提案資料の作成、理事会でのプレゼンテーション

管理会社側は、管理委託内容の精査および会計状況、1棟全体の管理費等の見積もり作成に多大な労力を要します。2〜3社に絞り込むことで、各社が真剣に提案を検討し、結果として質の高い比較検討が可能になります。

マンション管理士に相談すれば、組合の課題や要望を整理した上で、有力な候補を2〜3社に絞り込んでから見積もりを依頼するため、効率的です。

ポイント2:「一式見積もり」はNG!確認すべき内訳

管理会社から提出された見積書を見る際、絶対に注意したいのが「一式」という表記です。

(記載例)悪い例
管理委託費 一式 月額 500,000円

これでは何にいくらかかっているのか全く分からず、後々のコスト削減交渉や仕様変更の際にトラブルの原因となります。見積もりを依頼する際は、必ず以下の項目ごとに金額を明記するよう求めましょう。

確認すべき主な内訳項目
事務管理業務費(管理員人件費、本部経費など)
清掃業務費
建物・設備管理業務費(エレベーター、消防設備、給排水設備など)

(表が表示されない場合: 確認すべき主な内訳項目 – 事務管理業務費(管理員人件費、本部経費など)/清掃業務費/建物・設備管理業務費(エレベーター、消防設備、給排水設備など)。)

ポイント3:コストだけじゃない!長期的な3つのメリット

短期的なコスト削減効果も重要ですが、マンション管理士を活用する真の価値は、むしろ長期的なメリットにあります。

  1. 【トラブル予防】総会運営の適正化と合意形成の円滑化
    専門家が第三者の立場で議事進行を支援し、区分所有法などの法令に基づいた適切な運営を行うことで、総会の紛糾を防ぎ、円滑な合意形成を促します。これは、将来の訴訟リスクなどを回避する上で極めて重要です(出典: 総務省「マンションの適正な管理の推進等に関する調査結果報告書」(公表: 2018年)[2]。決議要件の確認が紛争予防に繋がり、区分所有法と標準管理規約への準拠を支援)。顧問契約導入で総会決議の原案通り可決確率が向上する可能性があります。
  2. 【資産価値維持】長期修繕計画の適正化と資金計画の安定
    多くのマンションで、長期修繕計画が形骸化していたり、将来の資金不足が懸念されたりしています。マンション管理士の助言を得て計画を定期的に見直し、適切な修繕積立金を設定することは、マンションの資産価値を維持するための生命線です。事例として、築後1度も大規模修繕なしのマンションで長期修繕計画作成・積立金改訂が実現したケースがあります(出典: 同上[2])。
  3. 【運営の安定化】理事の負担軽減と属人化リスクの解消
    理事が1〜2年で交代することが多く、運営ノウハウが蓄積されにくいのが実情です。継続的に関与する顧問がいれば、理事が交代しても運営レベルが維持され、特定の理事に負担が偏る「属人化」のリスクも解消されます。

まとめ:マンション管理士の顧問契約は未来への投資

マンション管理士との顧問契約は、単なるコストではありません。それは、管理組合の運営を適正化し、住民間のトラブルを未然に防ぎ、マンションという大切な資産の価値を長期にわたって維持するための「未来への投資」です。

費用対効果を考える際は、目先の管理委託費削減額だけでなく、「トラブル予防」「資産価値維持」「理事の負担軽減」といった、お金には換算しにくい長期的な価値を総合的に評価することが不可欠です。全体として、顧問契約の価値は短期コストではなく、持続的な管理適正化にあり、公的統計に基づく事例で検証を推奨します。

あなたのマンションが抱える課題を整理し、まずは複数のマンション管理士から話を聞いてみてはいかがでしょうか。自組合の状況に合った専門家を見つけることが、健全なマンション管理への第一歩となるはずです。

免責事項

本記事は、マンション管理に関する一般的な情報提供を目的として作成されたものであり、特定のマンションにおける個別の事案に対する法的、または専門的な助言を与えるものではありません(2025年時点の法令に基づく)。

記事内で言及している法令や制度は、将来改正される可能性があります。顧問契約の締結や管理委託契約の見直しなど、具体的な意思決定を行う際には、必ず最新の法令を確認の上、マンション管理士、弁護士等の専門家にご相談ください。個別の契約内容が最優先されます。


参考資料

  • [1] 三井不動産グループ (2020年). 「マンション管理士の活用の実態について」。
  • [2] 総務省. 「マンションの適正な管理の推進等に関する調査結果報告書」(公表: 2018年). https://www.soumu.go.jp/main_content/000494441.pdf
  • [9] 福井英樹マンション管理士総合事務所. 「管理委託契約関係の業務」(公表年度: 要確認). http://fukui-mankan.jp/業務内容/4-管理委託契約関係の業務/ ※本事務所は一般事例提供。個別相談は中立性を確認の上。
  • [S-1] CrowdWorks. 「【2025年版】マンション管理士への依頼費用相場」 .
  • [S-3] 全国マンション管理士会公式.
  • [S-7] 国土交通省調査.

島 洋祐

保有資格:(宅地建物取引士)不動産業界歴22年、2014年より不動産会社を経営。2023年渋谷区分譲マンション理事長。売買・管理・工事の一通りの流れを経験し、自社でも1棟マンション、アパートをリノベーションし売却、保有・運用を行う。

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この記事を書いた人

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