この記事のポイント(要約)
- 修繕積立金は安全性と流動性を最優先。原則は元本毀損リスクの低い手段で分散保管。国土交通省
- 積立方式は均等積立」へ早期切替**が国交省の最新資料でも強く推奨。段階増額のままは将来の値上げ負担が増しやすい。国土交通省
- すまい・る債は管理組合向けの10年債。2025年度(税引前)で年平均利率0.525%(認定マンション向け0.575%)。50万円/口・1年経過後は1口単位で中途換金可(工事資金の取り崩しに対応)。JHF+1
修繕積立金とは(おさらい)
修繕積立金は、共用部の大規模修繕に備え長期的に計画的に積み立てる資金。将来実施する修繕工事を見据えた長期修繕計画に基づき、月額を設定・改定します。ガイドラインは5年程度ごとに見直しを想定。国土交通省
保管・運用の原則(実務の土台)
- 安全性>流動性>収益性の順で優先。元本毀損リスクの高い商品は原則避ける(規約・総会での特段の手当てがない限り)。
- 会計区分の徹底:修繕積立金と管理費は厳格に区分経理。貸借対照表でも分けて表示。国土交通省
- 分散保管:金融機関・商品・満期の3方向で分散し、ペイオフ限度を超えない設計に。辞書サイト金融庁
保管手段の比較
普通預金(一般預金)
- 利点:流動性が極めて高い。日常の支払い・突発支出に即応。
- 注意:ペイオフ対象(1,000万円+利息まで保護)。金融機関の分散が有効。金融庁
定期預金(ラダー運用前提)
- 利点:普通預金より利率が上がりやすい。1~5年の資金をラダー(階段)で分散満期化すると、金利変動と流動需要の双方に耐性。
- 注意:途中解約で利率低下。ペイオフ対象(上限管理と金融機関連携が必須)。金融庁
すまい・る債(住宅金融支援機構の10年債)
- 利点:管理組合専用の公的色が強い債券。2025年度の年平均利率0.525%/認定マンション0.575%(税引前)。1口=50万円、初回発行から1年以上で1口単位の中途換金可のため、LTPに合わせた10年ラダーが組みやすい。JHF+1
- 応募要件の一例:管理規約の整備、修繕積立金会計がある等。JHF+1
- 注意:預金ではなく債券。政府保証はなく、発行体(JHF)の信用力に依存(もっとも外部格付は国と同等水準と案内)。利率は号ごとに異なる・年次で変動。JHF+1
長期修繕計画との整合性(改定サイクルと均等積立)
- 長期修繕計画は確定ではなく“見直し前提”の計画。仕様・単価・工法の変化を踏まえ、少なくとも5年程度ごとに見直す。国土交通省
- 積立方式は、段階増額から均等積立へ早期切替が推奨(平準化・合意形成の容易さ・将来値上げリスクの抑制)。国交省の最新ページにもパンフが明記されています。国土交通省
よくある質問(FAQ
Q1:投資信託や社債等で「利回りを取りに行く」のはアリ?
A:修繕積立金は公共性の高い共有財産。標準管理規約やガイドラインの趣旨(安全・分別管理)から、元本毀損リスクのある商品は原則避けるのが実務です。実施するなら規約整備・総会決議・開示強化が前提。実際一部の管理組合では投資しているそうです。国土交通省
Q2:すまい・る債は途中で現金が必要になったら?
A:初回発行から1年経過後に1口(50万円)単位で中途換金可。工事直前資金の現金化にも対応。JHF
Q3:段階増額のままでも大丈夫?
A:将来の急激な値上げリスクが残りやすい。国交省の情報発信でも均等積立への切替が推奨。国土交通省
参考資料(一次情報)
- 修繕積立金ガイドライン(令和6年6月改定)、長期修繕計画作成ガイドライン(国交省)国土交通省+2国土交通省+2
- マンション標準管理規約/同コメント(区分経理の明記ほか)国土交通省+1
- 預金保険制度・決済性預金(全額保護)(金融庁/預金保険機構)金融庁辞書サイト
- マンションすまい・る債(JHF:利率・応募要件・申込期間・中途換金)JHF+2JHF+2

