✅ はじめに|あなたのマンション、誰が“火災対策”を担っていますか?
火災はいつどこで起きるか分かりません。特に分譲マンションでは、一人の油断が多数の命に関わる重大事故につながるリスクがあります。
ではその「火災対策」を誰が担っているか、ご存じでしょうか?
それが、「防火管理者」という存在です。
✅ 防火管理者とは?|法律で義務付けられた“防災責任者”
防火管理者は、消防法第8条に基づいて、一定規模の建物に対し設置が義務付けられている「防災の統括責任者」です。
🔹 必要となる建物条件
マンションの場合、以下のいずれかに該当すると「選任義務」が発生します:
条件 | 内容 |
---|---|
特定用途が含まれる場合 | 不特定多数が出入りする店舗などがある(例:1階にテナントあり)で、収容人員30人以上 |
共同住宅の場合 | 延べ面積が1,000㎡以上(例:中規模以上のマンション) |
多くの中〜大規模分譲マンションは「防火管理者選任」が法的に義務です。
✅ 防火管理者の主な業務とは?
単に“火を出さない”だけではなく、住民全体を守る役割を担います。
🔸 主な職務内容
- 防火管理に関する計画の作成
例)避難訓練の企画、消防訓練計画など - 防火教育の実施
例)掲示板での注意喚起、ポスターの掲示など - 避難経路や設備の管理
例)消火器・誘導灯・防火扉の定期確認 - 消防署への届け出業務
例)選任届の提出、消防訓練報告など - 火災発生時の初動対応
例)消防通報、住民避難の指揮など
特に【初期消火】【避難誘導】の準備や訓練をしておくことは、**マンションの火災被害を最小限に抑える“命綱”**です。
✅ どうやって防火管理者になるの?
防火管理者になるには、以下の流れが必要です。
🔹 資格の取得方法
- 所定の講習を受講(各自治体の消防署などが実施)
※2日間の「甲種防火管理新規講習」が主流 - 修了証を取得
- 管理組合や理事会で選任し、消防署に届け出
管理会社の社員がなるケースもありますが、理事長や管理組合員が選任される例も多いです。
✅ 誰がなるべき?外注できるの?
🔸 委託自体は可能!
- 管理会社に防火管理者の業務委託が可能(外注)
- ただし建物の実態を把握している“理事”や“住民”のほうが対応が的確なことも
🔸 実務上の課題
- 「理事長が自動的にやらされる」
- 「講習が平日で出られない」
- 「役割が重く感じる」
などの理由からなり手不足が問題になっているのが現状です。
✅ 未選任だとどうなる?
防火管理者の未選任は、消防法違反です。
- 消防署から指導・是正命令
- **罰則(30万円以下の罰金・拘留)**もあり
- 万一火災時に人命被害が出た場合、管理組合の責任が問われることも
✅ 最後に|「なってほしくない役」から「最も重要な役」へ
防火管理者は「なりたくない」「面倒そう」と思われがちな役割です。
しかし、それは**“住民の命と財産を守る”極めて重要な防災リーダー**。
見えないところでマンションの安全を支える存在であり、正しく理解し、協力体制を整えることがマンションの価値と信頼性にも直結します。