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まずは「お金」と「議案」に注目!初めてでもわかるチェックポイント
マンションにお住まいの皆さん、「管理組合の総会資料」、しっかり読んでいますか?
分厚くて数字も多く、読むのを後回しにしがちですが、これは毎月支払っている管理費や修繕積立金がどう使われているかを知るための大事な情報源です。
今回は、そんな「総会資料」の中でも特に注目すべきポイントを、初めての方でもわかりやすく解説します。
🔍 総会資料の見方①:まずは「お金の動き」に注目!
管理費と修繕積立金、2つの会計に分かれている
マンションのお金は、次の2つの会計で管理されています。
■ 管理費会計
マンションの日常的な運営に使われる「毎月の生活費」のようなものです。
- 管理会社への委託費(事務管理・清掃・点検など)
- 共用部分の電気・水道代
- 消耗品や備品の購入 など
■ 修繕積立金会計
建物を長く維持していくための「将来のための貯金」です。
- 大規模修繕(外壁・屋上防水など)
- 給排水管やエレベーターの更新
- 長期修繕計画に基づく設備更新
💰 決算案(前年の実績)で見るべきポイント
- 管理費や修繕積立金の収入はきちんと入っているか?
- 管理委託費や清掃・点検などの支出は予算内に収まっているか?
- 滞納は発生していないか?
- 赤字になっていないか?
- 工事など大きな支出があった場合、その内容と金額の妥当性が説明されているか?
📅 予算案(来年度の計画)で見るべきポイント
- 管理費や修繕積立金は値上げ予定があるか?
→ 値上げには重要事項説明書の交付+議案での承認が必要です。 - 管理委託費などの契約に変更がある場合、議案として出ているか?
- 委託費以外で大きな支出(設備更新・新設等)の予定がないか?
- 収入と支出のバランスが取れているか?
→ 積立金の取り崩し前提になっていないか要チェック!
✅チェック例:表でまとめてみると…
チェック項目 | 見るべきポイント |
---|---|
管理費収入 | 滞納がないか、収入が安定しているか |
管理委託費関連 | 委託内容や契約変更に関する議案が出ていないか |
修繕積立金 | 適正に積立されているか?取り崩し予定は妥当か? |
その他支出 | 新設備導入や工事など、金額・理由に納得できるか? |
📝 総会資料の見方②:議案は「背景と決議方法」を読む
総会資料には「第〇号議案」として決議項目が並んでいます。
議案を読むときの3つのポイント
① 何を決める内容か?
- まずはタイトルを見て内容を把握しましょう
例:「2024年度収支決算の承認を求める件」
② なぜ今その議案が出てきているのか?
- 背景や理由の説明がきちんとあるかを確認
(例:修繕工事が必要な理由、積立金の引き出し根拠など)
③ 決議方法は?(普通決議 or 特別決議)
- 普通決議:出席者の過半数で可決(例:予算案・役員選任など)
- 特別決議:総区分所有者の4分の3以上の賛成が必要(例:規約変更、大規模修繕など)
👥 総会資料の見方③:役員選出も「自分ごと」として考える
マンション運営には、理事会(理事長・副理事長・会計・監事など)の存在が欠かせません。
役員の選出も毎年の議案の1つです。
役員の選出は管理の安定に直結します。「今期は役員じゃないし関係ない…」と思わず、しっかり確認をしましょう。
チェックポイント
- 候補者の氏名や居住の有無、推薦の経緯
- 立候補か推薦か?任期は何年か?
- 同じ人に長年任せきりになっていないか?
※役員のなり手がいない場合、「外部専門家を役員とする方式(第三者管理)」も選択肢として議論されることがあります。
🛠 総会資料の見方④:修繕工事の議案は要チェック!
大きな金額が動く「工事関連の議案」には注意が必要です。
修繕工事議案のチェックポイント
- 工事の内容・目的が明確か?
- 見積もりは複数社から取得しているか?
- 選定業者の選定理由が書かれているか?
→ 過去の実績、価格比較、信頼性など - 工事の金額が高すぎないか?
→ 不安があれば理事会や管理会社に相談を
✅ まとめ:全部読まなくても「1つだけ注目」してみよう
「総会資料は難しそう…」と感じる方も、全部を完璧に読む必要はありません。
まずは以下のどれか一つに注目してみましょう。
- 毎月払っている「お金」がどう使われているか
- 誰が役員になるのか、どう運営されるのか
- 修繕や設備にどんなお金がかかっているのか
わからないことは、遠慮せずに理事会や管理会社に聞いて大丈夫です。
「知ること」=「未来の安心をつくる第一歩」です。
💡補足:総会に参加できないときは?
- 議決権行使書や委任状で意思表示が可能です
- 総会資料は事前に目を通し、できればコメントや意見を伝えておきましょう