マンションの給水方式、あなたの物件はどのタイプ?|直結増圧・受水槽…違いと切替ポイントを詳しく紹介!

マンションの給水方式、あなたは知っていますか?

~災害時の備えや修繕計画にも関わる重要ポイント~

皆さんは、ご自宅マンションの「給水方式」がどうなっているかご存じでしょうか?

給水方式とは、水道水がどのような仕組みで各住戸に届けられているかという設備構造のことを指します。日々の生活ではあまり意識されることがないかもしれませんが、実はこの給水方式を知ることは、災害時の備えや日常の点検項目の理解、そして将来的な修繕計画の立案において、非常に重要な情報です。

本記事では、マンションの給水方式の種類、それぞれの特徴、災害との関係、修繕の注意点、方式変更の可能性、事例紹介や行政支援制度まで詳しくご紹介します。


主な給水方式とは?

マンションにおける主な給水方式は、以下の3つです。

【1】受水槽方式(高置水槽方式)
中高層マンションに多く見られる、従来型の方式です。地上または地下に設置された「受水槽」に水道水を一度貯め、その後ポンプで屋上の「高置水槽」まで汲み上げ、そこから重力で各住戸に給水します。

  • メリット:停電しても高置水槽の水が残っていれば一定時間は供給可能です。
  • デメリット:水槽の定期清掃が必須。設置スペースやメンテナンスコストも大きく、水質リスクもあります。

【2】直結直圧方式
水道本管の圧力だけで、直接各住戸まで給水する方式です。比較的低層のマンション(3~4階建て程度)に適しています。

  • メリット:受水槽や加圧ポンプが不要なため、設備コストや管理負担が少なく、衛生的です。
  • デメリット:水道本管の圧力に依存するため、導入できない地域や建物もあります。

【3】直結増圧方式
近年注目されているのがこの方式です。水道本管に接続し、専用の加圧ポンプで水圧を高めて直接住戸に供給する仕組みで、「直結直圧方式」の進化版とも言えます。

  • メリット:受水槽・高置水槽が不要となり、省スペースで水質も良好。ポンプ制御で安定した給水が可能です。
  • デメリット:ポンプに電力が必要なため、停電時には一時的に給水停止となる可能性があります。

災害時の影響を左右する「給水方式」

地震や停電などの災害が発生した場合、給水方式の違いが大きな影響を与えます。

例えば、受水槽方式では高置水槽に残っている水を利用できるため、一定時間の応急給水が可能です。一方、直結増圧方式ではポンプが停止するため給水が止まってしまいます(ただし非常用電源があれば対応可能です)。

比較表:

給水方式  停電時の影響       貯水機能  
受水槽方式 高置水槽に残水あれば給水可能あり    
直結直圧方式本管に圧力あれば給水継続  なし    
直結増圧方式ポンプ停止により給水不可  △(条件付)

災害時の対応力や備えを考えるうえで、自宅マンションの給水方式を知っておくことは非常に有益です。


点検・修繕項目も異なります

給水方式によって、必要な点検や修繕項目、費用感も変わってきます。

・受水槽方式:受水槽と高置水槽の清掃(年1回以上)、揚水ポンプの交換、老朽配管の更新などが定期的に発生します。

・直結直圧方式:設備が最小限のため、建物内の給水管の劣化や漏水点検が主な対象です。

・直結増圧方式:加圧ポンプ、制御盤、電源設備などの定期点検が必要です。特に、停電対策として非常用電源の導入も推奨されます。


給水方式の「変更」も可能?

築20年以上のマンションでは、受水槽方式から直結増圧方式へ切り替えるケースも増えています。

切り替えを検討する際には以下の要件を確認しましょう。

  • 水道局との事前協議(圧力調査、配管条件など)
  • 組合総会での合意形成(特別決議が必要な場合も)
  • 施工スペースと電源設備の確保
  • 工事費(500~1,000万円以上)と補助制度の確認
  • 既存設備の撤去費とその後のスペース有効活用

給水方式の切り替えは設備投資が必要ですが、水質改善や維持コストの削減、省スペース化につながるため、長期的にはプラスとなるケースも多いです。


【行政の補助制度も活用できます】

地域によっては、給水方式変更に対する補助制度や技術支援があります。

たとえば…

  • 東京都水道局:「直結給水方式への切替に係る支援策」
  • その他:市区町村独自の補助金や技術アドバイス制度

詳細は各自治体により異なりますが、早めの情報収集と相談が大切です。


【チェックリスト】切替前に確認すべきこと

切替を前向きに検討する際は、次の項目をチェックしておきましょう。

  • 水道本管の圧力条件を満たしているか?
  • ポンプ・電源スペースの確保は可能か?
  • 現在の設備の劣化状況・更新履歴はどうか?
  • 管理組合内の合意形成が進んでいるか?
  • 長期修繕計画に組み込まれているか?

管理会社や専門業者と協力し、丁寧な準備が成功の鍵となります。


【Q&A】よくある質問

Q1. 停電時、直結増圧方式では本当に水が出なくなるの?
A. はい、基本的にはポンプが止まるため給水も停止しますが、非常用電源を設けていれば継続給水が可能です。災害対策として導入を検討されるケースもあります。

Q2. 受水槽を撤去するとどんなメリットがある?
A. 水質管理が簡素化され、衛生面が改善されます。また、水槽清掃や点検コストの削減、スペースの有効利用、建物外観の改善にもつながります。


まとめ:まずは「現状把握」から始めましょう

給水方式は、住民にとっては「目に見えにくい」インフラですが、暮らしの安心と直結する重要な設備です。

  • 災害時にどの程度の対応力があるか
  • 設備の点検や修繕にどれほどの費用がかかるか
  • 将来的にどのような方式に更新する可能性があるか

これらを把握することは、管理組合としての責任ある判断にもつながります。

当社では、給水方式の現状診断、配管図面の確認、方式変更の可否検討、行政補助金の申請サポートなど、幅広いお手伝いが可能です。お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人

保有資格: マンション管理士・ 二級建築士
不動産業界に従事して13年。現在は小規模マンションや自主管理組合のサポートに注力しています。
本年より自身も居住しているマンションの理事長に就任。首都圏の実情に即した現場支援をモットーに、日々管理組合の課題解決に取り組んでいます。

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