マンション共用部のLED化はいつ?蛍光灯・水銀灯の「2027年問題」最適な対策

LED化は必要なのか

※本コラムの内容は、当社が独自に調査・収集した情報に基づいて作成しています。無断での転載・引用・複製はご遠慮ください。内容のご利用をご希望の場合は、必ず事前にご連絡をお願いいたします。

お住まいのマンション、共用部の照明はまだ蛍光灯や水銀灯ではありませんか?

「まだ点灯しているから大丈夫」と考えている管理組合様は要注意です。
2027年末までに多くの蛍光灯や水銀灯が製造・輸入禁止となり、市場から姿を消す「2027年問題」が目前に迫っています。

この記事では、マンション管理組合・理事会役員・オーナーの皆様に向けて、

  • 水銀灯・蛍光灯の製造中止スケジュール
  • LED化に最適なタイミング
  • 先延ばしにするリスク
  • 導入費用と改修目安

をわかりやすく解説します。先手のLED化でコスト削減と資産価値向上を実現しましょう。


目次

なぜLED化が必須?背景にある「水銀に関する水俣条約」

蛍光灯や水銀灯が廃止されるのは、メーカーの都合ではありません。
その背景には、水銀の使用を規制する国際条約「水銀に関する水俣条約」 があります。

  • 2013年:国際連合環境計画(UNEP)で採択
  • 2017年:発効、日本も批准
  • 以降:水銀を含む製品の製造・輸出入が段階的に禁止

詳しくは 環境省|水銀に関する水俣条約の公式ページ をご覧ください。

この国際ルールにより、水銀を含む照明は製造・輸出入が段階的に禁止され、従来型の蛍光灯や水銀灯は市場から消えつつあります。つまり今後は、蛍光灯や水銀灯を使い続けたくても「交換用ランプそのものが入手できなくなる」ことが確実です。


【リミットは目前】水銀灯・蛍光灯の製造中止スケジュール

照明の種類製造・輸出入の状況備考
水銀灯(高圧水銀ランプ)2017年に製造終了、2021年以降は輸出入禁止市場在庫のみ。交換用ランプは入手困難。
蛍光灯(直管・環形など)2021年から生産縮小、2027年末で多くの製品が製造・輸入禁止在庫不足・価格高騰が予想される。

照明の種類ごとの製造・輸出入状況は以下のとおりです。
この情報は 日本照明工業会(JLMA)公式サイト にも掲載されており、最新の技術動向を把握することができます。

  • 水銀灯(高圧水銀ランプ):2017年に製造終了。2021年以降は輸出入禁止。交換用ランプは入手困難。
  • 蛍光灯(直管・環形など):2021年から生産縮小。2027年末で多くの製品が製造・輸入禁止。

詳細は JLMAによる蛍光ランプ・水銀ランプ廃止に関する情報 をご参照ください。

一般居住者にとってのメリットとリスク

「照明の種類なんて管理組合が考えることでは?」と思う方も多いでしょう。
しかし、居住者にとってもLED化は生活の安心・快適さに直結します。

  • 防犯性の向上
     暗くなった共用廊下や駐車場は不審者を招きやすく、犯罪リスクが増加します。LEDは明るさと均一性に優れ、防犯カメラとの相性も抜群です。
  • 事故防止
     高齢者や子どもが足元の暗さで転倒する事故を防げます。
  • 家計への影響
     LED化による電気代削減は、管理費の抑制につながります。結果として「将来の修繕積立金不足を防ぐ」ことにもつながるのです。

つまり、LED化は単なる照明交換ではなく、「安全・安心・快適な暮らしの基盤整備」なのです。

管理組合役員に必要な視点

長期修繕計画との関係

照明の更新は、国土交通省の長期修繕計画ガイドライン でも位置づけられています。
LED化を計画的に進めることで、突発的な修繕費増大を防ぎ、積立金の安定運用が可能となります。

総会での進め方

  1. 現状調査(設置台数・消費電力・球切れ状況)
  2. 複数業者から見積取得(相見積もりは必須)
  3. 理事会で検討・比較(初期費用・ランニングコスト・保証)
  4. 総会で議題化・承認(合意形成のプロセスが重要)

専門業者に相談見積もり依頼し、次回の理事会で検討を始めましょう。

補助金の活用

自治体によってはLED化への補助金制度があります。
例: 東京都環境局|省エネ関連情報
補助金を活用できれば、初期費用を数割抑えることも可能です。


いつまでにLED化すべきか

水銀灯を使用しているマンション

今すぐLED化が望ましい
すでに交換ランプはほぼ市場にないため、球切れが発生すると照明が復旧できないリスクがあります。エントランスや駐車場が暗いままでは防犯・安全性に直結します。

蛍光灯を使用しているマンション

2025年中に計画を立て、2027年夏頃までに完了を目指すのが理想
2026〜2027年は駆け込み需要で工事費や部材費が高騰、施工業者も不足します。早めに準備すれば費用も安定し、希望する照明器具を選べます。


LED化を先延ばしにするリスク

  • 維持コストの増大:希少ランプの価格高騰で交換費用が跳ね上がる
  • 電気代の損失:LEDなら節約できた分を払い続けることに
  • 安全性の低下:球切れで暗い共用部が生まれ、防犯リスク増加
  • 資産価値の低下:省エネ対策が遅れると「古いマンション」という印象に

マンション共用部LED化の4大メリット

  1. 電気代を40〜70%削減(物件規模・照明配置等による)
    → 管理費の支出を直接圧縮
  2. 長寿命でメンテナンス不要
    → 寿命4万〜6万時間、10年以上交換不要な場合も
  3. 資産価値・入居者評価アップ
    → 明るさ・防犯性向上、環境配慮のアピール効果
  4. 将来の調達リスクを解消
    → 「交換ランプが手に入らない」状況を回避

導入費用と投資回収の目安

  • 蛍光灯型LEDランプ:1本あたり3,000〜6,000円
  • 水銀灯→LED:1基あたり5万〜10万円
  • マンション全体:数十万円〜数百万円

電気代+交換費用削減で、5〜7年程度で初期投資を回収可能(物件により差あり)。
以降は削減分が管理組合の利益となります。

さらに、LED化の費用は地域や物件規模によって差がありますが、各自治体で補助金が用意されている場合もあります。
東京都では「省エネ照明導入補助金」などが代表例で、最新情報は 東京都環境局の省エネ関連ページ から確認可能です。



まとめ|マンションのLED化は「2025年から準備、2027年までに完了」が鉄則

  • 水銀灯:即LED化が必要
  • 蛍光灯:2027年末がリミット。2025年から準備開始
  • LED化は「省エネ・コスト削減・資産価値向上」を実現する投資

照明のLED化は「やるかどうか」ではなく「いつやるか」の段階に来ています。
まずは専門業者に調査・見積もりを依頼し、次回の理事会で議題に上げましょう。

計画的に進めることで、マンションの未来を明るく、持続可能なものにできます。

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この記事を書いた人

保有資格:管理業務主任者・ 保険募集人・ 甲種防火管理者
不動産業界歴5年。大手管理会社にてフロント担当者として3年勤務し、担当13棟 総戸数約900戸の管理を経験し、15戸から330戸までの管理組合のフロントを経験してまいりました。物件種別についても新規オープンから築60年程度のマンションまで、幅広い経験がございます。
管理業務主任者の資格だけでなく、保険募集人・甲種防火管理者の資格も保有。組合様の課題やご要望に対し、様々なご提案を差し上げます。

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